公示催告手続の見直しに関する中間取りまとめ
(注 )「…条」とあるのは,仲裁法附則第9条による改正後の公示催告手続ニ関スル法律(明治23年法律第29号。以下「現行法」という。)の条文を指す。
第1 公示催告手続の開始
1 公示催告手続の管轄
(1 ) 一般の公示催告手続の土地管轄(第1条関係)
公示催告手続の土地管轄については,現行法の下では,失権の対象とされる請求若しくは権利を有する者の普通裁判籍の所在地又は当該請求若しくは権利の目的物の所在地(当該請求又は権利が登記又は登録に係るものであるときは,登記又は登録をすべき地)が基準とされるとの考え方が採られている(第1条において準用する民事訴訟法第4条第1項,第5条第6号,第13号等)が,この取扱いを維持するものとする。
(注 )現行法の原則的規定に基づく公示催告手続が用いられる法律関係としては,例えば,不動産についての登記に係る権利その他の登記又は登録に係る権利に関し,登記(登録)義務者の所在が不明であるため登記(登録)の抹消の手続をすることができない場合(不動産登記法第142条第1項等)が挙げられる。
(2 ) 有価証券の無効を宣言するためにする公示催告手続の土地管轄の特則(第779条関係)
有価証券の無効を宣言するためにする公示催告手続の土地管轄の見直しの必要性について,どのように考えるか。
(注 )現行法では,証書の履行地が最も当該証書に関する法律関係に密接な関係を有することから,証書に履行地が表示されているときはその履行地を管轄する簡易裁判所(第1順位),証書にその履行地を表示していないときは履行地となるべき発行人が普通裁判籍(住所,居所)を有する地を管轄する簡易裁判所(第2順位),その裁判所もないときは発行人が証書を発行した当時普通裁判籍を有していた地を管轄する簡易裁判所(第3順位)という段階的な定め方がされている(この土地管轄は,専属管轄である。)。これに対しては,管轄の定め方が硬直的であるとの指摘がある。
公示催告手続の土地管轄については,現行法の下では,失権の対象とされる請求若しくは権利を有する者の普通裁判籍の所在地又は当該請求若しくは権利の目的物の所在地(当該請求又は権利が登記又は登録に係るものであるときは,登記又は登録をすべき地)が基準とされるとの考え方が採られている(第1条において準用する民事訴訟法第4条第1項,第5条第6号,第13号等)が,この取扱いを維持するものとする。
(注 )現行法の原則的規定に基づく公示催告手続が用いられる法律関係としては,例えば,不動産についての登記に係る権利その他の登記又は登録に係る権利に関し,登記(登録)義務者の所在が不明であるため登記(登録)の抹消の手続をすることができない場合(不動産登記法第142条第1項等)が挙げられる。
(2 ) 有価証券の無効を宣言するためにする公示催告手続の土地管轄の特則(第779条関係)
有価証券の無効を宣言するためにする公示催告手続の土地管轄の見直しの必要性について,どのように考えるか。
(注 )現行法では,証書の履行地が最も当該証書に関する法律関係に密接な関係を有することから,証書に履行地が表示されているときはその履行地を管轄する簡易裁判所(第1順位),証書にその履行地を表示していないときは履行地となるべき発行人が普通裁判籍(住所,居所)を有する地を管轄する簡易裁判所(第2順位),その裁判所もないときは発行人が証書を発行した当時普通裁判籍を有していた地を管轄する簡易裁判所(第3順位)という段階的な定め方がされている(この土地管轄は,専属管轄である。)。これに対しては,管轄の定め方が硬直的であるとの指摘がある。
2 公示催告の公告の方法・期間
(1 ) 一般の公示催告の公告の方法・期間(第766条,第767条関係)
公示催告の公告の方法・期間として,裁判所の掲示場への掲示及び官報への掲載を2か月以上行うものとする。
(注 1)公報への掲載による公告は,廃止するものとする。
(注 2)現在,インターネット版の官報については,1週間分の官報が無料で閲覧可能とされているのみならず,毎月一定額の支払により,官報の記事を特定の事項(ある手形の振出人名や手形番号など)から検索することで,例えば,ある有価証券が公示催告手続の対象とされているかどうか等を確認することも可能な状況になっている(独立行政法人国立印刷局のホームページジhttp://kanpou.npb.go.jpを参照)。
(2 ) 有価証券の無効を宣言するためにする公示催告の公告の方法・期間の特則
ア 公示催告の公告の方法についての特則(第782条第2項関係)
証書の無効を宣言するためにする公示催告手続における特則としての裁判所の所在地にある取引所における公告(第782条第2項)を廃止するものとする。
イ 公示催告の公告の期間についての特則(第783条関係)
第783条が定める期間の下限(6か月)を短縮することについて,どのように考えるか。仮に,短縮するとした場合には,どの程度の期間を下限とすることが適当か。
(注 1)公示催告期間の下限については,権利の届出の機会を確保することにより有価証券の所持人の保護を図る観点から定められるものであるが,例えば,約束手形・小切手の場合に6か月では長すぎるとの指摘がある。ドイツでは,小切手について公示催告期間の下限が特に2か月と定められている(小切手法第59条第1項第2文)。
(注 2)公示催告期間の上限についても,現在では裁判所が適当な期間を設定することが許されており,規定上はどんなに長い期間でも設定することが許されていることについては,どのように考えるか。例えば,ドイツでは,公示催告期間の上限は1年とされている(同法第1015条第1文)。
