検索

検索

×閉じる

法務大臣閣議後記者会見の概要

令和3年4月23日(金)

 今朝の閣議において,法務省案件はございませんでした。
 続いて,私から2件報告がございます。
 まず1件目ですが,「法務省ガバナンスPT」についてです。
 PTでは,中堅職員によるワーキンググループからの提案等を基に,業務の改善方策を検討しておりまして,昨日(4月22日),その第一弾として,直ちに実行できる具体的な改善方策を取りまとめました。
 1つ目は,「テレワークの推進」であります。テレワーク実施者と出勤者とが,1日に1回以上,ウェブ会議などを通じて,コミュニケーションをとること,研修や会議を行う際には,原則として,オンラインによる参加を可能とすることなどであります。
 2つ目は,「休暇等取得の推進」であります。職員の休暇予定や休暇取得状況について,上司や同僚から「見える化」すること,育児休業を取得した職員に対する最新情報の提供など,そのフォローアップ体制を整備することなどであります。
 3つ目は,「メンター制度の活用」であり,若手職員等を対象に先輩職員が必要な助言等を行うメンター制度について,複数のメンターを利用可能とすること,職務経験の豊富な職員のメンターとしての活用,「子育てメンター」の導入といった拡充をすることといたしました。
 これらは,これまでも一部の局部課で実施されていた好事例や工夫した取組につきまして,今後は,法務省全体として実施していくこととしたものであります。
 今後も,PTやワーキンググループにおける議論を続け,人材育成の在り方などの中長期的課題についても,検討を進めていくこととしております。
 また,職員には,民間企業の取組についての知見も得てもらい,その上で議論をし,更なる改善方策の策定につなげてもらいたいと考えております。
 2件目は,法務省関連の新型コロナウイルス感染症の感染状況についてです。
 4月16日(金曜日)の会見後から昨日までの間に,職員につきましては,8の官署・施設で計11名の感染が判明しました。詳細は既に公表されたとおりです。
 なお,被収容者の感染判明はございませんでした。
 現在,新型コロナウイルス感染症の第4波により,自治体から緊急事態宣言の発出の要請がなされている状況であります。法務省は矯正施設など命を預かる施設を所管しております。私は,第1波から第3波まで対応に当たってきたこれまでの知見を最大限生かし,高い緊張感を持って対応に当たるよう,職員に指示したところであります。

夫婦別氏関係訴訟の東京地裁判決に関する質疑について

【記者】
 東京地裁で4月21日,米国で別姓のまま結婚した夫婦が日本での戸籍記載による婚姻関係の確認を国に求めた訴訟の判決がありました。
 判決では,婚姻届の不受理に対しての訴え自体は退けましたが,日本でも「婚姻自体は有効に成立している。」と認定しました。
 法務省として判決の受け止めと対応をお願いいたします。

【大臣】
 判決でありますが,外国の方式に従い夫婦が称する氏を定めないまま婚姻の手続を行った原告らが,戸籍等により婚姻関係の公証を受けることができる地位の確認を求めた訴えについては不適法として却下するとともに,そのような公証の方法を設けていない立法不作為が憲法24条に違反するとの原告らの主張を認めず,その国家賠償請求を棄却したものであって,国が全面的に勝訴したものと承知しております。
 もっとも,この判決の理由中におきましては,このような場合については,我が国におきましても,民法第750条の効力が発生する前の,暫定的な状態で婚姻が有効に成立しているとの判断が示されたものと承知しております。
 政府といたしましては,このような場合につきましては,そもそも我が国において婚姻が有効に成立しているとは考えておらず,この点に関する国の主張が受け入れられなかったものと受け止めております。
 国が勝訴したため控訴することができないわけでございますが,まずは原告側の対応を注視してまいりたいと考えています。

入管法改正案等に関する質疑について

【記者】
 入管法改正に関してお聞きします。名古屋入管で亡くなったスリランカ人女性を亡くなる2日前に診察した医師が,患者が仮放免を望んで心身に不調を来しているなら,仮放免して良くなることが期待できる,患者のためを思えばそれが一番良いのだろうかと報告書に記載していたことが判明しました。これは9日に発表された中間報告には一切書かれておりませんでした。
 報告の客観性や中立性が改めて問われていると思いますが,この医師が提出された診療情報提供書等々,国会で公表する予定はありますでしょうか。

【大臣】
 報道につきましては承知をしているところでございます。
 今回の事案につきましては,必要に応じて更なる事実確認などを行った上で,今後できる限り速やかに,当局の対応の適否等につきましても,評価・検討を加えまして,最終的な調査結果を取りまとめることとしております。
 御指摘の仮放免を行わなかった点の評価につきましても,最終調査結果においてお示ししたいと考えております。
 なお,中間報告の詳細につきましては,出入国在留管理庁にお尋ねいただきたいと思います。

