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トップページ > 省議・審議会等 > その他会議 > 行刑改革会議 第8回会議

行刑改革会議 第8回会議

日時: 平成15年12月8日(月)
14時06分~16時05分
場所: 法務省第1会議室(20階)



午後2時06分 開会


○宮澤(弘)座長 ただいまから,行刑改革会議第8回会議を開催いたします。
 本日は,分科会でかねていろいろ検討をしていただきましたので,まず分科会の検討状況について,おのおのの分科会会長から御報告をいただきたいと思います。
 これに続きまして,これまでの全体会議,あるいは分科会でもいろいろな意見が御承知のように出ておりまして,これまでの全体会議,分科会の御論議を取りまとめた案を事務局に作成させましたので,これについて事務局から説明をさせた上で,いろいろな御論議をいただきたいと思っております。
 また,この議論の終了後,各分科会において,なお詰めるべき事項がございます場合には,引き続き分科会としてお集まりいただき,御議論いただきたいと思います。
 ここで報道の方が退出されますので,しばらくお待ちください。

1.分科会検討状況について(各分科会長の報告)

○宮澤(弘)座長 これから各分科会の検討結果につきまして,各分科会会長から御報告をいただきたいと存じます。なお,この御報告についての御意見がいろいろあろうかと思うのでありますが,これにつきましてはすべての分科会の報告と,その後事務局からの骨子についての説明がありますので,それが終了した後に行いますので,御了解をいただきたいと思います。
 まず,宮澤(浩)第1分科会会長,お願いをいたします。時間の関係がございますので,大体10分以内にお願いをいたしたいと思います。
○宮澤(浩)委員 それでは,第7回行刑改革会議の後に,私ども第1分科会は12月1日に分科会を開催いたしましたので,その検討状況について御報告いたします。簡単なレジュメ的なものはお手元に,「第1分科会の議論の整理(第7回分科会)」というメモがございますので御参照ください。
 12月1日の分科会では,これまでの分科会において議論していなかった論点について確認的に議論をしたほか,規律秩序の在り方,仮釈放制度について議論をいたしました。
 まず追加的な論点でありますが,これまで第1分科会では受刑者の処遇の在り方についてさまざまな議論をしてまいりましたが,改めて考えますに,分科会委員の間では当然の前提として考えていたため,必ずしも明確な形で議論をしていなかった論点が幾つかあるのではないか,そこで,最終的な提言をまとめるためにも,取り上げておいた方がよいのではないかと思われる点がありましたものですから,分科会長である私からの提案という形で確認的な検討を行いました。
 その結果,「行刑の基本的理念」について言及する際に,「受刑者に罪の自覚を十分に自覚させることが大切である」ということにも触れる必要があるのではないか,しかし,それを強調することによって規律を厳格化するという結果になってはいけないというふうに考えました。
 監獄法の改正においては,被収容者の権利義務と職員の権限の明確化を図ることが必要であります。
 保護房収容を含めた昼夜間独居拘禁については,要件や手続を法定する必要があり,その運用に濫用にわたることがないようにするための方策を検討する必要があると思っております。
 それから累進処遇制度を廃止した上で,英国の報奨制度などを参考にしながら受刑者の改善更生の意欲を喚起する一種の報奨制度を設けるべきであるということについて,これは意見の一致を見ました。
 さらに,いわゆる代用監獄問題につきましては,日弁連の方から意見が寄せられていましたので,第1分科会の各委員のお考えをお聞きしました。その結果,代用監獄問題は警察にも大きく関係する問題であり,警察関係の当事者がいないところで議論することはできないのではないか。したがって,当会議ではこれを論点として取り上げることは適当ではないのではないかということで一致をしたのであります。
 以上が,確認的な意味で話合いをした問題点であります。
 次に,規律秩序の在り方について議論をいたしました。規律秩序の在り方の基本的な方向性として,「人間としての尊厳を傷つけたり,社会通念に照らして著しく合理性を欠く規律の在り方であってはならない」という提案がなされました。方向性としては大体異論がなかったのであります。ただ,内容的には,この表現では抽象的に過ぎて,骨太の方針を示すとはいっても方向性がはっきりせず,法務省が改革に取り組む際に提言の趣旨を骨抜きにしかねないという意見があり,軍隊式行進の廃止など抽象的な問題として取り上げられている点について幾つか具体的に言及することによって,基本的な方向性を明確にすべきであるということで意見が一致しました。
 その上で,この会議においてすべての規則等について適当か否かを逐一検討することは妥当でなく,具体的に問題提起されている規則等について,少なくとも第1分科会の委員の全員が見直すべきであるということで一致したものを,第1分科会としての結論として示すべきであるということになり,正座の強制,ちょっとした作業中のわき見によって規則違反ととらえるということなどは合理的とは言えないし,重箱の隅を突くような態度で事細かく規律を強制するとは妥当でないということで一致いたしました。
 他方,裸体検身についてでありますが,「品位を傷つけるものであり廃止すべきである」とする意見がある一方で,「不正物品の発見ということからすれば,施設の状況に応じて実施することはやむを得ないのではないか。このような運用は危機管理として理解できる」,こういう意見も主張され,結局意見の一致を見ませんでした。
 このほか,暴力によって規律の維持を図るということがあってはならないということ,規則は公平に適用されなければならないということをはっきり打ち出すべきである,規律というものは,受刑者が守ろうと思うようなものでなければ意味がないものである,社会の常識が納得するかという観点からも合理性を検討すべきであるという意見が示されました。
 最後に仮釈放制度についてですが,前回の全体会議において瀬川委員から御指摘のあった,棄却された場合の受刑者への理由告知の要否という論点について議論をいたしました。この点については,仮釈放の権利性については議論があるところであるが,恩典としてとらえる以上,理由の告知は必要ないのではないかという意見が示されました。その上で,そもそも仮釈放の問題は制度をどのように考えるかという極めて根本的な問題から議論しなければならない問題であり,更生保護の在り方とも非常に大きくかかわる問題であるから,性急に議論する問題ではないのではないか,期間的にも限られた当会議で議論し,結論を得ることは困難であり,将来,別の場できちんと議論すべき問題であるということを明らかにするにとどめざるを得ないのではないかという意見で一致しました。
 以上が,第1分科会の検討状況の報告であります。後に全体会議の他の委員の先生方の御意見を伺い,後で行われるかもしれない第1分科会の議論で更に提案内容を煮詰めたいと思いますので,忌憚ない御批判,御意見を賜りたいと存じます。以上で終わります。
○宮澤(弘)座長 どうもありがとうございました。
 次に,南第2分科会会長お願いいたします。同じく10分程度でお願いをいたしたいと思います。
○南委員 第2分科会におきましては,前回の全体会以降,不服申立制度と外部交通の在り方について検討し,おおむね議論がまとまってまいりましたので,その議論の整理を御報告いたします。お手元にお配りいたしました「第2分科会議論の整理(透明性の確保等)」と題する書面を御覧ください。
 まず不服申立制度についてですが,現行の情願制度は権利救済の制度としては不備,不完全であるとの指摘もあり,また情願の件数の増加等に伴いまして,情願の処理が滞るなどの事態が生じているところであります。そこで,これを抜本的に改革するには,第1に,独立の第三者的立場から審理することにより,公平かつ公正な救済を確保するという視点が必要であります。第2に,適正かつ迅速な処理を期するための制度の合理化という視点も必要だと考えました。
 そのうち,公平かつ公正な救済の確保という観点からは,行刑施設における被収容者の人権侵害に対し,公平かつ公正な救済を図るために人権委員会が可及的速やかに設置されるべきであると考えました。他方,このような機関が設置されるまでの間,やはり被収容者の人権侵害に対する救済制度の整備は喫緊の課題でありますので,暫定的かつ事実上の措置として,法務大臣が情願等を処理するに当たりまして,以下御説明いたします刑事施設不服審査会(仮称),これからは「審査会」と呼びますが,刑事施設不服審査会の議に付し,その公平かつ公正な処理を期するべきだと考えました。
 この審査会は法務省に置くこととしますが,矯正事務を担当する部局等から独立した組織とします。委員は法務大臣が,法務省の職員以外の者ですぐれた識見を有する者から選任することとし,人選に当たっては公正を期するものといたしました。そして,法務大臣が不服に理由がないと判断しようとするときは,審査会の調査審理を経ることとし,審査会は被収容者の不服に理由があると認めるときは,法務大臣に対し是正措置を執るべき旨の勧告ができるものと考えました。
