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法務大臣閣議後記者会見の概要

令和4年12月27日(火)

 今朝の閣議において、法務省案件はありませんでした。
 続いて、私から1件報告があります。
 本年12月9日の臨時記者会見で公表しました名古屋刑務所における暴行・不適正処遇事案について、公正中立な第三者の目で背景事情を含めた全体像の解明と再発防止策等を検討するため、本月26日、「名古屋刑務所職員による暴行・不適正処遇事案に係る第三者委員会」を設置し、本日、第一回会議を開催することとなりました。
 本委員会では、法曹関係者から医療、福祉の専門家まで幅広い分野の専門的知見を有する9名の方々に委員を引き受けていただきました。
 本委員会の検討課題としましては、例えば、事案の全体像の把握及び原因分析、刑務官の教育・研修の在り方、組織の監督体制の在り方、処遇困難者に対する処遇の在り方などが考えられますが、これらに限らず各委員の幅広い御知見から多角的に御議論、御検討いただきたいと考えております。
 法務省としては、本委員会において充実した議論が行えるよう有用な資料を提供するなど、最大限協力するほか、本委員会での御議論、御提言を踏まえ、全ての矯正施設が適正に運営されるよう、各種の再発防止策を可及的速やかに講じてまいりたいと考えております。

「名古屋刑務所職員による暴行・不適正処遇事案に係る第三者委員会」に関する質疑について

【記者】
 名古屋刑務所問題で、第三者委員会の初会合が開かれることになりました。委員の人選の狙いを教えてください。また、今後のスケジュールについて見通しがあればお願いします。

【大臣】
 第三者委員会の構成員につきましては、法曹三者の経験者や医師、更生支援の実務家など、本件の検討に当たって問題となり得る幅広い分野の中から、専門的知見を有する公正中立なふさわしい方々から選定させていただきました。
 各委員におかれては、それぞれの専門分野における知見に基づいて、様々な検討課題について、御議論、御検討いただけるものと期待しています。現時点において、具体的なスケジュールは決定していないものの、委員の方々の御議論の状況を踏まえながら順次スケジュールが決まっていくものと考えています。

人事異動等に関する質疑について

【記者】
 2点、お伺いします。
 まず、政府は(本月)23日に、次期東京高検検事長に畝本直美広島高検検事長を充てる人事を決定しました。女性では初めての就任になりますが、期待することなどがあれば教えてください。
 続いて2点目ですが、今日、閣議後に総理と面会されていたかと思いますが、年末に向けての指示などがあれば教えていただけますでしょうか。

【大臣】
 まず、1月6日付けで定年退官となる、落合東京高検検事長の後任としまして、今御指摘の、畝本直美広島高検検事長を異動させる人事につきましては、一つ一つの人事について、人事当局がコメントするのは、私はすべきではないと思っておりますが、東京高検検事長として的確に手腕を発揮されるものと確信しております。
 また、今日の総理とのお話がありましたが、年末年始について何かお話があったということはありませんでした。

水際対策に関する質疑について

【記者】
 水際対策について伺います。中国で感染者がかなり増加しておりまして、中国政府として海外旅行の回復を狙っているという報道も出ています。日本として、中国からの観光客若しくはビジネスを含めた入国者の受入れについて、体制の見直し等を考えていらっしゃいますでしょうか。

【大臣】
 水際対策については、感染拡大防止と社会経済活動のバランスを取りながら、その時々の感染状況やニーズ、主要国の水際措置の状況等を踏まえながら、政府全体として、適切に判断をしていくということに尽きると思いますので、「法務大臣はこうだ。」とこの場でお伝えするのは差し控えたいと思っています。

