検索

検索

×閉じる

法務大臣臨時記者会見の概要

令和4年12月9日(金)

 本年8月下旬、名古屋刑務所の刑務官1名が、受刑者1名に暴行を加え、傷害を負わせた事案が発生しました。
 これを端緒として、矯正当局において調査を進めたところ、同刑務所において、複数の刑務官が受刑者らに対して暴行や不適正な処遇をそれぞれ行っていたことが順次発覚しました。
 現在も調査継続中ですが、事案の重大性に鑑み、現在の調査状況等を公表いたします。
 現在判明している限りでは、昨年11月頃から本年8月下旬までの間に、名古屋刑務所に所属する刑務官のうち22名の刑務官が、3名の受刑者に対し、顔や手をたたくなどの暴行や暴言、物品を投げ入れるなどの不適切な対応をそれぞれ繰り返していた疑いのあることが判明しています。
 このような行為に及んだ刑務官らは、受刑者らが、職員の指示に従わず、大声を発し、要求を繰り返すなどしていたことなどをきっかけに、このような行為に及んだなどと説明していると聞いています。
 しかしながら、受刑者の人権に配慮しながら、改善更生に向けて尽力すべき立場にある刑務官が、このような行為に及んでいたことは、断じて許されず、極めて遺憾であり、法務省として深く反省するとともに、被害を受けた受刑者の方々に改めて心から深くおわびいたします。
 収容施設を数多く抱える法務省におきましては、被収容者への不適切な対応があった場合には、その部局のみならず、全省的に処遇の状況をチェックすることとしています。
 また、調査の過程で明らかになった事案の軽重等を見定めた上で、外部有識者の検討会を設けるなどして、事案の解明や改善策の策定に向けた検討を行うこととしております。
 これまでに明らかになった今回の事案の内容に照らし、まず、矯正当局に対しては、徹底した調査を速やかに遂げた上で厳正に対処するとともに、全国の刑務所で同様の事態が生じていないかについても調査するように指示したほか、他局についても同様の事態が生じていないか確認するよう、指示いたしました。
 また、本件事案の背景事情を含めた全体像の解明と再発防止策等を公正中立な第三者の目で点検・整理する必要があると認めましたので、外部有識者による検討会を立ち上げるように指示したところです。
 私は、法務大臣として、この深刻な事態を重く受け止め、責任を持って、厳正に対処してまいる所存です。

名古屋刑務所職員による暴行・不適正処遇事案に関する質疑について

【記者】
 まず、刑事手続の対応について法務省としてどのように考えていらっしゃるでしょうか。
 また、職員の処分については、何か現時点のお考えはありますか。
 それと、外部の有識者を入れた検討会を設けるということですけれども、発足のめどはどういうふうに考えていらっしゃるでしょうか。

【大臣】
 まず、本件事案の背景事情や幹部職員の監督状況等を含めて、まだ必要な調査が足りないというふうに思っております。
 職員の処分についても、もう少し調査を進めてから、厳正に対処していきたいと思っております。調査結果を踏まえて対応するということです。
 また、外部有識者による検討会は、できるだけ早期に第1回会議を開催したいと思っておりまして、人選を進めているところです。可及的速やかに人選を進めるように、私からは指示をしております。

【記者】
 刑事手続というところで、立件的な意味合いとして、この22人というのはどういったことを想定されているのでしょうか。

【大臣】
 まだ調査中であるにもかかわらず、この事案の重大性に鑑みて公表させていただいたものですから、調査が終了してから、きちんと厳正に対処されるべきと思っています。

【記者】
 22人の職員というのが、ほとんどが採用3年未満の若年刑務官とのことですが、管理職や幹部職員が一切含まれていないのか、3年未満以外の方というのは、どういう人が何人いるかという内訳と、男女の内訳も教えてください。

【大臣】
 関係職員は、受刑者の処遇や警備を担当する処遇部処遇部門に所属する刑務官です。年齢は、20歳代から30歳代まで、その多くは採用3年以内です。階級は、大半が看守であるということです。現状において、幹部が22名に含まれているということはありません。男女の別は手元にありません。

【記者】
 3年未満ではない人というのは、何年目ぐらいの人が何人ぐらいというのは分かりますか。

【大臣】
 20歳代が17名、30歳代が5名、採用3年以内が16名ということになっています。

【記者】
 名古屋刑務所については、2001年と2002年にも受刑者の方が亡くなる事件が起きています。そういったことを踏まえて、今回の受け止めを改めてお聞かせください。

