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上川法務大臣が,法務省女性職員と意見交換会を行いました(3月19日)。


座談会出席者
(マキロイ)
 皆様お集まりいただきまして,ありがとうございます。
 女性がより輝く法務省にしていくため,上川大臣との座談会を開催させていただきます。
 申し遅れましたが本日の司会を務めさせていただきます大臣官房秘書課付検事のマキロイ七重と申します。現在任官14年目です。4月からウィーンの国連薬物犯罪事務所(UNODC)というところで働きます。オール法務省で取り組んでいる「コングレス2020の準備のために行ってまいります。ぜひ皆様のご協力をいただきたいと思っております。
 それでは,さっそくですが自己紹介とざっくばらんにお話をうかがわせていただきたいと思っておりますので,よろしくお願いします。
 

マキロイ秘書課付
(上川大臣)
 皆さん,よろしくお願いします。
 
(マキロイ)
 最初に,保護局の田代補佐官からお願いします。
 

♦ “社会を明るくする運動”の更なる発展を目指して【保護局 田代氏】

(田代)
 保護局更生保護振興課補佐官,田代と申します。
 私は保護局出身で,採用されてから20年を超えるのですが,半分は保護観察所などの現場で,半分は法務本省の保護局で勤務しております。
 今の主な業務は,更生保護の民間協力者である保護司,更生保護女性会,BBS会のコーディネートです。また,犯罪や非行を犯した人たちの立ち直り支援に国民の皆様からの理解や協力をいただくための“社会を明るくする運動~立ち直りを支える地域のチカラ~”の担当をしています。まさに国民の身近な法務行政を考えることが,私の仕事かなと思っています。
 
・“社会を明るくする運動”とは?

 “社会を明るくする運動”の認知度は必ずしも高くありません。特に,20代,30代の認知度が低いのです。現在,保護局で“社会を明るくする運動”を担当するスタッフは,6人中5人が女性で,私以外はみんな20代,30代前半の女性です。ということで今年は,20代,30代の若い女性層を主なターゲットとして“社会を明るくする運動”を展開していきたいと考えています。更生保護のマスコットキャラクターである更生ペンギンのホゴちゃんとサラちゃんはすでにおなじみかと思うのですが,今年のポスターはさりげなく,今時のデザインといいますか,切り絵風のデザインになっております。今ふうのホゴちゃんとサラちゃんになっておりまして,切り絵ふうの暖かいタッチ,色合いも暖かくということで,こういった身近なものをきっかけに若い女性層に立ち直り支援には誰でもが協力できるんだよ,ということが伝わればいいなあと思っております。
 
(上川大臣)
皆さんにも見えるようにしてください。(ポスターページにリンク)【PDF】
 

保護局 田代氏

・世界保護観察会議について
(田代)
 話は変わりますが,私が今の部署に来てから3年が経過します。様々な仕事の中で一番心に残っているものは,去年の9月に開催されました「世界保護観察会議」です。世界34カ国から400名近くの方々が集まって,社会内処遇について議論するために極東の日本にお集まりいただいたのです。会議の3日間を通じて,私たちが普段発信している,「人は変われる」というメッセージがすごく伝わったなあというふうに感じました。法務省では,2020年に国際連合犯罪防止刑事司法会議「コングレス2020」を控えていますので,「世界保護観察会議」の経験を活かせればいいと考えています。
 
(マキロイ)
 続いて人権擁護局の川野係長,お願いします。
 

♦ 「人権相談窓口」を広く知ってもらうために【人権擁護局 川野氏】

(川野)
 私は,平成17年法務省民事局に採用され,民事局や人権擁護局,それから人事課などでの業務を経験しました。また,東京法務局でも,不動産登記や商業登記などの業務を経験しております。
このほかに2010年から2年間,イギリスに留学をして,国際人権法を勉強してきました。そのときの経験や学びを業務に活かせればと思っていたところ,帰国後,個人情報保護委員会事務局に出向することになりました。そこで,国境を越えて移転される個人の情報をどう保護するかといったこと等を議論する国際会議に参加するなど国際業務を経験することができました。

