CONTENTS

法制度整備支援の現場から

皆さんは,ベトナムと聞いて何を思い浮かべますか。フォー等の料理,民族衣装のアオザイや道路を走る大量のバイクでしょうか。ベトナム人は,仕事仲間に限らず,お店やタクシーでも日本について知っている様々なことを話してくれ,興味を持ってくれていることを実感します。昨年は,日越外交樹立45周年を迎えましたが,年々,両国の関係は様々な面において深まっています。その中の一つが司法分野の支援協力関係といえるのではないでしょうか。仕事をしていると,日本の法制度に詳しいベトナム人に出会うことも珍しくありません。

ベトナムは,日本で初めてJICAによる法制度整備支援プロジェクトがスタートした国であり,20年以上にわたって続いています。これまで民法などの法律を作る支援のほか,法律の専門家の育成支援を行ってきました。

2015年からは「2020年を目標とする法・司法改革支援プロジェクト」が開始されています。2020年は,ベトナムの司法改革達成目標年です。これに向けて,これまでめまぐるしいスピードで法制度を整備し続けてきました。それに伴って,ベトナムは,法制度を作り上げる力を付けてきました。そして,現在は,出来上がった法制度が内容や運用面において明確で,統一性があるよう整備し,人材を強化する段階に入りつつあると思います。現プロジェクトでは,法令間の矛盾をなくすための活動を開始し,また,裁判官・検察官・弁護士で構成するグループを作り,三者の共通認識の下で刑事裁判の質を向上させることを目的とした活動等も試みています。

日本の法制度整備支援のリーディングケースであるベトナムでの活動は,支援対象国との理想的な関係構築という意味においても,トップランナーであり続けることと思います。時には険しい道のりもありますが,私たち専門家は,ベトナムで,仕事を共にする人,日常で出会う日本を好きでいてくれる多くの人の思いを原動力にし,ベトナムが自分たちの手で法制度を発展させることを目標として,日々,仕事をしています。時代とともに,私たちの仕事も変わりつつありますが,この思いは,20年を経た今もきっと変わりがないに違いありません。

(ベトナム長期専門家 鎌田 咲子)

裁判所の人との写真

裁判所の人と

現地での活動の様子

現地での活動の様子