 次に,不服申立制度の合理化という観点からでありますが,被収容者の人権侵害に対する救済を適正かつ迅速に図るため,監獄法を改正いたしまして,現行の情願制度及び所長面接制度に代えまして,まず第1には,不服申立制度と苦情申立制度とを区別すること。第2に,不服につきましてはまず矯正管区長に審査の申立てをし,更に法務大臣に再審査の申立てができるものとし,第3には,申立期間や標準処理期間を定めるなど,迅速処理確保のための手続を整備すること。第4には,申立ての秘密取扱い,不利益取扱いの禁止を定めることなどの整備を行うべきだと考えました。
 なお,情願制度には,さきに述べましたような問題があります。情願の適正かつ迅速な処理を確保することは喫緊の課題でございますので,監獄法との整合性に留意しつつ,実施可能な事項については監獄法の改正を待つまでもなく実施するものと考えました。
 また,情願件数の急増等に伴いまして,情願処理が滞っている現状にありますので,矯正管区及び法務省において,情願等を処理する職員の体制を整備,充実すべきだと考えました。
 次に,受刑者の外部交通の在り方ですが,外部交通につきましては,昭和60年12月13日の最高裁判決におきまして,自由刑は受刑者を一定の場所に拘禁して社会から隔離し,その自由を剥奪するとともに,その改善更生を図ることを目的とするものであって,受刑者の外部交通は一般に禁止されているとされております。やはり社会から隔離して改善更生等を期するという行刑の基本理念に照らせば,外部交通に制限があることは当然でありまして,まずその点を踏まえることといたしました。
 しかし一方におきまして,受刑者のほとんどがいずれ社会に戻ってくるということを考えますと,社会とのかかわりを完全に絶つのではなく,社会との良好な関係を維持させ,改善更生とともに円滑な社会復帰を促進させるようにする必要があることは言うまでもないところでございます。そして,社会との良好な関係を維持するという観点からは,親族中心の人間関係が築かれていたであろう監獄法制定当時,明治41年当時とは異なりまして,今日では友人,知人との関係も社会との良好な関係の維持に必要なものと考えられます。また,法律上の重大な利害にかかる用務の処理のためや,人権救済等を求めるための外部交通も必要ですので,お手元の議論の整理におきましては,それらの点を総論的に明らかにいたしました。
 各論的に申し上げますと,親族との面会については,現行法上親族は一般に受刑者の改善更生等に有益なものとして面会が認められておりますが,親族はまさにその改善更生等の礎ともなるべき存在ですので,親族との良好な関係の維持に必要と認められる場合には,通常認められている以上に面会の回数を増やし,また時間を延長するなどすること。仕切りのない面会場所を用いたり,立会いを緩和するなどの配慮をすることが必要だと考えました。
 友人,知人との外部交通につきましては,現在親族外との特別面会は,運用上身元引受人,保護司などの知人等については認められており,単なる友人,知人についてはほとんど認められておりません。しかし,既に述べましたように監獄法制定当時とは異なりまして,今日の状況に照らせば,知人,友人との関係も社会との良好な関係の維持に必要なものと考えられますので,現状の運用を改めまして,受刑者の改善更生,社会復帰に有益な場合には,積極的に友人,知人との面会を認めていくべきだと考えました。
 電話につきましては,面会等と同様対象が一定のものに限定されるべきだと思われますが,電話という通信手段の性質上,対象を限定しても,その確認が困難であるという問題点があります。そこで電話につきましては,一定の基準の下,受刑者の改善更生及び円滑な社会復帰を促進するために有益な場合は,受刑者が電話を利用できるように検討することを考えました。
 そのほか,当分科会におきましては,一般人は外部交通に関する取扱要領を知らないので困惑するとの御指摘がありましたので,これを適宜の方法により公表していくべきかと考えました。
 訴訟等の法律上の重要な利益にかかわる用務の処理は,親族や友人,知人を介しては必ずしもその迅速適切な処理が期しがたいこともあると考え,このような用務の処理のためには弁護士との面会を認めることが相当であると考えました。
 更に,受刑者が萎縮することなく人権救済等を求めることができるよう,a人権救済等を求めるため,b裁判所,検察庁,法務局,弁護士会及び弁護士に信書を発信することを求める場合には,a及びbのことを確認するにとどめるべきだと考えました。もっとも,bに掲げた機関等あての信書を用いた不正連絡事案も時に見られるところでもあり,a,bのことを確認する過程で刑罰法令に触れる結果が生じるおそれ,又は逃走等施設の規律秩序を著しく害する結果を生ずるおそれがあると認める場合には,そのまま信書の発信を認めるわけにはまいりませんので,その限りではないと考えました。
 なお,受刑者としてはメールボックスに投書することにより,刑事施設視察委員会(仮称)に申し出ることもできますが,これについては検査をしないことを想定していることを申し添えます。
 以上,第2分科会の御報告を終わらせていただきます。
○宮澤(弘)座長 ありがとうございました。
 次に,高久第3分科会会長,同じく10分程度でお願いをいたしたいと思います。
○高久委員 第3分科会は,先週の月曜日,1日に慶応大学の法医学の村井教授をお呼びいたしまして,司法解剖,行政解剖などの問題についてヒアリングをいたしました。村井教授のお話では,司法解剖は犯罪の疑いがある場合に,強制的に解剖する。当然法医学者がするわけであります。行政解剖は,病気の死亡の原因が不明の場合に解剖をする。しかしこの場合には,東京23区など特定の区域を除き家族の同意が必要であるということで,強制的なものではないということでありました。
 村井教授の御意見では,現在刑務所で年間に約200人近く亡くなっている。そのぐらいの数ならば全例司法解剖することは不可能ではない。しかしながら,死亡の原因が明らかである場合に,例えば医療刑務所で治療を受けていたとか,そういう場合には,司法解剖の対象にならない,すなわち犯罪の疑いがない場合には司法解剖の対象にならないという御意見でございました。
 それでは,犯罪の疑いがあるかどうかをだれが判断するのかということにつきましても,分科会の委員,また村井教授から御意見がありました。しかしすべての死亡の場合に法医学の専門家が判断をするのは,法医学の専門家は大学にしかいませんので,その専門家が死亡の現場に行って検視をするということは難しいという御意見でした。
 その後,第3分科会では各委員の間で,今までに議論されたことにつきましてのおさらい的な議論をいたしましたが,先々週に御報告したことと基本的には異なる結論は出ませんでした。刑務所で働いている人たちの団結権のことがいろいろ議論されましたが,認めるべきであるという意見と,警察あるいは消防等の対応を見ながら団結権のことは対処していくべきではないかという両方の意見がありましたことを付け加えたいと思います。
 簡単ですが,以上で終わります。
○宮澤(弘)座長 どうもありがとうございました。

2.「行刑の在り方(提言)骨子(案)」について(事務局からの説明)

○宮澤(弘)座長 次に,ただいま御報告をいただきました検討結果も含めまして,申し上げるまでもなく,これまでの全体会議あるいは分科会におきましていろいろ御議論がございました。そこで,「行刑の在り方(提言)骨子(案)」という形で,これらの御議論を事務局において取りまとめをいたしました。そこで,これについて事務局から説明をしてもらおうと思います。お手元の「行刑の在り方(提言)骨子(案)」と題する資料を御覧をいただきたいと思います。それでは,杉山事務局次長お願いします。
○杉山次長 それでは,「行刑の在り方(提言)骨子(案)」というペーパーについて御説明させていただきます。
 このペーパーにつきましては,既に案文をお配りしておりまして,十分時間もございましたので,本日はむしろ御議論に時間をとりたいと思いますので,ごく簡単に御説明をさせていただきたいと思います。
 この骨子(案)は,事務局におきまして,これまでの全体会,分科会を通じての委員の方々の御議論を整理して取りまとめたものでございまして,主に座長それから各分科会長と御相談しながら作成した骨子でありまして,提言をまとめるためのいわばたたき台ということで御用意したものでございます。本日はこれをもとに御議論いただこうと考えているわけですけれども,骨子という形で,その完成したものを行刑改革会議で本日決定しようということではございません。したがって,本日の議論に使った後は,この骨子自体に字句の修正を加えて正式な骨子というものを作ることは予定しておりませんで,来週開かれます次回の全体会におきまして,本日の骨子(案)をたたき台とした議論をして,それを踏まえた形の,今度は骨子ではなくて文章化した提言(案)というものをお作りいたしまして,これを第2のたたき台にしたい,そのように考えております。
