商法等の一部を改正する法律案要綱
平成十四年二月十三日 法制審議会総会決定 |
(前注) この要綱案で「第・・条」とあるのは、商法の規定を示す。
株式関係 |
第 | 一 | 種類株主の取締役等の選解任権 |
一 | 取締役等の選解任について内容の異なる種類株式 |
1 | 会社は、その種類の株主の総会(他の種類の株主と共同して開催するものを含む。)における取締役又は監査役の選任に関する事項について内容の異なる数種の株式を発行することができるものとする。ただし、当該数種の株式を発行するには、定款に、第二百四条第一項ただし書及び二の定めがなければならないものとする。 | ||
2 | 1に掲げる事項として、取締役又は監査役を選任することができない旨の定めがある種類の株式の数は、発行済株式の総数の二分の一を超えてはならないものとする。 |
二 | 一の種類株式の内容として定款に定めるべき事項 | |
会社は、一の1に掲げる事項(取締役の選任に関するものに限る。)について内容の異なる数種の株式を発行する場合には、全部の種類の株式について、第二百二十二条第二項に規定する株式の内容として、次に掲げる事項を定めなければならないものとする。 |
1 | その種類の株主が取締役を選任することの可否及び可とする場合の選任することができる取締役の数 | ||
2 | 1の定めにより選任することができる取締役の全部又は一部を他の種類の株主と共同して選任するものとするときは、その株主が有する株式の種類及び共同して選任する取締役の数 | ||
3 | 1及び2に掲げる事項を変更する条件があるときは、その条件及びその条件が成就した場合における変更後の1及び2に掲げる事項 |
三 | 種類株主による取締役の選任 |
1 | 会社が二に規定する数種の株式を発行した場合においては、取締役は、二の1及び2に掲げる事項についての定めに従い、各種類の株主の総会において選任するものとする。この場合においては、第二百五十四条第一項及び第二百五十七条の規定は、適用しないものとする。 | ||
2 | 1による取締役の選任決議については、1の総会に出席をしなければならない株主の有すべき議決権は、定款の定めによるも、これをその種類の総株主の議決権の三分の一未満に下すことはできないものとする。 | ||
3 | 株主総会に関する規定は、1の総会について準用するものとする。 |
四 | 種類株主により選任された取締役の解任 |
1 | 三の1の総会において選任された取締役は、いつでも、その選任をした種類の株主の総会の決議をもって解任することができるものとする。ただし、任期の定めがある場合において正当の事由なくその任期の満了前に解任したときは、その取締役は、会社に対し解任によって生じた損害の賠償を請求することができるものとする。 | ||
2 | 1の取締役の任期満了前に、1の種類の株主の総会において議決権を有する者を欠くに至ったときは、その取締役の解任は、1にかかわらず、第二百五十七条の例によるものとする。 | ||
3 | 株主総会に関する規定、第三百四十五条第二項の規定及び第六の一は、1の種類の株主の総会について準用するものとする。 | ||
4 | 1の取締役の職務遂行に関し不正の行為又は法令若しくは定款に違反する重大な事実があるときは、六月前より引き続き次に掲げる議決権を有する株主は、その取締役の解任を裁判所に請求することができるものとする。ただし、(二)に掲げる議決権を有する株主については、その取締役の解任の決議をすべき種類の株主の総会において、その取締役を解任することを否決したときに限るものとする。 |
(一) | 総株主の議決権の百分の三以上の議決権 | |||
(二) | 1の種類の総株主の議決権の百分の三以上の議決権 |
五 | 法令又は定款に定める員数の取締役を選任することができない場合の定め | |
二の定款の定めがある会社は、第二百五十八条第一項の場合において法令又は定款に定めた取締役の員数に足りる数の取締役を選任すべき種類の株主が存在しないときは、二の定款の定めを廃止したものとみなすものとする。 | ||
六 | 二以上の種類の株主が共同して取締役を選任等する場合の特例 | |
三から五までの適用については、二の2の定めにより共同して取締役を選任すべき二以上の種類の株主は、一の種類の株主とみなすものとする。 | ||
七 | 定款の定めを廃止した場合の取締役の任期 | |
会社が定款を変更して、第二百四条第一項ただし書又は二の定款の定めを廃止した場合には、第二百五十六条の規定にかかわらず、三の1の総会により選任された取締役の任期は、その定款変更の効力が生じた時に、満了したものとみなすものとする。 | ||
八 | 種類株主の監査役の選解任制度 | |
種類株主が、その種類の株主の総会において、監査役を選任し、又は解任する場合について、二~七までと同様の規定を整備するものとする。 |
第 | 二 | 株券失効制度の創設 |
一 | 株券喪失登録の申請 |
1 | 株券を喪失した者は、会社に対し、株券喪失登録の申請をすることができるものとする。 | ||
2 | 1の株券喪失登録の申請をする者は、申請書に1の株券に係る株式の取得の日として株主名簿に記載又は記録がある日以後にその株券を所持していた事実及びその株券を喪失した事実を証する書類を添付して、これを会社に提出しなければならないものとする。 | ||
