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法務大臣閣議後記者会見の概要

令和4年4月28日(木)

 今朝の閣議において、法務省案件はありませんでした。

ウクライナからの避難民への対応等に関する質疑について

【記者】
 ウクライナ避難民についてお聞かせください。
 ウクライナ避難民の受入れから1か月が経ち、日本語支援の重要さを訴える声が強くなっています。一時滞在施設などでも支援の取組を始めていますが、現状、避難民の方々への日本語支援に対する新たな課題、あるいは、今後の体制の在り方についてどのようにお考えでしょうか。

【大臣】
 ウクライナ情勢は依然として不透明であり、ウクライナからの避難民の方々の滞在が長期化する可能性もあると思われます。
 そのため、避難民の方々のニーズに応じて、一時滞在施設や受入れ自治体において、生活に必要な日本語教室などを実施していくことも重要と考えています。
 一時滞在施設では、4月25日から日本語教室を開始し、多くの方に参加いただいていると聞いています。
 今後、日本語教育を所管する文化庁とも緊密に連携しながら、ウクライナ避難民の方々の個々のニーズに応じて、適切に日本語を習得いただけるよう対応していきたいと考えています。

【記者】
 一時滞在先にいらっしゃる方、いずれは受入れ先が決まったら出られると思いますが、出た先で今までにない食費だったりとか、光熱費だったりとか、色々な出費が想定されると思います。やはり働きたいとおっしゃる方も多いと思うのですが、受入れ先に対して、働き方、仕事の決め方について、国としてどういったフォローアップをお願いしているか、具体的に何かあればお願いします。

【大臣】
 ウクライナから日本に避難されて来る方には、90日の「短期滞在」の在留資格を付与し、希望する方には「特定活動(1年)」の在留資格への変更を認め、更にこれを更新することも考えています。
 実際、「特定活動」に変更する方も増えてきており、そうなると就労もできますし、住民票の登録もでき、様々な行政サービスを受けることもできます。

ウクライナ以外の国の避難民への対応等に関する質疑について

【記者】
 避難民の対応と関連してですけれども、ウクライナ以外の避難民の支援をされている方からお聞きしているのですが、ウクライナの今回のことについて、多くの企業が、「日本語はできなくても採用しますので応募してください。」ということを掲げている企業がいくつか出てきました。それは望ましいことなのですが、例えば、あるアフガニスタン避難民の男性の支援者の方が、「言葉ができなくても仕分け作業ができればいいです。」という項目を出していたので応募したところ、「ウクライナの方しか受け付けていません。」と言われたということでした。この会社はかなり大手のところなのですが、こういった企業によっては、「ウクライナの人しか受け付けません。」と、シリアとかアフガニスタンとかミャンマーの難民、避難民の方たくさんいるのですが、こういうことが今全国各地で起きていると聞いています。
 法務省、大臣として、こういった同じような他国の避難民の方たちに対しても、自治体、そして各企業が同じように等しく平等に対応するように、呼びかけを含めて対応するのか、こういった事情があるということを把握されているかなとは思うのですが、どういった対応をしていくつもりかお聞かせください。

【大臣】
 個々の民間企業の個々の御判断について、政府として具体的に何か申し上げることはできないと思っています。
 今回のウクライナにおける未曾有の人道危機は、ロシアによる明らかな国際法違反、そして戦争犯罪であり、国際社会が連帯して非を鳴らすということで、今、国際社会と共に取り組んでいます。その中で、我が国としても、人道上の見地から、ウクライナから避難される方々を受け入れ、そして支援するということを、政策的見地から行っているところです。
 ウクライナ避難民の方々への企業からの様々な支援の申出に対して、それを上手にマッチングさせるための取組をさせていただいていますが、そこを更に広げて、企業に何らかの指示をしたり、強制したりするということは適当ではないと考えます。

