国際倒産法制に関する要綱
(注)原文は縦書きです
国際倒産法制に関する要綱 |
第一 | 外国倒産処理手続の承認援助手続(仮称) |
一 | 定義等 |
1 | この要綱の第一において、次の各号に掲げる用語の意義は、それぞれ当該各号に定めるところによるものとする。 |
一 | 外国倒産処理手続 外国で申し立てられた破産手続、再生手続、更生手続、整理手続又は特別清算手続に相当するものをいうものとする。 | |||
二 | 国内倒産処理手続 日本で申し立てられた破産手続、再生手続、更生手続、整理手続又は特別清算手続をいうものとする。 | |||
三 | 外国管財人 外国倒産処理手続が申し立てられた国において債務者の財産の管理及び処分をする権利を有する者であって、債務者以外のものをいうものとする。 | |||
四 | 外国管財人等 外国倒産処理手続が申し立てられた国において、外国管財人がいる場合には外国管財人、外国管財人がいない場合には債務者をいうものとする。 | |||
五 | 外国倒産処理手続の承認 債務者について破産手続、再生手続、更生手続、整理手続又は特別清算手続に相当する外国の手続を開始する旨の外国の裁判所その他の当局の判断を承認することをいうものとする。 | |||
六 | 承認管財人 十一1の規定により債務者の日本国内における業務及び財産に関し管理を命じられた者をいうものとする。 | |||
七 | 承認援助手続 三以下に定めるところにより、外国倒産処理手続の承認の申立てについて判断し、当該手続の目的を達成するために日本国内で必要とされる処分等を行う手続をいうものとする。 | |||
八 | 外国主手続 債務者が営業者である場合にはその主たる営業所がある国で申し立てられた外国倒産処理手続、営業者でない場合又は営業所を有しない場合にあっては、当該債務者が個人であるときは住所がある国で申し立てられた外国倒産処理手続、法人その他の社団又は財団であるときは主たる事務所がある国で申し立てられた外国倒産処理手続をいうものとする。 | |||
九 | 外国従手続 外国主手続でない外国倒産処理手続をいうものとする。 |
2 | 民事訴訟法(平成八年法律第百九号)により裁判上の請求をすることができる債権は、日本国内にあるものとみなすものとする。 |
二 | 承認援助事件の管轄及び移送 |
1 | 外国倒産処理手続の承認の申立てに係る事件は、東京地方裁判所の管轄に専属するものとする。 | ||
2 | 1の裁判所は、外国倒産処理手続の承認がされた場合において、著しい損害又は遅滞を避けるため必要があると認めるときは、職権で、1の事件を債務者の住所、居所、営業所、事務所又は財産の所在地を管轄する地方裁判所に移送することができるものとする。 |
三 | 外国倒産処理手続の承認の申立て |
1 | 外国倒産処理手続が申し立てられている国に債務者の住所、居所、営業所又は事務所(2において「債務者の住所等」という。)がある場合には、外国管財人等は、裁判所に対し、当該外国倒産処理手続の承認の申立てをすることができるものとする。 | ||
2 | 1の申立てをするときは、外国管財人等は、外国倒産処理手続が申し立てられている国に債務者の住所等があることを疎明しなければならないものとする。 | ||
3 | 1の申立てをするときは、外国管財人等は、承認援助手続の費用として裁判所の定める金額を予納しなければならないものとする。 | ||
4 | 外国管財人等は、1の申立てをした場合には、裁判所の定めるところにより、外国倒産処理手続の進行状況その他裁判所の命ずる事項を裁判所に報告しなければならないものとする。 | ||
5 | 裁判所は、必要があると認めるときは、1の申立てをした外国管財人等に対し、代理人の選任を命ずることができるものとする。 |
四 | 外国倒産処理手続の承認の申立ての棄却事由 | |
次のいずれかに該当する場合には、裁判所は、外国倒産処理手続の承認の申立てを棄却しなければならないものとする。 |
一 | 費用の予納がないとき。 | ||
二 | 当該手続が開始された国において、その手続の効力が日本国内にある財産に及ばないものとされていることが明らかであるとき。 | ||
三 | 当該外国倒産処理手続の承認をすることが日本における公の秩序又は善良の風俗に反するとき。 | ||