3 | 2の申請書には、2の申請をする者の住所及び株券の番号を記載し、これに署名しなければならないものとする。 |
二 | 株券喪失登録 |
1 | 取締役は、株券喪失登録簿を作り、一の1の株券喪失登録の申請があったときは、これに次の事項を記載し、又は記録しなければならないものとする。 |
(一) | 株券の番号 | |||
(二) | (一)の株券を喪失した者の氏名及び住所 | |||
(三) | (一)の株券に係る株式の株主及び質権者として株主名簿に記載され、又は記録されている者の氏名及び住所 | |||
(四) | 株券喪失登録の日 |
2 | 株券喪失登録がされたときは、会社は、その株券喪失登録がされた株券に係る株式の株主又は質権者として株主名簿に記載され、又は記録されている者(その株券を喪失した者として株券喪失登録簿に記載され、又は記録されている者(以下「株券喪失登録者」という。)を除く。)に対し、その株券につき株券喪失登録がされた旨及びその株券が無効となる日を通知しなければならないものとする。 | ||
3 | 会社が株券について名義書換代理人を置いたときは、その名義書換代理人は、株券喪失登録について会社を代理するものとする。 |
三 | 株券喪失登録に係る通知義務等 | |
株券喪失登録のされた株券がその株券に係る株式についての権利の行使のために会社に提出されたときは、会社は、その株券を提出した者に対し、その株券につき株券喪失登録がされている旨を通知しなければならないものとする。 | ||
四 | 株券所持人による株券喪失登録の登録異議の申請 |
1 | 株券喪失登録のされた株券を所持する者は、会社に対し、その株券喪失登録について登録異議を申請することができるものとする。ただし、その株券喪失登録がされた日の翌日から起算して一年を経過したときは、この限りでないものとする。 | ||
2 | 1の登録異議の申請をする者は、申請書に株券喪失登録がされた株券を添付して、これを会社に提出しなければならないものとする。 | ||
3 | 2の申請書には、2の登録異議の申請をする者の氏名及び住所並びにその株券に係る株券喪失登録が5により抹消される日に名義書換をすべき旨を請求するときは、その旨を記載しなければならないものとする。 | ||
4 | 1の登録異議の申請があったときは、会社は、株券喪失登録者に対し、その申請をした者の氏名及び住所並びに2の株券の番号を通知しなければならないものとする。 | ||
5 | 4の通知がされた日から二週間を経過した日に、会社は、2により提出された株券を1の登録異議の申請をした者に返還し、その株券に係る株券喪失登録を抹消しなければならないものとする。 |
五 | 株券喪失登録者による株券喪失登録の抹消申請 |
1 | 株券喪失登録者は、会社に対し、株券喪失登録の抹消を申請することができるものとする。 | ||
2 | 1の抹消の申請がされた日に、会社は、その申請に係る株券喪失登録を抹消しなければならないものとする。 |
六 | 株券喪失登録のされた株券の無効等 |
1 | 株券喪失登録のされた株券は、四の1の登録異議の申請又は五の1の抹消の申請がされた場合を除き、その株券喪失登録がされた日の翌日から起算して一年を経過した日に無効となるものとする。この場合においては、取締役は、株券喪失登録簿にその株券が無効となった旨及びその無効となった日を記載し、又は記録しなければならないものとする。 | ||
2 | 1により無効となった株券に係る株式については、会社は、1によりその株券が無効となった日に、株券喪失登録者であって株主名簿に記載又は記録のある株主又は質権者でないものにつき、名義書換をしたものとみなすものとする。 | ||
3 | 株券喪失登録者は、1により株券が無効となった後でなければ、株券の再発行を請求することができないものとする。 |
七 | 株券喪失登録のされた株券に係る名義書換の制限等 |
1 | 株券喪失登録がされた株券に係る株式については、会社は、四の5又は五の2により株券喪失登録が抹消される日又は六の1により株券が無効となる日までの間は、株主名簿の記載又は記録の変更をすることができないものとする。 | ||
2 | 株式の併合、分割又は転換による株式の発行をする場合におけるその株式に係る株券の交付及び会社の配当すべき利益又は利息の支払をする場合におけるその利益又は利息の支払は、1の株式について、1に規定する日までの間は、してはならないものとする。 | ||
3 | 2の株式、利益及び利息は、1の株式について1に規定する日に株主名簿に記載又は記録のある株主又は質権者がこれを取得するものとする。 | ||
4 | 株券喪失登録のされた株券に係る株式については、株主は、議決権を有しないものとする。 | ||
5 | 2から4までの規定は、株券喪失登録者が株券喪失登録がされた株券に係る株式につき株主名簿に記載又は記録のある株主又は質権者であるときは、適用しないものとする。 |
八 | その他 |
1 | 第二百三十条の規定は、削除するものとする。 | ||
2 | 公示催告及ビ仲裁手続ニ関スル法律(明治二十三年法律第二十九号)第七編の規定は、株券には、適用しないものとする。 | ||
3 | 株券喪失登録簿の備置及び閲覧、第二百十六条による株券の失効手続との調整その他所要の規定を整備するものとする。 |
第 | 三 | 所在不明株主の株式売却制度等の創設 |
