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法務大臣閣議後記者会見の概要

令和4年11月4日(金)

 今朝の閣議において、法務省案件として、主意書に対する答弁書が3件ありました。
 続いて、私から1件報告があります。
 今月末、11月28日と29日に、ドイツのベルリンにおいて、G7の法務大臣会合が開催されます。内容は、ロシアによるウクライナ侵攻について、既にICC(国際刑事裁判所)において捜査を開始していますが、G7においても、司法分野においてどのような協力ができるか等に関して意見交換がされると承知しています。「G7法務大臣会合」というのは、知り得る限り初めてということのようです。先だってホフマンスキ所長も来日されました。私自身も可能な限り出席したいと考えていますが、出席できない場合であっても、先方と話し合いながら、しかるべく対応したいと考えています。

出入国在留管理行政に関する質疑について

【記者】
 技能実習や特定技能制度の見直しに関する有識者会議をこの秋にも設置するとのことですが、設置の具体的な時期や有識者の人数や構成、第1回会合で想定される議題など、現在の検討状況についてお伺いします。

【大臣】
 有識者の人数や構成については、相手もいることですし、今調整中のため、作業は進めていますが、確たることを今申し上げるわけにはいきません。第1回の会合については、古川前法務大臣が、勉強会の中で色々な問題意識を既に「所感」という形で皆様の前でも明らかにしているところですが、そのような現在の技能実習制度あるいは特定技能の制度について、その問題意識の共有をするということです。これがまず出発点になるのかなと考えています。

【記者】
 国連の人権に関する委員会が、日本の入管施設で5年間に3人の被収容者が亡くなったことを受けて、施設内の対応の改善や国際基準に沿った独立した人権救済機関を早期に設立するよう勧告しました。勧告への受け止めと対応についてお願いします。

【大臣】
 勧告があったということは、私も承知しております。人権救済制度については、従来から我が国の国内においても議論のあるところですので、不断の検討をしているという段階です。私も累次の記者会見で申し上げているとおり、国連の勧告は指摘としてしっかり受け止めますが、現段階においては、個別法によるきめ細かな人権救済で対応していきたいと考えています。

G7の法務大臣会合に関する質疑について

【記者】
 冒頭の御発言で、G7の法務大臣の会合について、内容はウクライナ侵攻に関して司法分野でどのような協力ができるかということでしたけれども、もう少し具体的に「こういう話になるのではないか。」というのが分かれば、いくつかお示しいただけないでしょうか。

【大臣】
 アメリカはICCには加盟していませんが、ICCにおいてウクライナにおける戦争犯罪の捜査を行うことについては、G7は支持をしているということです。各国それぞれ司法制度がありますが、国内における捜査と国際的な捜査は異なるところがあります。ですから、それぞれの国が、例えば国際捜査共助をどのように行っているかとか、国内における捜査・司法はどのようなことになっているかという知見を持ち合いながら、非常に困難を伴いますけれども、ウクライナにおける戦争犯罪の解明に、どのような協力ができるのかということを、それぞれの国の制度や知見を持ち寄ることになるのかなと私自身は想像しています。

【記者】
 冒頭発言のG7法務大臣会合に関して追加でお伺いします。ウクライナの情勢に関して話し合われるということでしたが、日本として司法分野やICCの捜査で、法務大臣会合の中で国際社会にどういった貢献ができるか、どういうプレゼンスを発揮できるかという部分に関して、大臣としての御所感をお願いします。

【大臣】
 こういう形でG7の法務大臣が集まるのは初めてで、私どもも今、招待状が来た段階です。先だってホフマンスキ所長も日本に来られて、私どもも色々とお話をさせていただきました。我が国はICCへの最大の拠出国ですけれども、ICCに対する色々な形での協力関係をどういう形で確立するかということもあるでしょうし、また、先ほど申し上げましたように、それぞれの国際共助の仕方をどういう形で円滑化していくか、あるいは、今回のウクライナでの犯罪を分析してみる必要はありますけれども、それに対して、そういった知見が参考になるかなど、色々なことがあろうかと思います。ですから、我が国として色々な形でICCに対して協力をしていること、拠出をしていること、どういうような国際捜査共助を行っているかということ、そういった知見をしっかりと持ちながら、まず認識の共有をした上で、G7が国際協調の中で一体何ができるかということを、しっかりと話合いをしていくことになろうかと思います。

判検交流に関する質疑について

【記者】
 10月31日に、行政訴訟に取り組む全国の弁護士316人と、そういった弁護士が関わっている数多くの行政訴訟の原告団などが、最高裁長官と法務大臣に対して、裁判官と法務省の検察官の行政訴訟分野における人事交流、いわゆる判検交流の廃止を求める申入れを行い、記者会見をしました。裁判の独立や公正の観点から、刑事司法の分野では2012年に判検交流は廃止されましたが、なぜ行政訴訟分野では続いているのでしょうか。
 特に今年9月1日付けの人事では、東京地裁行政部の統括裁判官が法務省訟務局長に転任するという、極めて直接的で裁判への影響が大きいと考えられる人事異動だと思いますが、どのような必要性があって行われ、どなたがそのような判断をされたのでしょうか。この問題は、三権分立や司法の独立性が問われる大きな問題だと思いますが、大臣はいかがお考えでしょうか。

【大臣】
 後段については、個別の人事に関する事柄ですから、ここでお答えすることは控えたいと思います。
 前段の御意見については、一般的に法曹間の人材交流、それ自体が直ちに裁判の公正・中立を害するものとは考えていません。むしろ、法務省の所掌事務の適正な処理のためや、国民の期待と信頼に応え得る多様で豊かな知識経験等を備えた法曹の育成・確保のためには意義があるものと承知しています。色々な御意見があるのは承知していますが、今申し上げたような観点から、民事裁判分野での法曹間の人材交流においては、適材適所の配置として、裁判官出身者を訟務検事として配置しているものと理解しています。

【記者】
 今の件ですが、刑事裁判では廃止されましたが、行政訴訟では直接法務省を訴えている原告の方がいて、入管問題でもそういった裁判があります。裁判長が法務省側の訟務検事をやるということ、関わるということは非常に問題が大きいと思いますが、それについて大臣は何か問題は感じないでしょうか。

【大臣】
 刑事分野と民事分野においては、訴訟の構造も違っていますので、刑事分野でなくなったから民事分野でもなくすべきだという御意見があるのは承知していますが、民事分野において適切に私どもの所掌事務を遂行していくという観点から、法曹の経験がある方の知見を生かしていくことは私は大事なことではないかと思います。
(以上)