検索

検索

×閉じる

法務大臣閣議後記者会見の概要

令和4年12月6日(火)

 今朝の閣議において、法務省案件として、主意書に対する答弁書が1件ありました。
 続いて私から、家族法制の見直しに関して申し上げます。
 本日から、「家族法制の見直しに関する中間試案」についてのパブリック・コメントの手続を開始いたしました。
 この中間試案は、法制審議会家族法制部会が本年11月15日に取りまとめたものであり、父母の離婚後の親権制度、養育費の支払確保、安全・安心な親子交流の実現など、父母の離婚後の子の養育の在り方に関連する様々な改正課題が取り上げられています。
 これらの課題は、こどもの生活の安定や心身の成長に直結する問題であり、幅広く様々な意見に耳を傾けながら議論することが重要です。
 パブリック・コメントでは、本日から2月17日(金曜日)までの期間を定めて、中間試案に対する意見を求めることとしており、国民各層からの幅広い意見が寄せられることを期待しています。
 法制審議会においては、今後、パブリック・コメントの意見も参考にしながら、子の最善の利益を確保する観点から、充実した調査審議が行われることを期待しています。

法制審議会家族法制部会に関する質疑について

【記者】
 家族法制中間試案のパブコメについて伺います。離婚後の共同親権を始め、賛否が分かれるテーマも試案には含まれています。最終的な取りまとめに向けて、国民の声をどう生かしていきますか。大臣のお考えをお聞かせください。

【大臣】
 父母の離婚後の親権については、御案内のように国民の間に様々な意見がありますが、幅広くそういった様々な意見に耳を傾けながら、しっかりと議論を重ねていくことが何よりも大事だと思っています。
 本日から行われるパブリック・コメントの手続は、国民の生の声を受け止めることができる意味で、有益な機会だと認識しています。
 法制審議会においては、今後、この機会に国民から寄せられる意見も参考にしながら、子の最善の利益を確保する観点から、充実した調査審議が行われることを期待しています。

【記者】
 家族法制の見直しについてお尋ねします。本日からパブリック・コメントが始まりますけれども、本来でしたら8月末に試案を取りまとめた上で、9月頃からパブコメを開始する予定だったのかなというふうにお聞きしております。ただ、その間に自民党の法務部会で様々な意見が出たりですとか、そういった経緯で約2か月ほど遅れることになったかと思いますが、重要なテーマということで、早くパブコメをしてほしいという国民の声もあったかと思いますけれども、およそ2か月遅れたことについて、大臣がどう思っていらっしゃるかということと、法制審議会と政治との関係・在り方についてどのように思われるか教えてください。

【大臣】
 まず、遅れるということに関しては、早くやればいいのかということがありまして、やはり大きく意見が分かれているような案件につきましては、しっかり議論を重ねていくということも大事だと思いますので、今回のパブリック・コメントで、しっかり皆さんの意見が聞けたらということに尽きるだろうと思っています。
 いずれにしても、政治との関係というのもありますけれども、一つ一つ法制審の審議をやり、パブリック・コメントをやり、多くの方の意見を聞きながら最終的な結論を出していくということに、我々法務省としては尽きるのだろうと思っています。

【記者】
 同じテーマですけれども、大臣の今の状態の認識についてお伺いしたいと思います。
 家裁調停の中では、DVやこどもへの虐待の対応が不十分だという指摘も出ています。一方、片親と断絶される問題も指摘されていますが、このような状況をどう受け止めていますでしょうか。

【大臣】
 これからパブリック・コメントをした上で、結論を出していくことですので、私の方から今この時点で、法務大臣として「この案件はこうである。」とか「この案件はこうだ。」という意見は言うべきではないと思っていますので、とにかく多くの人の意見に耳を傾けながら結論を出していきたいということに、とどめておきたいと思います。

法制審議会担保法制部会に関する質疑について

【記者】
 本日開かれる法制審の担保法制部会で、中間試案がまとめられる方向になっています。これまで民法上で明記されていなかった動産担保等について、法律で明記する方向で議論が進んできたわけですけれども、こういった制度変更によって金融機関側の貸出しの態度にどんな変化が生じることを期待しますでしょうか。現状、個人保証や不動産に依存した融資が中心になっているわけですけれども、中小企業などが、より柔軟に資金調達できるような環境整備につながるようなお考えはありますでしょうか。

