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法務大臣閣議後記者会見の概要

令和4年6月7日(火)

 今朝の閣議において、法務省案件として、「令和3年度人権教育及び人権啓発施策」が閣議決定されました。
 続いて、私から3件報告があります。
  1件目は、本日閣議決定されました「令和3年度人権教育及び人権啓発施策」の国会報告、いわゆる人権白書についてです。
 本報告は、様々な人権課題について、令和3年度に政府が講じた人権教育・啓発に関する施策を取りまとめた年次報告であり、共管する法務省と文部科学省において作成したものです。
 本年度は、特集として、昨年に40回の節目を迎えた「全国中学生人権作文コンテスト」を取り上げました。
 また、現代的課題として「ビジネスと人権」など7つのトピックスを掲載しています。
 本報告は、本日、法務省ホームページに掲載します。
 法務省としては、全ての人々が互いの違いを認め、尊重し、助け合うことのできる共生社会の実現を目指し、引き続き、人権啓発活動等にしっかりと取り組んでまいります。
 2件目は、「共有私道ガイドライン」の改訂についてです。
 本日、所有者不明土地対策の一環として、「共有私道ガイドライン」改訂版を法務省ホームページで公表します。
 この改訂版は、昨年、所有者不明土地対策等のための民法改正法が成立し、共有制度等に関する改正部分が来年(令和5年)4月に施行されることを受け、平成30年に策定したガイドラインを改訂するものです。
 改訂ガイドラインでは、ケーススタディを通じて改正民法の内容をわかりやすく示すとともに、関連する政府の取組等についても幅広く紹介しており、共有私道の利用・管理の円滑化のために非常に有用なツールとなっていると考えています。
 法務省としては、来年4月の改正民法の施行に向けて、関係省庁・関係団体とも連携して、幅広く周知・広報に努めてまいります。
 3件目は、網走市長、株式会社モンベル会長との意見交換についてです。
 昨日(6月6日)、網走市の水谷市長や株式会社モンベルの辰野会長を始めとする皆様と、刑務作業製品の充実について意見交換しました。
 網走刑務所では、アウトドア用品の製造・販売を手がける同社の御協力を得て、網走市の自然をテーマにした、日本手ぬぐいやコースターといった、オリジナルの刑務作業製品の製作に取り組んできました。
 この取組は、地元自治体である網走市の橋渡しによって始まり、令和元年から2年かけて製品化に至りました。
 これらの製品は同社の小売店で販売されており、辰野会長からは大きな反響があったと伺いました。
 また、網走刑務所以外の施設にこのような取組を広げていくに当たり、その検討に御協力いただけるとのことであり、大変心強く思いました。
 受刑者が、多くの方に求められる製品を製作することは、自己肯定感や社会貢献の意識、ひいては再犯防止につながるものと考えています。
 また、同時に、網走市の地元をPRすることにもつながる有意義な取組だと改めて実感しました。
 引き続き、民間の方々や自治体と連携した、再犯防止に資する取組を一層、充実・推進してまいります。

名古屋出入国在留管理局被収容者死亡事案に関する質疑について

【記者】
 名古屋入管で収容中に死亡したスリランカ人ウィシュマさんの遺族が損害賠償を求めた訴訟が明日8日、名古屋地裁で始まります。国としてどのように主張しますか。原告側はカメラの映像の証拠提出を求めていますが、応じる考えはありますか。
 また、入管施設の医療体制の整備など、有識者会議の提言を受けてこれまでに対応した点など、進捗を教えてください。

【大臣】
 1点目について、訴訟係属中の個別事案における対応に関する御質問については、お答えを差し控えます。
 いずれにしても、裁判所の指揮の下、法令に従い適切に対応していきたいと考えています。
 2点目の御質問ですが、入管収容施設は、大切な命を預かる施設であり、被収容者の健康を保持するために必要な診療その他の措置を講ずること、また、死亡事案などが生じないよう、処遇全般を適切に行うことは、入管行政の責務であると認識しています。
 名古屋入管におけるウィシュマさんの死亡事案を極めて重く受け止めており、取り分け、職員の意識改革を推進する必要を痛感しています。そのため、「出入国在留管理庁職員の使命と心得」を策定したことは、意識改革の大きな一歩になったと考えています。
 その上で入管庁では、調査報告書で示された改善策、例えば、名古屋局における非常勤医師の増員や情報共有体制の構築、救急対応に係るマニュアルの策定、過去の死亡事案における再発防止策の実施状況の点検と再徹底などの改善策を着実に進め、通知等の発出や要領の改訂など明文化した措置を講じるなどして実施してきているところです。
 加えて、本年2月の医療体制の強化に関する有識者会議からの提言で示された、庁内診療体制の強化や各官署の診療室間の連携強化などの取組についても、全国診療室連絡会をこれまでに2回にわたって開催するなどして提言の具体化を進めているところです。
 引き続き、法務大臣としてリーダーシップを発揮し、入管庁の全ての職員と共に、入管収容施設における医療体制の強化など、被収容者の命を守るための不断の努力をしっかりと積み重ねていきたいと考えています。

