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行刑改革会議第9回会議議事概要

1 日時

平成15年12月15日(月)14時から15時45分

2 場所

法務省第1会議室(20階)

3 出席者

(委員等,敬称略)
  (相談役)後藤田正晴(元副総理),(座長)宮澤弘(元法務大臣),(委員)井嶋一友(弁護士・元最高裁判所判事),江川紹子(ジャーナリスト),大平光代(弁護士),菊田幸一(明治大学法学部教授),久保井一匡(弁護士・前日本弁護士連合会会長),瀬川晃(同志社大学法学部長),高久史麿(自治医科大学学長),滝鼻卓雄((株)読売新聞東京本社取締役副社長・編集主幹),野﨑幸雄(弁護士・元名古屋高等裁判所長官),広瀬道貞(全国朝日放送(株)(テレビ朝日)社長),南博方(一橋大学名誉教授),宮澤浩一(慶応義塾大学名誉教授)(委員・50音順)
(法務省)
野沢太三法務大臣,実川幸夫法務副大臣,中野清法務大臣政務官
(事務局)
但木敬一事務局長,大林宏事務局長代理,小津博司事務局長代理,倉吉敬事務局長代理,杉山治樹事務局次長

4 議題

(1) 矯正局からの報告
(2) 「行刑改革会議提言(案)」について(事務局からの説明)
(3) 「行刑改革会議提言(案)」について(議論)
(4) その他

5 会議経過

(1) 大阪拘置所における受刑者に対する暴行事案等について,柴田官房参事官から報告された。
(2) 杉山事務局次長から,第8回行刑改革会議における骨子案についての議論を踏まえて作成された行刑改革会議提言(案・別添【PDF】)について報告された。
(3) 上記提言案について,以下のとおり質疑・議論がなされた。最終的な提言の書き振りについては,本日の議論を踏まえて,座長に一任するということで了承された。
ア 「国民全体の財産」という表現について(提言案3ページ)
・ 「国民全体の利益」という表現から「国民全体の財産」という表現に改められた理由は何か。
(回答:曾野委員から,「人間の問題は利益というような功利的なイメージではなく,その表現は不適当である」という意見が寄せられたためである。)
・ 言葉の流れからすると,「財産」という言葉はどうか。功利的な意味ではなく,プラスになるという意味からすると,「利益」でも良いのではないか。
・ 「価値」という表現はどうか。
・ 「利益」には,儲けという意味のほか,「ためになる」という意味があるから,「利益」でかまわないのではないか。(了承)
イ 行刑の沿革について(提言案4ページ)
・ 刑法の制定という表現と,現行の監獄法の制定という表現が重なるので,「現行の監獄法が誕生した」という表現にしたらどうか。(了承)
ウ 「適正の確保」という表現について(提言案17ページ)
・ 例えば,「適正な昼夜間独居拘禁の確保」としたらどうか。
・ 「昼夜間独居拘禁の適正化」ではどうか。(事務局検討)
エ 電話について(提言案23ページ)
・ 「まず,開放処遇を受けている者に認めるなど」とされているのは,開放施設だけではなく,開放的処遇を受けている者にまで認めるという趣旨か。
(回答:第2分科会では,電話の導入に否定的ではない。「試行的に」という言葉を削ったのは,監獄法改正が必要であることとの関係からである。必ずしも最初から全ての施設について導入することまで決めているわけではなく,その範囲については検討する必要があるため,「一定の基準の下」という表現とした。開放施設について認めるという趣旨ではなく,開放的処遇を受けている者から始めるとの趣旨である。)
・ これからは開放度の高い処遇がこれまでに増して行われると思われるが,そのような場合でも電話を認めるのか。
(回答:そのような趣旨である。)
・ 「開放処遇」という表現でいいのか。「開放的処遇」とする方が適当なのか。
(回答:原則としては全ての刑務所に電話を認めるという認識であるが,一度にすべてを認めるということにはならないと思われる。「まず」と記載した趣旨を理解願いたい。)
・ 趣旨としては,電話を認める方向を明確にするためにも,文章を検討すべきである。(座長・会長引き取り)
オ 弁護士面会について(提言案24ページ)
・ 離婚についての相談をするような場合など,弁護士から受刑者に面会を求めるような場合についてまで含まれているのか。
(回答:含まれると考える。)
カ 信書の発受について(提言案24ページ)
・ 外国人受刑者の場合,外国にいる弁護士についてまで含まれるのか。
(回答:そこまで考えて議論していないが,日本において弁護士業務ができる弁護士について想定している。)
キ 刑事施設視察委員会の委員について(提言案27ページ)
・ 委員を毎年委嘱という趣旨は,どういう意味か。1年で交代するということでは,発言力が失われるのではないか。
(回答:委員の負担や施設の事情も考えて,毎年委嘱ということにしたものであり,再任を妨げない。)
・ 発言内容などから1年でやめさせるということもあり得るのか。本人の希望で辞退するということに限るのであれば,その旨を明記すべきではないか。
(回答:身分保障までは認めるべきではないと考える。)
ク 死亡事案の公表について(提言案30ページ)
・ 刑務所の中で自殺を図り,病院に運ばれてから死亡したような場合まで含まれるのか。そのような場合も公表の対象とすべきであると考える。
(回答:執行停止した場合には刑務所内での死亡とは考えておらず,公表していなかった。この取扱いについては,あまりにも杓子定規に考えているとの批判もあるので,少なくとも30日以内の死亡については,公表する扱いに改めている。)
ケ 団結権の問題について(提言案48ページ)
・ 「しかし」は不要であり,削除すべきではないか。(了承)
・ 消防や警察とは異なるのであり,「公務員制度全体の中で」という文言は削除すべきである。
・ いろいろな考え方があろうが,団結権の問題は,消防や警察と異なるのか否かという問題を含めて公務員制度全体の中で議論すべきであるから,削除することは相当ではない。(了承)
コ 職員に対する不利益取扱いの禁止について(提言案48ページ)
・ 内部告発があったことを聞いていて,告発者探しにならないようにすべき旨を明記する必要があるのではないか。(了承)
サ 改革への道すじについて(提言案49ページ)
・ 素人として参加して驚くことがたくさんあった。海外との比較の中で,衣服,電話,刑務作業の点などの点において日本の刑務所だけが特異なものになっていることを感じた。西側社会の中で特異な存在になっていることについて触れ,情報収集を行うべきことを指摘しておいた方がよいのではないか。(事務局検討)
・ 矯正関係の人たちも欧米に出かけて海外事情を見てきたはずであり,まったく考慮していなかったのではないということについても触れるべきである。
・ 国民に対する説明として,国際社会の水準に合わせるということを入れるべきであり,その方が国民からの納得を得られるのではないか。

6 今後の日程等

・ 次回は,12月22日(月曜日)午後4時開催予定。
・ 次回は,最終提言案についての検討を行った上,最終提言として取りまとめられ,法務大臣に提出される予定。
(文責行刑改革会議事務局)
-速報のため,事後修正の可能性あり-

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