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更生保護のあり方を考える有識者会議(第12回)議事概要

1 日時

平成18年4月13日(木)午後1時15分から午後5時30分まで

2 場所

最高検察庁大会議室

3  出席者

(委員等,敬称略)
(座長)野沢太三(社団法人日中科学技術文化センター会長・元法務大臣),(委員)清原慶子(三鷹市長),佐伯仁志(東京大学法学部教授),佐藤英彦(前警察庁長官),瀬川晃(同志社大学法学部教授),田中直毅(21世紀政策研究所理事長),堀野紀(弁護士),本江威憙(公証人・元最高検察庁公判部長),桝井成夫(読売新聞東京本社論説委員)(委員・50音順)
(法務省)
 樋渡利秋法務事務次官ほか
(事務局)
 麻生光洋事務局長ほか

4  議題

(1) 裁判所及び検察庁関係者からのヒアリング
(2) 保護観察付執行猶予制度のあり方について(意見交換)
(3) 刑務所出所者等の自立更生の支援について(更生保護施設)(取りまとめ)
(4) 更生保護における官民協働のあり方(保護司制度等)について(意見交換(前回の続き))
(5) 保護観察における新たな制度(権限)の導入について(意見交換(前回の続き))

5  会議経過

(1) 執行猶予者保護観察制度の運用の実情等について,最高裁判所事務総局刑事局第2課の伊藤雅人課長からら別紙1【PDF】により,東京地方検察庁公判部の米村俊郎副部長から別紙2【PDF】により,それぞれ説明がなされた後,以下のとおり質疑応答等がなされた。
・  執行猶予の裁量的取消しがなされたケースは再犯により執行猶予期間中に起訴されたものがほとんどということだが,再犯以外の理由での取消しが少ない理由は何か。
(回答: 今般の執行猶予者保護観察法の改正により,保護観察付執行猶予者に対しても特別遵守事項の設定が可能になるが,これまでは一般遵守事項の「善行を保持すること」の内容が抽象的で,どういう場合に善行不保持に当たるのかが明確でなかったこともある。)
・  検察庁と保護観察所の連携強化に関し,協議会等は行われていないのか。また,執行猶予の取消申出等にあたり,随時両者で相談しているのか。
(回答: 東京地方検察庁と東京保護観察所では,毎年協議会を開催しており,その中で意見交換をしている。また,個別事案については,その都度協議している。)
・  今般の執行猶予者保護観察法の改正により,特別遵守事項の設定に当たり裁判所が意見を述べることになるが,具体的にはどのような意見を述べることになるのか。
(回答: 裁判所が特別遵守事項の設定について意見を述べるようになることは重大な責任を伴うものと理解している。これまでも,裁判官は,社会内処遇に適するかどうかを考えながら裁判を行っているが,今後,保護観察所において各種処遇プログラムを実施するようになれば,裁判所としても自信をもって意見を述べられるようになると思う。その前提として,どのようなプログラムが行われるかについては,改正法施行までに十分準備する必要がある。)
・  裁判官として,判決前調査の必要性についてどう考えるか。
(回答: 個人的には,判断に迷う事案については情報がたくさんあった方がよいと思う。保護観察付執行猶予になるのは全体のわずか6%にすぎないが,制度として導入することになればすべてのケースについて行うことになると思うので,現実的にはどうかと思う。)
(2) 保護観察付執行猶予制度のあり方について,(1)対象者選択等,(2)所在不明防止策,(3)執行猶予取消しについて,事務局から説明の後,意見交換が行われ,各委員から次のような意見等が述べられた。
・  対象者選択のあり方について,最高裁判所の伊藤課長から2つのモデルを示していただいたが,実際は両方のモデルが混じり合っているような気がするので,そういう前提で議論すべきだろう。
・  執行猶予者保護観察制度のあり方を考える際には,数年後には裁判員制度が始まることを念頭に置くべきだろう。最高裁判所が行った調査によれば,国民は被告人の更生の可能性も考慮して判断する傾向にあることから,今後は,検察官が起訴する際や公判の中で,本人の生活環境等の情報を提供することが必要だろう。
・  検察官に立証責任を負わせるという話があったが,これは検察官にとって大変なことである。検討の必要な事案に限定して,弁護士や検察官に立証させるとか,調査官に調査を依頼するということにしたらどうか。
・  そもそも判決内容を予測させるような訴訟指揮はできないだろうが,これからの裁判の行く末を考えたときに,行政措置としての保護観察がこの者に適切か否かを裁判官が判断する仕組みをきちんとつくるべきだろう。