四 | 七、八又は十一の規定による処分又は命令のいずれをもする必要がないことが明らかであるとき。 | ||
五 | 外国管財人等が三4の規定に違反したとき。ただし、当該違反の程度が軽微であるときは、この限りでない。 | ||
六 | 不当な目的で申立てがされたこと、その他申立てが誠実にされたものでないことが明らかであるとき。 |
五 | 外国倒産処理手続の承認の決定 |
1 | 裁判所は、三1に規定する要件を満たす外国倒産処理手続の承認の申立てがあった場合において、当該外国倒産処理手続につき破産宣告、再生手続開始の決定、更生手続開始の決定、整理開始の命令又は特別清算開始の命令に相当する判断がされたときは、四、十六1又は十七1の規定によりこれを棄却する場合を除き、外国倒産処理手続の承認の決定をするものとする。 | ||
2 | 外国倒産処理手続の承認の決定の公告について、所要の規定を整備するものとする。 | ||
3 | 租税その他の公課を所管する官庁又は公署及び債務者の日本国内における労働組合その他従業者を代表する者に対しては、1の決定があった旨を通知しなければならないものとする。ただし、七8、十四2、十六8又は十七5の規定において準用する3の規定による通知が既にされている者については、この限りでないものとする。 |
六 | 抗告 |
1 | 外国倒産処理手続の承認の申立てについての裁判に対しては、利害関係人は、即時抗告をすることができるものとする。 | ||
2 | 1の即時抗告は、執行停止の効力を有しないものとする。 |
七 | 他の手続の中止命令等 |
1 | 裁判所は、五1の決定と同時に又はその決定後、承認援助手続の目的を達成するために必要があると認めるときは、利害関係人の申立てにより又は職権で、次に掲げる手続の中止を命ずることができるものとする。 |
一 | 強制執行、仮差押え又は仮処分(以下「強制執行等」という。)の手続で、債務者の財産(日本国内にあるものに限る。以下七において同じ。)に対して既にされているもの | |||
二 | 債務者の財産関係の訴訟手続 | |||
三 | 債務者の財産関係の事件で行政庁に係属しているものの手続 |
2 | 裁判所は、五1の決定と同時に又はその決定後、利害関係人の申立てにより又は職権で、債務者の業務及び財産に関し、処分の禁止、弁済の禁止その他の承認援助手続の目的を達成するために必要な処分を命ずることができるものとする。 | ||
3 | 裁判所は、五1の決定と同時に又はその決定後、債権者の一般の利益に適合し、かつ、競売申立人又は企業担保権の実行手続の申立人に不当な損害を及ぼすおそれがないと認めるときは、競売申立人又は企業担保権の実行手続の申立人の意見を聴いた上で、利害関係人の申立てにより又は職権で、相当の期間を定めて、債務者の財産の上に存する担保権の実行としての競売の手続又は企業担保権の実行手続の中止を命ずることができるものとする。 | ||
4 | 裁判所は、外国倒産処理手続の承認の申立てがあった場合には、申立てについての決定前においても、1から3までの規定による中止の命令又は処分をすることができるものとする。 | ||
5 | 4の規定による中止の命令又は処分は、外国倒産処理手続の承認の申立てを棄却する決定があった場合には、効力を失うものとする。 | ||
6 | 外国倒産処理手続の承認の申立てを棄却する決定に対して六の即時抗告があったときも、4と同様とするものとする。 | ||
7 | 1から3までの規定による命令又は処分(4又は6の規定により行われたものを含む。)が行われた場合等の送達について、所要の規定を整備するものとする。 | ||
8 | 五3の規定は、1から3までの規定による命令又は処分(4又は6の規定により行われた場合に限る。)があった場合について準用するものとする。 |
八 | 強制執行等を禁止する命令 |
1 | 裁判所は、承認援助手続の目的を達成するために必要があると認めるときは、利害関係人の申立てにより又は職権で、五1の決定と同時に又はその決定後、すべての債権者に対し、債務者の財産(日本国内にあるものに限る。)に対する強制執行等の禁止(既にされている強制執行等の中止を含む。)を命ずることができるものとする。 | ||
2 | 1に規定する命令が発せられたときは、債権者の有する債権については、当該命令が効力を失った日の翌日から二月を経過する日までの間は、時効は、完成しないものとする。 | ||