・人権擁護局の広報活動について
 昨年4月,人権教護局に戻ってきましたが,人権擁護局は2度目で,採用3年目のときに一度働いたことがあります。そのときは,人権啓発課で,冊子を作ったり,ポスターを作ったりしていたのですが,やはり3年目で経験も浅かったですし,1年間しかいなかったこともあって,新しいものを作り出すことがなかなか難しかったです。
 今回10年ぶりに人権擁護局に戻ってきて,戻ったところは平成29年4月に新しくできた部署である総務課人権擁護推進室です。人権擁護局全体として,課の枠にとらわれずに,新しい企画を作り出したり,見直すべき業務を見直したりといったことができるところなので,今年1年,楽しく仕事をさせていただきました。特に,今年力を入れたことは広報業務ですが,法務局が人権相談の窓口を置いていることの認知度は,ある調査によれば3割くらいしかありません。せっかく近くの法務局には人権相談窓口を置いていているのに,認知度が低いということは,残念なことです。そこで,今年は効果的な広報戦略を考えて取り組んできました。たとえば,法務省ホームページ,法務局ホームページ,人権擁護委員のホームページ等それぞれ同じようなことを書いているので,そこの情報の整理をしたり,以前から開設している人権擁護局の公式ツイッターに加えて,今年は新しくフェイスブックを立ち上げまして,どういう情報を発信すると拡散していくのか,というのを日々試行錯誤しています。
 今後について,平成30年は,世界人権宣言採択70周年,人権擁護委員制度70周年ということで,人権擁護局にとってメモリアルイヤーとなります。国内向け広報を引き続き推進していくということと,もう一つは,私が留学時代に感じたことですが,友人から日本の人権制度はどうなっているのと聞かれた時に,あまり英語で体系的に説明できる資料がありませんでしたので,国際向けに発信していくようなツールも作りたいなと思っています。
 

人権擁護局 川野氏

(大臣)
 私もツイッターやってるんです。皆さん見ていただいている?
 
(川野)
 人権週間の時にツイートしていただいたものなどを,人権擁護局のツイッターでリツイートさせていただきました。
 
(上川大臣)
 ありがとうございます(笑)よろしくお願いいたします。
 
(マキロイ)
 次は,入国管理局福原情報官,お願いします。
 

♦ 新しいシステムの導入で出入国がスムーズになりました【入国管理局 福原氏】

(福原)
 入国管理局で出入国管理情報官をしております,福原と申します。平成3年入国管理局に入局しました。その後,地方入国管理局で入国審査官として外国人の出入国審査や難民認定業務をやっていました。また,本省では,総務や法令改正などの業務をやってきましたが,その間,警察庁や内閣官房へ出向しまして,警察庁では,海外での災害発生時の国際緊急援助隊の派遣,内閣官房では,拉致問題対策本部事務局で北朝鮮向け短波ラジオの立ち上げなどをやりました。法務省と少し違う環境で仕事をした経験は今も非常に役立っていますし,そのとき御一緒した皆様に今もお世話になっています。

・顔認証ゲート・自動化ゲートについて
 現在の私の仕事の一つは,電算システムの管理運用と新システムの導入です。もう一つは,情報を活用して,問題のある人物を確実に水際で阻止できるよう現場を支援することです。新システムの導入については,昨年10月から顔認証ゲートを羽田空港に導入していますが,これは,日本人旅行者の方の出帰国手続を顔認証技術で自動化するシステムで,大臣にもご視察いただきました。この出帰国手続の自動化は,これまで事前登録を前提に指紋を利用していた自動化ゲートを,事前登録の必要がない顔認証のシステムにして手続を円滑化するというものですから,たくさんの方に使っていただきたいと思っています。日本人の出帰国手続を自動化することで入国審査官の労力を,外国人の旅行者の方の審査へ振り向け,より厳格でスムーズな入国審査を実現することが目的ですので,そういった趣旨を含めて,しっかり広報をしていきたいと思っています。空港会社や航空会社とも協力して,利用者に届く広報を心がけてやっていきたいと思います。それが今の一つの課題です。
 また,情報の活用については,諸外国の知識や経験を学ぶことが非常に参考になりますし,日本が取り組んでいることに興味をもっていただけることもあります。そうした国際連携にも今後力を入れていきたいと思っています。


