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法務大臣閣議後記者会見の概要

令和4年6月14日(火)

 今朝の閣議において、法務省案件として、主意書に対する答弁書が1件ありました。
 続いて、私から3件報告があります。
 1件目は、「外国人材の受入れ・共生に関する関係閣僚会議」についてです。
 本日、関係閣僚会議において、「外国人との共生社会の実現に向けたロードマップ」を新たに策定するとともに、「外国人材の受入れ・共生のための総合的対応策」を改訂しました。
 ロードマップは、我が国の目指すべき外国人との共生社会の三つのビジョン、その実現に向けて、中長期的に取り組むべき四つの重点事項及び具体的施策等を示したものです。
 また、今般改訂した総合的対応策には、ロードマップを踏まえて、単年度に取り組む施策のほか、共生社会の実現のために必要な施策が盛り込まれています。
 法務省としては、総合調整機能を発揮しながら、関係省庁と共に、このロードマップ及び総合的対応策に基づき、外国人との共生社会の実現に向けた取組を着実に進めてまいります。
 2件目は、政務官の駐日ブラジル大使館訪問についてです。
 我が国の国籍法は、重国籍者について、一定の期限までにいずれかの国籍を選択しなければならないとする国籍選択義務を定めています。
 法務省としても、どのような場合に重国籍となるのかや、国籍選択義務のあることについて、広く周知していくことが重要と考えています。
 昨日(6月13日)、その周知活動の一環として、加田法務大臣政務官が駐日ブラジル大使館のサボイア大使を訪問し、国籍選択義務に関するリーフレットの備付けや来館者への周知についての協力を依頼しました。
 今後も、他の国の大使館や領事館への同様の依頼等を通じて、広く周知を図ってまいります。
 3件目は、長崎刑務所で実施する長崎モデル事業についてです。
 本日、長崎刑務所は、知的障害等を有する受刑者に対する処遇・支援のモデル事業を実施するため、長崎県諫早市に所在する社会福祉法人南高愛隣会と業務委託契約を締結します。
 このモデル事業は、知的障害等を有する受刑者の再犯を防ぐため、障害者等の支援に取り組む民間団体の協力を得て、在所中から出所後まで、その特性を踏まえた一貫性のある息の長い処遇・支援を行うものであり、本年中に、同法人の知見・ノウハウをいかした処遇・支援を開始する予定です。
 今後、このモデル事業の効果検証を行い、その結果等も踏まえ、更なる展開を検討してまいります。

「外国人材の受入れ・共生に関する関係閣僚会議」に関する質疑について

【記者】
 今ほど、「外国人材の受入れ・共生に関する関係閣僚会議」にて、「外国人との共生社会の実現に向けたロードマップ」の策定と、「外国人材の受入れ・共生のための総合的対応策」の改訂がなされたとのお話がありました。改めて、具体的にどのような施策に取り組まれていくおつもりか、今後の展望について大臣の所見をお願いします。

【大臣】
 まず、ロードマップについては、令和3年11月に有識者会議から提出された意見書を踏まえ、令和8年度までの5年間に実施すべき課題・施策をスケジュール感と併せて示したものです。
 ロードマップでは、目指すべき外国人との共生社会のビジョンと、その実現に向けて中長期的に取り組むべき重点事項を掲げ、今後、どのような共生社会を目指していくかを示したことに大きな意義があると考えています。
 また、総合的対応策については、平成30年12月に策定したものを毎年改訂してきたところですが、今回は、ロードマップの内容も踏まえ、4回目の改訂を行ったものです。
 今般、ロードマップ及び総合的対応策に新たに盛り込んだ法務省の主な施策としては、生活オリエンテーションの実施、外国人総合支援コーディネーター(仮称)制度の創設、マイナンバー制度を活用した共生社会の実現などがあります。
 法務省としては、これらの施策に着実に取り組むとともに、関係省庁や自治体等と共に、ロードマップ及び総合的対応策全体をしっかりと推進し、外国人との共生社会の実現という時代の要請に応えていきたいと考えています。

刑法等一部改正法に関する質疑について

【記者】
 昨日、参議院本会議で改正刑法が成立しました。これについての大臣の受け止めと、拘禁刑と侮辱罪のそれぞれについて、今後、実際の運用に向けてどのように取り組んでいくか教えてください。