 さて内容ですけれども,まず目次を御覧いただきたいと思います。大きく分けて第1から第5までの五つの章立てになっております。
 第1は「はじめに」ということで,いわば序文といいますか,巻頭言といいますか,そういうようなものを考えておりますけれども,これについては,これまで議論されたものではないので,これから座長と御相談しながら作成する予定でございます。次回に,本日の議論も踏まえまして提言(案)をお示しする際に,文章の形で御提案したいと考えております。いずれにいたしましても,この会議の審議に当たっての基本的な考え方のようなものを,できるだけ格調の高い文章にしたいと思っております。
 第2が「行刑改革の動き」ということで,我が国の行刑の沿革から,今次の行刑改革会議の設置や,この会議における検討経過につきまして,いわば客観的なことを述べた部分でございます。
 第3は「行刑改革の方向性」というタイトルで,この行刑改革会議の提言の総論的なところでございまして,その後の第4に記載してある具体的な提言を,総論的といいますか概括的に示したもので,全体像が分かりやすいようにということでまとめて示したものでございます。
 そして,第4が提言の本体というべきものでございまして,各分科会において議論された具体的な提言の中身が,おおむね7月に行われました論点整理をした際の順に従って,その議論の結果を示してあるということでございます。
 第5が「改革への道すじ」ということで,これからの改革の進め方について書くということにしております。
 このうち,数字の3の「法務省に望むこと」というタイトルをつけさせていただきましたが,こういう内容について,やはりこれも座長と御相談いたしまして,次回に提言を文章化した形でお示ししようと考えております。
 内容について,ごくかいつまんで申し上げますけれども,第3の「行刑改革の方向性」のところ,6ページを御覧いただきたいと思います。
 まず「行刑の基本的理念」ということでございますけれども,7月に議論されたところですけれども,社会からの隔離,改善更生及び社会復帰の促進という基本的な理念については,現在までもこのように考えられており,特段変更はないというような結論に至ったものと認識しております。
 そして,「行刑が直面する問題」点といたしまして,社会情勢の変化への対応が必要であるということ,これが第1の○でございますが,それから過剰収容や高齢受刑者,来日外国人の受刑者,それからいわゆる処遇困難者などが増加して,厳しい収容環境となっている。これに対する対応が必要である。これが第2の点でございます。それから第3に,この過剰収容のもとで刑務官の人的体制,物的体制がいわば限界に来ているのではないかというような問題がこれまで指摘されており,これを掲げてございます。
 そして3として「この提言が求めるもの」といたしまして,これらの問題点への対処を大括りにいたしまして,受刑者の人間性を尊重し,真の改善更生,社会復帰を図るということ,2番目に,刑務官の過重な負担を軽減する,次のページの3番目に,国民に開かれた行刑という,この三つ,言うなれば受刑者と刑務官と国民という立場にまとめまして,それぞれの観点から具体的な提言を列挙したような形にしております。
 そして,その頭に,総論的に,こうした提言を実現するためには監獄法の全面的な改正及び行刑運営の抜本的な見直しや改善が必要ということ,これまでの御議論の総意というふうに考えておりますが,こういうことで結んでおります。
 主なものといたしましては,第1の受刑者の立場からのものとしては,受刑者の権利義務を明確化するということ,規律等の在り方の見直し,人権救済制度の整備,医療体制の充実,職員の人権意識の改革,被収容者の特性に応じた収容の実現,外部交通の拡大,過剰収容状態の解消というような具体的な提言がなされておりまして,それぞれ第4のいろいろなページにその詳細が書かれております。
 また,2番目の刑務官の立場からのものといたしましては,職務権限の明確化,処遇困難者の収容,処遇の在り方の見直し,人的体制の整備・充実,民間人や専門的知識を有する職員の活用,それからメンタルヘルス対策の充実というようなことが掲げられております。
 それから,これらのいわば現場における改革提言の基礎として,刑務所が国民に開かれた存在にならなければならない。国民のチェックを受ける必要があるというような観点から,刑事視察委員会の創設,情報公開,地域との連携の促進といったような提言がなされております。これらのことが議論されたということで取りまとめたものでございます。
 議論の時間を多くとった方がいいと思いますので,事務局からの説明は以上にさせていただきたいと思います。
○宮澤(弘)座長 どうもありがとうございました。一通りの御説明を申し上げたところでございますが,ここで10分程度休憩をいたしたいと思います。


午後2時41分 休憩
午後2時53分 再開

3.「行刑の在り方(提言)骨子(案)」について(議論)

○杉山次長 それでは議事を再開させていただきたいと思いますが,宮澤座長は体調不良のために退席されておりますので,この後は成田座長代理にお願いをいたしたいと思います。
○成田座長代理 ただいま事務局の方から説明がありましたけれども,私が宮澤座長の後を務めさせていただきます。
 先ほど各分科会会長から御報告のあった各分科会の検討状況,更に事務局から説明のありました提言骨子(案)について御質問,御意見等がございましたら御発言をお願いいたします。また,提言骨子(案)について,事務局から説明がありましたように,提言の前文「はじめに」と最後の「法務省の望むこと」はまだ空欄となっております。この部分の案の作成については,宮澤座長と私に御一任いただきたいと思っておりますが,ここに書くべき事項などについても御発言いただければ幸いでございます。
 それでは,大体1時間程度を考えておりますので,御質問あるいは御意見等をお願いしたいと思います。
○久保井委員 一番最初に発言させていただきまして恐縮でございます。ただいまこの提言の御説明をいただきましたが,大変短期間の間に精力的な作業をしていただきまして,基本的には望ましい方向にまとまりつつあるということで敬意を表したいと思います。ただ,より一層いいものにしていただくようなことをお願いする意味で発言をさせていただきますが,今回のこの我々の提言は,正に明治41年から今日まで手がつけられていなかった監獄法の改正という非常に大きな課題について,国民にメッセージを送る歴史的な文書になる。非常に大きな価値のある,意味のある,そういうペーパーになろうと思いますので,今の原案も立派にできておりますけれども,より一層国民に対してこれを啓発するような,そういうトーンで前文とか後の結びを書いていただきたい。
 国民の意識からしますと,犯罪を犯した者に対する処遇なのだから,余りよい待遇をする必要はないという考え方の方が多数説かもわかりませんが,やはり国際的な動向とか,現在の人権尊重の世論を考えると,国民の現在の意識は仮にそういう意識であっても,我々としてはその意識を啓発して,もっと国民に対して呼びかけていくような,そういう国民をリードするような方向で提言をしなければならないと思います。非常に比喩的なことを言うと乱暴なことになるかもわかりませんが,この日本の社会は非常に人口が減ってきております。高齢化しております。子供の数も非常に減ってきている。次の社会を支えていく人的基盤に不安が出ている。したがって,やはり一度過ちを犯した者であっても,ここで誇りと自信を持って,もう一度社会を支えていく立場に立たせてやって,一緒にこの明るい社会を作っていく,そういう方向でチャンスを与えるといいますか,極端な言い方をしますと,不良債権を処理するだけのRCCは,つぶすだけが目的の会社と言ったら言い過ぎかもわかりませんが,そういう傾向が強いわけですけれども,刑務所も人間をだめにするだけの設備ではなくて,産業再生機構,RCCに対して再生するためのそういう機構ができましたけれども,一度罪を犯した人間も自信と誇りを回復させて,一緒になって社会を支えていく。そういう明るいものを目指す,そういう施設にする。したがって,受刑者と刑務所の関係,あるいは職員と受刑者の関係も,長い間続いた上下の関係,絶対的服従を求める関係から,できるだけ対等の関係,対話によって納得をさせることによってリードしていくような,そういう前近代的な人間関係から近代的な人間関係に近づけていく。分かりやすく言うと,学校における先生と生徒のような関係,あるいは病院における患者とお医者さん,看護婦さんの関係のような,そういうやわらかい人間関係に近づけ,自主的に人間としての誇りを取り戻すような,そういう方向に持っていくように,それに協力してもらえるように国民を啓発する,国民の意識を開発するような,そういう歴史的な文書,発進力のある,アピール力のある総論を書いていただきたい。
