CONTENTS

出入国在留管理庁における取組について

出入国在留管理庁が設置された経緯

訪日外国人旅行者数は増加を続け,平成30年には約3,120万人と過去最高を記録し,在留外国人も平成30年末時点で約273万人と過去最高となりました。こうした中,円滑な出入国審査と厳格な出入国管理を両立し,増加する外国人に対する在留管理を的確に行わなければなりません。
また,新たな在留資格の創設に伴う在留外国人の増加に的確に対応しつつ,外国人の受入れ環境整備に関する企画及び立案並びに総合調整といった新規業務に取り組む必要もあります。
こうしたことから,本年4月,法務省の外局として出入国在留管理庁が新設されました。

出入国在留管理庁の看板除幕式の様子

出入国在留管理庁の看板除幕式の様子

平成30年に入管法が改正された背景

アベノミクスの推進により,成長から分配への経済の好循環が着実に回りつつある中,平成30年の法案提出の時点でも有効求人倍率が1.6倍を超える高さとなっていました。その一方で,少子・高齢化により生産年齢(15〜64歳)人口は毎年減少し,全人口の6割を切るまでになり,人手不足が深刻な問題となっていました。この喫緊の課題に対応するために,人材確保を図るべき産業上の分野において,一定の専門性・技能を有し,即戦力となる外国人を受け入れていく仕組みを可能な限り早急に構築する必要がありました。そのため,入管法等改正法案が先の国会に提出され,同国会において成立しました。

新たな外国人材の受入れ制度について

日本においては,入管法等に基づき,就労資格の外国人(高度専門職等),留学生,技能実習生1,観光客等の短期滞在者等の受入れを行ってきましたが,深刻な人手不足の状況を踏まえ,新たな在留資格として「特定技能」が加わることになりました。

「特定技能1号」は,特定産業分野に属する相当程度の知識又は経験を必要とする技能を要する業務に従事する外国人向けの在留資格で,「特定技能2号」は,特定産業分野に属する熟練した技能を要する業務に従事する外国人向けの在留資格です。

特定産業分野は,「介護」,「ビルクリーニング」などの14分野2,「特定技能2号」は,「建設」と「造船・舶用工業」の2分野で受入れが可能となっています。
そのうち「特定技能1号」のポイントは,在留期間が通算で上限5年まで,技能水準は試験等で確認,日本語能力水準は生活や業務に必要な日本語能力を試験等で確認,家族の帯同は基本的に認められないことなどが挙げられます。ただし,技能水準と日本語能力水準については,技能実習2号3を良好に修了した外国人は試験等が免除されます。

共生社会の実現に向けて

国民と外国人の双方が尊重し合える活力ある共生社会を実現するため外国人の受入れ環境を整備することが重要です。今後,平成30年12月に取りまとめられた「外国人材の受入れ・共生のための総合的対応策」に基づき,地方公共団体における一元的相談窓口(ワンストップセンター)の整備の支援等,各種施策を実施していきます。

1 開発途上国等への技能等の移転を図ることを目的とする技能実習制度の下,日本で技術や知識を修得するために在留する外国人

2「介護」,「ビルクリーニング」,「素形材産業」,「産業機械製造業」,「電気・電子情報関連産業」,「建設」,「造船・舶用工業」,「自動車整備」,「航空」,「宿泊」,「農業」,「漁業」,「飲食料品製造業」,「外食業」

3 技能実習制度の下,1年間,日本に在留した技能実習生に対して,その技能をさらに高めるための期間として,2〜3年目に与えられる在留資格のこと