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法務大臣閣議後記者会見の概要

令和4年9月30日(金)

 今朝の閣議において、法務省案件はありませんでした。
 続いて、私から2件御報告させていただきます。
 1件目は、「法の日」における取組についてです。
 明日、10月1日(土)は「法の日」です。昭和35年、政府において、10月1日を「法の日」と定め、国民主権のもとに、国を挙げて法を尊重し、法によって個人の基本的権利を擁護し、法によって社会秩序を確立する精神を高めるための日とされています。
 以来、法務省・最高検察庁、最高裁判所、日本弁護士連合会では、毎年10月1日からの1週間を「法の日」週間とし、全国各地で法の役割・重要性について啓発活動を行っています。
 法務省においても、例年、この週間に「法の日フェスタ」と題する大規模なイベントを開催してきましたが、昨年及び一昨年は、新型コロナウイルス感染症の影響からオンライン開催とし、法務省の施策を紹介した動画を中心とした広報を行ってまいりました。
 今年は、新型コロナウイルス感染症の動向を踏まえつつ、参加される方の安全を優先に、人数限定の事前申込制にした上、3年ぶりに実際に参加者に集まっていただく形でイベントを開催することとし、明治28年建築の国の重要文化財である赤れんが棟「法務史料展示室」の休日公開や、法務省の業務説明を行うこととしています。
 最高裁判所や日本弁護士連合会等においても、イベントが開催されると聞いております。
 法務省としては、今回の「法の日」週間をきっかけとして、国民の皆様に法の役割やその重要性を御理解いただくとともに、「基本的人権の擁護」と「社会秩序の確立」の両立を目指した法務行政の様々な取組についても、御理解いただくことができればと考えています。
 2件目は、先般の記者会見でも御質問がありましたが、いわゆる内密出産に関する戸籍事務の取扱いの周知についてです。
 何らかの事情により、妊婦がその身元情報を医療機関の一部の者のみに明らかにしての出産を望み、医療機関等の説得にも応じないため、そのような出産を医療機関が受け入れる場合、いわゆる内密出産の取扱いに関し、各関係機関に求められる対応等について、厚生労働省とも協議してきたところですけれども、本日、法務省と厚生労働省と連名で、これを周知する文書を関係機関に発出しました。
 法務省の関係では、戸籍の取扱いについて、市区町村長は母の身元が明らかにされない場合であっても、子に日本国籍があると認められる限りにおいて、生まれた子について職権で戸籍を作成することを明らかにしたものです。
 厚生労働省の関係では、産まれた子どもの保護の手順や診療録の扱い、出自情報の管理方法などについて通知されるものと聞いています。
 この通知で示された取扱いに基づき、各市区町村において、戸籍事務が適正に実施されるよう周知を図ってまいりたいと考えています。

「旧統一教会」問題相談集中強化期間に関する質疑について

【記者】
 「旧統一教会」問題の関連で伺います。関係省庁連絡会議の相談集中強化期間は本日までとされていましたが、これまでにどのような成果があったのかを教えてください。
 また、今後どのようにそうした成果を生かしていくのか、どのようなことに取り組んでいくのか教えてください。

【大臣】
 成果についてですが、9月5日から28日までの間、「合同電話相談窓口」において受け付けた相談件数は、速報値ですけれども、合計2,251件との報告を受けています。今回は、関係各省庁が連携し、問題解決に資すると思われる窓口につなげるという方向性を作れたということが、一つの大きな成果だと考えています。
 今後の取組についてですが、本日午後3時から、関係省庁連絡会議の第2回会議を開催し、そこで決定することとしています。最終的にはそこで判断するということですけれども、相談集中強化期間の延長も視野にお諮りをしたいと思っています。

内密出産のガイドラインに関する質疑について

【記者】
 内密出産のガイドラインについてお伺いします。今回その方針が示されたということだと思いますが、今後、法整備の必要性といったことは検討されていますでしょうか。

