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法務大臣閣議後記者会見の概要

令和4年8月2日(火)

 今朝の閣議において、法務省案件はありませんでした。

刑事手続の在り方に関する質疑について

【記者】
 刑事司法制度の関連でお伺いします。先週、厚生労働省の事務次官を務めた村木厚子さんたちが、法務省宛てに、取調べの録音・録画の完全実施などを求める要請書を提出されました。こうした動きに対しての法務大臣としての受け止めをお願いします。

【大臣】
 7月28日、「改正刑訴法に関する刑事手続の在り方協議会」の第1回会議を開催しました。
 本協議会は、平成28年に成立した改正刑訴法附則第9条による検討に資するため、改正後の規定の施行状況をはじめとする実務の運用状況を共有しながら、意見交換を行い、制度・運用に関する検討すべき課題を整理するために開催しているものです。
 そして、本協議会における協議に関し、同日(7月28日)、村木厚子さんら5名が来省され、「改正刑訴法の見直し検討に当たっての要請」を書面で提出されたとの報告を受けています。
 改正刑訴法は、法制審議会「新時代の刑事司法制度特別部会」における調査審議を経て同審議会によりなされた答申に基づいて立案されたものですが、今回要請書を提出された5名の方々は、同特別部会の委員として調査審議に関与されていたものと承知しています。
 頂いた御要請については、しっかり受け止めさせていただきたいと思っています。
 本協議会において、引き続き、充実した協議が行われることを期待しています。

宗教と政治に関する質疑について

【記者】
 宗教と政治の関係での質問です。宗教と政治の関係について、今統一教会側が閣僚や国会議員との接点があるということが表面化しており、宗教と政治の関係についての関心が高まっていると思いますが、改めて、大臣は国会議員と統一教会側が関係を持つことについて、どのようにお考えなのか、関係を見直すべきだとお考えなのか、伺いたいです。

【大臣】
 統一教会の件に関するお尋ねでしたが、個別の案件に関して、その評価に関わることについては、法務大臣としてコメントは差し控えさせていただきます。
 一般論として申し上げますと、この世の中において、自らの利益のために弱い者を食い物にするというようなことはあってはならないと思っています。ましてや、政治家や宗教家といった者については、なおのことだと思っています。

特定技能制度・技能実習制度に関する質疑について

【記者】
 前回の記者会見で、大臣は、技能実習制度と特定技能制度の見直しについて、「官房長官と法務大臣が共同議長となっている「外国人材の受入れ・共生に関する関係閣僚会議」の下に有識者会議を設けて、丁寧に議論を進めていきたい。」とお話しされました。
 有識者会議は、法務省内にではなく首相官邸で開催されている関係閣僚会議の中に事務局を置くような形を考えていらっしゃるのかということ、有識者会議の人選は、どなたがどのように決める御予定なのかということ、大臣はこの間様々な立場の方のお話を聞かれ、論点整理をされましたが、この方たちは有識者会議を構成されるのかどうかということ、この三つについて伺います。

【大臣】
 私としては、官房長官と法務大臣が共同議長となっている「外国人材の受入れ・共生に関する関係閣僚会議」の下に有識者会議を設けて、様々な御意見を伺いながら、丁寧に議論を進めていきたいと考えています。
 お尋ねの件については、今後、関係省庁とも相談しながら検討を進めていく事柄ですから、現時点において確定的にお答えすることは困難であることを御理解いただきたいと思います。

移民や難民の受入れのための法整備に関する質疑について

【記者】
 前回の記者会見に関することですが、「外国人との共生社会の実現は、歴史の本流であり、時代の要請であると考えており、これを実現するに当たっては、外国人の人権を尊重することはもとより、外国人がしっかりとキャリアパスを描けることが重要だと思う。」とも前回御発言されました。このことは、技能実習制度や特定技能制度に関わったことだけではなく、正面から中長期的に、移民や難民の受入れ政策に向き合う必要があるという意味だと私は受け取りました。
 しかし実際には、日本には行政機関として出入国在留管理庁は存在しても、外国人の基本的人権を保障する法制度も、多文化共生社会を実現するための行政機関もまだ存在しません。現在、ウクライナ避難民の受入れ対策で、官民協力しながら様々な取組を行っていらっしゃいますが、中長期的な受入れのための法整備は行われていませんし、他の避難民や難民の受入れ対策はほとんど進んでいない状況です。仮放免の状態で苦しんでいる難民申請者とその家族もたくさんいらっしゃいます。
 大臣は、歴史の流れということも前回おっしゃいましたが、正面から移民や難民の受入れのための法整備が政府全体の課題として今後必要になると考えていらっしゃるのでしょうか。基本的な考えをお聞かせください。

【大臣】
 御質問の中で記者から言及があった移民や難民の受入れ政策に関する見解については、飽くまでも御質問者の見解として伺っておきます。
 その上で、移民の受入れについて申し上げますと、「移民」という言葉は様々な文脈で用いられており、明確にお答えすることは難しいですが、政府としては、例えば、国民の人口に比して、一定程度の規模の外国人やその家族を、期限を設けることなく受け入れることによって国家を維持していこうという政策を採る考えはありません。
 それから、難民認定については、難民条約の定義に従い、難民と認定すべき方を適切に認定しています。
 難民と認められない方であっても、今回のウクライナ避難民のように、本国情勢等を踏まえ、人道上の配慮が必要と認められる方々については、我が国への在留を認めるなど、適切に対応しています。
 本国の情勢不安を理由に、就労可能な「特定活動」の在留資格への変更は、これまでもミャンマー、シリア、アフガニスタンの方々などにも認めてきたところです。
 その上で、法務省では、難民条約上の難民に該当しないものの、同様に人道的な配慮を要する方々などをより確実に保護できるよう、「補完的保護対象者」の認定制度の導入についても検討してきています。
 いずれにしても、法務省としては、真に庇護を必要とする方々を適切に保護するために、必要な法整備に努めていきたいと考えています。
(以上)