入国管理局 福原氏
(マキロイ)
 続いて,民事局の樋口係員お願いします。
 

♦ 登記相談の環境整備を目指して【民事局 樋口氏】

(樋口)
 民事局商事課法規係員の樋口と申します。
 私は,現在採用3年目で,採用は人権擁護局,2年目は東京法務局港出張所で登記実務を経験しました。今は民事局商事課で法人登記に関する業務などを行っています。大臣の年頭訓示の国民に身近な法務行政というところですが,2年目の法務局での窓口業務と今の民事局での電話のお問い合わせ対応など,国民の方と触れ合う機会が多いです。そこで両方を比較して考えてみたのですが,法務局での窓口業務では,直接お客様の顔を見て,資料を使いながら説明できるので,お客様からも遠慮なく質問していただけるし,身近に感じていただけていると思うことがよくありました。一方で,今の電話での対応については,まずは口頭で説明することが難しいという問題点があります。また,電話でお答えできることはお答えするのですが,例えば登記の関係では,個別具体的な内容については登記官の判断によりますので,「管轄の法務局にお問合せ下さい」という回答になることがあって,管轄の法務局の連絡先等はお伝えするのですけれども,お客様によっては,「たらい回し」にされてしまったと不快な思いになる方もいらっしゃるのではないかなという不安があります。さらに,管轄の法務局にもう一度お問合せしていただくというのは二度手間だというところが問題点として感じているところです。
 そこで,今,私が置かれている状況でどういった改善ができるかを考えてみたのですけれども,まず,ホームページの内容を充実させるということです。ホームページを充実させれば,ホームページを見ただけで,問い合わせることなく分かる,適切な問い合わせ先が分かるということがあると思います。また,ホームページを参照してもらいながら電話で説明することにより,より分かりやすくなりますし,申請時のミスも減ると思いますので,そういったことも必要かなと思います。もうひとつ,これはまだ実現していないので,ゆくゆくはできればいいなと思っていることです。今,登記相談については,基本的には,法務局の相談窓口に来ていただく方法と電話で相談する方法の2つしかないのですが,メールやホームページ上のお問合せフォームから相談ができるようにするなどの,相談方法の多様化により,例えばお仕事されている方や小さいお子さんがいらっしゃっる方,ハンディキャップがある方など,気軽に法務局にお越しいただけない方や開庁時間に問い合わせができない方がたくさんいらっしゃると思いますので,そういった様々な御事情がある方にとっても身近に相談しやすい環境,相談環境の整備がいずれできればいいなと思っています。
 

民事局 樋口氏

・ワークライフバランスについて
(マキロイ)
 樋口さんは新婚というふうに聞いたのですが今後ずっと法務省で働いていくとしたら不安とかありますか。
 
(樋口)
 ゆくゆくは子供も持ちながら仕事をしていきたいと考えています。法務省はワークライフバランスが充実していると思いますので,自分も努力しながら職場環境もより改善して,必要な時には早く帰れるようにしながら続けていければいいなとは考えているのですが,仕事と家庭を両立できるかなというところが今一番不安なところではあります。
 
(マキロイ)
 私が任官してから,この十数年の間に,さらに良くなってきているのではないかと思いますので,樋口さんももっと良くしていくつもりで頑張っていけば,家庭と仕事の両立がしやすい環境になっていくんじゃないかなと思います。私も現に子供2人抱えて仕事をしていますけれども,一応それなりに家庭も切り盛りできていますし,私にとって大きなチャレンジになりますけども,この春から,ウィーンにある国連薬物犯罪事務所に勤務します。子供2人を連れて夫とは遠距離結婚しながら,新しいことにもチャレンジして,いろんな可能性をどんどん広げていければいいと思っています。樋口さんにもぜひ頑張ってもらいたいなと思います。
 