【大臣】
 今回の刑法改正は、罪を犯した者の改善更生・再犯防止を図るため施設内・社会内処遇をより一層充実させる法整備と、侮辱行為の抑止及び悪質な侮辱行為への厳正な対処を可能とする侮辱罪の法定刑の引上げという刑事法における喫緊の課題に対処しようとするものです。
 新たな被害者を生まない安全・安心な社会を実現するために重要な意義を有していると認識しています。
 改正法審議の過程において頂いた様々な御意見や御指摘は真摯に受け止め、改正法の趣旨・内容を広く国民の皆様に御理解いただけるよう、先日も申し上げたように、分かりやすいQ&Aを法務省ホームページに公開するなど、丁寧な説明に努めていきたいと思っています。
 また、附帯決議を踏まえ、捜査機関に対し、改正の趣旨や、現行犯逮捕の考え方について、周知に努めたいと考えています。

【記者】
 昨日、可決・成立した刑法改正についてですが、法案審議過程で野党から、名誉毀損や侮辱をめぐる争いは、当事者間の民事手続で解決を目指す動きが世界の主流であり、国連の自由権規約委員会も、侮辱罪等を犯罪対象から外すことを提起し、刑罰を科す場合でも、身体拘束をするのは適切ではないとする見解を示しているといった指摘や、拘禁刑は国連のマンデラ・ルールに逆行するといった指摘がありました。
 法改正は可決・成立しましたが、これにより、日本は死刑制度の存続、人質司法の批判に加えて、さらに国際的に人権感覚に問題のある国と見られる傾向が強まるという懸念について、大臣のお考えをお聞かせください。

【大臣】
 そのようには認識していません。

在留特別許可の許否判断に関する質疑について

【記者】
 先週の金曜日の夕刊で書かせていただいていますが、先ほど言った共生社会の実現ということを再三繰り返されています。しかし、例えば夫に在留資格がなく、生活を送れないというような日本人女性の方たちが、「仮放免者の夫の在留資格を求める日本人配偶者の会」というものを1年以上前に結成されて、もう1年が過ぎました。入管に対しては再三にわたって、仮放免の夫の在留資格を認めてほしいと訴えていますが、うち一人の方は、2005年以降17年間にわたって交際を続け、結婚してからもう6年が経っています。入管庁は「あなたたちは偽装結婚ではないというのは十分わかっている。」と言いつつ、配偶者ビザを認めていません。また、ガーナの男性と結婚した団体職員の方に対しても、6年、結婚して時間が経っているにもかかわらず、配偶者ビザが認められていません。再三、適法かどうか、違反している方にはきちんと対応してもらうということをおっしゃっていますが、こういう方たちはいずれも、過去の政府の中では、配偶者ビザが仮放免状態でも出ている方たちがたくさんいたという過去もあります。法的な根拠というのは非常に乏しい中で、この6年以上にわたって結婚しているのに、配偶者ビザを認めない、労働資格も与えられないまま、一人の方は今うつ状態を発症していらっしゃいますし、泣く泣くガーナに帰国させた方に対しては、非常に入管での態度が良かったので「1回帰国したら早く戻してあげるよ。」と言いつつも、今、3回にわたって帰国のビザの申請が却下されています。こういった人たちに対してどう対応すべきか、かつて元入管職員だった方がこう言っています。「家族の形態が非常に多様化している中で、入管が、かつてのような純血主義、これに固執しているあまり、やはり許可が出せなくなっているのではないか。強制送還というものを優先しているあまりに、今家族をバラバラにしてしまうことは、日本人の配偶者やその家族など、日本人の利益をも大きく損なっている可能性があるということを、入管はやはり意識して対応すべきだ。」と、厳しく指摘されています。こういった仮放免の夫の在留資格を認めてほしいという妻たちの会があります。こういった方たちに対して、どういった姿勢で臨まれたいと思うのか、大臣の見解をお聞かせいただけますか。

【大臣】
 まず、今御質問の中で記者が言及された事実関係については、飽くまでも記者御自身の見解だということで、受け止めさせていただきます。
 その上でお答えしますが、かねて申し上げていますように、個別案件についてのコメントは差し控えたいと思っています。
 ただ、一般論としてお答えをさせていただくならば、在留特別許可の許否判断は、個々の事案ごとに、在留を希望する理由、御指摘のような日本人配偶者がいる事情等も含めた家族関係、人道的な配慮の必要性等、諸般の事情を総合的に勘案して個別の事案ごとに適切に判断しています。
 また、これも一般論として申し上げますと、入管法第5条に定める上陸拒否事由の該当者については、原則として上陸を許可できませんが、個々の事案ごとに、入国目的、家族関係、人道的な配慮の必要性等、諸般の事情を総合的に勘案し、特別に上陸を許可すべき事情がある場合には、在留資格認定証明書を交付しています。
(以上)