3 | 1に規定する命令が発せられた場合等の公告並びに外国管財人等及び申立人に対する送達について所要の規定を整備するとともに、外国債権者等に対しては、制度の実効性を確保する観点から、合理的な周知方法等を導入するべく所要の規定を整備するものとする。 | ||
4 | 1に規定する命令が発せられた場合において、債権者に不当な損害を及ぼすおそれがあるときは、当該債権者に対しては当該命令を解除することができる制度について、所要の規定を整備するものとする。 |
九 | 中止した強制執行等の手続の取消し |
1 | 裁判所は、外国倒産処理手続の承認の決定があった場合において、承認援助手続の目的を達成するために特に必要があると認めるときは、債務者(外国管財人がいない場合に限る。)若しくは承認管財人の申立てにより又は職権で、担保を立てさせて、又は立てさせないで、七1又は八1の規定により中止した強制執行等の手続の取消しを命ずることができるものとする。 | ||
2 | 1の規定による命令が行われた場合等の送達について、所要の規定を整備するものとする。 |
十 | 裁判所の許可を要する行為の指定 |
1 | 裁判所は、七1から3までの規定による中止の命令若しくは処分(4又は6の規定により行われたものを含む。)又は八1の規定による禁止の命令が発せられた場合において、承認援助手続の目的を達成するために必要があると認めるときは、債務者が日本国内にある債務者の財産の処分又は国外への持出しその他裁判所の定める行為をするには裁判所の許可を得なければならないものとすることができるものとする。ただし、十一1又は十四1の処分がされた場合は、この限りでないものとする。 | ||
2 | 裁判所は、日本国内において債権者の利益が不当に侵害されるおそれがないと認める場合に限り、1の許可をすることができるものとする。 | ||
3 | 1の許可を得ないでした法律行為は、無効とするものとする。ただし、これをもって善意の第三者に対抗することができないものとする。 |
十一 | 管理命令 |
1 | 裁判所は、承認援助手続の目的を達成するために必要があると認めるときは、利害関係人の申立てにより又は職権で、五1の決定と同時に又はその決定後、債務者の日本国内における業務及び財産に関し、承認管財人による管理を命ずる処分(以下「管理命令」という。)をすることができるものとする。 | ||
2 | 承認管財人は、外国管財人その他の者であって、その職務を行うに適したもののうちから選任しなければならないものとする。 | ||
3 | 管理命令が発せられた場合には、債務者の日本国内における業務の遂行並びに財産の管理及び処分をする権利は、承認管財人に専属するものとする。 | ||
4 | 裁判所は、管理命令が発せられた場合には、承認管財人による財産の保管方法及び金銭の収支について必要な定めをすることができるものとする。 | ||
5 | 管理命令が発せられた場合には、承認管財人は、裁判所の定めるところに従い、債務者の業務及び財産の管理状況その他裁判所の命ずる事項を裁判所に報告しなければならないものとする。 | ||
6 | 管理命令が発せられた場合において、承認管財人が日本国内にある債務者の財産の処分又は国外への持出しその他裁判所の定める行為をするときは、裁判所の許可を得なければならないものとする。 | ||
7 | 裁判所は、日本国内において債権者の利益が不当に侵害されるおそれがないと認める場合に限り、6の許可をすることができるものとする。 | ||
8 | 6に規定する裁判所の許可を得ないでした法律行為は、無効とするものとする。ただし、これをもって善意の第三者に対抗することができないものとする。 | ||
9 | 管理命令が発せられた場合には、承認管財人は、裁判所が監督するものとする。 | ||
10 | 管理命令が発せられた場合には、承認管財人は、個人である債務者若しくはその法定代理人又は法人である債務者の理事、取締役、監事、監査役、清算人若しくはこれらに準ずる者に対し、債務者の業務及び財産の状況につき報告を求め、債務者の帳簿、書類その他の物件を検査することができるものとする。 | ||
11 | 管理命令が発せられた場合における承認管財人の注意義務、数人の承認管財人の職務執行、承認管財人代理及び承認管財人の報酬等について、所要の規定を整備するものとする。 | ||
