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法務大臣閣議後記者会見の概要

令和5年1月20日(金)

 今朝の閣議において、法務省案件はありませんでした。
 続いて、私から2件報告があります。
 1件目は、法務省が行っている登記所備付地図データの利活用についてです。
 現在、全国の法務局には、土地の位置や区画を示した地図が整備されており、これらの地図データは、法務局における写しの交付や、インターネットにおける閲覧の方法によって、一般に有償で公開されています。
 このように公開されている地図データは、地番とその周辺の土地ごとに、加工ができない形式で提供されていました。
 しかし、近年、農業分野におけるICT活用や公共サービス関連情報の連携といった観点から、この地図データを加工可能な形で一括して利活用したいとの要望が高まっています。
 これを受けまして、法務省では、関係省庁と連携して検討してまいりましたが、今月23日から、新たな取組としまして、産官学が保有する地理空間情報を集約したプラットフォームである「G空間情報センター」におきまして、法務局が保有する全国の全ての地図データを、加工可能かつ必要なデータをまとめて取得できる形式で、一般に無償で公開することとしました。
 公開される地図データは、オープンデータとして広く利用され、例えば、まちづくりや災害対応、スマート農業といった、幅広いニーズへの対応や新たな経済効果につながり、社会生活に好影響をもたらすことが期待されます。
 法務省におきましては、今後も継続的に、G空間情報センターで公開する地図データの更新を行うことを予定しており、地図データの利活用ニーズへの適切な対応に努めてまいりますので、是非、御活用いただければと思います。
 2件目は、法制審議会担保法制部会において取りまとめられた中間試案についてです。
 本日、法制審議会担保法制部会において取りまとめられた中間試案につきまして、パブリックコメントの手続を開始しました。
 法務省におきましては、令和3年2月、法制審議会に対し、動産や債権を目的とする担保を中心に、法律関係の明確化や安定性の確保の観点から、担保法制の見直しに関する諮問を行いました。
 これを受けまして、部会におきまして、同年4月から調査審議が開始され、先月6日に中間試案が取りまとめられたものです。
 この中間試案は、動産や債権を目的とする担保につきまして、実務では明文の規定のない譲渡担保などの手法が用いられており、判例によって形成されたルールになお不明確な点も残されていることから、そのような担保の実体的効力、実行方法や倒産手続における取扱いなどに関する試案を示すものです。
 パブリックコメントでは、この中間試案について、本年3月20日まで約2か月の期間を定めて、意見を求めることとしており、国民各層から幅広い意見が寄せられることを期待しています。

登記所備付地図データの利活用に関する質疑について

【記者】
 今おっしゃった地図データの利活用ですが、まちづくりや災害と、もう少し具体的に、執行すると、どのようにこの細かいデータを活用することが考えられるのでしょうか。また、安全保障上の懸念等も確か審議会等で一時出ていたと思いますが、パブリックコメントで、そのへんをどう対応されるのか、お聞かせください。

【大臣】
 今回、法務省が行う全国の地図データの一般公開は、農業分野におけるICT活用や、都市計画・防災に役立つようなデータ整備といった民間事業者等からの利活用ニーズも踏まえ、政府全体でオープンデータを推進していく観点から、実施しようとしているものです。
 先ほどお話ししましたように、インターネット上に加工可能な形式で一般に無償で公開されるものですから、利用規約に抵触しない限り、誰でも自由な利用が可能となるといったものです。
 具体的な利活用方法ということですが、例えば、不動産取引や防災対策を目的とした、産官学が保有する情報と地図データの紐付けによる生活関連・公共サービス関連情報とのマクロな連携もできるのではないかと。それから、特定の地域におけるまちづくりやスマート農業の実現を目的としたミクロ単位でのデータ活用、地方公共団体等が保有する各種台帳等と公開する地図データとの重ね合わせによるデータ管理の効率化、見やすくなるということも当然あろうかと思います。こういったものが想定されるわけです。
 こういったことによりまして、データ利活用が様々な分野で広がり、民間事業者のマーケット拡大や国民向けのサービス向上等に寄与することを期待しているところです。
 安全保障上の懸念につきまして、今でも地図に関する情報は、法務局における地図や図面の写しの交付や、インターネットにおけるそれらの閲覧によりまして、既に一般に公開されているものですので、そういったことを考えますと、今回の地図データの公開によって、新たに安全保障上の問題が生じるということは考えにくいと思っています。

ウクライナ避難民への支援策に関する質疑について

【記者】
 ウクライナ避難民の関連でお願いします。色々と避難民への支援を昨年からやっておられますが、身元引受のない避難民への生活費支援は何回か延長を重ねていますが、今年3月までと取りあえずなっています。情勢自体はそう変わらない状況というふうに認識しておりますが、そういった生活費支援を含めて、(令和)5年度以降、どのような避難民支援策に取り組まれるかを伺います。