一 | 株式の競売 | |
次の1から3までのいずれにも該当する株式については、取締役会の決議をもって、これを競売することができるものとする。この場合においては、その代金を従前の株主に支払わなければならないものとする。 |
1 | その株式に係る株主に対する通知及び催告が、継続して五年間到達していないもの(第二百二十四条ノ二第一項の規定により通知及び催告を要しないもの) | ||
2 | その株式につき株主名簿に記載又は記録のある質権者があるときは、その質権者に対する通知及び催告もまた、継続して五年間到達していないもの(第二百二十四条ノ二第三項において準用する同条第一項の規定により通知及び催告を要しないもの) | ||
3 | その株式につき、継続して五年間、会社の配当する利益及び利息の支払に関する法律(昭和二十三年法律第六十四号)第一項に規定する住所等における利益及び利息の受領がされていないもの |
二 | 会社による株式の売却・取得 |
1 | 会社は、一の取締役会の決議があったときは、一の競売に代えて、市場価格のある一の株式はその価格をもって売却し、市場価格のない一の株式は裁判所の許可を得て競売以外の方法により売却することができるものとする。 | ||
2 | 1の場合においては、会社は、取締役会の決議をもって、1により売却する株式を買い受けることができるものとする。この場合においては、第二百四条ノ四第四項並びに第二百十一条ノ三第二項及び第三項の規定を準用するものとする。 | ||
3 | 会社は、一の株式の競売又は売却をするには、その株式についての第二百二十三条第一号から第三号までに掲げる事項、その株式を競売し、又は売却する旨及び利害関係人に対し異議があれば一定の期間内に述べるべき旨を公告し、かつ、次の各号に掲げる者にはその各号に定める場所に宛てて各別に通知しなければならないものとする。ただし、その期間は、三か月を下ることができないものとする。 |
(一) | 一の株式につき株主名簿に記載又は記録のある株主((二)に掲げるものを除く。) 株主名簿に記載し、又は記録したその株主の住所及びその株主が第二百二十四条第一項の規定により会社に通知した宛先 | |||
(二) | 一の株式の共有者であって第二百三条第二項の規定により権利を行使すべき者と定められた株主以外の株主 株主名簿に記載し、又は記録したその株主の住所 | |||
(三) | 一の株式につき株主名簿に記載又は記録のある質権者がある場合におけるその質権者 株主名簿に記載し、又は記録したその質権者の住所及びその質権者が第二百二十四条第四項において準用する同条第一項の規定により会社に通知した宛先 |
4 | 一の株式に係る株券が発行されている場合において、3の期間内に利害関係人が異議を述べなかったときは、その株券は、3の期間満了の時に無効となるものとする。 | ||
5 | 一の株式に係る株券が4により無効となった場合において、その株式を競売するときは、会社は、その競売の目的物としてその株式に係る株券を再発行しなければならないものとする。 |
第 | 四 | 端株等の買増制度 |
一 | 端株の買増制度 |
1 | 会社は、定款をもって、端株主がその端株と併せて一株となるべき端株を売り渡すべき旨を会社に請求することができる旨を定めた場合において、端株主の請求があったときは、自己の端株をその端株主に譲り渡さなければならないものとする。ただし、その請求があった時に会社がその請求により譲り渡すべき端株(2の株式を含む。)を有しないときは、この限りではないものとする。 | ||
2 | 1の請求により端株を譲り渡すべき場合においては、会社は、自己の株式一株の一部を端株として譲り渡すことができるものとする。 |
二 | 単元未満株式についても、一と同様の制度を設けるものとする。 | |
三 | 一及び二の場合における株主が支払うべき金額の決定方法及び株券の交付等について、所要の規定を整備するものとする。 |
機関関係 |
第 | 五 | 株主提案権の行使期限の繰上げ等 |
一 | 株主の議題等提案権 | |
議題提案権(第二百三十二条ノ二第一項)及び議案の招集通知登載請求権(同条第二項)の行使期限について、会日より六週間前とあるのを、会日より八週間前とするものとする。 | ||
二 | 少数株主の招集権 | |
第二百三十七条第三項後段の規定により少数株主が株主総会を招集することができる要件について、請求があった日から六週間内の日を会日とする総会の招集の通知が発せられなかったときとあるのを、八週間内の日を会日とする総会の招集の通知が発せられなかったときとするものとする。 |
第 | 六 | 株主総会等の特別決議の定足数の緩和 |
一 | 株主総会の決議 | |
第三百四十二条第一項の決議の定足数について、定款をもって別段の定めをすることを妨げないものとする。ただし、これを総株主の議決権の三分の一未満に下げることはできないものとする。 | ||
二 | 社債権者集会の決議 | |
第三百二十四条ただし書に規定する社債権者集会の決議は、総社債権者の議決権の三分の一以上を有する社債権者が出席し、その議決権の三分の二以上の多数をもって行うものとする。 |
第 | 七 | 株主総会招集手続の簡素化等 |
一 | 株主総会招集手続の簡素化 | |