【大臣】
 過去に名古屋刑務所において、重大な死傷事案が発生したことは、もちろん私も承知しています。同じ刑務所で再び不祥事が起きたことは誠に遺憾であり、国民の皆様の不信を払拭できるように、今後真摯に対応していきたいと思っています。

【記者】
 暴行・不適正処遇に及んでいた疑いが生じたという公表になっていると思いますが、22人はともに、やっていること自体は全員認めているという理解でよろしいでしょうか。

【大臣】
 現時点で、22名のうち、先ほど申し上げた顔や手をたたくなどの暴行や暴言、物品を投げ入れるなどという不適切な対応が、それぞれ繰り返していた疑いが、この22名のうちでありますけれど、一部は明らかであって、一部は疑いという現状であろうと思います。

【記者】
 要するに、まだ否認している人がいるということですか。

【大臣】
 そこは今、私の手元にありませんが、ただ、いずれにしても徹底した調査をやっていきたいというふうに思っています。おおむね認めていると聞いておりますが、正確には申し上げることはできません。申し訳ございません。

【記者】
 今回のこの事案というのは、それぞれがやっていたとおっしゃったと思いますけれども、組織性というか、それぞれ関係して、例えば誰かが指示したとか、そういったところはないのでしょうか。

【大臣】
 私が聞いている範囲で申し上げますと、現時点では、名古屋刑務所長が、刑務官それぞれが不適切な行為を繰り返していたことを知っていたという事実も確認されていませんし、現時点でそのような組織性というものは確認されていないということでありますが、いずれにしても、まだ調査が必要だと思います。

【記者】
 被害者は受刑者3人だけでしょうか。他にもいるとは考えられないのでしょうか。

【大臣】
 現在においては、その3人ということになっています。

【記者】
 8月下旬に発覚しているとのことですけれども、今回12月になって、こうやって公表することになったのは、どうしてでしょうか。

【大臣】
 現在も調査は継続中ですが、冒頭申し上げたように、複数の刑務官が繰り返し暴行や不適正処遇に及んでいた疑いがあるという、本事案の重大性に鑑みまして、一方で、個別の事案についても、ある程度調査が進んできているということで、この時点で公表させていただいたというところです。

【記者】
 現時点で、大臣はこういった事案がなぜ起きたかと考えていますでしょうか。

【大臣】
 私としては、包括的な調査が終了した時点できちんと振り返りたいなと思っておりますけど、これから有識者の知見も仰ぎながら、本件事案の背景事情を含めた全体像を解明するとともに、必要な再発防止策を策定してまいりたいと思っていますので、今の時点でのコメントは差し控えさせていただきたいなと思います。

【記者】
 現時点で、けがが明らかな方は1人だけということですか。

【大臣】
 そうです。左目のまぶた付近に全治5日のけがというふうに報告を受けています。

【記者】
 それ以外の方はまだ確認はできていないということですか。

【大臣】
 できていません。

【記者】
 先ほど御質問にありました過去の名古屋刑務所での不祥事について、この不祥事は刑務所での受刑者の待遇を見直すきっかけとなり、拘禁刑の創設など法改正にもつながりました。そうした中で今回の事件があったということで、改めて大臣として刑務所での処遇というものはどうあるべきかというお考えをお聞かせください。

【大臣】
 繰り返しになりますけれども、あれだけの大きな事件を起こしておきながらなぜ今回このようなことになったか、私自身も正直理解できないところがありますので、第三者を含めたきちんとした検証をやっていく中で、二度と起こしたくないなというふうに思っています。

【記者】
 3人の受刑者ですが、名古屋刑務所はB、F、M、Pと色々な処遇がありますが、いずれも同じ処遇でしょうか。

【大臣】
 個別の受刑者の在所情報というのは、回答を差し控えさせていただきたいなというふうに思います。

【記者】
 つまり同じ処遇に集中しているのでしょうか。それとも、色々な場所でしょうか。

【大臣】
 繰り返しになりますけれど、その点は回答を差し控えさせていただきます。

【記者】
 刑務官の男女の別は分かりますでしょうか。

【大臣】
 全員男性のようです。

【記者】
 物品を投げ入れるというのは、例えばどういったことが行われていたのでしょうか。

【大臣】
 口にするのも嫌なものですけど、アルコールスプレーを受刑者の顔に噴射したり、臀部をサンダルでたたいたりですとか、胸や腕を手で押したりですとか、食器を投げ入れるですとか、そういう行為があったということです。