【大臣】
 本日、法制審議会担保法制部会の会議が開かれ、中間試案の取りまとめに向けた議論がなされる予定であるということは、もちろん承知しています。
 この部会は、動産や債権を目的とする担保を中心に、法律関係の明確化、安定性の確保の観点から、担保に関する法制の見直しについて調査審議を行っているもので、この中間試案の取りまとめの後は、パブリック・コメントの手続に入る予定であると聞いています。
 私は、かつて中小企業庁金融課の課長補佐をやっておりましたので、不動産担保や人的担保に過度に依存しない融資というものが大事だということは十分認識しておりまして、そういう観点から、動産や債権などを目的とする担保に関する法律関係の明確化などは、極めて重要だと思っています。
 中間試案が取りまとめられれば、パブリック・コメントの意見も踏まえて、充実した調査審議が行われることを期待しています。

【記者】
 仮に制度変更になった場合に、金融機関側がどこまで動産担保を取った融資を広げるかなど、金融機関側がどれだけ浸透するかという問題は別にあると思いますが、このあたりの大臣の所感をお伺いできますでしょうか。

【大臣】
 当然のことながら、実態面にどういう影響が出るかというのは、これから作られる制度いかんによるので、今この時点でコメントをすることは差し控えたいと思いますけれども、良い展開になることを期待するということ以外にはないです。

参議院本会議における決議の採択に関する質疑について

【記者】
 昨日の参議院の本会議で、中国の新疆ウイグル自治区などでの人権侵害に懸念を示す決議が採択されました。これについて、政府側としての対応の受け止めをお願いします。

【大臣】
 基本的には所管外の話かなと思っておりますし、一方で、私は法務大臣になるまでは人権外交議連の共同代表も務めておりましたので、思うところが色々あります。
 ただ、所管外ですので、差し控えたいと思います。

出入国在留管理行政に関する質疑について

【記者】
 11月15日の衆参両院の法務委員会で、大臣は就任に当たって、法務行政の具体的な課題として、一番最初に入管難民行政について取り上げていらっしゃいました。共生社会の実現や、名古屋入管でのウィシュマさん死亡事件、入管収容問題、難民や技能実習生の受入れなどについてお話しされました。数ある法務行政の中で、一番最初に入管難民行政についてなぜ取り上げたのか。
 それから、来年の通常国会で入管法改正案を再提出されると思いますが、これも非常に問題を多くはらんだ法案で、全国の弁護士会や国連機関、UNHCR、市民団体などから数多くの批判の声が上がり、結局廃案に至りました。特に送還忌避者ということで帰国できない事情がある難民申請者や日本に定住している非正規滞在者の在留特別許可の問題などが厳しいままの状況で、それに対する救済がきちんとできていないというのが大きな批判の声だったと思いますが、来年の通常国会で入管法改正案を提出するに当たって、この間の問題点を整理したり、関係者からヒアリングするといった考えは、大臣にはおありでしょうか。

【大臣】
 11月15日の衆議院及び参議院法務委員会における私の挨拶におきまして、「法務行政の具体的課題への取組」について、「共生社会の実現」など4つの柱を整理して申し上げました。
 その一つ目の柱である「共生社会の実現」における取組は、いずれも重要な課題であり、特に加速度的にボーダレス化する現代社会においては、「外国人との共生社会の実現」はとりわけ喫緊の課題であることから、最初に述べさせていただきました。
 昨年の通常国会に提出した入管法改正法案は、難民認定制度に関する専門部会、収容・送還に関する専門部会などにおいて、外部有識者の方々に御議論いただいた上で、その提言などを踏まえて立案してきたものです。
 同法案は、成立に至らず廃案となりましたが、その後も、必要に応じて、外部有識者の方々の御意見を伺いながら、不断に入管行政について検討を進めてきているところです。
 したがって、改めて専門部会等を設けるなどして、一から御議論いただくことは考えていませんが、引き続き、多様な関係者の御意見を拝聴することが大事だと思っていますので、そういった意見に耳を傾けながら、現行入管法下の課題を一体的に解決するために必要な法改正の早期実現に向けて、努力していきたいと思います。
(以上)