12 | 管理命令が発せられた場合等の公告及び送達について、所要の規定を整備するものとする。 |
十二 | 管理命令が発せられた場合の債務者の財産関係の訴えの取扱い |
1 | 管理命令が発せられた場合には、債務者の財産関係の訴えについては、承認管財人を原告又は被告とするものとする。 | ||
2 | 管理命令が発せられた場合において、債務者を当事者として係属中の訴訟手続等の中断及び受継について、所要の規定を整備するものとする。 |
十三 | 管理命令が発せられた後の債務者の行為等 |
1 | 承認管財人が管理及び処分をする権限を有する財産(日本国内にあるものに限る。3において同じ。)に関して、債務者が管理命令が発せられた後にした法律行為は、承認援助手続との関係においては、その効力を主張することができないものとする。ただし、相手方がその行為の当時管理命令が発せられた事実を知らなかったときは、この限りでないものとする。 | ||
2 | 管理命令が発せられた後に、日本国内にある債権について、日本国内において、その事実を知らないで債務者にした弁済は、承認援助手続の関係においても、その効力を主張することができるものとする。 | ||
3 | 管理命令が発せられた後に、日本国内にある債権について、日本国内において、その事実を知って債務者にした弁済は、承認管財人が管理及び処分をする権限を有する財産が受けた利益の限度においてのみ、承認援助手続の関係においても、その効力を主張することができるものとする。 | ||
4 | 1から3までの規定の適用については、管理命令に関する公告前においてはその事実を知らなかったものと推定し、その公告後においてはその事実を知っていたものと推定するものとする。 |
十四 | 保全管理命令 |
1 | 裁判所は、外国倒産処理手続の承認の申立てがあった場合において、承認援助手続の目的を達成するために特に必要があると認めるときは、利害関係人の申立てにより又は職権で、当該外国倒産処理手続の承認の申立てにつき決定があるまでの間、債務者の日本国内における業務及び財産に関し、保全管理人による管理を命ずる処分(以下「保全管理命令」という。)をすることができるものとする。 | ||
2 | 五3の規定は、保全管理命令が発令された場合について準用するものとする。 | ||
3 | 保全管理命令が発せられた場合について、管理命令が発せられた場合に準じて、所要の規定を整備するものとする。 |
十五 | 承認の取消し |
1 | 裁判所は、次に掲げる場合には、利害関係人の申立てにより又は職権で、外国倒産処理手続の承認を取り消さなければならないものとする。 |
一 | 当該外国倒産処理手続の承認の申立てが、三1の要件を欠いていたとき。 | |||
二 | 当該外国倒産処理手続について四第二号から第五号までに規定する事由のあることが明らかになったとき。 | |||
三 | 当該外国倒産処理手続がその開始された国で終結したとき。 | |||
四 | 当該外国倒産処理手続がその開始された国で終結以外の理由により終了したとき。 |
2 | 裁判所は、次に掲げる場合には、当該外国倒産処理手続の承認を取り消すことができるものとする。 |
一 | 債務者が十1に定める義務に違反したとき。 | |||
二 | 承認管財人(外国管財人である場合に限る。)が十一5又は6に定める義務に違反したとき。 |
3 | 外国倒産処理手続の承認を取り消す決定がされた場合等の公告等について、所要の規定を整備するものとする。 | ||
4 | 七1から3までの規定による命令又は処分(4又は6の規定により行われたものを含む。)、八1の規定による命令及び管理命令は、1又は2の規定による取消しの決定があったときは、その効力を失うものとする。 |
十六 | 国内倒産処理手続開始の申立てがある場合の取扱い |
1 | 外国倒産処理手続の承認の申立てがされた場合において、同一の債務者について既に国内倒産処理手続が開始されているときは、その申立てがされた裁判所は、次に掲げる要件のすべてを具備する場合を除き、当該承認の申立てを棄却しなければならないものとする。 |
一 | 当該外国倒産処理手続が外国主手続であること。 | |||
二 | 日本国内において債権者の利益が不当に侵害されるおそれがないこと。 | |||