・  覚せい剤事犯者について簡易尿検査を義務付けることとし,保護観察付執行猶予判決を大胆に言い渡していくという考え方もあると思う。
・  保護観察付執行猶予者には,覚せい剤事犯や性犯罪が多いようなので,それにふさわしい特別遵守事項ができないかと感じる。
・  保護観察付執行猶予者の取消しを考える際には,刑法第26条の2にある「その情状が重いとき」をどう解釈するのか,また,執行猶予者保護観察法第5条の「善行を保持すること」という書きぶりをどうするのかを考える必要がある。
(3) 第10回会議で意見交換を行った刑務所出所者等の自立更生の支援,特に更生保護施設のあり方について,野沢座長から取りまとめ(案)が示されたところ,各委員から意見等はなく,別紙3【PDF】のとおり取りまとめることで合意した。
(4) 更生保護における官民協働のあり方(保護司制度等)について,(1)官民協働態勢のあり方,(2)保護司活動の基盤整備,(3)更生保護が国民及び地域社会の理解を得るための方策について,事務局から説明の後,意見交換が行われ,各委員から次のような意見等が述べられた。
・  保護司に対するアンケート結果によれば,新たに保護司になってもらうため等の方策として,「保護観察官による処遇指導の充実」,「保護司同士による処遇協議・情報交換の充実」,「研修の充実」の割合が相当高いことから,協働態勢のあり方を考える際に,この3点は非常に大切だと思う。
・  犯罪者予防更生法第39条第1項により,現在は,保護観察官でも保護司でも保護観察を実施することができることになっているが,協働態勢を強化するためにも,この機会に保護観察官及び保護司の各任務,両者の関係を明確にする必要があると思う。
・  夜間,問題が起きた場合に保護観察官が対応できないということであればおかしい。国(官)がしっかり責任を持つという前提で,保護司の力を借りながら進めるのが更生保護における官民協働だと思う。官の責務の中に,当然夜間対応も含まれると思う。
・  保護司にもっと力を発揮してもらうためにも,保護観察官がこれまで以上に頑張ることが最も重要である。保護観察官が中核を担っているにもかかわらず,その機能が十分でないがために問題が生じているので,保護観察官の増員をし,その専門性を向上させ,保護司の指導に当たれるようにすることが必要である。
・  これまで更生保護は弱小組織のまま,余り顧みられなかったが,この点についての法務省の責任は実に重い。今になって保護は何もしていないというのはどうか。これまで刑事司法制度のしんがりで,あまり顧みられず,増員も十分になされてこなかった。24時間体制は時代の要請だと思うが,いきなりここにきて24時間をやれというのはどうか。責任を明確にすることで意識改革につなげようというのでは不十分である。
・  保護観察官の体制が脆弱で,この有識者会議を通じて強化することに対しては,意見の不一致は見られないと思う。体制の強化のためにも,保護観察官の責務・任務を明確にしなければならない。交代制なり宿直制なりで対応しなければならないところはそうすればよいし,電話で対応すれば足りるところはそうすればよい。メリハリをつけることにして具体的に積算すればよいのではないか。
・  保護司の負担の軽減という観点から,自宅以外に保護司が,面接等に使用できるスペースを用意することが必要である。
・  三鷹市においては,厚生労働大臣から委嘱された民生・児童委員について,別途,市長が「社会福祉委員」として委嘱している。保護司についても,秘匿性を考慮しつつ,民生・児童委員と同様な枠組みをつくることでポジティブな形で支援できないか検討しているところである。
・  “社会を明るくする運動”について,中間報告では保護司にとって時間的な負担になっているのではないかという問題提起がなされているところ,地域の保護司からは,「市長,気にしなくてよいよ。」と言われた。今回の有識者会議を通じて,更生保護制度についてPRすることの必要性を感じている。“社会を明るくする運動”の意義に照らし,より充実させる観点からあり方を見直す必要があると思う。
(5) 時間の関係で,保護観察における新たな制度(権限)の導入についての意見交換は,次回(第13回)の会議で行うこととされた。

6  今後の日程等

次回は,平成18年4月27日(木)午後2時から開催する予定。


(文責 更生保護のあり方を考える有識者会議事務局)

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