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法務大臣閣議後記者会見の概要

令和4年12月13日(火)

 今朝の閣議において、法務省案件として、「令和3年度再犯の防止等に関する施策」及び「民事訴訟法等の一部を改正する法律の一部の施行期日を定める政令」が閣議決定されるとともに、「令和4年版犯罪白書」が配布されました。
 続いて、私から2件報告があります。
 1件目は、「令和3年度再犯の防止等に関する施策」、いわゆる「令和4年版再犯防止推進白書」及び「令和4年版犯罪白書」についてです。
 まず、再犯防止推進白書は、「再犯防止推進計画」に掲げられた施策に関し、政府が講じた取組や、それらの成果に関する指標の最新データ等を掲載しています。
 政府においては、刑務所出所者が、出所後2年以内に再び刑務所に入る割合を令和3年までに16パーセント以下にすることを目標として取組を進めてきました。この割合は着実に低下しており、令和元年出所者について15.7パーセントと初めて目標を達成するに至り、直近の令和2年出所者では15.1パーセントと更に減少しました。
 また、本年度は「推進計画」の計画期間の最終年度となることから、今回の特集では、「推進計画」策定後の取組について振り返るとともに、課題と今後の展望を記載しております。
 次に、犯罪白書ですが、最近の犯罪情勢を見ると、刑法犯の認知件数は、引き続き減少し、令和3年も、戦後最少を更新しましたが、他方で、個別の犯罪類型を見ますと、児童虐待やDV事案の検挙件数が依然として増加傾向又は高止まりの状況にある上、大麻取締法違反の検挙件数が大きく増加するなど、特に留意が必要な犯罪もあります。
 また、今回は、特集を2本立てとしました。
 1つ目の特集は、「新型コロナウイルス感染症と刑事政策」であり、コロナ禍における刑法犯を中心とした犯罪動向や、新型コロナウイルス感染症が犯罪者処遇に与えた影響等について、概観・分析した結果を掲載しています。
 2つ目の特集は、「犯罪者・非行少年の生活意識と価値観」であり、生活意識や価値観に関する特別調査の結果等を分析し、今後の指導や支援の在り方、再犯防止対策の在り方等について検討した結果を掲載しています。
 法務省としては、これまでの取組の成果や課題を踏まえ、次期「推進計画」の策定に向けた検討を進めるなど、更なる再犯防止施策の充実等に努めてまいります。
 国民の皆様におかれましては、近時の犯罪情勢や再犯防止施策の現状等についての理解を深める資料として、これらの白書を利用していただければ幸いです。
 2件目は、「民事訴訟法等の一部を改正する法律の一部の施行期日を定める政令」についてです。
 本日、閣議決定された「民事訴訟法等の一部を改正する法律の一部の施行期日を定める政令」は、本年5月に成立した民事訴訟法等一部改正法のうち、住所、氏名等の秘匿制度の創設についての施行日を令和5年2月20日とし、電話による弁論準備手続の期日等への参加の要件の緩和についての施行日を令和5年3月1日とするものです。
 住所、氏名等の秘匿制度の創設は、犯罪被害者の住所、氏名等の情報を相手方に秘匿したまま民事訴訟手続等を進めることができる制度を設けるものです。
 また、電話による弁論準備手続の期日等への参加の要件の緩和は、当事者双方が期日に出席していないケースでも、当事者双方が電話会議等を利用して期日に参加することを可能とするものです。
 これらの制度によりまして、民事訴訟手続等が、国民にとってより利用しやすいものとなることを期待しています。
 法務省としては、改正法の円滑な施行に向けて、周知・広報に努めてまいりたいと考えております。

令和3年度再犯の防止等に関する施策に関する質疑について

【記者】
 冒頭にも御発言がありましたが、出所受刑者の2年以内再入率は、2年連続で政府目標を達成しました。次期、再犯防止推進計画の策定に向けた検討が省内で進んでいると思いますけれども、再犯防止施策を今後どのように展開していかれるでしょうか。大臣のお考えをお尋ねします。

【大臣】
 現行の再犯防止推進計画は、本年度末までの5年間を計画期間としており、本年度中に新たな推進計画を策定する必要があります。
 現在、有識者や関係省庁を構成員とする「再犯防止推進計画等検討会」の場で次期「推進計画案」の検討を進めておりまして、今後、国民への意見募集等を経て、本年度末までに閣議決定したいと考えています。
 再犯の防止のためには、刑事司法手続終了後も、地域社会の中で孤立することなく生活していくことができるよう、「息の長い支援」を行うことが必要であると考えています。
 「息の長い支援」の実施に当たっては、刑事司法関係機関による取組だけでは限界がありますので、住民に対する様々な行政サービスを提供する地方公共団体、地域に根差した幅広い再犯防止活動を行ってくださる民間協力者など、様々な機関・団体等と連携した取組を行うことが不可欠であると考えています。
 次期「推進計画」においても、こうした「息の長い支援」の実現や多機関連携の強化等が基本的な方向性になると考えておりますが、法務省としても、引き続き、地方公共団体や民間協力者の方々と連携して、再犯防止施策を一層推進してまいりたいと考えています。

