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電子情報処理組織を使用する方法による申請の導入等に伴う不動産登記法の改正に関する担当者骨子案に対する意見募集の実施結果について(報告)

第1  意見数 79通

(司法書士・土地家屋調査士(個人)及びこれらの関係団体36,弁護士(個人)及びその関係団体2,金融機関及びその関係団体5,不動産業関係団体3,官庁等5,その他の団体4,大学関係6,行政書士5,その他個人13)

第2  意見の概要

1  電子情報処理組織を使用する方法による申請の導入に伴う申請手続の見直し

  (1 ) 電子情報処理組織を使用する方法による申請(以下「オンライン申請という。」)は,申請書を提出する方法による申請(以下「窓口申請」という。)と併存して,認めること(骨子案第1の1)について
 賛成する意見(17件),事件類型によっては添付書面のオンライン送信が不可能であり,書面申請によらざるを得ないものがあるとする意見(2件),将来においてオンライン申請に一本化すべきとする意見(1件),窓口申請を原則としオンライン申請を特則とする構成にすべきとする意見(1件)があった。
 このほか,オンライン申請を認めるに当たっては,申請ミスや不正が生じた場合の責任の所在を明確にすべきとする意見(1件),オンライン申請においては代理人資格について特定すべきではないとする意見(4件)があった。
  (2 ) オンライン申請と窓口申請とは,いずれも受付の順序に従って処理するものとし,両者の前後は,各申請の受付の時点の先後によること(骨子案第1の2)について
 賛成する意見(9件),反対する意見(1件),オンライン申請にインセンティブを持たせるべきとする意見(1件),反対に,出頭による申請を優先すべきとする意見(1件)があった。
 このほか,窓口申請,オンライン申請という異なる申請方式にあって公正な処理システム構築を望むとする意見(9件),システム障害時の対応を検討すべきとする意見(3件),受付順位の決定を明確にすべきとする意見(3件),法務省のオンライン申請システムへの到達が登記申請の受付であるとの誤解を生じないよう受付時点を明確にすべきとする意見(1件),窓口の受付処理を迅速かつ効率的に行うべきとする意見(2件),実体法の整備が必要とする意見(2件),登記所に届いたことの確認メールが必要とする意見(1件),具体的な申請時点以前に予約ができるシステムを検討すべきとする意見(1件)があった。
  (3 ) 権利に関する登記の申請における出頭主義の制度の廃止(骨子案第1の3)について
 賛成する意見(10件),当面は単独申請の登記で順位保全の必要性のないものに限定して郵送申請を認めるべきとする意見(1件),窓口申請においては出頭主義を廃止すべきではないとする意見(4件),受付の順位が不明確になること等から郵送申請を認めることに反対する意見(5件)等があった。
 このほか,出頭主義が担ってきた真正担保機能を別な手段で講じることを必要とする意見(5件)等があった。
  (4 ) 権利に関する登記における共同申請主義の維持(骨子案第1の4)について
 賛成する意見(15件),一方的な意思表示による権利の抹消の登記は単独申請とすべきとする意見(1件),原因証書が公正証書によるものは単独申請とすべきとする意見(1件)があった。
  (5 ) 申請手続における本人確認
   ア  オンライン申請においては,電子署名及び電子証明書を利用することを前提とすること(骨子案第1の5の前注)について
 賛成する意見(10件),電子署名及び電子証明書だけでは成りすましの危険を回避できないとする意見(3件),自然人の電子認証について資格者代理人も事前に有効性確認できる方策を設けるべきとする意見(3件),住基ネットの全国的完備が前提になるとする意見(1件)があった。
   イ  登記済証の提出制度に代替する制度
    (ア ) 登記識別情報の導入(骨子案第1の5(1))について
 登記識別情報の導入に賛成する意見(11件),登記済証制度を維持すべきとする意見(6件),電子登記済証制度の導入をすべきとする意見(4件)があった。