三 | 当該外国倒産処理手続の承認をすることが債権者一般の利益に適合すると認められること。 |
2 | 外国主手続について外国倒産処理手続の承認の申立てがされた裁判所は、同一の債務者について国内倒産処理手続が開始されている場合において、当該外国倒産処理手続の承認をするときは、当該国内倒産処理手続(3の規定により中止されているものを除く。)の中止を命じなければならないものとする。 | ||
3 | 外国倒産処理手続の承認の申立てがあった場合において、1の第一号から第三号までの要件のすべてを具備するときは、承認援助手続が係属する裁判所は、利害関係人の申立てにより又は職権で、同一の債務者についての国内倒産処理手続の中止を命ずることができるものとする。 | ||
4 | 外国倒産処理手続の承認がされた場合において、同一の債務者について国内倒産処理手続開始の申立てがされたときは、承認援助手続が係属する裁判所は、必要があると認める場合には、利害関係人の申立てにより又は職権で、その承認援助手続を中止することができるものとする。 | ||
5 | 外国倒産処理手続の承認がされた場合において、同一の債務者について国内倒産処理手続を開始する決定があったときは、承認援助手続が係属する裁判所は、1の第一号から第三号までの要件のすべてを具備する場合には、当該国内倒産処理手続の中止を命じなければならないものとする。 | ||
6 | 外国倒産処理手続の承認がされた場合において、同一の債務者について国内倒産処理手続を開始する決定があったときは、承認援助手続が係属する裁判所は、5の規定により当該国内倒産処理手続を中止する場合を除き、当該承認援助手続を中止しなければならないものとする。 | ||
7 | 2、3及び5の規定による中止の命令の送達について、所要の規定を整備するものとする。 | ||
8 | 五3の規定は、3の規定による命令があった場合について準用するものとする。 |
十七 | 他の外国倒産処理手続の承認が既にされている場合の取扱い |
1 | 外国倒産処理手続の承認の申立てがされた場合において、同一の債務者について他の外国倒産処理手続の承認が既にされているときは、その申立てがされた裁判所は、四に規定する場合のほか、次の各号に掲げるときも、当該申立てを棄却しなければならないものとする。 |
一 | 既にされた外国倒産処理手続の承認が外国主手続についてされたものであるとき。 | |||
二 | 前号に規定する場合のほか、申立てに係る外国倒産処理手続が外国従手続であり、申立てに係る外国倒産処理手続を承認することが債権者一般の利益に適合すると認められないとき。 |
2 | 外国倒産処理手続の承認がされた場合において、同一の債務者について既に外国倒産処理手続の承認がされた他の外国従手続があるときは、3の規定により当該外国従手続の承認援助手続が中止されている場合を除き、当該外国従手続の承認援助手続は、中止するものとする。 | ||
3 | 外国倒産処理手続の承認の申立てがされた場合において、同一の債務者について既に外国倒産処理手続の承認がされた他の外国従手続があるときは、その申立てがされた裁判所は、必要があると認める場合には、利害関係人の申立てにより又は職権で、当該外国従手続に係る承認援助手続の中止を命ずることができるものとする。 | ||
4 | 3の規定による中止の命令の送達について、所要の規定を整備するものとする。 | ||
5 | 五3の規定は、3の規定による命令があった場合について準用するものとする。 |
十八 | 中止していた承認援助手続及び国内倒産処理手続の失効 |
1 | 十六4若しくは6又は十七2若しくは3の規定により外国倒産処理手続の承認援助手続が中止していた場合において、次のいずれかに該当するときは、当該承認援助手続は、その効力を失うものとする。 |
一 | 同一の債務者について開始された国内倒産処理手続が終結したとき。 | |||
二 | 同一の債務者について十五1第三号の規定により他の外国倒産処理手続の承認を取り消す決定が確定したとき。 |
2 | 国内倒産処理手続が中止していた場合において、同一の債務者について十五1第三号の規定により外国倒産処理手続の承認を取り消す決定が確定したときは、当該国内倒産処理手続は、その効力を失うものとする。 |
十九 | その他 |