【記者】
 先ほども質問がありましたが、再犯に関して、再入率が15.1パーセントと初めて政府目標を上回った昨年より更に低下したとはいえ、仮釈放者と保護観察が付かない満期出所者との間でだいぶ差があるという課題もあると思います。その点についての見解をお聞かせください。

【大臣】
 2年以内再入率の低下が見られるのは非常に良いことだと思いますが、その一方で、再犯者数の減少を上回るペースで初犯者数も減少を続けているため、結果として再犯者率は上昇傾向になってしまっているということです。
 安全・安心な社会を実現する上では、再犯防止に向けた取組が重要であると認識しています。この点についても、しっかり議論をして、次の計画に盛り込んでいけたらと思います。

名古屋刑務所職員による暴行・不適正処遇事案に関する質疑について

【記者】
 名古屋刑務所での刑務官による暴行の件で伺います。今年3月の視察委員会で、刑務官の言動に関して、視察委員会から指摘を受けていたことが明らかになっています。名古屋(刑務所)はなぜ指摘を受けながらも、今回の事案を防げなかったのか、大臣のお考えをお聞かせください。

【大臣】
 今年の3月16日、名古屋刑務所視察委員会から運営に関する意見が提出されたということです。その内容は、名古屋刑務所職員の言動や対応等に対して不満を述べる被収容者からの意見が相当数見られ、名古屋刑務所内での調査では限界があるため、客観的な第三者による調査等の対応を求めるものであったと承知しております。
 名古屋刑務所視察委員会から貴重な意見を頂きながらも、施設運営に適切に反映できていなかったと言わざるを得ないと思っておりまして、誠に遺憾であると思います。
 名古屋刑務所に限らず、全国の矯正施設におきまして、視察委員会の意見を真摯に受け止め、的確に施設運営に反映させるなど、視察委員会制度の適切な運用を徹底するように、私から指示をしたところです。

霊感商法等対応ダイヤルに関する質疑について

【記者】
 法テラスでの「霊感商法等対応ダイヤル」について伺います。直近の相談件数は何件に上りますでしょうか。具体的な相談内容について言及できることはありますでしょうか。相談内容に対する大臣の所感も伺いたいです。

【大臣】
 現時点でということでお話ししたいと思いますが、法テラスの「霊感商法等対応ダイヤル」の開設後、昨日までの相談受付件数は、速報値ですが623件でした。
 主たる相談事例の概要については、プライバシー等に配慮しつつ、お答えできる範囲で申し上げますと、「宗教団体であることを隠されて献金を求められ、承諾するまで帰宅させてもらえず、献金した。」、「献金すれば、悪霊が取り除かれると言われて献金した。」、「宗教団体の信者である夫と脱会を約束して結婚したが、夫が脱会していなかったので、離婚について相談したい。」という相談があったと報告を受けています。
 「霊感商法等対応ダイヤル」におきましては、これらの相談に適切に対応していると報告を受けていますが、法務省としては、引き続き、被害者の実効的な救済につなげてまいりたいと考えています。
 なお、「霊感商法等対応ダイヤル」の相談状況等につきましては、専門家等による分析・検討を加えまして、今週末頃をめどとして、相談者のプライバシー等にも配慮しつつ、適切な形で公表したいと考えています。

防衛費の増額に関する質疑について

【記者】
 防衛費の増額問題についてお尋ねいたします。防衛費の増額につきまして、岸田総理は、その財源を、増税を検討するというお話をされました。そのことにつきまして、財源を増税でまかなうことへの賛否、閣僚の一員としてどのようにお考えになられるかということと、与党の税制調査会が検討している個別の税目、例えば法人税やたばこ税の増税、復興特別所得税の転用などへの賛否をどのようにお考えになられるか、あとは、こういったことではなくて、例えば国債の追加発行ですとか、防衛費の圧縮などの代替策について何かお考えがあれば、お聞かせください。

【大臣】
 諸々思うところはたくさんありますが、いずれも法務大臣としての所管外でありますので、この場で法務大臣としてお答えをするのは差し控えたいと思います。申し訳ありません。
(以上)