 また,登記識別情報の導入に関しては,登記識別情報と登記済証との併用又は申請人による選択制とすべきとする意見(6件),窓口申請では登記済証を交付すべきとする意見(5件),保管できる媒体で交付すべきとする意見(2件),オンライン申請についても,有償で書面により登記識別情報の交付を受けられるようにすべきとする意見(1件),登記識別情報を他の真正担保手段と併せて導入すべきとする意見(4件),暗証番号を法務局に登録する制度と併用すべきとする意見(1件),代理人申請の場合に代理人に内容が知られないようにすべきとする意見(1件),他者からの悪用がされないよう技術的検討が必要とする意見(1件),管理方法について十分な検討が必要とする意見(3件),利用者の認識を定着させる必要があるとする意見(2件)があった。
 そのほか,本人確認のレベルが維持されるのか疑問とする意見(1件),盗用による不正な申請の可能性が増大するが,その手当てとして情報管理の徹底の指導で足りるかについては疑問が残るとする意見(1件),管理が困難である又は管理に自信がないとする意見(3件),資格者代理人の管理違反には罰則を科すべきとする意見(1件),1号仮登記ができなくなるのは問題であるとする意見(1件),登記済証の持つ本人確認以外の機能の代替について検討すべきとする意見(1件)があった。
    (イ ) 登記識別情報の失効制度(骨子案第1の5(2))について
 賛成する意見(10件),特別な事情がある場合にのみ認めるべきとする意見(1件),当初から通知しない不発行の制度を認めるべきとする意見(4件)があった。
    (ウ ) 登記識別情報の有効証明(骨子案第1の5(3))について
 賛成する意見(7件),低廉簡便なものとすべきとする意見(6件),代理人が確認できる制度にすべきとする意見(1件),本人が登記所から交付を受けた照会番号により取引の相手方が有効性を確認できるようにすべきとする意見(1件)があった。
  (6 ) 事前通知を充実させた制度を用いるとともに,資格者代理人から提供された本人確認情報の審査結果に基づいて本人確認をすることができること及び保証書制度の廃止(骨子案第1の6)について
 事前通知を充実させた制度について,賛成する意見(13件),何らかの形で対面審査の機会をも確保すべきとする意見(3件),公証人による面前主義の採用か,それができなければ本人限定受取郵便の方法によるべきとする意見(1件),事前通知は手続の遅延を招きオンライン化の目的に反するとする意見(1件),所有権以外の登記の場合は事後通知を用いるべきとする意見(1件),登記の受付日を事前通知に基づく申出日とすべきとする意見(1件)があった。
 資格者代理人による本人確認情報の提供について,賛成する意見(12件)のほか,反対する意見(9件)及び再検討を要望する意見(1件)があり,これらには,資格者代理人による本人確認ではなく保証人2名による本人確認の証明を求めるべきとする意見(5件),本人確認は公証人が行うべきとする意見(1件),代理人は登記権利者を代理して申請する立場にあるから,公正な立場で本人確認報告をすることを期待できないとする意見(1件)があった。また,資格者代理人が不適切な本人確認を行った場合の罰則規定が必要とする意見(4件),更に過失の場合にも罰則を設けるべきとする意見(1件),資格者代理人が本人確認をする条件及び本人確認資料の保存について規定する必要があるとする意見(1件),資格者代理人による本人確認がされた申請は一律事前通知を不要とすべきとする意見(1件),資格者代理人による本人確認があれば前住所地への通知も不要とすべきとする意見(5件),申請者自身による本人確認手続が資格者代理人による本人確認手続よりも不便になることがないようにすべきとする意見(2件),資格者代理人が報告書を作成することにより資格者の報酬が増加し,国民の負担になるとする意見(1件)があった。
 保証書の廃止に賛成する意見(10件)があった。
 このほか,アメリカにおけるタイトル・インシュアランス制度等の採用を考慮すべきとする意見(1件)あった。
  (7 ) 登記官は,申請人となるべき者以外の者が申請人として申請していると疑うに足りる相当な理由があるときは,申請人等に出頭を求め質問することなどができること(骨子案第1の7)について
 賛成する意見(6件),要件は可能な限り具体的にし,審査権限が恣意的に行使されないようにすべきとする意見(9件),取引の安定を害するなどとして反対する意見(5件),出頭主義を維持して登記官の審査はこの手続内で行うことにすれば足りるとする意見(1件)があった。
