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法務大臣閣議後記者会見の概要

令和3年12月28日(火)

 今朝の閣議において,法務省案件として,主意書に対する答弁書が1件ありました。
 続いて,私から2件報告があります。
 1件目は,美祢社会復帰促進センターにおける職業訓練「販売戦略科」についてです。
 美祢社会復帰促進センターでは,先月から約1か月にわたり,職業訓練「販売戦略科」を実施しました。
 この職業訓練は,民間企業・デザイン事務所の御協力の下,受刑者が地元美祢市の特産品の広告ポスターを制作するという,これまでにない新しい発想の取組です。
 先週12月23日には,美祢市長始め関係者の方々と直接お会いし,題材となった地元特産品の魅力や職業訓練として広告ポスター制作に取り組む意義等についてお聞きしました。
 取り分け,受刑者が広告ポスターの制作を通じて,物事の良いところを見つけて発信していくという考え方に触れることで,物事を前向きに捉えるきっかけになるとの御説明に深い感銘を受けました。
 受刑者の改善更生と同時に,地元特産品のPRや地元産業の活性化にも貢献できる非常に画期的で有意義な取組だと改めて実感しました。
 引き続き,民間の方々や自治体との連携による職業訓練を更に充実させ,再犯防止対策をより一層推進してまいります。
 2件目は,父母の離婚に伴う子どもの養育の問題についてです。
 子どもの健やかな成長のため,安全・安心な面会交流の実施を促進することが重要です。
 法務省では,面会交流を支援する民間団体に活動方針の参考としていただくための参考指針を策定し,本日公表することとしました。
 また,法務省のホームページでは,掲載希望のあった支援団体の一覧表も併せて掲示します。
 これらを通じて,支援団体の取組・活動を広く一般に知っていただき,支援を必要とする方々の利用の促進につながることを期待しています。
 なお,令和4年度予算政府案においても面会交流や養育費の取決めの促進等に関し,実証的な調査研究事業等の予算額が計上されました。
 法務省としては,これらの予算も最大限有効活用し,父母の離婚に伴う子の養育の在り方について,厚生労働省等の関係機関と連携しながら,引き続き,しっかりと調査・検討を進めてまいりたいと考えています。

美祢社会復帰促進センターにおける職業訓練に関する質疑について

【記者】
 冒頭の御発言と重なりますが,美祢社会復帰促進センターで今年度初めて,デザイン事務所「セイタロウデザイン」などと連携した職業訓練「販売戦略科」が行われました。センターでは2018年度からヤフーなどと連携した「ネット販売実務科」も行われています。
 再犯防止はもとより地方創生にも資する取組ですが,民間と連携したこうした取組への手応えと今後の展望についてお考えをお聞かせください。

【大臣】
 美祢社会復帰促進センターで実施された「ネット販売実務科」や「販売戦略科」は,受刑者にとても大きなやりがいを与え,改善更生のために大変有意義であると同時に,地元産業のPRや活性化,地方創生にも貢献できる画期的な取組であると感じています。
 こうした取組は,民間企業や地元自治体,関係者の方々に,罪を犯した人たちの立ち直りや再犯防止に対する理解を広めることにもなり,ひいては,立ち直ろうとする人たちを社会で受け入れていくためにも,大変意義のある大事なことだと思っています。こうした民間企業や地元自治体と連携した取組の更なる導入を積極的に検討し,進めていきたいと思っています。

面会交流支援に関する質疑について

【記者】
 冒頭に御発言のあった面会交流支援についてですが,これを実施する狙いと言いますか,例えば面会交流が難しいという状況にあって,それを支援するということなのか,あるいは,一般的に推進していくというお話なのか,もしあれば教えてください。

【大臣】
 様々なケースがあると思いますが,ケースごとになかなか難しい状況もあると承知しています。
 ですから,面会交流が円滑に行われるように,支援団体が頑張って活動されているわけですが,そうした活動を支援することを様々検討しています。

