検索

検索

×閉じる

法務大臣閣議後記者会見の概要

令和4年6月3日(金)

 今朝の閣議において、法務省案件として、主意書に対する答弁書が1件ありました。
 続いて、私から3件報告があります。
 1件目は、全国矯正展についてです。
 6月4日(土)及び5日(日)の2日間、北の丸公園の科学技術館で全国矯正展を開催し、刑務所作業製品の展示・即売を行います。
 今回は特に「社会に支えられ貢献する刑務作業~コロナ禍の中で~」をテーマとして、医療現場で不足した医療用ガウンを社会貢献作業として製作したことなどについても広報を行います。
 オープニングセレモニーでは、杉良太郎特別矯正監ほか8人の矯正支援官に御参加いただき、テープカットを行います。
 是非、多くの方に御来場いただき、刑事施設における再犯防止の取組について、御理解いただきたいと考えています。
 2件目は、ウクライナ避難民の方々に対する支援等についてです。
 昨日(6月2日)、一時滞在施設に滞在中のウクライナ避難民3世帯5人の方々について、新たに、長崎県内等の自治体による受入れが、それぞれ決定しました。
 マッチングの人数等につきましては、入管庁ホームページ上で随時情報を更新してまいりますので、今後はそちらを御参照ください。
 引き続き、避難民の方々の希望・ニーズをきめ細かく酌み取り、最適なマッチングをスピード感を持って進めてまいります。
 最後に、共生社会の実現に向けた適正な外国人雇用の推進に関して御報告します。
 政府では、毎年6月を「外国人労働者問題啓発月間」として、関係省庁が緊密な連携を図りつつ、外国人労働者問題に関する啓発活動を行っています。
 これに合わせて、法務省では、6月を「共生社会の実現に向けた適正な外国人雇用推進月間」と定め、今月1日から、特に外国人を雇用する事業主の方々に向けた啓発活動を実施しています。
 具体的には、全国の地方入管官署において、関係機関と連携して、外国人を雇用する際の留意点等について、リーフレットを配布するなどの啓発活動を実施します。
 こうした取組を通じて、日本人と外国人がともに安全に安心して暮らせる共生社会の実現に向けた意識・協力が一層広がっていくことを期待しています。

インターネット上の誹謗中傷対策に関する質疑について

【記者】
 インターネット上の誹謗中傷対策で、法務省の人権擁護機関で行っている投稿の削除要請などの取組について、現時点で把握されている課題と改善の方向性を教えてください。

【大臣】
 法務省の人権擁護機関では、インターネット上の誹謗中傷の投稿による被害について相談を受けた場合、相談者の意向に応じ、中立な立場で違法性を判断した上で、投稿の削除を要請しています。
 この要請は任意の措置であり、削除要請をしても削除されない場合があります。そのため、削除要請の実効性を高めていくことが重要な課題であると考えています。
 削除要請に応じられない理由の一つとして、どのようなものが削除されるべきか、その違法性を判断する枠組みについて、プロバイダ等との共通認識が必ずしも形成されていなかったことが考えられました。
 そこで、法務省においては、削除されるべきものの基準等について法的に整理することを目的として、令和3年4月から商事法務研究会主催の有識者検討会に関係行政機関として積極的に参加してきました。
 今般、この検討会の議論が取りまとめられ、公表されました。
 この取りまとめでは、違法性の判断基準等についての考え方や方向性が示されているものと承知しています。
 法務省としては、削除要請の実効性を高め、被害を救済するため、この考え方等を踏まえた削除要請に取り組むとともに、関係省庁と連携してプロバイダ等にもその内容について理解を深めていただくことに努めていきたいと考えています。

名古屋出入国在留管理局被収容者死亡事案に関する質疑について

【記者】
 名古屋入管で昨年3月に死亡したウィシュマさんの妹さんが、5月28日に約半年ぶりに再来日しました。6月8日から始まる国賠訴訟に出廷する予定ですが、裁判とは別に、御遺族は古川法務大臣との面談を強く希望されています。
 この半年間、法務省では最終報告書を受けて、入管医療体制を改善するための検討を行ったり、与野党の国会議員がビデオの一部を閲覧したりしましたが、この間の経過報告や大臣のお気持ちなどについて、御遺族に面会してお話しするような考えを大臣はお持ちでしょうか。

【大臣】
 現在、御遺族が提起した国家賠償請求訴訟が係属中であり、国と御遺族とは、訴訟における対立当事者の関係にあります。
 御遺族との面談については、こうした事情も踏まえ、現時点では、差し控えるべきだと考えています。