【記者】
 私的な企業に対して指示等はできないということですが、確か4月22日に、ウクライナ以外の避難者にも同様に支援をしてほしいと、今回の報道が非常にいっぱい出ていることもありますが、ウクライナ避難者に対する生活支援とか、渡航費等々自治体や民間との連携した支援というのが、非常に色々な意味で強化されていると感じます。同様のことは今まで、避難者の受入れでここまで政府が対応したことは異例だということで、支援に取り組んでいる方たちが、アフガニスタンなど他の紛争地域からの避難者もきっちり支援の対象にすべきだと訴えています。つまりこの政府の対応の強さというのが、結果として自治体や企業の意識の変化にも表れていると思います。そういう意味では、各企業に指示を出すことができないとしても、こういった差別的な対応が全国各地で出ている実態を踏まえて、他の避難民の方々に対しても同様の対応、例えば「日本語ができない方、仕分け作業のみなので、受け入れます。」と掲げながらも、「うちのところはウクライナだけです。」というやり方は、はっきり言えば人権侵害とでも言えるような対応だと思います。政府として指示はできなくとも、積極的に他の避難者に対しても、そういう仕事を提供したりすることができるなら、等しく対応してほしいという、こういうメッセージを発信していくことが非常に重要ではないかと思います。この点に関してお願いします。

【大臣】
 もとより、どの国の方であれ、人道上の観点から困っている方には手を差し伸べることは、人として、私は当たり前のことだと思いますから、今回、ウクライナからの方に限らずどのような方であっても、どの国からの方であっても、企業であれ個人であれ、日本の社会が温かく手を差し伸べていただきたいということは、私も政治家である前に、一人の日本国民として心からそういう気持ちを持っていますし、願うものです。
 先ほど申し上げたのは、政府としての取組ということを考えた場合に、今回のウクライナからの避難民に対する受入れ、そして支援というものは、未曾有の人道危機に遭遇して、政府全体として取り組むと決定し、今実行している措置だということです。
 一方、御案内のとおり、法務省では、いわゆる難民条約の五つの理由以外の理由に基づいて庇護すべき人を保護できるような制度の創設を、今検討しているところです。これは、これまで難民条約に基づいて難民として保護することになりますと、やはり条件がありますので、そこに照らし合わせると、非常に狭くなってくるというきらいがあります。難民に該当しない場合はどうするかというと、人道上の見地から在留特別許可ですとか、様々な在留資格を与えることによって、事実上庇護するということを運用としてやってきたわけです。難民条約に当たる難民ばかりでなく、違う形で受入れをしてきたという実績があります。
 しかし、これは運用でやってきたわけです。そうしますと、今のこの世界の情勢の動き等々を鑑みるときに、難民条約の五つの理由以外の場合でも、これを受け入れることを可能とするために、新たな制度を設けるべきではないか、運用ではなく、やはり制度として整える必要があるのではないかという問題意識の下に、補完的保護対象者の認定制度の創設を考えました。
 御案内のとおり、先の国会においては、この入管法改正案は残念ながら廃案になってしまいましたが、やはり補完的保護対象者の制度を設けるということは、私はこの必要性は依然としてあると思いますし、法整備を進めるべきだという考えを持っております。

カルロス・ゴーンへの捜査に関する質疑について

【記者】
 カルロス・ゴーン氏についてお伺いさせていただきます。
 フランス当局は、インターポールを通じてゴーン氏の身柄の引渡しを求める決定をしています。日本の立場をお聞かせください。この件で日本との調整はあったのでしょうか。
 また、今後フランスに協力することはあるのでしょうか。今後の日本の対応についてお聞かせください。

【大臣】
 お尋ねは、外国の当局の活動内容に関わる事柄であり、法務大臣としてお答えする立場にはありません。
 一般論として申し上げますと、仮に外国の当局の活動内容に関することを何かコメントすることになりますと、関係国との信頼関係にも様々な影響を及ぼすことが懸念されます。
 したがいまして、他国の当局の活動内容に関することについては、発言を差し控えます。

【記者】
 逃亡の手助けをしたテイラー親子、現在日本で受刑中ですが、国際受刑者移送制度によって米国に移送することなどを検討しておられますでしょうか。

【大臣】
 個別の被収容者に関する御質問については、プライバシーに関わるものですからお答えを差し控えます。
(以上)