(上川大臣)
 それぞれ仕事を続けていく年代も違うんだけれども,皆さん本当に仕事にまっすぐ取り組んでいらっしゃるということがすごくよく分かりました。本当にありがとうございます。皆さん,すばらしい活躍をしていらっしゃるなと思います。
 今,皆さんのお話を伺っていて共通していたことは,広報の大切さということです。今はホームページとかSNSとか,いろんな手法があって,国民の期待に迅速にそして円滑に対応するためには,どうしたらいいのか,たらい回しにならないようにするためにはどうすればいいか。まさにこれは,国民に身近な法務省であるための必須条件ですから,それぞれの部課局で取り組んでいることをもっと持ち寄って,そしてそれをプラットフォーム化して,法務省全体としての広報戦略を立てながら,プラットフォームが良いアクセスポイントとなって,質的にもリターンができるようになればいいなと思います。皆さんは,法務行政について,まず国民の認知度が低いという現状認識から考えてそれぞれの業務に取り組んでいるし,ぜひここでの意見は吸収していただき,体系的によりよい形になるようコラボレーションしていきたいと思います。これは具体的な施策の提案にしましょう。
 それから,これから結婚なさってとなった時に,ご家庭と仕事の両立という不安があろうかと思うのですね。けれども不安の部分は一人で抱え込まないで,ぜひ周囲にシェアするということが大事ですね。それから,方法は人によって千差万別だとは思うけれども,不安の中から解決に向けての糸口というものが生まれてくるので抱えている問題を今解決しなければならない,そのためには,自分だけのことだと思わないで,これからの後輩のためにも,周囲にシェアしていく,そのためのプラットフォームがあってもいいと思います。ワークライフバランスもその意味では,それぞれを別々にやりましょうじゃなくて,皆さんで知恵を持ち寄って,あるいは課題や問題を持ち寄って,皆さんで組織的に解決できることとか,ここで解決しなければいけないこととか,この仕分けをしていくというのがすごく大事だと思います。
 今,マキロイさんから自分のケースということがありましたけれども,特に女性職員の皆さんの場合には,これからの課題でもあります。もちろん男性にとっても大きな課題なのですが,その扉を叩くことができるのは,女性の方が強いので,ぜひその点について,この女性職員の皆さんとの懇談の席を機会に,更にこれからもシェアしていって解決に繋がっていくことができるように取り組んでいきたいと思います。
 
(マキロイ)
つづきまして,官房施設課の野口係長よろしくお願いします。

♦ 利用者のニーズを建築物に反映させることが重要です【官房施設課 野口氏】

(野口)
 官房施設課の野口と申します。よろしくお願いいたします。
 私は学生時代から工学系で建築を学んでいまして,技術系職員として入省してから官房施設課で仕事をしています。
 大学以降は“ザ理系”の環境にいましたので,友人に法務省に勤めていると話しても,聞き間違えられることも多いため,反対に考えると,ここにいらっしゃる方々も理系,しかも工学系の職員が同じところで働いていることに少し驚かれているのではないかなと思っています。
 私のいる施設課では,法務省所管の全国の建物を手がけていますので,ほとんど全ての局の方々とお仕事をしたことがあります。また,全国の施設への出張も数多く,それぞれの組織で皆さんがされている仕事,法務省全体の仕事を知る機会が比較的多い職場で働いていると思います。
私たちは,法務行政の遂行のための環境整備をしているのですけれども,それには利用者のニーズを深くお聞きして,建築計画に反映していくということが重要なことですので,各局の皆さんとの連携が不可欠であると感じながら業務を行っています。
 その上で今後,更に踏み込んだ提案をより多く行っていきたいと私は思っています。自身では,研究官として大学院で,環境心理という建築学と心理学を融合したような学問を学んでいましたので,例えば,矯正施設内の環境に新たな提案ができればと思っているところです。中でも少年施設は,教育施設という観点から工夫の余地も大きくて,その点を調査してきたのですけれども,これは,女子施設においても通じると感じていました。矯正施設の過剰収容と言われる時代は落ち着いたのですが,女子施設の収容率は今も低いものではありません。
 また,収容区分が細分化されている男子施設に比べると,色々な属性の人を同一施設で収容している現状ですとか,高齢者人口の比率も高いなど,まだ課題があると感じています。そのため,新たなアプローチによる効果もかえって見えやすいのではないかと考えていまして,環境を注視した矯正施設を提案していきたいと思っております。
 

施設課 野口氏
(マキロイ)
 施設が人間の心理にどういうふうに影響を与えるのですか。
 
(野口)
 例えば,同じ面積の部屋であっても,その形状や家具のレイアウト等様々な要素によって,人間が空間から受ける心理的な影響が変わります。窓ひとつについてみても,位置や大きさに加え,そこから何が見えるのかなども影響しますので,換気や採光を踏まえた建築物共通のルールを守った上で,いかに良い空間を提供するかが,処遇の効果を高めるのに役立つと考えています。具体例として,少年院の寮を想定して実験を行ったものですと,鉄格子の位置が50センチ違うだけでも,中にいる人の印象評価が変わり,その傾向を多角的に分析することができました。
 矯正施設のように,これまでの生活とは違う状況や自ら選んだ状況ではない,というようなところではより一層効果が大きいと思います。
 