1 | 三3の規定による予納の決定、九1の規定による強制執行等の手続の取消しの処分並びに十五1及び2の規定による外国倒産処理手続の承認の取消しの決定に対しては不服申立てについて、七1から3までの規定による中止の命令又は処分(4又は6の規定により行われたものを含む。)、八1の規定による禁止の命令、十一1の規定による管理命令、十四1の規定による保全管理命令、十六4若しくは6又は十七3の規定による外国倒産処理手続の承認援助手続の中止の命令又は決定及び十六2、3又は5の規定による国内倒産処理手続の中止の命令に対しては変更又は取消し及び不服申立てについて、それぞれ所要の規定を整備するものとする。 | ||
2 | その他所要の規定を整備するものとする。 |
第二 | 破産手続等の一部改正 |
一 | 破産法の一部改正 |
1 | 国際倒産管轄 | ||
債務者が個人である場合には日本国内に営業所(債務者が営業者である場合に限る。)、住所、居所又は財産を有するときに限り、法人その他の社団又は財団である場合には日本国内に営業所、事務所又は財産を有するときに限り、日本の裁判所に破産の申立てをすることができるものとする。 |
2 | 外国人又は外国法人の倒産手続上の地位 | ||
破産法(大正十一年法律第七十一号)第二条ただし書の規定を削除するものとする。 |
3 | 破産手続の国際的効力 |
一 | 破産法第三条第一項及び第二項の規定を削除するものとする。 | |||
二 | 破産法第六条第一項を、破産者が破産宣告の時に有する一切の財産は、それが日本国内にあるかどうかを問わず、破産財団を構成する旨の規定に改めるものとする。 | |||
三 | 破産法第六条第三項本文を、日本国内にある差し押さえることができない財産は、破産財団に属しない旨の規定に改めるものとする。 |
4 | 破産債権者が外国で受けた弁済 | ||
民事再生法(平成十一年法律第二百二十五号)第八十九条と同旨の規定を設けるものとする。 |
5 | 外国管財人との協力 | ||
民事再生法第百九十六条と同旨の規定を設けるものとする。 |
6 | 破産原因の推定 | ||
民事再生法第百九十七条と同旨の規定を設けるものとする。 |
7 | 外国管財人の権限等 | ||
民事再生法第百九十八条(第三項を除く。)と同旨の規定を設けるものとする。 |
8 | 相互の手続参加 | ||
民事再生法第百九十九条と同旨の規定を設けるものとする。 |
二 | 会社更生法の一部改正 |
1 | 国際倒産管轄 | ||
会社が日本国内に営業所を有する場合に限り、日本の裁判所に更生手続開始の申立てをすることができるものとする。 |
2 | 更生手続の国際的効力 |
一 | 会社更生法(昭和二十七年法律百七十二号)第四条第一項及び第二項の規定を削除するものとする。 | |||
二 | 会社更生法第四十条第一項本文を、保全管理人による管理の命令があったときは、会社の財産の管理及び処分をする権利は、その財産が日本国内にあるかどうかを問わず、保全管理人に専属する旨の規定に改めるものとする。 | |||
三 | 会社更生法第五十三条を、更生手続開始の決定があった場合においては、会社の財産の管理及び処分をする権利は、その財産が日本国内にあるかどうかを問わず、管財人に専属する旨の規定に改めるものとする。 |
3 | 更生債権者が外国で受けた弁済等 | ||
民事再生法第八十九条と同旨の規定を設けるものとする。 |
4 | 外国管財人との協力 | ||
民事再生法第百九十六条と同旨の規定を設けるものとする。 |
5 | 更生手続の開始原因の推定 | ||
民事再生法百九十七条と同旨の規定を設けるものとする。 |
6 | 外国管財人の権限等 | ||
民事再生法第百九十八条と同旨の規定を設けるものとする。 |
7 | 相互の手続参加 | ||
民事再生法第百九十九条と同旨の規定を設けるものとする。 |
三 | 民事再生法の一部改正 |
1 | 国際倒産管轄 | ||
再生債務者が個人である場合には日本国内に営業所(債務者が営業者である場合に限る。)、住所、居所又は財産を有するときに限り、法人その他の社団又は財団である場合には日本国内に営業所、事務所又は財産を有するときに限り、日本の裁判所に再生手続開始の申立てをすることができるものとする。 |
2 | 再生手続の国際的効力 | ||
民事再生法第四条第一項の規定を削除するものとする。 |