 具体的な作業は事務局にお任せする以外ありませんけれども,リップサービスだけでもいいから,そういう格調の高いものを書いていただきたい。なかなか具体的にはステップ・バイ・ステップで改革していかなければいけないでしょうから,一挙に理想的な刑務所をつくれと言ってもそれは無理だと思いますけれども,そういう意欲と発進力のあるペーパーにしていただきたいと思います。
 私が申し上げたようなことが,このペーパーの19ページの「効果的な職員研修の実施」というところに少し出ておりますが,圧倒的な支配服従関係に陥りがちな刑務官と被収容者の関係を,できるだけ冷静に対話によって受刑者を説得するような,そういう関係に改善する努力を必要とするということを書いていただいておりますけれども,この19ページの(2)に書いてあるようなことを,やはり改革の方向性の冒頭の総論のところにも是非生かしていただきたいと思います。具体的に異論があるわけではありませんけれども,そういうことをお願いしたい。
 それからもう一つは,法務省がずっと昔から言い続けてこられた改革の基本理念というのが三つあります。それは,一つは,刑務所を近代化する。もう一つは,法律化する。もう一つは,国際社会の水準に合わせるという意味で,国際化する。そういう,「近代化,法律化,国際化」という標語のもとに,法務省はずっと改革に努力をされてきた歴史があると思うのです。そのキーワードを冒頭の総論の中に是非とも入れていただきたいと思います。以上です。
○成田座長代理 どうもありがとうございました。
○江川委員 駆け足で4点申し上げます。
 11ページ目の上から4行目,「カウンセリング,教誨,教科指導,生活指導等を充実させるため」とあり,この「等」に多分含まれているのだと思うのですけれども,職業訓練など社会復帰のためのいろいろな施策について,やはり外部の人たちの-今でもかなり取り入れられているとは思うのですけれども-もっと民間のいろんな協力を得ていくという方がいいのではないかなと思いました。
 それから,もし今後,これから第3分科会をもう一回やる時間あればそのときにも申し上げるつもりでいるのですけれども,16ページ,医療費の負担のことで健康保険の適用については妥当とは考えられないというのは,これは私は全く同意見なのですけれども,ただ1個だけ問題があるのが,刑務所内でいろんな症状を発症して外部の病院に運ばれて,その後その症状が重いということで刑の執行停止になった場合に,本人はお金がない,家族も面倒を見ない,そして受刑者ではないので国の方からお金が出るということでもないということで,結局最終的には病院が負担することになり,その病院はもうこりごりだというので刑務所からの依頼は一切嫌だというようなことを言い出す病院もあるそうです。件数はそんなに多くないようですけれども,刑務所の医者の間では非常に今問題になっているということを聞いておりますので,例えば生活保護とかそちらへの移行を速やかにスムーズにできるような,そこまでの橋渡しをするということも考えられないかなと思いました。
 それから,17ページから18ページにかけてなのですけれども,17ページの下から4行目に,医師の確保の問題について,医師会,地域医療機関等との協力について言及されております。18ページの上から18行目に,医療と保安の関係でやはり協力体制ということが言われています。今の刑務所の医療の問題ですごく大きいことは,スタッフの確保と,もう一つ外部への移送ということだと聞いておりますので,外部への移送についての協力体制の整備が重要で,ここを医師の確保と同じように,医師会,地域医療機関等の連携というのをもう少し強くうたえないものかなと思いました。
 それから,21ページの団結権の問題なのですけれども,これについて,私はもう少しポジティブな書き方ができないかなと思いました。確かに刑務官だけの問題ではないということは事実だと思うのですけれども,今回のことですごくよく分かったのは,刑務官の人たちが本当に労働条件が厳しくなった中で,外に全く発信することなく,ただそれに耐えてきて仕事をこなしてきたということです。そして,そのストレスがいろんな事件にも影響をしたのではないかというふうに思われる節があるわけです。そして,第3分科会の議論の中でも申し上げたのですけれども,法務省の方の御説明では,今でもいろんな不服申立ての制度はあるということでした。実際あるのだと思いますが,その後,私の個人のホームページの方に,刑務官をやっていらっしゃるという方からいろいろ切々と訴えのメールも来たりしました。実際にその制度はあるのだと思うのですけれども,それが機能してない部分もあります。団結権というのは,労働組合的なものができれば,そういった不満を吸収して,上にそれを報告して改善を求めたり,あるいは外にそういった問題の所在を明らかにするということにも役立つと思うのです。
 今回の行刑改革会議で,労働条件については,かなりの部分,改善がなされると思うのですけれども,でも今後長い間にわたって新たな問題が出てこないとも限らないわけです。そういうときの救済機関として団結権に基づいて何かができたら私はいいのではないかと思うのですが,それがすぐに無理だとしても,やはり「安易に結論を出すべものではない」と,ここですっぱり切り捨てないで,もう少し今後の検討課題にする方向で何とか意見がまとまらないかなと思いました。以上です。
○成田座長代理 はい,菊田委員。
○菊田委員 今の江川委員の関連のところで,ちょっと最初に問題を指摘させていただきます。今の同じ21ページの,「公務員制度全体の問題」であるというふうに安易な表現になっているわけですけれども,これは現行法の下で認められている職員団体というものに関する規定を刑務所職員にどう適用するべきかという問題であるということですので,公務員制度全体の問題ではないということの認識に立ちますと,現在認められておりますところの職員団体の権利を刑務所職員に認めるかどうかという,固有の問題として議論していただく必要があると思いますので,同じようにこの点については修正を願いたいというのが第1点でございます。
 今の関連で,先に一番最後のところを申し上げましたが,もしよろしければついでに,一番最初に久保井委員が発言されました点については,事務当局なりに作っていただいた上で,詳細についてはやはり一人一人の意見をしんしゃくするような機会を持っていただきたいと思っております。
 それから,最初からちょっと二,三申し上げてよろしければお願いしたいと思いますが,よろしいでしょうか。
○成田座長代理 どうぞ。
○菊田委員 6ページのところですが,これは第1分科会の問題ですけれども,課題でしたが,「行刑の基本的理念」,○二つ目のところの「受刑者が自らの罪を十分に自覚することが大切である」と,これは私どもが議論させていただいてこういう形に修正していただいたのですが,どうにでもとれそうなまだ認識がございますので,個人的には,今ちょっと思いつかないのですけれども,受刑者が自らの罪を十分に自覚するよう「支持する」と言いますか,そういう環境を作り上げていくという体制,それが行刑の基本理念であるというような意味を私はもともと思っているのですけれども,最初は「醸成する」というような言葉があったのですけれども,上からの押しつけでないという表現のものに具体的に変える必要があるのではないかというように今思っております。
 基本理念というと,いずれもこの二つに入ってしまうように思えますけれども,さりとて3番目にどういう文言をつけたらいいかはちょっと今はっきりしませんけれども,少なくとも受刑者の人間を優先する行刑という意味での理念を基本理念の中に第3の○印として入れていただければなと思います。
 それから,ついでで恐縮ですが,9ページを見ていただきたいのですが,9ページに「処遇困難者」という表題がついているわけですけれども,そもそも「処遇困難者」というのは非常に定義があいまいでございまして,刑務所で手を焼いている者ということになるわけでしょうけれども,やはり薬物依存者,この言葉としても「薬物依存」というのもどうも,本当は薬物依存者とか精神障害者とか,また外国人の者も入ってくると思いますけれども,要するに決めつけてしまう。おまえは「処遇困難者」であると,こういうふうに烙印を押すという色彩が強いものですから,ここのaのところは「個別処遇への抜本的な改革を図るべき」だというふうに文字を変えていただければと思います。
 それから10ページのところには「薬物依存者」となっていますが,これが普通の表現だと思います。これはこれで統一していただきたい。先ほどのところでは「薬物中毒」となっています。これは適当でないと思います。
 10ページ(4)の「昼夜間独居拘禁の適正の確保」のところですが,これは戒護のための昼夜間独居,「最小限の期間にとどめるよう努める」,非常に抜本的な改正であるわけですけれども,最高どこまで昼夜独居を続けるのかということの制限がないわけです。御存知のように現在の昼夜独居は更新,更新で何年も昼夜独居されている者がいるわけです。これはやはり,依然として問題だと思われるので,最高例えば6か月というような形で限定すべきだということを主張したいと思います。いったん出しまして,問題があれば更に昼夜独居に入れるということは実務上は仕方ないと思います。だけど現在やられているのは,一旦入れて,出さないでそのまま更新している。ずっと継続しているわけです。やはりそれは国際的にも問題が指摘されておるので,最高期間6か月ということで一つの歯止めを作ってもらうように提案したいと思います。