(マキロイ)
 続きまして,国連アジア極東犯罪防止研修所の菊地専門官お願いします。

♦ 国際研修を通じた地元住民の皆様との交流【国連アジア極東犯罪防止研修所 菊地氏】

(菊地)
 国連アジア極東犯罪防止研修所の統括専門官をしております菊地と申します。
 私は平成7年に東京地方検察庁に採用されまして,以後22年間検察事務官として勤務してきました。法務省での勤務は今回が初めてです。プライベートでは子どもはいませんが,子どものように手のかかる夫がおりまして,仕事するときはする,遊ぶときは遊ぶとワークライフバランスがとれた生活を心がけるようにしています。
 まず,私が仕事をする上で心がけていることを述べさせていただきます。これまで検察事務官時代,裁判員制度の広報に携わっており,不特定多数の方と接する機会が多くありました。また最近では,司法修習課で毎回,各クール70名前後の司法修習生の指導係をしていましたので,そういった職員以外の多くの方と接する時に,こちらは同じ説明を何度もしていますので,つい説明が雑になってしまったり,略語を使いがちになったりします。そのときに,相手側は,初めて聞く方々なのだと常に自分に謙虚であれと言い聞かせるようにしています。
 次に,今の職場でどのような業務をしているか説明します。研修所では,10月から国際法務総合センターで国際研修を開始しています。私は,主に事務部門を担当しています。研修内容を充実させることはもちろんですが,研修員はほぼ1か月半の寮生活を行います。ここで快適な生活を送ってもらうために,こうしてほしいというようなリクエストが入ったときには,極力迅速に対応しています。また,週末行事といいまして,ランチパーティーで大きなケーキを用意しサプライズ誕生日会をして,喜んでいる方々を見たり,歓送会で思い出ムービーを流したりするのですけれども,それを見て泣いてしまう方々も結構いますね。そういう研修員の姿を見ると,また頑張ろうという気持ちになります。
 最後に,今一番大切なこととして取り組まなければならないのは,昭島の地元住民との良好な関係の構築です。そう思うようになったきっかけは,昭島市役所の部長さんとの出会いです。お会いするたびに色々と質問してくださり,研修所に非常に興味を持って下さっています。
 

国連アジア極東犯罪防止研修所 菊地氏
(マキロイ)
 女性の部長さんですよね。
 
(菊地)
 女性の部長さんです。
 内覧会にも来て下さいました。昭島市は,広報誌に国際法務総合センターが設置されることにより国際交流が盛んになるとか,教育上の効果がこれだけありますということをうたっていましたので,移転後,すぐに教官と共に,昭島市役所に伺いまして,部長さんや職員の方々とお話させていただきました。そこで,どういったことを期待され,また要望されているか聞いてまいりました。そういった経緯を経て,様々な検討をした結果,来年度の秋頃,近隣の小学校から国際研修の見学に迎え入れることとしまして,具体的にどういった見学内容にするのかを詰めているところです。
 
(上川大臣)
 いい話ですね。今の話。応援しますよ。
 
(菊地)
 JICA等の研修ですと,時間やプログラムに制約もあるので,そこをどう調整していくのか,子どもたちにとっては,あまり夕方遅くなってもいけませんし,これからいくつもの越えなければならない課題がありますが,どういうことができるのか検討していきたいです。
 
(上川大臣)
 これは別の意味での法教育ですね。小学校にとって,とてもいいプログラムができそうですね。今はまだイメージですけれども。これはぜひ,今「法教育」という言葉を体系的に行っていく,目玉企画になるのではないでしょうか。こういうのいいですね。
 
