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法務大臣閣議後記者会見の概要

令和3年11月26日(金)

 今朝の閣議において,法務省案件はありませんでした。
 続いて,一昨日から昨日にかけて,九州への出張を行いましたので,その概要について御報告します。
 一昨日(11月24日),鹿児島県のラ・サール高等学校において,成年年齢引下げをテーマとした車座対話を実施しました。
 高校2年生15名とともに,このテーマで意見交換会を実施しましたが,様々な考えや不安など,しっかりとした意見が聴け,非常に有意義でした。
 昨日(11月25日)は,まず,鹿児島刑務所を視察しました。
 鹿児島刑務所では,全国で唯一,農場区と呼ばれる塀のない開放的な環境下で茶葉の栽培から製茶までを行ったり,さつまいもやしいたけを栽培するといった特色のある取組をしている施設であり,大変参考になりました。
 続いて,宮崎県都城市において,池田市長との対談を行いました。
 テーマは2点あり,1点目は,所有者不明土地の解消についての取組,もう1点は,再犯防止への取組について,国と地方公共団体との連携が大事であるという観点から,都城市に一層の御協力をお願いしてきました。
 所有者不明土地の解消については,既に都城市では「おくやみハンドブック」において,相続登記手続について紹介するなど,先進的な取組を進めていただいていると感じました。
 また,再犯防止については,都城市における地方再犯防止推進計画の策定をお願いしてきました。都城市では,既に福祉の推進計画の中で再犯防止計画を策定されていたのですが,今後は,それを特出しして再犯防止推進計画を策定したいという前向きな御説明を市長からいただき,大変心強く思ったところです。
 一昨日,そして昨日の出張で得られた知見を,今後の施策に反映していきたいと考えています。

受刑者の特性に応じた処遇に関する質疑について

【記者】
 出張の関連についてお伺いします。今回の出張で刑務所にも足を運ばれたということですが,受刑者の高齢化も進む中,刑務所での作業は,従来のような懲罰的な意味合いというよりも,むしろ,それぞれの特性に応じた処遇の必要性ということも指摘されています。
 高齢受刑者の社会復帰や就労支援などを促進していくという意味で,法務省として,これから強化していきたい取組などがあれば教えてください。
 また,今回の出張で現場に行かれて,実感されたもの等があればそれも併せてお願いします。

【大臣】
 再犯防止の観点から,受刑者の特性に応じた矯正処遇や社会復帰に向けた支援は,大事な二つのポイントだと思います。
 その意味で,高齢で一般の刑務作業に従事することが困難な受刑者には,作業療法士による指導の下,心身の機能に見合った特性に応じた処遇として機能向上作業を導入しており,また,社会復帰支援として,就労を希望する受刑者に対してハローワーク等と連携した就労支援を実施すること,関係機関と連携・協力しながら帰住地を確保することや,福祉サービスへの橋渡しをしていくことも大事です。
 法務省としては,関係機関との連携を一層推進しながら,高齢受刑者を始め,それぞれの受刑者の特性に応じた矯正処遇や社会復帰支援の強化に努めてまいります。
 鹿児島刑務所で特に印象深く思ったこととしては,農場区における開放的処遇があります。塀がないところで農作業等を行いますので,大変,先進的な試みだと実感しました。
 もちろん刑務所ですから,逃走があってはならないわけですが,受刑者の自立心や責任感を促す意味でも大変意義のある試みだと思いますし,このような処遇を行うためには,受刑者と刑務官の信頼関係や地域住民の皆様の御理解が非常に大事だと思います。
 いずれにしても,受刑者の社会復帰を見据えた開放的処遇に,非常に感銘を受けました。
 そして,本日,何部か用意してありますが,これは鹿児島刑務所を紹介するパンフレットです。専門業者に発注せず,全て矯正職員が自分たちで作ったものですが,非常にセンスの良いものです。是非,お持ち帰りいただいて,参考にしていただければと思います。

特定技能制度等に関する質疑について

【記者】
 前回の会見でもお話が出ていましたが,特定技能の業種を拡大して就労の最大5年という期限を撤廃する方向で政府が今検討されていますよね。特定技能は,2019年の法改正のときに国会を見ていましたけれども,5年で最大34万5,000人の技能実習生と特定技能を受け入れていきたいという方向性でしたが,9月現在で,まだ特定技能で来ている方たちというのは3万8,000人と,当初の想定より,かなりの外国人労働者が来ていないという状況です。
 コロナ禍ということも大きかったと思いますが,やはり受入れの際に家族の帯同を認めないとか,最大5年とかいろいろな制限がかかっていたことが,結果として,外国人からしても,なかなか日本で働きたいと思えない原因になっていたのではないかなと思います。
 なぜ,当初の予定よりもこれほど進んでいないと大臣がお考えなのかをお聞かせください。

【大臣】
 受入れ人数については,飽くまで見込みとしての数字だったと承知しています。
 その後,そのようなペースで進んでいないということについては,様々な分析が必要になるだろうと思います。こういう理由があってこうだということを断定する段階にはないと思っています。

【記者】
 その関連ですけれども,今現在外国人労働者が172万人で,うち特定技能の割合は0.4%,比較的多いのがこれまでやってきた技能実習制度で23%です。
 法改正の際に,いろいろ指摘されていましたけれども,業種を動けないですとか,仕事を移動できないですとか,あと野党が失踪した方たちの聴取票を調べたところ,約7割弱の人が最低賃金以下で働いていたなど,海外からも奴隷制度ではないかという批判をされていました。
 特定技能の業種を拡大していくとか,そういう見直しをしていくという方向に合わせて,批判が強い技能実習制度そのもの,弁護士によっては技能実習制度を廃止して,もっと違うものに変えたほうがいいのではないかという指摘も出ているのですけれども,その点どうですか。

【大臣】
 技能実習法においては,その附則に5年後の見直し条項が盛り込まれましたし,特定技能制度に係る入管法改正についても,附則において2年後の見直し条項が盛り込まれました。
 見直し検討のタイミングを迎えているところですから,当然ながら,幅広く,その在り方も含めて,今後,しっかりと検討していきたいと思っています。
 様々な意見があることもよく承知していますし,いつも申し上げていますように,法律でも,制度でも,見直すべきものは見直すという不断の努力が大事だと思っています。そのような精神,姿勢で,技能実習法の在り方,入管法の在り方についても,見直し・検討をしてまいります。
(以上)