【記者】
 スリランカ人女性の中間報告の結果と内容について改めてお尋ねします。
 大臣の方に司法解剖の結果というのは,既に報告が上がってきているのでしょうか。その内容を御覧になっての御見解をお尋ねしたいと思います。特に,症状,カルテなどを精査された上で,既に死因というのが確定されているのであれば,それについて御披露いただけますでしょうか。

【大臣】
 今回の中間報告につきましては,様々なところで私自身発言しておりますが,亡くなられた方の体調についての訴え,この間の診療状況,病院との関わり,こういった事実関係をまず調べるようにということで,なるべく早く中間報告の形で出していく必要があるのではないかということでお出ししたものであります。
 もちろん,いろいろな角度から,しかし森羅万象全部を書き込むわけにはいきません。そういった中で,更にフォローしていくべきことについての調査を加えながら,最終報告に向け,評価の検討も織り込んだ上で,改善策もまとめて,最終報告としてまとめたいと,こういう段階的な流れでおります。
 中間報告の内容につきましては,出入国在留管理庁の方に,是非,詳細をお問い合わせいただきたいと思います。
 死因の特定うんぬんの話でございますが,トータルとして様々な評価の上でということでありますので,その旨の言及につきましては,今の段階では差し控えさせていただきたいと思います。
 この中間報告に関してはオープンになっている状況でありますので,是非,出入国在留管理庁の方にお問い合わせいただきたいと思います。

【記者】
 最終報告はいつまでということで指示を出されているのでしょうか。

【大臣】
 最終報告はできる限り速やかにということであります。期限を設定してラッシュするということもありますが,今回は中立公正な報告を求められていると思っておりまして,そのことについてはできる限り速やかにということであります。
 その限りでありますが,今申し上げた趣旨で中間報告もお出しさせていただきましたので,皆さんからの,いつまでとの御指摘もありますが,私の口から,これまでにやりなさいということを指示するということよりも,事の性質上,しっかりとした形で調査をした上でと思っておりますので,その限りでございます。今の段階ではそう申し上げるところであります。

【記者】
 取材をしていると,医師側から,ビタミン不足でかっけ等の症状を発症していたのではないかという指摘がございます。もしそういう原因だとすると,単に悪化してからの食生活だけでなく,それ以前の段階からどのような食事を取っていて,ビタミンが不足していたかどうかという,食事の内容に踏み込む必要があるのではないかなと思います。
 川口署でも,収容されている方が,栄養失調状態になってビタミン剤を投与されたというニュースも出ました。こういった点も含めて,見直しているのか,もしそれが不足している場合,見直す必要があるのではないかと思うのですが,この点大臣いかがでしょうか。

【大臣】
 私から細かく指示をすることについては,私自身医師ではございません。そうした医療的なところについては,やはり医師の御指導のもとで,診療所もございますし,また,外部の病院にもお連れをするということです。普段から提携をしている病院に伺い,診療科目がない場合には,それに適したところを紹介をしていただいていくという,これは通常,今やっていることであります。
 これに照らして調べているものと思っておりますが,あまり内容について踏み込むということになりますと,客観中立性を損なうということになりますので,外部の様々な有識者の方々に入っていただいて,客観性と中立性を保つということを,骨として取り組むようにと指示しております。今の御指摘そのものに対しましても,私から申し上げることができない状況です。
 いずれにしても,出入国在留管理庁の方に是非お問い合わせいただきたいと思います。

菅内閣総理大臣との面会に関する質疑について

【記者】
 先ほど閣議後に総理と10分ほど面会をされたとのことですが,どのような案件が話し合われ,総理から何かお言葉があれば御紹介いただければと思います。

【大臣】
 総理が訪米から帰られたということであります。また,私の方では,司法外交の取組として京都コングレスが終了し,大成功に終わりまして,アメリカの代表団におかれましても,大変熱心に関わっていただき,最終日におきましては,領事から,新しく司法長官が任命されたという報告もいただいていました。
 そういうこともありまして,総理に,京都コングレスについてのお礼と,これからも司法外交を続けていくことのお願いをしたところであります。帰国されましたので,この点につきまして感謝を申し上げたところです。
 また,本日,少年法の登壇で御一緒に答弁をするということでございます。
 法務省におきましては登壇ものが2つ,大きな法案を抱えているということもありまして,その点につきましても御報告をいたしました。
(以上)