○成田座長代理 そういうことであれば,菊田委員のお話このあたりでやめていただいて。
○菊田委員 あと二,三か所だけですから。もう少しだけですから。
○成田座長代理 これは我々論議した第1分科会に極めて近い,宮澤先生,そういう問題がありますね。
○宮澤(浩)委員 議論いたしました。
○成田座長代理 そういうこともありますのでね。
○菊田委員 大きなところはほぼ改正していただいたので満足しておりますので,小さいところだけあと二,三か所よろしいですか。
○成田座長代理 できるだけ皆さんにお話を伺わなくてはいけないので。
○菊田委員 急ぎます。12ページの外部交通のところ。12ページの下から○三つ目です。「受刑者の改善更生及び円滑な社会復帰を促進するために有益な場合は」,「友人,知人との外部交通を積極的に認める」と。面会もそうですが,こういう条件が入っているわけです。そうすると,社会復帰を促すかどうか,有益かどうかというのは,どうも施設長の判断で恣意的に判断される可能性があると私は思うわけです。何が有益かどうかというのは非常に判断基準が難しいです。私の希望は,「受刑者に有害なものを除いて面会,外部交通を積極的に進めるべきだ」,こういう表現にしていただければというのが今の提案です。
 それから,13ページの上から○一つ目。訴訟等の場合,弁護士との面会ですが,「弁護士の面会を認める」と。これは条件が何も書いてないのですけれども,私どもとしましては「刑務官の立会いなしの面会を認める」と。全体の趣旨からいきますとそういう趣旨は入っていると思いますけれども,弁護士との面会ですから,これは「立会いのない面会を認める」と一言入れていただきたいと思っております。
 同じように,14ページの「行刑運営の透明性の確保」のところの(2)刑事施設視察委員会の○三つ目の2行目。「上記の職務を行うため,委員は,いつでも,委員長の議を経て,行刑施設を視察し,被収容者と立会いなしで面会できる」,これは立会いがあると不服申立てにも非常に障害になります。これはどうしても「委員は立会いなしの面会ができる」と,そういうふうにしていただければと思います。
○成田座長代理 宮澤先生,どうですか。今の菊田委員の意見について。
○宮澤(浩)委員 私たちの提言の中では,たしか菊田委員のお考えは大いに参考にしましたし,それから我々の議論の中で実によく皆さんで弁護士会の提言というのも勉強しまして,今の点は,あの提言の中でよしとしてあるのではないですかというような議論をしたこともありますので,どうでしょう。というのは,提言ですから,余りカチッとした言葉を入れると,逆にそれが手掛かりになって変に議論されるというようなことにもなりかねませんしね。
 それと,私どうも気になっていることは,現行法を変えるわけで,その変えるためにいろいろ序言からきちんと論理的に議論しているわけですので,この表現だと後戻りするというのは,これは後戻りする方が悪いので,そういうふうにきちんと提言すれば,その提言の線に従って,この部分はこうなるだろう,この部分はこうなるだろうというふうに読むのが普通の読み方ではないかな。それをまた疑ったのでは,全然初めから議論が成り立たないのではないかななんて思いながら実は聞いておったのであります。
○菊田委員 第1分科会で私がこういう発言をして,入れていただくものは入れていただきました。入れていただかない点については全体会議,今日の段階で発言してくれ,こういう条件つきでその分科会では了解を得られなかったものですから,あえて私は今回申し上げたということと,それから骨子ですけれども,骨子に基づいて法案ができるわけですから,やはり骨子である程度どうしても具体的にしておかないと,この先の法案でどうなるか,それの結びつきはかなり恣意的に解釈される。私が今申し上げた程度の問題ですから,そこはひとつ第1分科会でも,この後でも議論していただければと思います。
○宮澤(浩)委員 必ずしも意見が一致しなかったから,提言としていわゆる成文にはならなかったので,含みというものはこれはまたほかの委員からお出になれば,その少数説が多数説になる可能性はありますでしょう。そういう意味だったのですけれども。
○成田座長代理 今,そういうような意味で菊田さんは御発言があったということですから。
○宮澤(浩)委員 応援を求められたのかもしれません。他の委員の応援を求められたのかもしれません。
○成田座長代理 そうですか。
○菊田委員 全体会議で話をしてくれと,こういうことでした。
○宮澤(浩)委員 ですから,応援してくださるという御意見があれば,私としては逆転ということもあり得るわけですから。
○菊田委員 大筋のことは逆転するわけではない。細かいことですから。私にとっては大事なところです。
○宮澤(浩)委員 それはこだわりなので,しこりが残るといけませんから,なるほど,菊田委員の説はすばらしいと思ってくださる方が一人でも多くなることを期待して,ではいかがでございましょうか。私はそういう意味で発言をしております。
○滝鼻委員 別の分科会のことについての方がそれこそ有益なもので,外部交通のことについて意見がある。今菊田委員がおっしゃった12ページの,これは面会とかあるいは電話にも共通することだと思うのですが,有益な場合はそれを認める,認めない,こういう書きぶりになって,菊田委員は,それはそうじゃないのだと。そうではなくて「有害なものを除く」というふうに表現したらどうなのだという御意見ですよね。それは面会でも電話でも同じことですよね,外部交通。僕は有益な場合には外部交通を認めるということと,有害な場合は認めないとする,除くということとは,そんなに大きな違いはないと思うのです。「有益」というのは,例えばここに書いてあるように「改善更生及び円滑な社会復帰を促進するために有益」と。菊田意見は,そうではなくて「改善更生及び円滑な社会復帰を促進するために有害な場合は除く」ということでしょう。同じことじゃないですか,それは。よくこういうことがあることは,例えば外部交通をする場合,その方の相続の問題とか,あるいは親戚との関係とか,そういうことだと思うのです,非常に多く仮にあるとすれば。そのときに,それを有害と見るのか有益と見るのか。いずれにしても,許可する人の恣意というか判断が働くわけだから,「有害」と言ったからあなたが言ったように除外されるのが狭くなったり,「有益」と言うと除外されるのが広くなるのか,そういうことはないと思うのです。ワーディングの話であって,そんなここに余り違いは僕はないと思うので,どうしても「有害」というのを入れろというのならもちろん構わないけれども,「有益」と入れておいたって僕は全く同じだと思いますがね。ただ,これは別の分科会の話ですから,余り引っくり返せと言っているわけではないので。
○野崎委員 私は今のことと余り関係ないのですけれども,今のことに関して言えば,ここでがんじ絡めに決めて,立法の段階の中身をがんじ絡めに決めるというわけにはいかないと思うのです。基本方針を決めるわけで,その中でそれを立法の段階でどう表現していくかというときに,ポリシーが入ってくるわけですけれどもね。その段階で決まることなので,ここで「有益」と「有害」との議論があったということが残っていれば,立法段階でそれが十分考慮されるというふうに考えていいのではないですか。
○菊田委員 では,それ以上議論しません。ただ「有害」というのは,私は暴力団とか,そういう有害なのだけ除いてという……。
○野崎委員 あなたが言われるのは分かりますけれども,ここでそうでないといかんと言われると,何か法制審議会の議論みたいな感じになってしまいます。
 ところで,私が今申し上げたいのは,私が入っております第3分科会の出したところで,19ページ,「職員の人権意識の改革」で「総論」というのがありまして,「人権意識は,「教育」のみによって改革されるものではない」という冒頭の文言があるのですが,これはちょっと舌足らずなので変えていただけませんかということを申し上げております。人権啓発ということになると,だれかを呼んできて講義をさせてそれで終わってしまうことが多いのだけれども,そういう単なる講義だけで人権啓発ができるものではありませんよということを私は申し上げたことがございます。多分そのこともこういう文言になって出てくることに影響しているのではないかと思うのですが,私がなぜここを問題にするかといいますと,私は法務省の人権擁護行政に関与したことがある者ですが,人権擁護局が金科玉条としてきたキャッチフレーズに「人権は啓発に始まり啓発に終わる」という言葉があります。さまざまな人権問題は,それを生じさせている精神的・心理的な土壌があるから起きてくるのだ。その土壌を変えない限り,刑罰を科したとかそういうことだけではとても土壌は変わらない。啓発だけが人の心を考えさせることができるものなのだという考えであります。人権擁護局は局創設以来それを金科玉条として人権啓発を展開してきたわけですけれども,実はややこしいことなのですが,法務省は「人権啓発」と言うのですが,文部省は「人権教育」と言うのです。それで,人権擁護推進審議会の答申でも,所管事項によって「人権啓発」と「人権教育」という言葉が実は使い分けられております。そこで,「人権は教育のみによって改革されるものではない」というところを,「人権は啓発のみによって改革されるものではない」ということにしますと,これは法務省の言っていること,法務省の金科玉条とするところと真正面から対立することになって,困ったことになる。
