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民法(成年年齢関係)改正 Q&A

 成年年齢の引下げに関して,よくある質問をQ&Aとして記載しています。

【目次】

Q1 どうして民法の成年年齢を18歳に引き下げるのですか?

Q2 成年年齢は,いつから18歳になるのですか?

Q3 成年年齢の引き下げによって,18歳で何ができるようになるのですか?

Q4 お酒やたばこが解禁される年齢も18歳になるのですか?

Q5 消費者被害の拡大が懸念されていますが,どのような対策をとるのですか?

Q6 養育費はどうなるのですか?

Q7 どうして女性の婚姻開始年齢を18歳に引き上げるのですか?

Q8 成人式はどうなりますか?



【説明】

Q1 どうして民法の成年年齢を18歳に引き下げるのですか?

A 我が国における成年年齢は,明治9年以来,20歳とされています。
  近年,憲法改正国民投票の投票権年齢や,公職選挙法の選挙権年齢などが18歳と定められ,国政上の重要な事項の判断に関して,18歳,19歳の方を大人として扱うという政策が進められてきました。こうした政策を踏まえ,市民生活に関する基本法である民法においても,18歳以上の人を大人として取り扱うのが適当ではないかという議論がされるようになりました。世界的にも,成年年齢を18歳とするのが主流です。  成年年齢を18歳に引き下げることは,18歳,19歳の若者の自己決定権を尊重するものであり,その積極的な社会参加を促すことになると考えられます。
 

Q2 成年年齢は,いつから18歳になるのですか?

A 成年年齢を18歳に引き下げることを内容とする「民法の一部を改正する法律」は,2022年4月1日から施行されます。
  2022年4月1日の時点で,18歳以上20歳未満の方(2002年4月2日生まれから2004年4月1日生まれまでの方)は,その日に成年に達することになります。  2004年4月2日生まれ以降の方は,18歳の誕生日に成年に達することになります。
 

Q3 成年年齢の引き下げによって,18歳で何ができるようになるのですか?

A 民法の成年年齢には,一人で有効な契約をすることができる年齢という意味と,父母の親権に服さなくなる年齢という意味があります。
  成年年齢の引下げによって,18歳,19歳の方は,親の同意を得ずに,様々な契約をすることができるようになります。例えば,携帯電話を購入する,一人暮らしのためのアパートを借りる,クレジットカードを作成する(支払能力の審査の結果,クレジットカードの作成ができないことがあります。),ローンを組んで自動車を購入する(返済能力を超えるローン契約と認められる場合,契約できないこともあります。),といったことができるようになります。
  なお,2022年4月1日より前に18歳,19歳の方が親の同意を得ずに締結した契約は,施行後も引き続き,取り消すことができます。
  また,親権に服することがなくなる結果,自分の住む場所(居所)を自分の意思で決めたり,進学や就職などの進路決定についても,自分の意思で決めることができるようになります。もっとも,進路決定について,親や学校の先生の理解を得ることが大切なことに変わりはありません。  そのほか,10年有効パスポートの取得や,公認会計士や司法書士などの国家資格に基づく職業に就くこと(資格試験への合格等が必要です。),性別の取扱いの変更審判を受けることなどについても,18歳でできるようになります。
 

Q4 お酒やたばこが解禁される年齢も18歳になるのですか?

A 民法の成年年齢が18歳に引き下げられても,お酒やたばこに関する年齢制限については,20歳のまま維持されます。また,公営競技(競馬,競輪,オートレース,モーターボート競走)の年齢制限についても,20歳のまま維持されます。  これらは,健康被害への懸念や,ギャンブル依存症対策などの観点から,従来の年齢を維持することとされています。
 

Q5 消費者被害の拡大が懸念されていますが,どのような対策をとるのですか?

A 民法では,未成年者が親の同意を得ずに契約した場合には,原則として,契約を取り消すことができるとされています(未成年者取消権)。未成年者取消権は未成年者を保護するためのものであり,未成年者の消費者被害を抑止する役割を果たしてきました。成年年齢を18歳に引き下げた場合には,18歳,19歳の方は,未成年者取消権を行使することができなくなるため,悪徳商法などによる消費者被害の拡大が懸念されています。  政府としては,小・中・高等学校等における消費者教育の充実(例:契約の重要性,消費者の権利と責任など)や,若者に多い消費者被害を救済するための消費者契約法の改正,全国共通の3桁の電話番号である消費者ホットライン188の周知や相談窓口の充実など,様々な環境整備の施策に取り組んできました。
  今後も,「成年年齢引下げを見据えた環境整備に関する関係府省庁連絡会議」を開催して,政府全体で環境整備に取り組んでいきたいと考えています。
 

Q6 養育費はどうなるのですか?

A 子の養育費について,「子が成年に達するまで養育費を支払う」との取決めがされていることがあります。成年年齢が引き下げられた場合にこのような取決めがどうなるか心配になるかもしれませんが,取決めがされた時点では成年年齢が20歳であったことからしますと,成年年齢が引き下げられたとしても,従前どおり20歳まで養育費の支払義務を負うことになると考えられます。
  また,養育費は,子が未成熟であって経済的に自立することを期待することができない場合に支払われるものなので,子が成年に達したとしても,経済的に未成熟である場合には,養育費を支払う義務を負うことになります。このため,成年年齢が引き下げられたからといって,養育費の支払期間が当然に「18歳に達するまで」ということになるわけではありません。例えば,子が大学に進学している場合には,大学を卒業するまで養育費の支払義務を負うことも多いと考えられます。
  なお,今後,新たに養育費に関する取決めをする場合には,「22歳に達した後の3月まで」といった形で,明確に支払期間の終期を定めることが望ましいと考えられます。
 

Q7 どうして女性の婚姻開始年齢を18歳に引き上げるのですか?

A 現在,婚姻開始年齢(結婚ができるようになる年齢)に男女差が設けられているのは,男女間で心身の発達に差異があるためであるとされています。しかし,社会・経済の複雑化が進展した今日では,婚姻開始年齢の在り方に関しても,社会的,経済的な成熟度をより重視すべき状況になっています。そして,社会的・経済的な成熟度といった観点からは,男女間に特段の違いはないと考えられることから,婚姻開始年齢における男女の取扱いの差異を解消することにしたものです。
  その上で,高校等進学率が98パーセントを超えていることなどからしますと,婚姻をするには,少なくとも18歳程度の社会的・経済的成熟が必要であると考え,女性の婚姻開始年齢を18歳に引き上げることとしたものです。
  女性の婚姻開始年齢の引上げについても,2022年4月1日から施行されます。
  なお,2022年4月1日の時点で既に16歳以上の女性は,引き続き,18歳未満でも結婚することができます。
 

Q8 成人式はどうなりますか?

A 成人式の時期や在り方に関しては,現在,法律による決まりはなく,各自治体の判断で実施されていますが,多くの自治体では,1月の成人の日前後に,20歳の方を対象に実施しています。
  成年年齢が18歳に引き下げられた場合には,そもそも18歳の方を対象とするのか,高校3年生の1月という受験シーズンに実施するのか,2022年度は3学年分同時に実施するのかといった問題があると指摘されています。
  政府としては,成年年齢引下げを見据えた環境整備に関する関係府省庁連絡会議において,関係者の意見や各自治体の検討状況を取りまとめた上で情報発信し,各自治体がその実情に応じた対応をすることができるよう取り組んでいきたいと考えています。