(後注 )有価証券の無効を宣言するためにする公示催告手続については,この手続が有価証券上の権利に係る義務者とは無関係に進められるので,義務者の地位が不安定である(除権判決がされた後に有価証券の所持人に対して義務を履行しても免責されない)という指摘があるが,これに対する何らかの手当ての要否について,どのように考えるか。また,申立人(有価証券の喪失者)の公示催告手続の進行中における利益の保護に関し,権利の届出人(有価証券の所持人)の保護の観点をも踏まえ,見直すべき点はあるか。
公示催告の公告の方法・期間として,裁判所の掲示場への掲示及び官報への掲載を2か月以上行うものとする。
(注 1)公報への掲載による公告は,廃止するものとする。
(注 2)現在,インターネット版の官報については,1週間分の官報が無料で閲覧可能とされているのみならず,毎月一定額の支払により,官報の記事を特定の事項(ある手形の振出人名や手形番号など)から検索することで,例えば,ある有価証券が公示催告手続の対象とされているかどうか等を確認することも可能な状況になっている(独立行政法人国立印刷局のホームページジhttp://kanpou.npb.go.jpを参照)。
(2 ) 有価証券の無効を宣言するためにする公示催告の公告の方法・期間の特則
ア 公示催告の公告の方法についての特則(第782条第2項関係)
証書の無効を宣言するためにする公示催告手続における特則としての裁判所の所在地にある取引所における公告(第782条第2項)を廃止するものとする。
イ 公示催告の公告の期間についての特則(第783条関係)
第783条が定める期間の下限(6か月)を短縮することについて,どのように考えるか。仮に,短縮するとした場合には,どの程度の期間を下限とすることが適当か。
(注 1)公示催告期間の下限については,権利の届出の機会を確保することにより有価証券の所持人の保護を図る観点から定められるものであるが,例えば,約束手形・小切手の場合に6か月では長すぎるとの指摘がある。ドイツでは,小切手について公示催告期間の下限が特に2か月と定められている(小切手法第59条第1項第2文)。
(注 2)公示催告期間の上限についても,現在では裁判所が適当な期間を設定することが許されており,規定上はどんなに長い期間でも設定することが許されていることについては,どのように考えるか。例えば,ドイツでは,公示催告期間の上限は1年とされている(同法第1015条第1文)。
(後注 )有価証券の無効を宣言するためにする公示催告手続については,この手続が有価証券上の権利に係る義務者とは無関係に進められるので,義務者の地位が不安定である(除権判決がされた後に有価証券の所持人に対して義務を履行しても免責されない)という指摘があるが,これに対する何らかの手当ての要否について,どのように考えるか。また,申立人(有価証券の喪失者)の公示催告手続の進行中における利益の保護に関し,権利の届出人(有価証券の所持人)の保護の観点をも踏まえ,見直すべき点はあるか。
第2 除権の裁判
1 失権の効果を生じさせるための手続の構造(第769条第2項,第3項関係)
公示催告手続全体を決定手続とし,除権の裁判の形式も,現行法の判決から決定とするものとする。
(注 )ドイツでは,公示催告手続については,民事訴訟法に規定されており(第946条から第959条まで),これが現行法の母法となったものであるが,その性質は非訟事件であるとするのが多数説である。
(注 )ドイツでは,公示催告手続については,民事訴訟法に規定されており(第946条から第959条まで),これが現行法の母法となったものであるが,その性質は非訟事件であるとするのが多数説である。
2 公示催告手続の申立てについての審理・判断の方式(第765条第2項,第776条関係)
公示催告決定の審理の在り方について,常に申立人の出頭を要する公示催告期日(第771条,第772条)を廃止して,公示催告決定において権利の届出の終期を定めるものとし,1の決定(以下「除権決定」という。)をするための要件の審査については,審尋(書面審尋又は当事者・参考人審尋)によるものとする。
(注 1)公示催告手続を決定手続とした上で公示催告期日を廃止することにより,従来のように除権の裁判の申立てを口頭で陳述する必要はなくなることとなるが,更に公示催告手続開始の申立てをするほかに,改めて除権の裁判の申立てをすることを要しないものとすることについては,どのように考えるか。
(注 2)請求又は権利の届出がされた場合には,申立人及び届出人が立ち会うことができる審尋期日及び審理の終結日を指定する(民事保全法第31条参照)ものとする。
(注 1)公示催告手続を決定手続とした上で公示催告期日を廃止することにより,従来のように除権の裁判の申立てを口頭で陳述する必要はなくなることとなるが,更に公示催告手続開始の申立てをするほかに,改めて除権の裁判の申立てをすることを要しないものとすることについては,どのように考えるか。
(注 2)請求又は権利の届出がされた場合には,申立人及び届出人が立ち会うことができる審尋期日及び審理の終結日を指定する(民事保全法第31条参照)ものとする。
第3 除権の裁判に対する不服申立て
1 除権の裁判に対する不服申立ての方式(第774条第1項,第2項関係)
除権の裁判に対する不服申立てについては,独立の不服申立ての手続とし,決定手続とするものとする。
(注 )現行法では,除権の裁判である除権判決に対する不服申立ての手続は特別の訴えの形式を採っているが,この不服の訴えは上訴ではないものとされている。
(注 )現行法では,除権の裁判である除権判決に対する不服申立ての手続は特別の訴えの形式を採っているが,この不服の訴えは上訴ではないものとされている。
2 除権の裁判に対する不服申立ての手続の在り方
除権の裁判に対する不服申立ての手続を決定手続とすることに伴い,不服申立ての事由など不服申立ての手続に関し,見直しをすべき点はあるか。