(マキロイ)
 つづいて,矯正局の小西係員お願いいたします。

♦ 国民の皆様により理解されやすい刑事施設の在り方を考える【矯正局 小西氏】

(小西)
 今年度の新採用で矯正局成人矯正課処遇第三係の小西と申します。
 まず,処遇第三係では,受刑者等の就労支援業務を行っているのですが,日々の業務の中で,就労支援では施設内支援だけではなく,出所後の支援につなげていくことが大変重要だなと思っています。そのためにも社会内処遇を担当する保護局の方との連携が非常に大事だなと日々感じているところです。
 実際に今年度から,保護局の就労支援担当の方と定期的に週に一回程度の打合せを行って,情報共有や矯正保護の両局にまたがる取組というものを一緒に行っているところなのですが,その中で私自身が担当させていただいている業務としては,保護局の私の同期に当たる新採用職員と2人で,就労支援制度の説明パンフレットを作らせていただいています。これまでは,外部への説明資料が制度ごとや担当する局ごとに作成されていて,利用される事業主の方にとって,全体像が分かりにくいと思うことがありましたので,事業主さんが利用するという視点に立って,これが必要だという制度を網羅的に記載したパンフレットを作成しています。このパンフレットの作成は,厚生労働省の就労支援担当の方にも御協力していただいているものなので,本当に省庁も越えた幅広い知見を集めていい取組ができているのではないか非常にやりがいを感じているところです。
 また違う話になるのですけれども,刑事施設では,男子の被収容者が非常に多いということで,就労支援でも女子の被収容者に特有の希望の職種の求人が少ないということから,問題意識の浸透がまだまだ不十分だなということがあって,私は今年度女子刑事施設を対象にした就労支援のテレビ協議会という企画を開催させていただいていて,これはすごくよかったなと思っているので,男性の被収容者というような,そのボリュームゾーン以外の層に焦点を当てた取組というのをやっていけたらいいなと思っているところです。
 最後に個人的なことなのですが,来年度,私は刑務官として刑事施設で女子の被収容者の処遇を担当することになっています。刑事施設で勤務するのは本当に初めてのことで,刑事施設内での常識にとらわれない,初めて刑事施設に来たことを生かして,より国民に近い視点で刑事施設を見て,国民により理解されやすい刑事施設のあり方というのを考えていきたいなと考えています。
 

矯正局 小西氏
(上川大臣)
 今,お二人でパンフレットを作られたというのは,はじめはどういうきっかけだったのですか。
 
(小西)
 もともとは,保護局の就労支援の担当者の方と打合せを行う中で,そういうものが必要だねということは会議の中で決まったのですが,事業主さんというのは一般の方で,就労支援の制度を知らない方なので,まだ入省したてで,就労支援とか制度とかに詳しくない,フレッシュな1年生同士でパンフレットを作ってみてはどうだろうかということになりました。
 
(上川大臣)
 これもいい話ですね。すばらしいですね。フレッシュな視点というのは大事ね。国民の側に立ったという感じね。ちょっとまた見せてくださいね。いつ頃できますか。
 
(小西)
 今年度原案を作成し,来年度以降完成ということになっています。
 
(上川大臣)
 これもフォローしていきたいですね。
 
(マキロイ)
 小西さんは1年目ということで,どうして法務省に入られたのかについて聞いてみたいのですけれども。
 
(小西)
 私は,大学時代にセクシャリティの研究をしていたこともあって,日の当たらない人に注目してアプローチできるようなことが将来できたらとずっと考えていました。刑事施設に入ってくる人というのは,本人の問題というのはもちろんあると思うのですが,社会での問題であるとか,家庭内での問題であるとかが背景にあって,さらに社会の教育や福祉の網の目からも漏れてしまって,最後にたどり着いたと方々がいると思うので,そういう人たちに改善更生というか再犯防止の取組を行って,国民の安心・安全ということももちろんありますが,その人たちの再スタートを応援するという場所だという理念にすごく共感したというか,いいなと思って,ぜひここで働きたいと思いました。
 