【記者】
 (食器を)投げ入れるというのは、要は、牢屋の外から投げ入れるということですか。

【大臣】
 おそらくそうです。

【記者】
 22人(の刑務官)ですけれど、組織性は今のところ認められないとのことですが、例えば複数の職員が同時にそうした行為をしていることはあったのでしょうか。

【大臣】
 現時点ではなかったと聞いています。

【記者】
 いずれも1対1ということでしょうか。

【大臣】
 そういうことです。

【記者】
 事案の背景として、大声を発したり、要求を繰り返しているという行為があったということですが、もう少し具体的に何かありますでしょうか。

【大臣】
 もう少し調査が進んでから詳細を御説明したいと思います。しっかり調査をしていきたいと思います。事案の重大性に鑑みて、調査の途中で公表させていただいたものですから、そこは御容赦いただきたいと思います。

【記者】
 事案の背景と書いてありますが、現時点での大臣の判断としては、こうした行為を正当化するものではないという理解でしょうか。

【大臣】
 それも含めて、しっかりした調査をさせていただきたいというふうに思っています。

【記者】
 こういう不祥事が起こったわけですけれども、日本の刑務所というのは、かなり前から、外国人の間では、とても処遇が厳しくて、人権的な配慮が不足しているのではないかという見方がかなりありまして、例えば、一般的な話ですけれども、屋外に非常に短いわずかな時間しか出してもらえないとか、本などの持込みも、外国語の本ですと時間が掛かるかもしれませんけれども、持込みを許していただけない、冬は暖房などがないのでとても寒い、医療をきちんと受けさせてもらえないというような、ある程度不満がありますけれども、こういうことが昔から言われていて、しかも今回繰り返し刑務所でこういうことが起こったということは、日本の矯正システムに何か問題があるのかとお考えにはなりませんでしょうか。

【大臣】
 外国人だからとか、日本人だからということで行われているとは思いませんけれども、いずれにしても人権を守る観点から、どういう収容がふさわしいかということについては、常に目配りをしていかなければならないと思っていますが、いずれにしても、まずは本件について、背景を含めてしっかりと調査をして、第三者の人に客観的な目で見てもらいながら対策を練っていきたいというのが今日の時点での私のコメントになります。

【記者】
 そうしますと、もう少しちょっとスケールが大きな改革とかを考えていらっしゃったりするわけですか。

【大臣】
 まずは今回の件をしっかりと調査させていただきたいなというふうに思っています。

【記者】
 発覚の経緯ですが、受刑者のけがから発覚したということですが、これは誰かが認めて受刑者が素直にそれを認めたのか、また、これまでの調査はどのような調査を行ったのか、その2点お聞かせください。

【大臣】
 まず発覚の経緯ですけれど、今年の8月下旬頃に、受刑者の方が左瞼付近にけがをしているということが認められたものですから、職員がその理由を確認したところ、職員から胸ぐらをつかまれたという申告があったのがきっかけです。
 調査については、直ちに調査を始めたわけですが、名古屋矯正管区を中心として必要な聞き取りなどを行ったところ、当該受刑者に対する傷害事案がやはり発覚しまして、そうだったんだなということになったわけです。その調査の過程において、実は22名の職員が当該受刑者を含む3名の受刑者に対して、不適正処遇をしているという疑いが生じるに至ったということですので、聞き取りが中心の調査だったのではないかと思います。

【記者】
 繰り返しになりますけれども、三度名古屋の刑務所で重大な事案が発生したということで、名古屋刑務所特有の個別の事情ですとか、名古屋刑務所の組織の体質ですとか、そういったところに問題があったのではないかなというふうに考えておりますでしょうか。

【大臣】
 二つの事案にどういう因果関係があるのかというのは分かりませんが、いずれにしても、今回の事案を徹底的に調査することによって、浮かび上がってくるものもあるかもしれませんけど、現時点では、申し訳ないですけれど何も申し上げることはできないかなと思っています。

【記者】
 (採用)3年未満の刑務官が16人だったということですけれども、こうした若い刑務官に対する研修だったり教育、例えば過去に大きな不祥事が起きて、大臣自身理解できないとおっしゃいましたけれども、こういったことがちゃんと継承されていて、教育されていたかどうか、そのへんの研修だったり教育の状況をお聞かせください。