 このほか,資格者代理人による本人確認又は事前通知がされている場合には,登記官の本人確認の審査を認めるべきでないとする意見(1件),登記官にとって過度の負担にならないよう審査を行うべき場合の例示を充実させるべきであるとする意見(1件),出頭を求める相手方は申請人本人及びその法定代理人に限るべきとする意見(1件)があった。
  (8 ) 表示に関する登記をオンライン申請により行う場合において,原本と相違ない旨を明らかにした原本の写しに相当する情報を添付情報として提供することを認めること及びこの場合,登記官は,原本の提示を求め確認すること(骨子案第1の8)について
 賛成する意見(8件),原本提示は登記官の判断により省略できるとすべきとする意見(1件),原本提示は法定添付書面とそれ以外とで取扱いを異にすべきとする意見(1件),原本提示後に登記するのでは,登記の遅延となるとする意見(1件),電子情報だけで事務が先行し,原本と照合する手続が確実に履行されないと請負人が不利益を受けるおそれがあるとする意見(1件),資格者代理人への罰則を規定すべきとする意見(1件)があった。また,権利に関する登記の申請についても同様の措置を講じて欲しいとする意見(1件)があった。
  (9 ) 権利に関する登記の申請における登記原因証明情報の提供(骨子案第1の9)について
 賛成する意見(16件),電子契約書又は処分証書の提出を原則とすべきとする意見(3件),公正証書により作成することを義務づけるべきとする意見(1件),登記原因の真実性を担保する役割は期待できないとする意見(1件),登記原因証明情報の作成提供を強制することは民法の意思主義に反し,行政の不当な介入であるとする意見(1件),申請書副本でよいとする意見(1件)があった。
 登記原因証明情報の内容については,どの程度のものを提供すべきか具体的に明示すべきとする意見(3件),共同申請事件に関する登記原因情報の要件は緩和すべきとする意見(1件),売渡証書を利用できるようにするなど,申請人の負担を増やさないようにすべきとする意見(1件),売買契約の場合には,売買代金額の情報が必要とする意見(2件),反対に,売買代金額の情報は不要とする意見(1件)があった。
 登記原因証明情報の作成については,作成名義人は当事者又は代理人とすべきとする意見(2件),資格者代理人の作成した登記原因証明情報については当事者の電子署名は不要とすべきとする意見(3件),後日の紛争防止のため当事者双方の署名押印又は電子署名を求めることを検討すべきとする意見(3件)があった。
 このほか,すべて登記官の面前で署名・作成されるシステムを考えるべきとする意見(1件),資格者代理人の登記原因証明情報の作成権限又は契約等の有効性の確認権限の規定を設けるべきとする意見(3件),電子化されていない書面は,事前に持参又は郵送することができるようにすべきとする意見(1件),登記原因証明情報に契約代理人の署名情報がある場合,その契約代理人が登記申請も代理できるようにすべきとする意見(5件),判決等に基づく単独申請の場合の登記原因証明情報の内容等について検討が必要であるとの意見(1件)があった。
  (10 ) 登記原因証明情報は,利害関係人において閲覧することができる登記記録の附属記録とすること(骨子案第1の10)について
 賛成する意見(10件),保管期間は20年以上とすべきとする意見(3件),閲覧できる者を利害関係人に限定すべきとする意見(4件),閲覧できる範囲を限定すべきとする意見(2件)があった。
  (11 ) 登記が完了した旨の通知の制度(骨子案第1の11)について
 賛成する意見(7件),法務局又は登記官の電子署名が付された通知とすべきとする意見(2件),オンライン申請の場合でも書面による通知をすべきとする意見(2件),その場合は有償でも差し支えないとする意見(1件)があった。
  (12 ) 同一の不動産に関する前後が明らかでない数個の申請は,登記所に同時に提供されたものとみなす制度(骨子案第1の12)について
 賛成する意見(7件),反対する意見(2件)のほか,前後関係の決定方法について明確な基準を設け,厳格に運用すべきとする意見(4件),慎重に検討すべきとする意見(1件)があった。
 このほか,却下通知の方法等の在り方について適切な措置を講ずる必要があるとする意見(1件),却下後の紛争処理制度を設ける必要があるとする意見(1件)があった。
  (13 ) 電子情報処理組織を使用する方法により,登記事項証明書等の送付を請求することを認めること(骨子案第1の13)について
 賛成する意見(7件)があった。