【大臣】
 まず、戸籍事務について、現行法の扱いとして、職権で戸籍を作るということについては、今の法律を変えるということではないだろうと思います。
 そして、今後問題となりますのは、厚生労働省の関係で、医療機関に対しての色々な周知、あるいは、お母様がどうしても子どもにも隠したいといったことについて、どうなるかというのは、やはり色々な形で運用を積み重ねていきませんと、法的な整備が必要かどうかということには、なかなかすぐに結論が出るという話ではありませんので、まずはしっかりとこの運用を徹底していくということになろうかと思います。

東日本入国管理センター被収容者死亡事案に関する質疑について

【記者】
 入管のカメルーン人の訴訟についてお尋ねします。先日、水戸地裁の判決を受けて、昨日控訴を国側としてもされたかと思いますが、改めて、控訴された御判断の理由を教えてください。

【大臣】
 相手もあることですので、控訴理由書によって明らかにしていきたいと思います。

出入国在留管理行政に関する質疑について

【記者】
 10月3日から臨時国会が始まります。今国会には入管法改正案は提出されないと思いますが、今現在も、入管収容で苦しんでいたり、仮放免の状態で生活困窮している非正規滞在者が3,000人以上おり、多くが帰国できない事情があるにもかかわらず、入管行政は「送還忌避者」とひとくくりにして、強制送還の強化対策を中心に入管法改正を考えていらっしゃると思います。
 仮放免者の中には、収容施設の医療事情で1週間だけでの仮放免が許可されたり、一方では、コロナ感染症対策もあり、仮放免許可更新のために地方入管局に出頭することが半年や1年以上にわたり猶予されている難民申請者のケースなどがあり、同じ仮放免許可でも、対応が個別バラバラの状態です。
 1週間や2週間の仮放免というのはあまりにも非人道的ですし、半年や1年間、仮放免許可されるのであれば、その間少しでも生活が安定するように、半年以上の特定活動を在留許可し、在留カードを発給して、最低限の生活維持のための対策が必要だという声も上がっています。
 これから秋や冬にかけて、生活困窮する仮放免者の生活支援のために、全国各地の民間団体や医療機関も相談会などを開催することになると思いますが、この数年間、特にコロナ禍になってから、民間支援だけの支援では限界があります。仮放免や在留特別許可の運用の在り方を、入管行政として緊急に改善する必要性があるという意見が、この間根強くありますが、補正予算措置を講じる臨時国会開催を前にして、大臣はこの問題についてどのように考えていらっしゃるか、御見解をお願いします。

【大臣】
 御意見は、御意見として承りました。ただ、今御質問されましたけれども、仮放免になる事情というのは、個別にそれぞれ違いますので、一般的にどれぐらいの期間の仮放免が適当であるかというのは、それぞれ個別の事情にもよるものだと考えています。その上で、どうしても保護しなければならない方については、在留特別許可という形のものもありますし、また、基本的には、帰っていただく方にはしっかり帰っていただくということで、私どもとしてもバランスを取った運用をしていかなければならないと思っています。そして、入管法の改正についても、速やかにということで、今国会の提出予定法案の、「提出します」という法案の中には入っていませんが、新しい入管法においても、帰っていただくべきは帰っていただく、保護すべきは保護すべきというバランスを取っていきたいと考えています。

【記者】
 今、在留特別許可の在り方、保護の在り方について、「全体のバランスを見て」というようなお話でしたが、個々人の方というのは、バランスの前に事情があるから何とかしてほしいということで、もちろん全部一律というわけにはいかないかもしれませんが、やはり在留特別許可の在り方を見直すというような、特にコロナ禍になってからは仮放免の方は増えていますので、そういった検討も必要だと思いますけれども、そういった検討の指示というものは出ているのでしょうか。あるいは、仮放免のままずっと放置して、その人が耐えられるかどうかを見るような姿勢でいらっしゃるのでしょうか。保護のための政策というのは全く見えてこないのですが、御見解についてお願いします。

【大臣】
 先ほどお答えしましたとおり、新しい法律の中で、どういうような形でバランスを取るかということで、今、私どもも検討させていただいております。
(以上)