(上川大臣)
 施設に行くといろいろなことがあるかもしれないけれども,まっすぐな目で見て,声を上げてもらって,いろいろ改善していってくださいね。
 
(小西)
 ありがとうございます。
 
(上川大臣)
 組織に慣れるのではなく,組織を今のまっすぐな目で見つめるということで,がんばっていってください。
 
(小西)
 ありがとうございます。がんばります。
 
(マキロイ)
 最後に,刑事局の古宮参事官よろしくお願いします。

♦ 各部局間での連携の重要性を感じています【刑事局 古宮氏】

(古宮参事官)
 刑事局公安課で参事官をしております古宮と申します。
平成11年に任官しまして,19年目になるのですが,これまでの勤務は,検察庁の現場での勤務が半分くらい,法務省・最高検での勤務が半分くらいという経歴です。
 刑事局にいますと,検察庁にいるのと違って実際の具体的な事件に自分が直接関わるということはないのですが,警察庁や財務省,厚生労働省などの関係省庁と一緒に少し遠いところから事件を見るというような立場になり,大局的にはこんなふうに見えているんだなと思ったりしますし,全然違う視点で見ることができ,大変ありがたく思っています。
 私は,大臣の前で申し上げるのは非常に恥ずかしいのですが,英語を使わなくていい仕事として検事を選びまして,どちらかというと海外での勤務などにあまり興味がないまま仕事に就いたのです。ところが,任官後にドイツに在外研究に行き,ドイツの裁判官や検察官といった法律家から実務に関するさまざまなことを教わる機会を頂き,思ってもみないような興味深い経験をすることができました。司法制度における個々の仕組みややり方の違いはいろいろあるものの,ドイツでも,当然ながら,刑罰を課すということは非常に慎重で重大なことである点で,究極的には共通している面が非常に大きいと思いました。おかげで,語学という点で自分からはやれないと感じていたことも,せざるを得なくなればなんとかなるという気持ちになれたように思いますし,また,海外へ行った方は皆さん同じような経験をされていると思いますが,日本が相対化されるような視点を与えていただいたと感じています。
 大臣の年頭の所感から私が思ったのは,法務省の各部局の連携ということが日常的な業務の上でも本当に重要だということで,やはり,長く勤務していても他の部局の業務に関する勉強が不足しがちだと感じています。今日もこうしてお話を伺って,皆さんそれぞれのところで,様々な具体的工夫をしているのだということが実に勉強になり,励みになりました。同時に,何かあったときに知恵を借りようという気持ちにもさせられたわけです。立場によっては,自分の所掌業務を適正にこなすことでいっぱいいっぱいになってしまうとことがあると思うので,しかるべき立場の者が,いろんなところに目配りをして,どこにどういう情報や知見が転がっているのかということを既存の考えにとらわれずに意識的に探していかなくてはならないのだと思いました。そのことは,不断にやり続けなくてはならないことだと強く決意をしたところです。
 それはドイツにいたときと似たような感覚で,自分の立ち位置が常に相対化されていなくてはならないことのようにも思いました。自らの業務のあり方は,果たして外から見てどうなんだろうとか,他の部局がどういう考え方でどういう業務をどのようにこなしているのか,それとの対比で自分たちの業務はどうなのかなど,相対化していく視点を常にもっていなくてはならないように感じています。
 大臣のおっしゃる「迅速で緊密な連携」は重そうな課題に見える一方で,温かさも感じたと申しますか,つまり自分のところだけで抱え込む必要はないという意味もあるように思え,これから省内で特に連携が必要な再犯防止といった課題については,やはりかなりきめ細かいレベルで相互に連携するということをしっかり取り組んでいかなければいけないと感じたところです。
 

刑事局 古宮氏

♦ オール法務省で取り組む【上川法務大臣】

(上川大臣)
 今,連携の話がありまして,オール法務省というのはすごくシンボリックな話でありまして,つまり自分のセクションの中で業務が完結するというのは,本来の法務省の仕事ではないと思います。法務省の仕事は国民のための安心・安全のプラットホームを,いろいろな目で網を張り巡らせて,それを,それぞれ分担しているわけだから,実は,密接につながっているのですよね。
 つながっているということを組織的に表現できないと,表現をするというのは仕事を一緒にしないと,気づきということはできないので,できるだけ風通しを良くということを私はよく言うのだけれども,風通しの良さは,一緒に仕事をする,一緒に仕事をすることによって気づきがでてくる,それがさらに新たな力の源になると,そこに気づいてもらいたいのです。
 そうでなければ,ただ,命令されたからやるという世界では全くないから。社会は必ずネットワーク,網の目なので,皆で分担していくと,その境のところが絶対にでてきちゃうわけです。ただ,その境目ですら落としちゃいけないということですから,その意味では,皆さんが,それぞれすばらしいセクションで,これまでもいろいろな経験をしながら,またこれからもそういう経験をするということやまだ経験していないという目線があるということも含めて,強く大きな潜在的な力があるということを,これからも,もっともっと発揮していただきたいと思っています。
 

