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法務大臣閣議後記者会見の概要

令和4年2月4日(金)

 今朝の閣議において、法務省案件はありませんでした。
 続いて、私から刑事参考記録について御報告します。
 刑事参考記録は、刑事法制及びその運用並びに犯罪に関する調査研究の重要な参考資料となるものとして、検察庁の上申に基づいて法務大臣が指定することにより、保管期間が経過した後も保存することとしているもので、上川前法務大臣の折に、その指定の在り方が見直されました。
 その中では、研究者や弁護士などから指定の要望を受け付ける仕組みに関して、ほとんど活用されていなかったことから、改めて周知を図ること、要望に対し、検察庁が指定の上申を不要と判断したものについて、外部有識者である刑事参考記録アドバイザーに御意見をいただき、指定要否を判断するなどの取組を行うこととされました。
 刑事参考記録アドバイザーについては、私が法務大臣に就任した後の昨年11月に正式に委嘱しており、法務省特別顧問の井上正仁さん、東京大学名誉教授の佐伯仁志さん、読売新聞西部本社執行役員編集局長の大沢陽一郎さん、国立公文書館公文書専門官の村上淳子さん、立教大学共生社会研究センターアーキビストの平野泉さんの5名に就任していただきました。
 上川前法務大臣が、指定の在り方の見直しを公表した昨年2月から1年、この間の指定の要望を踏まえ、今後、刑事参考記録アドバイザーの方に御意見を伺うことになる節目ということで、皆様に委嘱の御報告をさせていただくこととしたものです。

刑事参考記録の指定の在り方に関する質疑について

【記者】
 上川前法務大臣が刑事参考記録の在り方の見直しについて言及されて1年となります。先ほど何人かの方に委嘱をされたとの発言がありましたが、この見直しを踏まえた取組状況について、より詳細に説明していただければと思います。

【大臣】
 刑事参考記録の指定の在り方については、指定されるべきものが適切に指定されるよう、例えば、指定を上申する基準として、最高裁判所刑事裁判集、判例百選などの判例集に掲載されているものとするなど、より具体的な基準を示す見直しを行ったところです。
 これにより、検察当局において、指定上申に係る判断がより客観的に行えるようになったと聞いています。
 また、先ほど述べました、研究者や弁護士の方々などからの指定の要望を受け付ける仕組みについて周知する取組を行った結果、一定数の要望が寄せられており、これらについては、必要に応じて、外部有識者である刑事参考記録アドバイザーの御意見を伺うことになるものと聞いています。
 繰り返しになりますが、刑事参考記録は、刑事法制及びその運用並びに犯罪に関する調査研究の重要な参考資料です。
 昨年2月に公表した取組を着実に運用し、刑事参考記録アドバイザーの方の御意見も伺いながら、保存されるべき記録が確実に保存されるよう、適切に対処していきます。

民法(親子法制)等の改正に関する要綱案に関する質疑について

【記者】
 親子法制の要綱案について伺います。法制審議会の部会が先日、嫡出推定制度を見直し、離婚後100日間の再婚を女性に禁じた規定をなくす要綱案を取りまとめました。要綱案では、子に対する親の懲戒権の規定を削除し、「子の人格の尊重」などを義務付ける内容も盛り込まれ、体罰の禁止も明記するとしました。受け止めと意義についてお考えをお聞かせください。
 また、法案提出に向けたスケジュール感についてもお願いします。

【大臣】
 御指摘いただたように、2月1日、法制審民法(親子法制)部会において、「民法(親子法制)等の改正に関する要綱案」が取りまとめられました。
 この要綱案では、無戸籍者問題の解消に関して、民法の嫡出推定制度の見直し、女性のみに存在する100日間の再婚禁止期間の廃止等の内容が盛り込まれたものと承知しています。
 また、親権者の懲戒権に関する規定については、子の人格を尊重すること、年齢及び発達の程度に配慮しなければならないこと、体罰その他の子の心身の健全な発達に有害な言動をしてはならないこと等の規律が盛り込まれたものと承知しています。
 今後、この要綱案については、法制審総会で更に調査審議が行われるため、法務大臣として個々の内容について、今の時点で言及することは差し控えたいと思います。いずれにしても、これらの論点は、子どもの利益をしっかりと守っていくという観点から、重要かつ喫緊の課題であると考えています。
 今後のスケジュールについてお尋ねがありましたが、総会での審議を経て要綱の答申を受けた場合には、所要の法律案をできるだけ速やかに国会に提出するよう準備を進めていきたいと考えています。

内密出産に関する質疑について

【記者】
 内密出産についてお尋ねします。熊本の慈恵病院で出産されたお母さんが、御自分の名前を出さずに出生届を出す方針を固めたという報道がありました。
 そういった出生届がそもそも認められるのかということですとか、戸籍がその後どうなるのかということに非常に関心が集まっていると思うのですけれども、何か御対応の方針等があればお聞かせください。

【大臣】
 いわゆる内密出産ですが、一般論として、市区町村における調査の結果、生まれたお子さんの両親がともに不明であったとしても、日本で生まれた場合には、国籍法により、そのお子さんは日本国民となり、戸籍を作る取扱いとなります。
(以上)