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行刑改革会議第3分科会 第7回会議議事概要

1 日時

平成15年12月1日(月)14時から15時45分

2 場所

法務省第一会議室(20階)

3 出席者

(委員等,敬称略)
 (会長)高久史麿(自治医科大学学長)
 (委員)江川紹子(ジャーナリスト),野﨑幸雄(弁護士・元名古屋高等裁判所長官),広瀬道貞(全国朝日放送(株)(テレビ朝日)社長),宮澤弘(元法務大臣)(委員・50音順)

4 議題

(1) ヒアリング(慶應義塾大学医学部法医学教室村井達哉教授)
(2) 議論
(3) その他

5 会議経過

(1) 慶應義塾大学医学部法医学教室村井達哉教授から,司法解剖の仕組みと現状等についてヒアリングを行った。説明要旨及び主な質疑応答は以下のとおり。
(説明要旨)
・ 法医解剖には,犯罪の疑いがある場合に行う司法解剖と犯罪の疑いはないが死因が不明の場合に行う行政解剖がある。
・ 司法解剖の根拠は刑事訴訟法,行政解剖の根拠は死体解剖保存法である。
・ 行政解剖は監察医が行う。監察医は全国に置かれているわけではなく,東京都区,大阪市,名古屋市,横浜市,神戸市のみである。
・ 監察医が置かれていない地域では,遺族の承諾を得て承諾解剖を行っている。
・ 司法解剖は,大学医学部又は医科大学の法医学教室で行っている。現在大学医学部と医科大学は合わせて80あり,そのうち司法解剖を行っているのは75である。全都道府県で司法解剖ができる体制になっている。
・ 司法解剖を行うためには,検察官又は司法警察員の嘱託と裁判官の令状が必要である。
・ 司法解剖の件数は,社会的要請により年々増加している。
・ 監察医がいない地域では,行政解剖か司法解剖か迷うような場合に司法解剖を行うことがある。
(主な質疑応答)
・ 刑務所での死亡について全件解剖する必要はあると考えるか。
(回答:医療刑務所で病気により死亡した場合などは解剖する必要はないと考える。しかし,一般の刑務所で死亡した場合は,急性心不全等の診断で漫然と処理されている例もかなりあり,解剖した方が疑惑を招かないと思う。)
・ 医療刑務所以外の刑務所での死亡事案を全件解剖することは可能か。
(回答:物理的には可能だと思う。しかし,犯罪の嫌疑がなければ司法解剖を行えないので,刑務所で死亡したということのみをもって司法解剖を行うことは現行法ではできない。また,承諾解剖も難しいと思う。)
・ 承諾解剖が難しい理由は何か。
(回答:遺族の承諾が必要なので,遺族が見つからなければ承諾解剖はできない。また,遺族のうち誰か一人でも反対したら解剖はできない。)
・ 刑務所で死亡した人で,遺族が見つからない人はどのくらいいるのか。
(事務局:正確な数は分からないが,全く身寄りがいない人はそれほどいないと思う。しかし,遺族に連絡しても,遺体の引取りを断られることは多い。)
・ 現在の運用と,全件司法解剖するという厳しい運用との中間のやり方は可能か。
(回答:広く検察官や司法警察員による司法検視を行い,犯罪の嫌疑がある場合には的確に司法解剖を行うことが良いのではないか。)
・ 検察官や司法検察員による司法検視の際に,第三者的な性格が強い法医学者が立ち会うべきではないか。
(回答:法医学者を検視に立ち合わせるのは,刑務所と大学の距離の問題などがあり,現実には難しい。)
(2) これまでの検討内容について,他の分科会の委員の意見等を踏まえて議論を行った。主な発言等は以下のとおり。
ア 医療について
・ フランスでは,司法省から厚生省に刑務所医療が移管され,医療水準は上がったようだが,そもそも司法省が所管していたときの医療水準が極めて低かったようである。厚生省担当者が「高くついた。」と発言し,また,司法省の担当者はもっと厚生省が患者を診察に来るべきだと発言するなど,実際にうまくいっているかどうかは良く分からなかった。
・ 医療を保安から独立させるために厚生労働省に移管しなければならないという意見があるが,例えば民間病院に受刑者を連れて行くときに刑務官をつけないわけにはいかないのであって,所管を移すことに余り意味はないのでないか。移管の検討をするより,現状を前提に可能な方策,例えば准看護師の資格を有する刑務官を増やすなど,体制を充実させることの方が重要である。
・ 受刑者が欲しがる薬を与えることがいい医療だとは考えない。
・ 刑務作業を逃れるために体の不調を訴える者も多いのだから,作業時間を短縮すれば詐病も減るのではないか。
イ その他
・ 受刑者の収容方法をもっと工夫すれば,弾力的な職員配置ができるのではないか。
・ 組合の結成は難しいとしても,刑務官が,勤務環境について不服を述べこれを吸収する体制,また,これにより刑務官が不利益を受けない仕組みを作るべきである。
・ 今後は独居房中心収容体制になるだろう。
・ 社会では自由化が進んでいるから,刑務所の中でも規律の自由化は避けられないだろう。しかし,何でも緩くすれば良いわけではないことは当然である。
・ 時代の変化に規律の見直しが追いついていないために生じている問題もある。
・ 刑務所の組織は上命下服だが,上命下服だから軍隊調でなければならないということはないだろう。軍隊調の規律は,体罰を認める発想につながる。職員と受刑者の在るべき関係がこの会議のテーマになっているが,職員間の在るべき関係も考えていくべきだろう。
・ 出所後の生活のために,作業賞与金は上げていくべきだろう。
・ 受刑者の処遇環境を改善することで解決できる問題点も多いのではないか。
・ 刑務所の内部と外部の交流が重要である。

6 今後の日程等

・ 次回は,12月8日(月曜日)の全体会後,必要に応じて開催。
(文責行刑改革会議事務局)
-速報のため,事後修正の可能性あり-

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