2  現代語化その他

  (1 ) 平仮名書き・口語体の法文に改めること(骨子案第2の1)について
 賛成する意見(7件)があった。
  (2 ) 登記簿並びに地図及び建物所在図は,電磁的記録媒体に記録することを前提とした制度とすること(骨子案第2の2)について
 賛成する意見(5件),バックアップの頻度が問題となるとする意見(1件)があった。
  (3 ) 不動産特定番号を登記事項とすること(骨子案第2の3)について
 賛成する意見(5件),メリットはないとする意見(1件),地番,家屋番号など他の情報番号との混同をなくす工夫が必要とする意見(3件),バーコード等,窓口申請でも即時に入力できるシステムを構築して先申請の有無が即時に確認できる制度とすべきとする意見(1件),個人情報の一元管理に使用されることのないよう対処すべきとする意見(1件)があった。
  (4 ) 予告登記の制度の廃止(骨子案第2の4)について
 賛成する意見(10件),反対する意見(3件),代替する制度を設けるべきとする意見(1件)があった。
  (5 ) 窓口申請においても,電磁的記録を申請書に添付することができること(骨子案第2の5)について
 賛成する意見(5件),信託原簿を電磁的記録で提出することを認めるべきとする意見(1件)があった。
 また,資格者代理人が申請する場合は添付書類を確認したことの情報提供で足りるとすべきとする意見(1件)があった。
  (6 ) 登記官の過誤による登記を職権で更正する手続等の整備(骨子案第2の6)について
 賛成する意見(6件)があった。
  (7 ) その他
   ア  オンライン申請の導入に関するもの
 オンライン申請の導入は時期尚早とする意見(2件),システム上の事故を予防する充分な措置を講ずべきとする意見(2件),手続の簡素化・効率化のみを追求するのでなく,登記の正確性を確保し信頼性を維持すべきとする意見(2件),骨子案による申請人の負担軽減は,机上の空論とする意見(1件)等があった。
 また,嘱託による登記については,その特殊性を踏まえ,適正な制度となるよう十分に検討すべきとする意見(1件),オンライン申請においても印紙による登録免許税の納付を認めるべきとする意見(1件)があった。
   イ  ア以外のもの
 法律改正に当たり,手続を整理簡素化すべきとする意見(2件),申請書等について多画文字をアラビア数字に改めるべきとする意見(2件),申請書等についてA4判横書きとすべきとする意見(2件),表示に関する登記における資格者代理人が作成する調査報告書について省令等に明記し,報告書を一層活用すべきとする意見(1件),補正手続を法定すべきとする意見(2件),仮登記義務者の承諾書の添付による仮登記の単独申請を廃止すべきとする意見(2件),民事執行法第55条等の規定による保全処分決定に基づいて単独で登記を抹消できるようにすべきとする意見(1件),差押えなどの処分制限の登記について裁判所の事件番号を登記事項とすべきとする意見(1件),登記事務のオンライン化を踏まえ添付書面を合理化すべきとする意見(1件)等があった。

第3  今後における意見の取扱い

 お寄せいただいた御意見は,今後,不動産登記法の改正に当たり,参考資料として使用させていただきます。御協力ありがとうございました。