名古屋出入国在留管理局被収容者死亡事案等に関する質疑について

【記者】
 12月24日に衆議院法務委員会で,名古屋入管でのスリランカ人女性死亡事件のビデオ映像の閲覧があり,昨日は参議院法務委員会で,約6時間半のビデオ映像開示が行われました。
 これは,12月15日に衆議院法務委員会の与野党の筆頭理事間の協議で,ビデオ映像の開示が決定したという流れです。
 その5日後の12月20日に,法務省・入管庁は,二つの報告書「改善策の取組状況」と「現行入管法上の問題点」の記者レクを法曹記者クラブ加盟社限定で行いました。
 少なくとも衆参法務委員会の与野党筆頭理事に対しては,この20日に出された二つの報告書の説明が,事前に入管庁からあったのかなと考えていたのですが,与党理事に対しては事前説明があったようですが,野党理事に対しての説明が入管庁からなかったようです。
 入管組織の中で,入管職員が日頃どういう意識を持って収容されている非正規滞在者に接しているのかが,この二つの報告にはっきり現れていると思うのですけれども,その内容を,ビデオ開示以前に与党側には説明して,野党側にはなぜ説明しなかったのかという点を,その事実経過と理由について,大臣が入管庁から報告を受けているようでしたらお聞かせ願いたいという点と,大臣がこの報告内容について説明を受けたのはいつだったのか,記憶されている範囲でお答えください。

【大臣】
 個々の議員に対する説明については,担当部局から適時・適切に行っています。
 入管庁から私にも,適時・適切に報告がありました。それ以上の詳細についてお答えすることは差し控えたいと思います。

【記者】
 適時・適切にというお話でしたが,与党の理事への説明はあったけれども,野党の方に,この報告についての説明がなかったことについて,どのようにお考えでしょうか。
 もし,そういう事実があったとしたら,当然,野党の議員の方からはおかしいじゃないかという声が上がると思いますが,それについてはどのようにお考えでしょうか。

【大臣】
 繰り返しになりますが,適時・適切に説明を行っており,詳しいことについてお答えすることは差し控えます。

【記者】
 スリランカ人女性死亡事案の報告書の関連で,改めてもう1件質問させていただきます。
 この二つの報告の中には,退去強制令書が発付されたにもかかわらず,送還を拒む方,入管はいわゆる送還忌避者とおっしゃっていますが,その送還忌避者3,103人が挙げられているわけですけれども,この中には亡くなられたスリランカ人女性も含まれていると考えてよろしいのでしょうか。
 これは令和2年12月末時点での速報値ですので,当然含まれていると思うのですが,こういったやむにやまれず帰国できないという人についても,この3,103人の中に含まれていると考えてよろしいのでしょうか。

【大臣】
 令和2年12月末時点での数字ですので,亡くなられたスリランカ人女性も含まれていると報告を受けています。
 入管庁においては,送還忌避・長期収容問題について,幅広く御理解・御議論をいただくことが大事だという観点から,先日,客観的な事実に基づいて,「現行入管法上の問題点」を公表したものです。
 名古屋入管において発生した死亡事案,この悲しい出来事は二度と起こしてはならないと固く心に誓っていますが,まず,大事なことは,調査報告書で示された改善事項を着実に,速やかに実行していくことです。
 それとともに,送還忌避・長期収容問題を抜本的に解決するために,必要な法整備もしっかり進めていく必要があると従来から申し上げており,その考えに変わりはありません。

【記者】
 この二つの報告書は,飽くまで送還忌避の人には退去強制を促進するということが重点的に書かれていて,それから犯罪者が多いということが結構強調されたりしていますが,実際に今刑務所の服役の話,更生の話もありましたが,外国人で服役されている方も増えていると思います。
 特に定住者の方や,長い間日本に住んでいた方でそういった方もいるのですが,そういった方も含め,やはり日本の中で定住化するという観点からは,在留特別許可の申請手続を改善していくということも含んだ上での入管法の改正というふうに理解してよろしいでしょうか。お願いいたします。

【大臣】
 いつも申し上げているとおり,日本人と外国人が,お互いを認め合いながら,助け合いながら生きていく共生社会を作るためには,外国人の人権に配慮しながら,ルールにのっとって外国人を受け入れ,適切な支援をしていくことと同時に,ルールに違反する者に対しては厳正に対処していくことが,大原則,大前提です。
 そして,その目的を達するために,入管行政の在り方について様々な御意見があるのは承知していますので,そういう御意見にもしっかりと耳を傾けながら,より良いものを目指していく,改善するべき点は改善をしていくという姿勢に変わりありません。入管行政に対しては,一貫してそのような考えを持っています。
(以上)