スポーツ賭博に関する質疑について

【記者】
 スポーツ賭博についてお尋ねします。経済産業省が、スポーツの試合結果などを賭けの対象とするスポーツベッティングの解禁に向けて素案を取りまとめました。基本的に刑法では賭博が禁じられており、また、スポーツ賭博に対してはギャンブル依存、八百長などにつながりかねないとの指摘もあります。スポーツ賭博や今回の経産省の解禁案に対する大臣のお考えをお聞かせください。

【大臣】
 お尋ねのスポーツベッティングについて、現時点で関係省庁から協議を受けていません。刑事法の観点からの具体的な調査•検討を行っているものではありませんので、言及は差し控えたいと思います。

【記者】
 スポーツ賭博に対してギャンブル依存などの懸念も示されていますが、大臣はそういった懸念や声にはどのようにお考えになりますでしょうか。

【大臣】
 様々な御意見があるというのは承知していますが、どのような施策を検討するのか、実施するのかしないのか、内容はどうするのかなどについて、現段階で言及することは差し控えたいと思います。

オンラインカジノに関する質疑について

【記者】
 岸田総理が先週の国会で、オンラインカジノについて、山口県の誤送金問題などを受けて厳正に取締りを行うと発言されました。法務省でオンラインカジノに関して取り組まれていることがあれば教えてください。

【大臣】
 個別の具体的な事案に対しては、捜査機関が収集した証拠に基づいて犯罪に当たるかどうかを判断することになります。オンラインカジノについての対策を今検討しているかというお尋ねですが、対策という意味では、現時点で刑事法の観点から具体的な検討をしているわけではありません。

難民不認定処分の取消訴訟(札幌高裁判決)に関する質疑について

【記者】
 先月20日に札幌高裁で出た、トルコ出身のクルド人男性の難民不認定処分取消しに対する上告断念を法務省が決めました。これに関して、個別のことは答えられないと前回も言っていらっしゃいますが、高裁判決の中身を見ますと、例えば男性が殴られ、衣服で覆われていない頭や顔にも多数の暴行を受けた傷跡が残っている、また、一審のときに法務省側は提出しなかったということですが、入管に提出した、男性が日本に帰った後、その父親が暴行を受け、重傷を負って亡くなる、その重傷を負った写真や家が壊されている写真も、一審で出していなかったのは問題であるというようなことが判決で指摘されています。
 上告断念という非常に重い判断だと思いますが、今後どうするのか、そして高裁判決を読めば読むほど、札幌入管がしっかり男性を難民認定しなかったのは非常に大きな問題だと思います。こういった入管の状況を、大臣として現在どう感じているのかお答えいただけますか。
 上告断念に対する見解と、一審・二審含めて争ってきましたが、高裁の判決を読めば、入管当局が、男性の傷跡やその父親がその後亡くなった状況をしっかり判断できていなかったのではないかと指摘されています。つまり、入管の難民認定に対する判断が非常に疑問を持たれているのです。ここについての御見解をお願いします。

【大臣】
 2点お尋ねいただきました。
 まず、上告しなかったという点についてですが、判決内容を精査した結果、判決に上告理由を見いだし難いということで、最終的に上告をしないこととしたものです。
 それから2点目ですが、個別の事案に対してのコメントは控えたいと思います。
 ただ、一般論として、日本人と外国人が互いに尊重し合い、認め合って、安心・安全に暮らせる共生社会を実現するためには、外国人の人権に配慮することが重要であるとともに、やはりルールに則って受け入れ、かつ、ルールに違反する者に対しては厳正に対処するということが、出入国在留管理行政の基本であると考えています。

スラップ訴訟に関する質疑について

【記者】
 政治家や企業など権力者が、社会的批判を封殺する目的でジャーナリストや市民などを名誉毀損で訴え、損害賠償請求する、いわゆるスラップ訴訟に関し、恫喝の道具として裁判を利用したと認定された場合、被告が被った物理的・精神的コストを訴訟を起こした者に負わせる、反スラップ法制定の必要性が求められています。古川大臣は「ほうむSHOW」ホームページのインタビューで、「法務省は困っている人、弱い人の味方であるという使命感や矜持を大事にし、誇りを持ってほしい。」とおっしゃっています。こうした反社会的なスラップ訴訟からジャーナリストや市民の言論の自由を守るため、国が法的規制をする必要性に関し、大臣のお考えをお聞かせください。

【大臣】
 質問者が言及されたスラップ訴訟の内容が必ずしも正確に理解・把握できませんが、いずれにしても、提起された訴えの当否については、裁判所において適切に判断されるものであると考えています。
(以上)