総会は、当該総会において議決権を行使することができるすべての株主の同意があるときは、招集の手続を経ずに開くことができるものとする。 | ||
二 | 株主総会招集通知の発出から会日までの期間の短縮 | |
定款に第二百四条第一項ただし書の定めのある会社にあっては、定款をもって、株主総会の招集通知の発出から会日までの期間を一週間まで短縮する旨を定めることができるものとする。 | ||
三 | 書面等による株主総会決議 | |
総会の決議の目的たる事項について取締役又は株主から提案があった場合において、当該事項につき議決権を行使することができるすべての株主が、書面又は電磁的方法によって当該提案に同意したときは、当該提案を可決する総会の決議があったものとみなすものとする。 |
第 | 八 | 取締役の報酬規制 |
第二百六十九条の規定により定めるべき取締役の報酬について、不確定金額を報酬とする場合においてはその具体的な算定方法を、金銭以外のものを報酬とする場合においてはその具体的な内容を定めるものとする。この場合においては、当該議案を提出した取締役は、株主総会において、その報酬を相当とする理由を開示しなければならないものとする。 |
第 | 九 | 重要財産等委員会(仮称)制度 |
一 | 重要財産等委員会の設置、権限等 |
1 | 株式会社の監査等に関する商法の特例に関する法律(以下「商法特例法」という。)上の大会社(以下「大会社」という。)であって、次に掲げる要件を満たすものは、取締役会の決議により、重要財産等委員会を置くことができるものとする。 |
(一) | 取締役の数が十人以上であること。 | |||
(二) | 取締役のうち一人以上が社外取締役(大会社の業務を執行しない取締役であって、過去にその大会社又は子会社の業務を執行する取締役、執行役又は支配人その他の使用人となったことがなく、かつ、現に子会社の業務を執行する取締役又はその大会社若しくは子会社の執行役若しくは支配人その他の使用人でないものをいう。以下同じ。)であること。 |
2 | 重要財産等委員会は、4により取締役会から委任を受けた事項を決定するものとする。 | ||
3 | 重要財産等委員会は、取締役三人以上で組織し、当該取締役は、取締役会の決議により定めるものとする。 | ||
4 | 重要財産等委員会を設置した大会社においては、取締役会は、第二百六十条第二項の規定にかかわらず、その決議により、同項第一号及び第二号に掲げる事項について、重要財産等委員会に決定させることができるものとする。 |
二 | 重要財産等委員会の運営 | |
重要財産等委員会に取締役会への報告義務を課すほか、重要財産等委員会の運営について所要の規定を整備するものとする。 |
第 | 十 | 大会社以外の株式会社における会計監査人による監査 |
一 | 資本の額が一億円を超える株式会社(大会社を除く。)は、定款をもって、商法特例法第二条のものについて会計監査人の監査を受ける旨を定めることができるものとする。この場合においては、当該株式会社には、商法特例法第二条から第十九条までの規定を適用するものとする。 | |
二 | 一の定款の定めをした株式会社は、第九により重要財産等委員会を置き、又は第十一により委員会等設置会社になることができるものとする。 |
第 | 十 | 一 委員会等設置会社(仮称)に関する特例 |
一 | 定義 | |
この要綱において、「委員会等設置会社」とは、大会社又は第十の一の定款の定めをした株式会社であって、第十一に規定する特例の適用を受ける旨の定款の定めのあるものをいうものとする。 | ||
二 | 機関の設置に関する特例 |
1 | 委員会等設置会社には、指名委員会、監査委員会及び報酬委員会(以下「各委員会」という。)並びに執行役を置かなければならないものとする。 | ||
2 | 委員会等設置会社には、監査役を置くことができないものとする。 |
三 | 取締役会及び取締役に関する特例 |
1 | 取締役会の権限 |
(一) | 取締役会は、次に掲げる事項その他委員会等設置会社の業務を決定し、取締役及び執行役の職務の執行を監督するものとする。 |
(1) | 経営の基本方針 | ||||
(2) | 監査委員会の職務の遂行のために必要なものとして法務省令で定める事項 | ||||
(3) | 執行役が数人ある場合における執行役の職務の分掌及び指揮命令関係その他の執行役の相互の関係に関する事項 |
(二) | 取締役会は、委員会等設置会社の業務を、取締役に決定させることができないものとする。 | |||
(三) | 取締役会は、次に掲げる事項を除き、委員会等設置会社の業務を、執行役に決定させることができるものとする。 |
(1) | (一)の(1)から(3)までに掲げる事項 | ||||
(2) | 四の1の(四)の各委員会を組織する取締役の決定 | ||||
(3) | 五の2の(一)の規定による執行役の選任及び解任 | ||||
(4) | 五の4の(一)の規定による代表執行役の決定及び五の4の(三)の規定による共同代表の決定 | ||||
(5) | 七の1に規定するものの承認 | ||||
(6) | 第二百四条第一項ただし書の規定による株式の譲渡の承認及び第二百四条ノ二第五項前段(第二百四条ノ五第一項後段において準用する場合を含む。)の規定による株式の譲渡の相手方の指定 | ||||
(7) | 第二百三十一条の規定による株主総会の招集の決定 | ||||
