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法整備支援の現場から

ラオス長期派遣専門家 矢尾板隼

~成果物の引渡し~

日本は、ラオスに対して平成10年から法整備支援を行っていますが、通算25年目を迎える今年(令和5年)、4つ目のJICAプロジェクトである、「法の支配発展促進プロジェクト」が終わりを迎えます(途切れることなく後継プロジェクトが開始する予定です。)。

 

5年にわたる今回のプロジェクトでは、ラオス初となる民法典の施行に加え、630条に及ぶ民法典のすべての条文を解説した「民法典逐条解説書」や、ラオスで初めて刑法の理論を説明した「刑法総論教科書」など多くの成果物が完成しました。いずれの成果物も、ラオスの法律家が、日本の大学教授や長期専門家らと長い時間をかけて議論を重ね、自分達の手で作り上げたものです。

 

ラオスにおいては、司法省、最高人民裁判所、最高人民検察院、ラオス国立大学の4機関を対象機関として活動を実施してきましたが、先ほど述べた成果物については、印刷が出来上がった今年の3月下旬頃から、各機関に引き渡してきました。どの機関からも、成果物を高く評価するコメントが寄せられており、今後の法律実務の発展に資するよう、若手法律家の教育などへの活用が期待されています。

最高人民検察院への成果物引渡しの様子(令和5年4月)

最高人民検察院への成果物引渡しの様子(令和5年4月)

~長期派遣専門家による講義~

長期専門家の仕事は、前記のような成果物の完成を支援することにとどまるものではありません。

 

今回、ラオス国立司法研修所(National Institute of Justice。通称NIJ)から長期専門家に対し、講義をしてほしいという依頼がありました。NIJには、裁判官、検察官、弁護士になるための教育を行う、法曹養成のカリキュラムがありますが、依頼を受けて、そこに通う学生に対して、日本の司法制度などについての講義を実施したのです。

 

NIJの学生はとても熱心で、私たち長期専門家の話に一心に耳を傾けていましたし、予定されていた時間を超過するほど多くの質問が出されました。

 

こうした若い熱心な学生が将来ラオスの司法分野を担うことを期待しながら、我々も努力していきます。

ラオス国立司法研修所(NIJ)での講義の様子(令和5年4月)

ラオス国立司法研修所(NIJ)での講義の様子(令和5年4月)