 啓発というものは,授業とかそういうことだけじゃなしに,例えばアメリカなんかで行われておりますスクールディストリクトといいますか,白黒の教育をまぜこぜにして行う。それも一つの啓発なので,非常に深い意味を持っているものでありますから,いろいろな工夫,いろいろな手段を尽くして啓発していくによって変えていかないといけないものだというのが人権行政の基本的なスタンスであります。したがいまして,私も一つ,二つの案をお出ししているのですけれども,ここのところは何とか考えていただきたいなと。少し舌足らず過ぎるなと考えて,今,第3分科会の方で議論していただいております。これが1点であります。
 それからもう一つ,「刑務所施設内における刑務官と被収容者の関係は,ともすれば圧倒的な支配服従関係に陥りがちである」ということが,「効果的な職員研修の実施」という冒頭に述べられておりまして,これは非常に大きな原因になっておるということは,私もるる指摘してきたところであります。具体的な問題としては,例えば軍隊式行進がどうだとかいったような形で皆さんからも強く主張がありました。これと並んで刑務官同士の関係も非常に上下関係が強い。これにつきましては,矯正関係の方は,これは階級制度であるからやむを得ないのだということを言われるのですが,階級制度といいますと,これは例えば裁判所の事務官,書記官,検察官,検察事務官の関係もそうでありますし,ポスト,ポストによって階級制度になるわけですから,その階級制度の中にあってどういう関係を結ぶべきかというのは,必ずしも軍隊式という形だけが出てくるものではないと思います。私は,刑務官は普通の事務をしている職員とは違うと思います。違うと思いますけれども,余り軍隊的規律をやりますと,それがいろいろな人権問題を起こす要因になりかねないものを含んでいるということを実は申し上げておりますので,そのこともここで指摘をしておきたい。
○広瀬委員 具体的な提案の中に,勤務労働の時間を減らしたらどうだというのがあります。ただ,一番最後の「その他」というところにつけ足しみたいに,刑務所内での運動が必要だと。そのためには1時間ほど減らしたらどうかというのが13ページにあります。13ページの下から10行目ぐらいのところですね。「運動時間の確保のためには,刑務作業時間の短縮も考慮すべき」である。実は,この刑務作業時間の短縮というのはかなり大きな問題で,運動時間をとるために減らしたらどうだというのは非常に通りにくい論法ではないか。むしろ,もう少しまともに「その他」のところではなくて,具体的な提言の中に刑務作業時間の見直しとかいうふうにやって,その理由を堂々と述べた方がいいと思うのです。健康の保持だとかあるいは所内の教育の何とかとか,自己啓発だとか。そういうために,いつまでも8時間にこだわることはないよということをはっきり言わないと,なかなか法務省は踏み切れないと思うのです。体育の時間のために1時間いいよという程度では,この長い間の8時間労働制というのを脱皮できないと思うのです。例えば高齢者は6時間でいいとか,いろいろ差別もあっていいわけで,そういうことをかなり自由に裁量できるような形のものにすべきではないかなという気がするのですが,これは第1か第2の分科会なので,是非とも検討していただきたい。
○成田座長代理 第1分科会の会長からちょっと。
○宮澤(浩)委員 その問題は,実は私どもが議論をしたものの根本的な思想から来ておるのでありまして,本日のこの提言(案)の9ページのところに非常にはっきりと具体的に挙げてあります。つまり,これまでは1日8時間の刑務作業ありきというのが一つのかせになっていて,それでもって例えば運動時間も30分というような状況だったわけです。これは運動時間を1時間にするからということだったら,今おっしゃった広瀬委員の御説のとおりでありますが,私どもは刑務作業を8時間でなければならないという,その根本的なかせをやはり受刑者の特性に応じて弾力的に考えるべきであるというようなことから,ここにも書きましたように「受刑者によっては,カウンセリング,教誨,教科指導,生活指導など刑務作業以外の処遇や治療が改善更生,社会復帰を図る上で有効な場合も多く」と,そこで関連して後ろの方の運動時間は1時間,これは国際的な規約でそういうふうなことが提案されていますものですから,現行の30分は狭いよという,そこの議論だけ出たのではなくて,やはり……。
○広瀬委員 分かりました。できれば,これは柱が立つぐらい大きな問題だと思うので。
○宮澤(浩)委員 柱がちゃんと立ってあります。「刑務作業の在り方を見直すべき」であるというのは,これは大変な柱だと思うのです。黒柱か白柱かは知りませんけれども。
○広瀬委員 「刑務作業の時間」と言うわけにいかないのですか。
○宮澤(浩)委員 時間だけではちょっと,やはり内容とか,受刑者にもいろいろな人がおりますので,それを一つ一つ書くわけにもいかない。となると,やはり「作業の在り方の見直し」という方がパンチ力があるように思います。
○瀬川委員 確認と質問があります。軍隊的な行進につきましてはもう廃止とはっきり出され,象徴的な問題についてはきちっと取り上げるという方針をとられて敬意を表します。裸体検身については,ここでは意見が一致しなかったというふうに言われたのですが,施設によっては非常にバリエーションのあることだと思うのです。具体的な方法によっては,現実には人間の尊厳を傷つけるというか,そういう可能性が非常にあるところだと思うのです。だから,いわゆる「かんかん踊り」というか,そういうものについては廃止の方向にあるという方向を出されたのか,いや,そこまでは行っていないという趣旨なのか,ちょっとその点お答えいただきたいということが第1点です。
 第2点目は,罪の自覚という具体的な内容,自らの罪を十分に自覚するということなのですけれども,ここでは犯罪被害者に対する具体的な施策というか,そういうものをとろうとされた趣旨なのか,いやそこまではまだいってないという趣旨なのか,その点ちょっと確認のためにお答えいただきたいと思います。
○宮澤(浩)委員 お答えをいたしますが,これは裸体検身も含んで,とにかく一番大事なことは受刑者の品位を傷つけるような,そういう姿勢というのはやはり相手に対しても説得力がないだろうし,そういう点は十分に配慮すべきであるという,そこはもう皆さん同意があるわけです。
 それから,「かんかん踊り」と俗に言われるものがどういうものであるか,これは人によっていろいろ違いますけれども,要するに全裸になった状態でわきの下だとか足のまたとか,その他のところに違反物件を入れているかどうかを確認するために,かなりしげしげじろじろと見るというようなことを形容して「かんかん踊り」ということであるならば,それを現に例えば施設によってA級の施設は,確かに作業から舎房へ移る,その移るときには全裸になるわけですから,その点のある静止した時間をとれば全裸になっているのを云々ということになるかもしれませんが,それは別に,立ち会っている刑務官が一々自分の目の前で裸になるのを確認してというようなことはやっていないと思います。
 もし問題があるとすれば,B級でかなり違反をする前例もある,そういうような問題のあるところに,例えば金属探知機のようなものでやったらどうだろうというような,そういう,施設によって必要性があるかもしれないということを議論しました。そのときに,違反物件として金属だけがキャッチできるようなものではちょっと困ることがあるのだというような施設もある。その具体的な例などを伺って,その場合にも一切禁ずるということは,これはどうかなというような議論をいたしました。ただ,そのときに世上言われているような四つんばいにさせるとか,それから回れ右をしてまた四つんばいなんていうような,そういう本当に一種のサディスティックなことをやっているのではないかと見間違えられるような行為をするというのは,これはもうそもそも品位を害するようなことはいかんという,その一番最初の出だしの点からいってチェックができるのではないか。要するに,そういう全体としてこの提言の趣旨から言いますと,既存のそういうものを当然のこととして今までやっていたのだからやれるというような,そういう発想では,おそらくこの提言に基づいてできる新たな法改正若しくは新しい法ができるときには,それをも許容するものですよというようなことが出てくるとは思えませんので,我々の提案というのはそういう殊更に品位を害するような,そういう裸体検身を許可するという意味でこの提案をしたのではありませんというのが,お答えになるかと思います。