上川法務大臣
 今日は,本当に嬉しいです。本当に心強いです。
 まさに,皆さんがそういうふうな気持ちで仕事をしていく中では,いろいろな課題が出くると思うので,その時に,皆さんで共有していただいて,決して自分だけの問題じゃないのだと。いろんな人が同じように抱えている課題があることを意識して,自分を相対化していきながら,組織の中のよりよい働き方ができるようにしていくというところにもコミットメントしていただきたいと思います。
 皆さんのお話から,広報の大事さということが全員共通しているのでしょうか。私も法務省はすごくもったいないなと思うのだけれども,これから国民の皆様により法務省が身近になっていくためには,利用者目線で,どう考えてどう対応していくべきか。これは共通していたと思うのですね。
ぜひ,これは具体的なプロジェクトとして,さらに力を入れていきたいなと思いました。
 それから,御自身の希望もあるだろうけれども,いろんな部課局をまたがっていくということで,新たに見えてくるということもあるので,そういう経験は積極的に人事の面でした方がいいのかもしれないなと感じました。
 縦の採用組織なので,採用組織の特徴は大切にしつつも,あえてセクションを変える。今まで自分のもともとの採用の局と違うところに行くと文化が違うなと思うことがあるでしょう。文化が違うということは相対化できるということなのですから,自分を更に知るということもいいことだし,その中で問題や課題があればさらに次のところでいかすことができるので,その辺はどうですか。違うセクションに行って感じたことなどは。
 
 

♦ 違うセクションで働いて感じたことは?

(福原)
 内閣官房での経験で,本当に手探り状態で周りの方からも支えていただきましたが,提案したことが実際の施策になっていく早さが,法務省の中では経験したことがないものでした。また,警察庁では,「やらないで後悔するよりもやった後で後悔した方がいい」ということを勉強させていただいた場面がありました。それは当時の上司の考え方であって組織のものではないのかもしれませんが,文化や環境の違いを感じ,勉強になったと思います。
 
(菊地)
 初めて法務本省で勤務させていただいて,職員がいろいろな部局から集まってきているので,検察庁ではお互い「あ・うん」の呼吸でやっていたことが全く通じず,お互いのやり方とかを理解しながらうまいことまとめ上げていけてないということに直面してそこは非常に難しいなと感じています。
 


♦ 座談会を終えて ♦
 
(上川大臣)
 こういう懇談会は非常にいいですね。どうですか,皆さん。この会良いと思いませんか。
 

座談会の様子
(田代)
 他部局の方の話はあまり聞いたことがなくて新鮮でした。
 
(川野)
 共通の悩みがあるというのが初めて分かったので,こういう会って大切なんだなと思いました。
 
(古宮)
 すごく意義深いというか,なるほど,困ったらここに聞いてみればいいんだといったことを思ったりできて本当に良かったです。ありがとうございました。
 
(小西)
 私も本当に勉強になって,皆さんの仕事内容だけでなく,こういう課題があるときに,皆さんどういうふうに考えて仕事されているのかということがすごく勉強になりました。
 
(樋口)
 すごく勉強になりました。
 私は4月から法務省を離れて出向するんですけれども,まだ民事局と人権局しか経験がないので,全然,法務省のことが分からないまま法務省を離れるのは不安なんですけれども,でも今日のお話を聞いて,いろんなところで,法務省を離れて法務省を見るということも大事だと思いました。またさらに勉強して法務省に帰ってきたときに,いい仕事ができればいいなと思いました。
 
(野口)
 皆さん共通する悩みもあるようなので,このような会に集ってお話をすることで,他の方が経験した解決策も学べますし,また,一緒に悩めばもっと早く解決につなげられると思いました。オール法務省としての問題解決のひとつのツールになり得ると感じました。
 
(上川大臣)
 皆さんに,まさにこれから,そのことをやっていただければと思います。
 とても良い時間でした。御協力いただいてありがとうございます。
 ぜひ,皆さんがつながっているということを実感していただけたのではないかと思うのですけれども,女性・男性という区分けというか,ものの考え方というのは,私あまり好きじゃないのです。一人一人が自分のバックグラウンドを担って,それぞれの思いや志をもってお仕事をなさっているわけですから,そのことをいつも考えながら,過去の自分と今の自分はどうなのか絶えずキャッチボールして対話して,これからもまた法務省を通して国民の皆様の安心・安全のために尽くしていただければと思います。
 私は,環境整備のためには,しっかりと応援をしますので,何かいろいろな悩みや課題があったら,まず上司に相談するということになりますが,そういう関係を積極的に作っていただいて,職員の誰もが取り残されないように,皆さんだったら,いろんな方を見て励ましたり,面倒を見たりできると思います。そういう役割も含めてやっていただきたいなと思います。
本日は本当にありがとうございました。
 
 (注)出席者の肩書きは,意見交換会当時のものです。
 

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