難民認定制度に関する質疑について

【記者】
 2週間前に札幌高裁で、トルコ国籍クルド人の難民不認定処分の取消しが出て、今日が上告の期限です。終止条項が適用されない限りは、速やかに判決に従いなさいという通知を、2019年1月、入管が出しています。日頃会見の場でも、救える人を救うんだと、人権に基づいた対応をするんだと、繰り返し古川大臣は述べられています。終止条項の適用については、最終的には法務大臣の判断だと聞きました。現状、個別については答えられないということだと思いますが、どういった思いで、この高裁判決が出たことに対して取り組んでいこうというお考えかお聞かせいただけますか。

【大臣】
 今後どのように対応するかについては、判決の内容を十分に精査した上で、適切に対応してまいります。

【記者】
 個別のことは答えられないということで、しっかり検討していくということでしたが、これまで高裁判決で不認定処分の取消しが出ても、再び難民不認定を出したり、それから、難民認定しなさいという判決が出ても人道配慮ということで在留資格を与えるということで、難民認定をしなかったという判断を、これまでの歴代大臣が繰り返していました。是非今回は、もう一歩踏み込んだ的確な適切な国際情勢に応じた判断をしていただきたいと思っています。
 難民認定に関連して、先週、クルド人、タンザニアのLGBTカップルが、3回目以上の難民申請を取り消すという改正法案をもし検討しているならば、自分たちを助けるために、もう一度考え直してほしいという会見を行いました。クルド人の方は、6歳から日本に来られて、向こうの言葉がほとんど話せないような状況ですが、在留資格もなく、インフルエンザにかかっても、1人5万円の治療費を求められ、自分は妹たちのために我慢したというお話もありました。入管が認定さえすれば、彼らは厚労省から保険証を得ることができますが、普通の病気の治療もままならない状態です。タンザニアのLGBTカップルは、警察に逮捕された後、お金を出して保釈を受け、逃げてきたということですが、彼らも2回とも難民申請を却下されています。こういう状況の中で、やはり3回目の難民申請を認めないという、前回、非常に批判された部分をもう一度出すということがたびたび報道されていて、それに非常に強い懸念を表明しています。このことについて、大臣の現在のお考え、またこういった方々の声に、どのように耳を傾けていただけるのかお聞きしたいのですが、よろしくお願いします。

【大臣】
 現在検討中の法案の具体的な内容については、お話をすることは差し控えたいと思っています。
 かねて申し上げているように、日本人と外国人が互いを尊重し合って、安心・安全に暮らしていける共生社会を実現するためには、もちろん、外国人の人権に配慮することはとても大事なことであり、当然のことだと思います。しかし、それと同時に、入管行政を預かる者として、ルールに違反した方に対して厳正に対応することは当然の責務であり、基本原則だと思っています。
 法務省としては、真に庇護を必要とする者を適切に保護しつつ、送還忌避の問題とこれによって生じている長期収容問題を解決することは喫緊の課題ですから、法改正は早期にしなければならないと思っています。様々な御意見にも耳を傾けながら、法整備を進めていきたいと考えています。

【記者】
 今最後におっしゃった、ルールに違反する者には厳正に対処するという話ですが、日本政府の入管法のルールが国際人権法に違反していると再三にわたり各条約委員会から指摘されていますが、それについてはどのように取り組むお考えでしょうか。
 それと、ウクライナ避難民の受入れをめぐって、官民挙げての取組が様々行われていますが、一方で、シリア、アフガニスタン、ミャンマーからの避難民や退避者、難民申請者などの受入れの進捗状況が、どの程度進んでいるのか、全体像が把握できていません。これは政府が受入れを表明しているということですが、特にミャンマーの人については仮放免状態で苦しんでいる方がたくさんいらっしゃいますし、全く緊急対応になっていません。
 この件について、例えば国際人権問題を担当されている中谷首相補佐官などと、こういった国際人権上の今の難民の受入れの在り方などについて、もし議論したようなことがあれば教えてください。

【大臣】
 前段のお尋ねに対してお答えします。我が国は、締結している国際人権諸条約が定める義務を誠実に履行しており、我が国の入管制度が、それらに違反するものではないと考えています。
 後段ですが、政府全体として、海外から我が国に避難してきた方々について、本国情勢等を踏まえ、個々の置かれた状況等にも配慮しながら、適時適切に対応できるように、着実に検討を進めてまいりたいと考えています。
(以上)