 それから,犯罪被害者の問題というのは,正面から被害者のことを意識して云々というような議論をしたかどうかちょっと私記憶していません。私,いつもそんなことをあちこちで言っているものですから,場合によっては分科会で話したかもしれませんけれども,それはそうではなくて,やはり刑務所は一体何をしておるんだというような世論の言葉があることも重々分かっておりますし,被害者が今,一つの大きなプレッシャーグループになって,今までの犯罪者に対する人権というものを強調しているような政策を見直せという考え方もあるということはよく知っておりますけれども,それを直ちにこういう行刑の在り方というものにそういう意見が反映されるような,そういう被害者の権利というのは,私は邪道だというふうに個人的に思っていますから,そういうようなものがこの議論の中に正面切って出てきたという事実はないと申し上げます。
 それからもう一つ,先ほどの久保井委員の御発言の中にもございましたけれども,ホームページにたくさんこういう意見があるのですよね。ホームページに来た意見。実を言いますと,こういう仕事をしますと,夜間電話がかかってきたり,「おまえはばかか」というようなことを言われたり,「そういうことを言うあなたがばかなんです」と私はいつも答えておりますけれども,「改善不能犯だな」と言うから,「そうです」,「そんな者がなぜ行刑改革の仕事するのか」なんて言われるから,「そういう変な世論に屈しないのが私の仕事ですから」と答えておりますけれども,そういうように本当にこういう,早く世の中からいなくなってほしいような人がたくさんいる中で,少しでも理想的なことをするという仕事は本当に大変だろうと私自身思っております。そういう意味で,できるだけ正しい意見を集約して,後世に名を辱めないような提言ができればなと思って,第1分科会は一生懸命になって努力したということを皆さんに御披露したいと思います。
○久保井委員 2回目の発言で恐縮ですが,18ページに,「被収容者の死因確定手続の適正の確保」というところがありますが,これは事務局の方にお願いしたのですけれども,今回の名古屋の刑務所の事件で施設内の死亡帳の問題とか死亡者が多い。その中に疑問のあるケースもかなりまざっているというようなことがありまして,死因の確定手続を客観化するということが必要だということになっているのですが,「医療の透明性の確保」の上の方に書いてありますけれども,少なくとも遺族などからのカルテの開示請求があった場合には,受刑者の死亡事件についてはそのカルテの開示等を認める。遺族のない受刑者もおるでしょうから,人権団体なんかも場合によったら認めなければいけないのかもわかりませんが,そういう点をちょっと加えていただかないと,あといろいろ書いていただいているのは,運用上の工夫というものにとどまっているのではないかという気がしますので,ひとつよろしくお願いしたいと思います。
○曾野委員 これは御提言ですから,現在の例えば刑務所とかそういうものの現状を御存知の方に対して差し出されて参考にされるものだと思うのです。その意味でならよろしいのですけれども,これは国民も読むだろう。どこかで心ある人は読むだろうと思うのですが,そうしますと,例えば8ページの第4のところに,「受刑者処遇の在り方」というのがあって,「総論」で,○の二つ目ですが,「受刑者の人間性を尊重し」とあります。実は前に書いてあることを私はよく存じておりますが,ただこれだけでは足りないだろうと思います。例えば「受刑者には被害者の人間性を尊重しなかったという事実を,まずはっきりと受刑者に意識させるべきであるが,それを償うに当たっても受刑者の人間性を目覚めさせ」とならないと,これはどういうことなのかなというふうに私のような素人が読むと思うのです。もちろん,6ページの真ん中の第3のところの○二つ目の,「真の改善更生のためには,受刑者が自らの罪を十分に自覚することが大切である」とありますから,よく読めば分かるのですが,この文章だけでは反発が出るのではないかと思います。
 そして,これも余計なことかもしれませんが,私は数年前から法務省のお仕事は一市民としてさせていただかないようにしようと実は心に決めていたのです。それは,ほとほとここにいると嫌になるのです。それは,「人権」,「人権」の連続がまた始まるわけで,「罪」とはおっしゃっても,「愛」という言葉は今日も一度も出なかったからです。「人権」で事は解決いたしません。それだけでございます。
○成田座長代理 御貴重な意見,ありがとうございました。
○高久委員 第3分科会に関係することについて一,二の御意見が出ましたので申し上げたいと思います。最初に菊田委員から,「薬物依存者」という言葉で,「薬物中毒」という言葉でないようにしたらという御意見がありましたが,後の方で「薬物中毒」「薬物中毒センター」という言葉が出てきますので,一般的に言うとやはり「薬物中毒」の方が通りがいいので,「薬物中毒」あるいは「薬物中毒者」に統一した方が良いのではないかと思っています。
○菊田委員 専門ではありませんけれども,「依存症」というのはちょっと幅広いですよね。「中毒」となると,一体何が中毒かという,こういうことになりますので,そういう意味で,要するに先ほど申しました施設側が困難にしている者の中で,そういう者についてかなり幅広いものでくくる必要があるのではないかという意識なのですけれども。
○江川委員 今のに関連してなのですが,以前依存症の関係のカウンセリングなどをやっている人たちに聞いたことがあるのですけれども,依存と中毒というのはすごく混同して使われているけれども,例えばアルコール中毒と言ったときのように,中毒というのはそれを摂取したために身体的ないろんな症状が出たりするということを指す場合もある。むしろそうやって「依存症」と「中毒」を厳格に分けている人たちが結構いるようです。だから,ここで一番問題となるのは,単に薬物を摂取して中毒を起こしたというのではなくて,それに依存して,例えば刑務所にいる間は確かに物理的に離れるから摂取しないのだけれども,一歩出たらすぐまたアルコールや薬物に依存してしまうというところが問題なので,むしろ依存という方が一番問題の所在がはっきりするのではないかなと思うのですけれども。
○高久委員 確かに依存症と中毒症との区別というのがはっきりしてない人が多いと思うので。ただ,後の方で「薬物中毒センター」とかそういう名が出てくるものですから,もし統一するとすればこれも「薬物依存センター」の方が良いのかもしれない。この点はまた検討したいと思います。
 それから,カルテの開示の件ですが,普通は本人それから本人の了解を得て家族ということがありますが,第三者には裁判にでもならない限りは示せないということになっていると思います。プライバシーの問題がありますので,基本的は本人で,了解を得た場合に家族ということもあり得るというふうに理解をしていました。
 それから19ページ目の,先ほど野﨑委員からお話がありました,「人権意識は,「教育」のみによって改革されるものではない」,確かにこの言葉については余り議論はしなかったのですが,おかしい表現だと思いますので,野﨑委員などの御意見をお聞きしながら検討したいと思います。
○成田座長代理 あと15分ぐらいなのですが,今日の議題で事務局から言われているのですけれども,団結権を認めるかどうかという問題,昼夜間独居の期間・時間制限をすべきか,外部交通の拡大の方向性,弁護士との面会の立会い,刑の執行停止中の受刑者の医療をどうするか,それから,今も出ました遺族からの請求によるカルテの開示を認めるか,こういう問題があるということなのですが,これらに関して何か御意見のある方はちょうだいしまして,各分科会でこれを検討するということにしたいという考え方があるのですが。
○菊田委員 団結権の問題については,私申し上げましたように,これは国家公務員法で認められている職員団体に関する規定を刑務所職員にも認めろという問題ですので,その視点に立って再議論していただきたいということです。
 それから,期間を6か月に制限するべきだというのは,既に判決でも連続して戸外の運動を停止した措置は,これは軽屏禁中ですけれども,違法であるという判決が出ております。ですから,裁判所自体がそういう判例もありますので,やはり最高期限は限るという方向で考えていただきたい,検討していただきたいと思います。
○成田座長代理 ほか,いかがですか。
○大平委員 刑務所がいいところであったら困るというのは,当初から申し上げているとおりです。刑務所はホテルではありません。何らかの犯罪を行なって,罪を償うためにいる場所ですから,それなりの制約があっても当然だと考えております。ただ,では,刑務所を劣悪な環境にして,二度と刑務所には行きたくないと思わせることが再犯の防止になるかというと,そうは思いません。国際基準から見ましてもかなり日本の刑務所はこれまで劣悪だと思われました。やはり刑務所は嫌なところ,悪いところだから来ない,刑務所は二度と戻りたくないというのはだれでも思うかもしれません。でもだからといって再犯防止にはならないということは明らかだと思います。