(8) | 株主総会に提出する議案(取締役及び会計監査人の選任及び解任並びに会計監査人を再任しないことに関するものを除く。)の内容の決定 | ||||
(9) | 第二百五十九条第一項ただし書に規定する取締役の決定 | ||||
(10) | 第二百六十四条第一項(五の3の(一)において準用する場合を含む。)の規定による取引の承認又は同条第三項(五の3の(一)において準用する場合を含む。)の規定による決定 | ||||
(11) | 第二百六十五条第一項の規定(五の3の(一)において準用する場合を含む。)による取引の承認 | ||||
(12) | 第二百八十条ノ三十三第一項ただし書の規定による新株予約権の譲渡の承認 | ||||
(13) | 第二百九十三条ノ五第一項の規定による金銭の分配 |
2 | 取締役の任期及び権限 |
(一) | 取締役の任期は、就任後一年以内の最終の決算期に関する定時総会の終結の時までとする。 | |||
(二) | 取締役は、委員会等設置会社の業務を執行することができないものとする。 |
四 | 各委員会 |
1 | 各委員会の権限及び組織等 |
(一) | 各委員会の権限は、次に定めるとおりとするものとする。 |
(1) | 指名委員会 株主総会に提出する取締役の選任及び解任に関する議案の内容の決定 | ||||
(2) | 監査委員会 取締役及び執行役の職務の執行の監査並びに株主総会に提出する会計監査人の選任及び解任並びに会計監査人を再任しないことに関する議案の内容の決定 | ||||
(3) | 報酬委員会 取締役及び執行役が受ける個人別の報酬の内容の決定 |
(二) | 各委員会は、それぞれ取締役三人以上で組織するものとする。ただし、各委員会につき、その過半数は、社外取締役でなければならないものとする。 | |||
(三) | 委員会等設置会社若しくはその子会社の執行役若しくは支配人その他の使用人又は当該子会社の業務を執行する取締役は、監査委員会を組織する取締役となることができないものとする。 | |||
(四) | 各委員会を組織する取締役は、取締役会の決議により定めるものとする。 |
2 | 委員会の運営等 |
(一) | 取締役及び執行役は、各委員会の要求があったときは、各委員会の求めた事項について説明をしなければならないものとする。 | |||
(二) | 第二百五十九条第一項ただし書の規定により取締役会を招集すべき取締役が定められた場合であっても、当該取締役以外の各委員会を組織する取締役であってその所属する委員会が指名した者は、当該定めにかかわらず、取締役会を招集することができるものとする。 | |||
(三) | 各委員会を組織する取締役であってその所属する委員会が指名した者は、当該委員会の職務の執行の状況を、取締役会に、遅滞なく報告しなければならないものとする。 | |||
(四) | 各委員会の運営について、所要の規定を整備するものとする。 |
3 | 監査委員会による監査の方法等 |
(一) | 監査委員会を組織する取締役の権限につき第二百六十条ノ三第二項及び第二百七十五条ノ二に相当する規定を、監査委員会を組織する取締役であって監査委員会が指名した者の権限につき第二百七十四条第二項及び第二百七十四条ノ三に相当する規定を置くものとする。 | |||
(二) | 取締役・執行役と委員会等設置会社間の訴えについて、第二百七十五条ノ四と同様の規定を整備するものとする。 |
4 | 報酬委員会による報酬の決定の方法等 |
(一) | 報酬委員会は、取締役及び執行役が受ける報酬の内容について、次の(1)から(3)までに掲げる事項を定めなければならないものとする。 |
(1) | 確定金額を報酬とする場合 個人別の額 | ||||
(2) | 不確定金額を報酬とする場合 個人別の具体的な算定方法 | ||||
(3) | 金銭以外のものを報酬とする場合 個人別の具体的な内容 |
(二) | その他所要の規定の整備をするものとする。 |
五 | 執行役及び代表執行役 |
1 | 執行役の職務は、次に掲げるとおりとするものとする。 |
(一) | 三の1の(三)の規定により取締役会から委任を受けた事項の決定 | |||
(二) | 委員会等設置会社の業務の執行 |
2 | 執行役の選任等 |
(一) | 執行役の選任及び解任は、取締役会の決議をもって行うものとする。 | |||
(二) | 執行役の任期は、就任後一年以内の最終の決算期に関する定時総会が終結した後最初に開催される取締役会の終結の時までとするものとする。 | |||
(三) | 取締役は、執行役を兼ねることができるものとする。 |
3 | 取締役の規定に関する準用等 |
(一) | 第六十七条ノ二、第七十条ノ二、第二百三十七条ノ三、第二百五十四条第二項及び第三項、第二百五十四条ノ二、第二百五十四条ノ三、第二百五十八条、第二百六十四条、第二百六十五条並びに第二百六十七条から第二百六十八条ノ三までの規定は、執行役について準用するものとする。 | |||
(二) | 執行役の取締役会に対する報告義務、取締役会の招集請求権等について所要の規定を整備するものとする。 |
4 | 代表執行役 |
(一) | 委員会等設置会社は、取締役会の決議をもって、委員会等設置会社を代表すべき執行役(以下「代表執行役」という。)を定めなければならないものとする。 | |||