【大臣】
 私も御質問された方と同じで、直感として、どうなんだろうなというふうに思いますよね。既に実施された再発防止策というものがありまして、名古屋刑務所においては、様々な研修も行っていたということですし、この事案が発生した後も、若手職員を対象に人権研修を行ったというふうに聞いております。一般論ですけれど、新たに刑務官に採用された者に対しましては、刑務官等に必要な知識及び技能を習得させるために、採用施設における自庁研修に加えて、矯正研修所名古屋支所においても2か月半程度の集合研修は行われていますが、残念ながら、コロナで令和2年度以降、この集合研修ができずに、代わりに通信研修がされていますが、ここ数年、これまでとは研修の態様が著しく異なってきているという実態はありますけれども、いずれにしても、その因果関係を含めて、これから有識者の知見を仰ぎながら、第三者の目でしっかりと見ていきたいと思っています。

【記者】
 2点質問があります。1点目は、今回の22人の職員の方々ですが、処遇部門から今は離れているのでしょうか。
 2点目は、聞き取り調査を徹底して行うということですが、収容されている1,200人を超える方々、若しくはもう既に収容を終えた方等々への調査、聞き取りを既に行っている、若しくは行う予定でしょうか。

【大臣】
 まず、関係した職員に関しましては、人権研修などを受講させて、その上で勤務箇所を制限するなどして、再発防止の対処はしているところです。
 調査は、まだ継続中だと思います。

【記者】
 22名の組織性がないという話は、先ほどされていたと思うんですけど、22名それぞれが、このような暴行行為や暴言を吐いたりといった不適切な行為を行っていると、他の刑務官の人たちは、一緒に暴言を吐かないまでも知っていたかどうかというところが1点と、大臣自身、今回の事案について報告を受けたのはいつ頃かということと、今回大臣自身が自ら発表を行ったことの理由をお伺いできますでしょうか。

【大臣】
 まず、私がこの話を知ったのは、一昨日でした。矯正当局から概要の報告を受け、確か午後だったと思いますけど、それで把握したわけなので、私はこれは調査の途中であっても速やかに公表すべきだという判断をして、急遽、こうやって皆さんにお集まりいただくということになったということです。
 一つ目については、私も同じ疑問を持っていますが、更なる調査が必要かなと思っています。知っていた者もいるのではないかなというふうには思いますけれど、きちんとした調査をしてからお話ししたいなと思います。

【記者】
 今の大臣の説明ですと、2日前に報告を受けて大臣が公表するという判断を自らしなければ、もう少し調査を継続して発表が遅くなっていたというふうに考えてよろしいですか。

【大臣】
 おそらく、今日こういう形で行うということはなかったかもしれないし、そこはよく分からないところでありますが、ただ私は説明を受けた瞬間に、これは速やかに公表しなければならないということで、指示をしたということです。

【記者】
 名古屋刑務所での調査ですけど、いつ頃までに完了するめどですとか目標が何かあれば教えてください。
 また、不勉強で恐縮ですけど、刑務所内に防犯カメラなど記録するものがあって、暴行の現場などが押さえられているのかどうかをお教えください。
 あと、全国で調査するということですけど、調査の主体はどこで、どういった形でどのくらいの期間をかけて調査される御予定なのかお教えください。

【大臣】
 まず、いつ頃明らかになるかという話ですが、まだ調査自体継続していますし、これから外部有識者の皆さんに、人選をしながら意見を伺うということをしていきたいと思いますので、現状でこうだということは、申し上げるのは困難ですけど、私としては、できるだけ速やかに調査を遂げるように、指示をしていきたいなと思っています。
 調査の中身については、監視カメラみたいなものも実はモニターで確認していますが、短時間の瞬間の行為なものですから、これによって発見することは難しかったという報告は受けています。
 調査の対象については、今の時点ではコメントを控えたいなと思っておりますが、冒頭申し上げたとおりです。

【記者】
 調査の主体としては、法務省の矯正局が行うということでよろしいでしょうか。

【大臣】
 全国の刑務所についても、先ほど申し上げたように調査をしたいというふうに思っています。

【大臣】
 重ね重ね、こういう事件を起こしたことについて、おわびをし、そしてしっかり対処していきたいと思っています。
 今日は皆さんありがとうございました。
(以上)