 再犯率が増えているのは,これは心理学の問題になるかもしれませんが,人がいったん罪を行いまして刑務所に入って,もう二度とここには来たくない,そう思うかもしれませんけれども,それは罪の意識ではありません,自覚ではありません。二度と入りたくないと思うだけですので,社会に戻れば,社会環境が整っていなければ,つかまらない方法を考え出すだけなのですね。でも結局,また何らかの罪を行いまして,本人は捕まらないと思っていましても検挙されますから,また刑務所に戻ります。本当の更生というのは,刑務所にいる間,再犯しないためには家族との付き合いとかそういう人間関係のつながり,そうやって人とつながることによって,ああ,もう二度と罪は行わない,そう思ってこそ再犯の防止になると思うのです。ですから,今回のこの提言につきましても,再犯防止の観点から権利を認めたり,そういうところを中心にやっていただきたいと思います。
 それに関連しまして,もう一つ外国人の問題ですけれども,これだけ日本の治安が悪化しまして,主たる要因は外国人犯罪が増えたからと言われております。もちろん外国人だからといって蔑視とか差別するつもりはありませんが,刑の執行が終わった時点で強制送還が予定されている外国人につきましては,執行を待つまでもなくやはり移送すべきだと思います。もちろん,これからその法整備にかなりの御苦労と努力が必要だということはよく承知しておりますけれども,それは早急にしていただきたい。そして,日本人の,外国人も含めまして,刑の執行を終わった後も日本にとどまる,そういう受刑者が二度と刑務所に戻ってくることがないように,そういうところを重視してやっていただきたい。そう思います。
○成田座長代理 どうもありがとうございました。
○久保井委員 13ページの上から4行目で,弁護士面会については「面会方法について配慮する」という言葉をいただいておりますから,大体通常の場合は立会いなしということを予定していただいているのだろうと思いますけれども,やはりそこは「原則として職員の立会いを求めないなどの配慮をする」というような表現にしていただいて,具体的な危険性が,いろんな問題がありそうな場合は立ち会っていただいてもいいと思いますけれども,せめてそういう言葉を加えていただいたらどうかと思いますけれども,ほかの委員の方どうでしょうか。
○成田座長代理 いかがですか。
○宮澤(浩)委員 実は,それは前の刑事施設法案のときに議論がありまして,例の遮蔽するような措置でない普通の部屋で立会いなしでそういうことができないだろうかと議論したことがあります。ちょうどドイツで過激派がワアワアやっているころでして,そのときに二つの問題がありまして,一つはいきなり受刑者から飛びかかられたりしたときに先生大丈夫ですかということです。もう一つは,違反物件を弁護士さんが持ち込むというドイツなどの例があるのだけれども,むしろそういうふうに遮蔽があった方が先生方は気が楽なのではないでしょうかというような議論が出たことがあったのです。先生は今その問題はどういうふうにお考えですか。
○久保井委員 ドイツの刑務所を見学しますと,かなり自由でありまして,フランスの場合などについても弁護士面会については別室が用意されていますから,すべて立会いなしというのはちょっとやり過ぎだと思うので,特別な危険が予見されない通常の場合は立会いなしにということで結構かと思うのです。だから「配慮する」というのはおそらくそういう意味だろうと思うので,問題のない場合は立会いなしに面会を認めるという意味だろうと思いますから,だからここをやはりもう少し筆を加えていただいて,原則として職員の立会いなくして行うような配慮をしていただく。その程度であれば,現実とのマッチ,調和がとれるのではないかと思いますけれども,どうでしょうか。
○菊田委員 先ほどからどなたかの報告がありましたように,一般の面会についても要するに遮断のない大部屋でも面会できるようにという方向が示されていますよね。ましてや弁護士が受刑者と面会するのに,そういう危険があるから遮断するというのは,これは本末転倒ですよ。そういう考えでいけば,何だって制限しなければならないということになるわけですから,やはりその点は,少なくとも弁護士についてはもうフリーで面会できるというのは当然,これは諸外国全部そうですから。普通の受刑者についてもそうですから,家族,友人その他知人についても,そういった壁のないところで集団で面会させているのですから,この際当然そこはスタートしてほしいと思います。
○井嶋委員 面会の話が今出ておりますが,面会をどう考えるかという基本問題と絡むと思います。冒頭にもありましたように,社会から隔離するという意味をよく考えますと,原則的に刑務所の中で処遇が行われる時間を十分確保するというようなこともありまして,外部との面会というのはできるだけ制限的にやろうというのが従来の考え方でありますし,これからも処遇を行うということが重要であれば,やはり面会というのも原則自由だという考えで作って,刑務所というものが成り立っているわけではないということが言えると思います。そうしますと,原則自由でないものを一定の理由がある場合に解除するという物の考え方と,それから逆に原則自由だという,菊田さんがおっしゃるような……。
○菊田委員 いや,私は原則自由とは言っていません。
○井嶋委員 原則自由という考え方を前提にしますと,有害な場合に閉じるという考え方になるわけでありまして,そこの物の考え方をどうするのかということに絡むわけでありますから,同時に弁護士の立会いなしの面会というのも,やはり刑務所の管理運営という片方の価値もあるわけですから,それとの整合性の中で考える,あるいは非常に多くのものの面会というものを処理しなければならないという問題もありますし,そういった管理運営上の問題との絡みも考えて決めるということでありますから,やはり方向としては,この提言に書いてあるようなことを尊重しながら考えてもらいたいということを,この提言で述べるという程度にとどめるのが,現段階では至当ではないか。少なくとも方向性としては緩和するようにしていこうという方向を打ち出すわけでありますから,非常に重要な改革につながるものだと私は思っております。
○江川委員 今のではなくて,先ほどの大平委員と曾野委員についての関連なのですけれども,それでもよろしいですか。
○成田座長代理 それでは,最後にいたしましょう。
○江川委員 先ほど大平委員と曾野委員がおっしゃったように,今回の改革というのは,かなりのお金を使うことにもなりますので,やはり国民の理解を得ておくというのはとても大事なことだと思います。ですから,なぜこういう改革が必要なのかということを,それこそ人権という立場ももちろんですけれども,それだけではなくて,もっと全体的に国民の利益になるのだということを「はじめに」のところにきちっとうたってほしいということと,最後に「法務省に望むこと」ということの中にも,国民の理解を得るための最大限の努力をしてほしいということも入れていただきたいなと思いました。
○成田座長代理 どうもありがとうございます。
 この提言が求めるものというので,「三つの観点から,監獄法の全面改正を含む抜本的な行刑運営の全般」を見直そうというような考え方から,「受刑者の人間性を尊重し,真の改善更生・社会復帰を図るために」というようなことで,幾つか事項が並べられております。
○江川委員 だからそれが,国民全般の利益につながるのだということをもっと強く打ち出さないと,何で我々の税金がそういう犯罪者のことに使われるのだという意見になると思うのです。ただでさえみんなつらい思いをしている人が多い御時世ですので。やはりそれは,タイトルでも「人権の最後のとりでの再生に向けて」と書いてありますし,そういう趣旨が含まれるものと期待はしておりますけれども,より一層そこの点を充実させていただきたいなと思いました。
○成田座長代理 分かりました。
 それと,今申し上げました刑務官の過重な負担を軽減する必要があるのではないかという問題,それから国民に開かれた行刑を実現しなくてはいけない。そういうような観点から,この行刑改革の提言をするわけですが,今あなたが言われたように,やはり国民に理解してもらう,なぜしなくてはいけないのだというようなことは明確にコメントしなくてはいけないと思います。そのような努力をします。
 それから,今日の結論は,いろいろお話を伺いましたけれども,実質的な問題につきましては,この後,各分科会において詰めの討論を行っていただくということになっておるようであります。その上で,次回にその結果を踏まえて提言の案を最終的に討論していただきたいというように考えております。今日の議事はここで終わりですね。
 全体会議はこれで終了いたしまして,その後,各分科会ごとにお話ししていただければと思います。


午後4時05分 閉会
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