(二) | 執行役について、第二百六十二条に相当する規定を置くものとする。 | |||
(三) | 代表執行役の共同代表の定め等につき、所要の規定を整備するものとする。 |
六 | 取締役の責任に関する特例及び執行役の責任 |
1 | 取締役及び執行役の会社に対する責任 | ||
委員会等設置会社については、第二百六十六条の規定は適用しないこととした上、取締役及び執行役の会社に対する責任については、次のとおりとするものとする。 |
(一)(1) | 取締役又は執行役は、その任務を怠ったときは、委員会等設置会社に対し、連帯して、これにより委員会等設置会社に生じた損害を賠償する義務を負うものとする。 | |||
(2) | (1)の義務については、第二百六十六条第二項及び第三項に相当する規定は置かず、同条第四項、第五項及び第七項から第二十三項までに相当する規定を置くものとする。 | |||
(二)(1) | 取締役については、第二百六十六条第一項第一号に相当する規定は置かないものとする。 | |||
(2) | 執行役については、第二百六十六条第一項第一号に相当する規定を置くものとする。ただし、その職務を行うについて注意を怠らなかったことを証明したときは、責任を負わないものとする。 | |||
(3) | (2)の責任については、第二百六十六条第五項に相当する規定を置くものとする。 | |||
(三)(1) | 取締役及び執行役については、第二百六十六条第一項第二号に相当する規定を置くものとする。 | |||
(2) | (1)の責任については、第二百六十六条第二項、第三項及び第五項に相当する規定を置くものとする。 |
(四) | 第二百六十六条第一項第三号に相当する規定は置かないものとする。 |
(五)(1) | 取締役及び執行役については、第二百六十六条第一項第四号に相当する規定を置くものとする。 | |||
(2) | 第二百六十五条第一項の承認の決議に賛成した取締役は、同項の取引により会社に生じた損害を賠償する義務を負うものとする。 | |||
(3) | 取締役又は執行役は、その職務を行うについて注意を怠らなかったことを証明したときは、(1)及び(2)の責任を負わないものとする。 | |||
(4) | (1)及び(2)の責任については、第二百六十六条第六項に相当する規定を置くものとする。 |
2 | 取締役及び執行役の第三者に対する責任 |
(一) | 委員会等設置会社における取締役に対する第二百六十六条ノ三の規定の適用については、同条第一項を適用し、同条第二項及び第三項の規定は監査委員会を組織する取締役に限り適用するものとする。 | |||
(二) | 執行役の第三者に対する責任については、第二百六十六条ノ三第一項及び第二項に相当する規定を置くものとする。 | |||
(三) | (一)により損害賠償義務を負う取締役及び(二)により損害賠償義務を負う執行役は、連帯債務者とするものとする。 |
七 | 計算に関する特例 |
1 | 取締役会が指定した執行役は、毎決算期に、次に掲げるもの及びその附属明細書を作成し、取締役会の承認を受けなければならないものとする。 |
(一) | 貸借対照表 | |||
(二) | 損益計算書 | |||
(三) | 営業報告書 | |||
(四) | 利益の処分又は損失の処理に関する議案(以下「利益処分案等」という。) |
2 | 1に規定するものについては、1の規定による取締役会の承認を受ける前に、会計監査人の監査(1の(三)に掲げるもの及びその附属明細書については、会計に関する部分に限る。)及び監査委員会の監査を受けなければならないものとする。 | ||
3 | 1の執行役は、定時総会の会日の八週間前までに1の(一)から(四)までに掲げるものを、それから三週間以内にその附属明細書を、監査委員会及び会計監査人に提出しなければならないものとする。 | ||
4 | 会計監査人は、1の(一)から(四)までに掲げるものを受領した日から四週間以内に、監査報告書を監査委員会及び1の執行役に提出しなければならないものとする。 | ||
5 | 監査委員会は、4の監査報告書を受領した日から一週間以内に、監査報告書を1の執行役に提出し、かつ、その謄本を会計監査人に交付しなければならないものとする。 | ||
6 | 5の規定により監査委員会が作成すべき監査報告書には、三の1の(一)の(2)の決議の内容が相当でないと認めるときは、その旨及び理由を記載しなければならないものとする。 | ||
7 | 定時総会の招集通知には、1の規定による取締役会の承認を受けた1の(一)から(四)までに掲げるもの、会計監査人の監査報告書及び監査委員会の監査報告書の謄本を添付しなければならないものとする。 | ||
8 | 次の(一)及び(二)のいずれにも該当する場合には、1に規定するものについて1の規定による取締役会の承認があった時に、1の(一)、(二)及び(四)に掲げるものについて定時総会の承認があったものとみなすものとする。この場合においては、取締役は、定時総会にこれらのものを提出し、その内容及び利益の処分又は損失の処理の理由その他当該定時総会における株主の議決権行使の参考になるべきものとして法務省令で定める事項を報告しなければならないものとする。 |
(一) | 各会計監査人の監査報告書に次に掲げる記載があるとき。 |
(1) | 貸借対照表及び損益計算書が法令及び定款に従い会社の財産及び損益の状況を正しく表示したものである旨 | ||||