出入国在留管理行政に関する質疑について

【記者】
 12月21日に、名古屋第一検察審査会が、名古屋入管でのウィシュマさん死亡事件に関して、業務上過失致死罪の成否について再検討するのが相当とする不起訴不当処分を議決しました。御遺族が昨日記者会見したのですが、ウィシュマさん死亡事件の真相究明なしには、入管収容問題の抜本的な改善や、昨年廃案になった入管法改正案の国会審議もあり得ないのではないかと思います。大臣は、衆参両院法務委員会での挨拶で、ウィシュマさん死亡事件についてもコメントをおっしゃいました。ウィシュマさん死亡事件を踏まえて、どのような入管法改正が必要だと思うのか、この間、さまざまな人権規約とか人権条約とか、UNHCRからも色々な指摘がありましたが、大臣が重要と考える入管法改正のポイントがあれば現段階でもよいので、どのように考えているかお聞かせください。
 それから、(本年)10月に東京入管で自殺したイタリア人男性の案件の調査の進捗状況についてもよろしくお願いします。

【大臣】
 まず、(12月)21日の名古屋の検察審査会のお話ですけれども、この件については、入管庁の調査報告書は、可能な限り客観的な資料に基づいて、医師、弁護士等の外部有識者の方々に御意見・御指摘をいただきながら事実を確認し、考えられる問題点を幅広く抽出して検討が行われてきたというふうに理解しています。
 この報告書では、医療的対応のための体制整備やその運用が十分でなかったこと、あるいは職員の意識の問題などが指摘されており、このような調査結果を踏まえた改善策を着実かつ迅速に実現していくということが、何よりも大事だろうと考えています。
 それから、イタリア人被収容者の死亡事案についてお話がありました。本件につきましては、入管庁において関係資料の精査に加え、職員等への聞き取りも行った結果、御遺体に感電の痕跡が認められたことや、亡くなられた方の居室が密室であったこと等から、感電による自殺事案であると認定されていると報告を受けているところです。
 また、自殺をうかがわせる本人の言動等は見当たらなかった、それから遺書等も残されていなかったということもありまして、いずれにしても、今後、私どもとしては自殺防止策の一層の徹底、本事案についての全官署への共有、そういったことによって同様の自殺事案が発生しないように努めていくことに全力を尽くしていきたいと思っています。

【記者】
 入管法改正に向けて、この間の大臣が就任されてからの経緯を踏まえて、この点だけは、ちゃんと解消したいということがあれば、この点についておっしゃってください。

【大臣】
 繰り返しになりますが、再度議論をしている最中ですが、今までも申し上げたとおり、入管制度全体を適正に機能させていかなければならないと考えていますので、保護すべき者を確実に保護する、ルールに違反した者には厳正に対処できる制度にするために、長期収容問題、送還忌避問題及び真に庇護すべき者を確実に保護する制度の整備等の現行入管法下の課題を一体的に解決する法整備を行いたいと考えています。いずれにしても今検討中ですので、これ以上は差し控えたいと思います。

1年の振り返りに関する質疑について

【記者】
 1年の振り返りをお願いしたいのですが、あと数日で今年も終わりますが、大臣にとってどんな年だったか、今年を表す漢字があれば伺いたいのと、来年の通常国会は1月からおそらくされると思いますが、法案提出もされると思いますが、そこに向けての思いと力を入れていきたい政策などがあればお伺いします。

【大臣】
 まず、振り返りますと、皆さんもお感じになったと思いますけれど、ウクライナへの侵略という思ってもいないような、しかも日本の安全保障政策にも大きく影響を及ぼすような出来事が起こったということは、私にとって一番の大きな出来事でありまして、政治の立場にある人間として、こういう大きな出来事が突然起こるということに対しても、常に備えていかなければならないのだなと、改めてそういう緊張感を感じさせた出来事であり、1年だったと思っています。
 法務大臣としては、11月11日に就任して以来、スタッフの皆さんに助けられて、無我夢中で1か月半ぐらい走ってきたなということですけれど、改めて1か月半経って、皆さんとの接触も含めまして、法務省の仕事というのは本当に色々な重いものがあるなということを改めて今、実感しているというのが、正直なところです。
 来年に向かってですけれども、法務省は様々な課題があります。今日御紹介させていただいた第三者委員会もしっかり進めていかなければなりませんし、もちろん入管法の問題も、どうしていくかということもありますし、御案内のように、技能実習や特定技能の見直しというものも重大課題としてありますので、そういう一つ一つ重大な課題を丁寧に進めていきたいということに尽きると思っております。
(以上)