【大臣】
 現在、政府は、身元引受先のないウクライナ避難民の方々に対しまして、一時滞在施設に受け入れ、年齢や生活状況等に応じまして、一定額の生活費を支給するほか、医療費の実費を支給するなどの支援を行っているところです。
 生活費等の支給期間については、当初は、一時滞在施設入所日から6か月程度は支援が必要となろうということを想定していたわけですが、引き続きウクライナ情勢が不透明であることなどを踏まえて、9月14日に追加的に6か月支給を継続することとしたということですので、御案内のように3月までということになります。
 生活費等の支給期間を含めた今後の支援の在り方については、今後のウクライナ情勢の推移や避難民の本邦での生活状況等を踏まえて、政府全体で検討していかなければならないと考えています。

入管法改正法案等に関する質疑について

【記者】
 入管法改正法案の提出を検討していることについてお聞きします。つい最近、移住連等々のNGO7団体が、ほとんど前回2021年に廃案になった法案の骨格を維持しているということで、昨年11月、国連の自由権規約委員会から様々な勧告を受け、入管制度・収容制度の条件設定を含めた見直しをと言われていたにもかかわらず、骨格を維持したような法案提出はやめてほしいという声明が出され、大臣と岸田首相には送付したということですが、この受け止めと、どういった意図で再び骨格を維持した形の法案を出すのか、お答えいただけますか。

【大臣】
 まず、法案の中身についてはまだ検討中ですので、これについて今私がここでコメントをするのは不可能だということですが、ただ、現状において、送還忌避・長期収容問題は、早期に解決していかなければならない喫緊の課題だと考えていますし、他方で、今回ウクライナの話がありましたが、人道上の危機に直面している真に庇護すべき者を確実に保護する制度の整備というものもまた、重要な課題だと従来から申し上げておりますので、この考え方に即しまして、入管制度全体を適正に機能させ、保護すべき者を確実に保護しつつ、ルールに違反した者には厳正に対処できる制度とすることが大事だと思っておりますので、こうした現行入管法下の課題を一体的に解決する法整備を今検討しているということです。

【記者】
 中身は答えられないということなんですけども、佐々木入管庁前長官は、全件収容主義からの撤退ということも含めて、ウィシュマさんの問題があってから、大幅に全件収容主義そのものを見直すという方針を打ち出されました。これを今きちんと踏襲していくおつもりがあるかということと、やはり今一番問題とされているのは、入管制度・難民認定制度が非常に問題があるという、その根幹がほとんど手つかずのまま、上限設定もない、しかも3回目以降の難民申請を認めないという形の法案を出される、これは細かく内容は言えないということですが、報道によりますと、そこらへんがそのまま出ていく、かつ野党との修正協議をしていたところよりも更に後ろに下がったような形の内容だということで、非常に人権問題は世界的にも日本は後進国ではないかと指摘されている中で、そうした全件収容主義からの撤退、上限設定ということについて、大臣としては真摯に考えているつもりはあるかということと、もう一点、非常に気になっているのが、ウィシュマさんのビデオが5時間開示されることが昨年末決まりました。当方の取材によりますと、担当の訟務検事は、2月14日頃にビデオ上映が行われるという方向を、ほとんど裁判所に提出したのでほとんど承諾していたようだったのですが、つい最近あった三者協議の中で「意見書を書くのに、これから2か月時間がほしい。」と言って2月末にその意見書を提出するという方向になり、そうなると3月から下手すると5月以降にビデオ提出が遅れてしまうと。これは、言い方が悪いですけれども、法案を出して審議しているさなかに、ビデオが開示され、各メディアにも出されてしまうと、非常に世論が「こんな状態でこんな法案を通すのか。」というのがまた巻き起こって、廃案となってしまうことを避けるために、昨年のときは訟務検事も認めていた状況が、いきなりそれを出せないと、公開法廷で出す気はないと。これは、その訟務検事がどうかというよりも、上からの指示で、法案提出が決まったためにこういう状況になっているのではないかと。もし、法案を提出されるということであるならば、それはそうとしても、スケジュールどおりに2月14日、法案審議は3月以降ということなので、その前にこういったものをしっかり公開の法廷で出して、裁判の中できちんと説明を果たしていくというつもりがあるのかということも、お聞かせください。

【大臣】
 まず、前者の質問に関しましては、先ほど私が答弁したとおりでありまして、まだここでコメントはできない段階ですので、調整が終わるのをお待ちいただきたいということに尽きるわけです。
 後者の問題につきましては、訴訟係属中の個別の事案でどう対処するかということに関わる話ですので、私の立場でここでお話をするのは適切ではないなと思っております。
 いずれにしても、法令に従って適切に対応していくということについては、しっかりやっていきたいということです。
(以上)