(2) | 利益処分案等が法令及び定款に適合する旨 |
(二) | 監査委員会の監査報告書(監査委員会を組織する各取締役の意見の付記を含む。)に次に掲げる記載がないとき。 |
(1) | (一)の(1)及び(2)についての会計監査人の監査の結果を相当でないと認めた旨 | ||||
(2) | 利益処分案等が会社の財産の状況その他の事情に照らし著しく不当である旨 |
9 | 委員会等設置会社にあっては、利益処分として、取締役又は執行役に対する金銭の分配をすることができないものとする。 |
八 | その他の規定の整備 |
1 | 委員会等設置会社の登記について、委員会等設置会社である旨、執行役及び各委員会を組織する取締役の氏名並びに社外取締役及び代表執行役についてはその旨を登記事項とするなどの所要の整備をするものとする。 | ||
2 | 委員会等設置会社については、第二百六十一条及び第二百六十九条の規定並びに監査役に関する規定は適用しないものとするほか、所要の規定を整備するものとする。 |
計算関係 |
第 | 十 | 二 計算関係規定の省令委任 |
一 | 会計帳簿における財産の価額の評価方法 |
1 | 株式会社の会計帳簿に記載又は記録すべき財産については、第三十四条の規定にかかわらず、法務省令の定めるところにより、その価額を付さなければならないものとする。 | ||
2 | 第二百八十五条ノ二及び第二百八十五条ノ四から第二百八十五条ノ七までの規定は、削除するものとする。 |
二 | 貸借対照表等の記載事項及び記載方法 |
1 | 貸借対照表、損益計算書、営業報告書及び附属明細書に記載又は記録すべき事項及び記載又は記録の方法は、法務省令をもって、定めるものとする。 | ||
2 | 第二百八十六条から第二百八十七条ノ二まで及び第二百九十一条第四項の規定は、削除するものとする。 | ||
3 | 商法中改正法律施行法第四十九条の規定を削除するほか、所要の規定を整備するものとする。 |
三 | 配当可能限度額及び中間配当可能限度額の算定 |
1 | 第二百九十条第一項第四号及び第六号の規定を削除し、当該各号に定める事項は法務省令で定めるものとする。 | ||
2 | 第二百九十三条ノ五第三項第三号及び第五号の規定を削除し、当該各号に定める事項は法務省令で定めるものとする。 |
第 | 十 | 三 大会社についての連結計算書類の導入 |
一 | 連結計算書類の作成及び監査 |
1 | 大会社の取締役は、当該大会社の決算期における当該大会社及び当該大会社がその経営を支配する他の会社等(法務省令で定めるものに限る。以下「連結子会社」という。)から成る企業集団の財産及び損益の状況を示すために必要かつ適当なものとして法務省令で定めるもの(以下「連結計算書類」という。)を作成しなければならないものとする。 |
(注) | 連結計算書類を作成すべき大会社の範囲については、当分の間、証券取引法第二十四条第一項の規定により有価証券報告書を内閣総理大臣に提出すべきものに限るものとする。 |
2 | 連結計算書類は、3の監査を受ける前に取締役会の承認を受けなければならないものとする。 | ||
3 | 2の承認を受けた連結計算書類は、1の決算期に関する定時総会の開催前に、法務省令で定めるところにより、監査役及び会計監査人の監査を受けなければならないものとする。 | ||
4 | 取締役は、2の承認を受けた連結計算書類を3の定時総会に提出し、当該定時総会において、その内容を報告し、かつ、法務省令で定めるところにより3の監査の結果を報告しなければならないものとする。 | ||
5 | 第二百八十三条第二項の規定は、2の承認を受けた連結計算書類について準用するものとする。 |
二 | 会計監査人及び監査役の権限等 |
1 | 会計監査人及び監査役は、その職務を行うため必要があるときは、連結子会社に対して会計に関する報告を求め、連結子会社の業務及び財産の状況を調査することができるものとする。 | ||
2 | 第二百七十四条ノ三第二項の規定は、1の場合について準用するものとする。 |
その他 |
第 | 十 | 四 現物出資、財産引受及び事後設立の目的たる財産の価格の証明 |
一 | 設立時における現物出資及び財産引受の目的物たる財産の価格の証明 |
1 | 商法第百六十八条第一項第五号又は第六号に掲げる事項が相当であることについて、弁護士、弁護士法人、公認会計士、監査法人、税理士又は税理士法人の証明(同項第五号又は第六号の財産が不動産であるときは、その証明及び不動産鑑定士の鑑定評価)を受けた場合には、取締役は、検査役の選任を裁判所に請求することを要しないものとする。 | ||
2 | 次に掲げる者は、1の証明及び鑑定評価をすることができないものとする。 |
(一) | 第百六十八条第一項第五号の現物出資者又は同項第六号の財産の譲渡人 | |||
(二) | 取締役又は監査役 | |||
(三) | 発起人 | |||
(四) | 業務の停止の処分を受け、その停止の期間を経過していない者 | |||
(五) | 弁護士法人、監査法人又は税理士法人であって、その社員の中に(四)に掲げる者があるもの又はその社員の半数以上が(一)から(三)までに掲げる者のいずれかに該当するもの |
3 | 取締役及び監査役は、1の証明及び鑑定評価を記載し、又は記録した資料及び第百七十三条ノ二第一項各号に掲げる事項を調査しなければならないものとする。 | ||
4 | 募集設立の場合においては、1の証明及び鑑定評価を記載し、又は記録した資料を創立総会に提出するものとし、取締役及び監査役は、その資料を調査し、創立総会にその意見を報告しなければならないものとする。 |
二 | 設立の場合の弁護士等の証明に関する責任 |
1 | 一の1の証明及び鑑定評価(以下二において「証明等」という。)をした者がその任務を怠ったことにより会社に損害を生じさせたときは、その者は、会社に対し連帯して損害賠償の責めに任ずるものとする。 | ||
2 | 第百六十八条第一項第五号又は第六号の財産の会社成立当時における実価が定款で定めた価格に著しく不足するときは、一の1の証明等をした者は、会社に対し連帯してその不足額を支払う義務を負うものとする。ただし、その証明等をするについて注意を怠らなかったことを証明したときは、この限りでないものとする。 | ||
3 | 一の1の証明等に誤りがあったことにより第三者に損害を生じさせたときは、その証明等をした者は、その第三者に対し連帯して損害賠償の責めに任ずるものとする。ただし、その証明等をするについて注意を怠らなかったことを証明したときは、この限りでないものとする。 |
三 | (1)事後設立の目的たる財産の価格の証明及び(2)新株の発行時における現物出資の目的たる財産の価格の証明についても、一及び二((1)については、二の2を除く。)と同様の制度を設けるものとする。 |
第 | 十 | 五 資本減少手続の合理化 |
一 | 資本減少の決議 |
1 | 資本の減少をするには、その旨及び次の事項について株主総会の特別決議を得なければならないものとする。 |
(一) | 減少すべき資本の額 | |||
(二) | 株主に金銭の払戻しをするときは、これに要すべき金額 | |||
(三) | 株式の消却をするときは、消却すべき株式の種類及び数、その方法並びにこれに要すべき金額 | |||
(四) | 資本の欠損のてん補に充てるときは、その金額 |
2 | 1の(二)から(四)に掲げる金額の合計額は、1の(一)の額を超えてはならないものとする。 | ||
3 | 1の(二)の払戻しは、各株主の有する株式の数に応じてするものとする。ただし、会社の有する自己の株式については、1の(二)の払戻しをしないものとする。 |
二 | 資本減少における債権者保護手続 | |
資本減少における債権者保護手続においては、一の1の(一)から(四)までに掲げる額又は金額及び最終の貸借対照表に関する事項であって法務省令で定めるもの(公開の方法等)をも公告し、かつ、債権者に通知しなければならないものとする。 | ||
三 | 法定準備金の減少の手続 | |
法定準備金の減少の手続についても、一及び二と同様の合理化を図るものとする。 |
第 | 十 | 六 外国会社 |
一 | 営業所設置義務の廃止等 |
1 | 日本において取引を継続してしようとする外国会社について、日本における営業所の設置義務を廃止することとする。 | ||
2 | 1の外国会社が日本に営業所を置かないときは、その外国会社は、日本における代表者を定めてその代表者につき登記をしなければならないものとし、外国会社の登記について所要の規定を整備するものとする。 |
二 | 商号の登記に関する特則 | |
第十九条及び第二十条第二項の規定は、日本に営業所を設けない外国会社の登記した商号には、適用しないものとする。 | ||
三 | 貸借対照表の公告 |
1 | 一の1の外国会社であって日本に成立する同種のもの又は最もこれに類似するものが株式会社であるものの日本における代表者は、最終の貸借対照表の定時総会による承認又はこれと同種の手続若しくは最もこれに類似する手続があった後、遅滞なくその最終の貸借対照表若しくはこれと同種のもの若しくは最もこれに類似するもの又はその要旨を日本において公告しなければならないものとする。この場合においては、第百六十六条第五項の規定を準用するものとする。 | ||
2 | 第二百八十三条第四項ただし書及び第五項の規定は、1の公告について準用するものとする。 |
四 | 日本における全代表者の退任 |
1 | 外国会社は、そのすべての日本における代表者が退任しようとするときは、その債権者に対し、その退任に異議があれば一定の期間内に述べるべき旨を官報により公告し、かつ、知れたる債権者には各別に催告しなければならないものとする。 | ||
2 | 第百条第一項後段、第二項及び第三項の規定は、1の場合について準用するものとする。 | ||
3 | 第一項の退任は、1及び2の手続が終了した後にその登記をすることによってその効力を生ずるものとする。 |
五 | 取引禁止命令 | |
裁判所は、第四百八十四条第一項各号に掲げる事由がある場合においては、法務大臣又は株主、債権者その他の利害関係人の請求により、外国会社が日本において取引を継続してすることを止めるべきこと及びその営業所の閉鎖を命ずることができるものとする。 | ||
六 | 継続取引を止める場合の手続 | |
財産の清算に関する第四百八十五条第一項及び第二項の規定は、外国会社が日本において取引を継続してすることを止めた場合について準用するものとする。 |
第 | 十 | 七 その他 |
以上の改正に伴い、罰則その他所要の規定を整備するものとする。 |