検索

検索

×閉じる

法務大臣閣議後記者会見の概要

令和5年2月7日(火)

 今朝の閣議におきまして、法務省案件として、「裁判所職員定員法の一部を改正する法律案」が閣議決定されました。
 続いて、私から、「共生社会と人権に関するシンポジウム」の開催について御報告いたします。
 2月9日、「共生社会と人権に関するシンポジウム」をオンライン配信にて開催します。
 グローバル化による経済発展などにより、人々の生活が便利になった一方、世界は、格差の拡大や人種差別など様々な課題に直面しています。
 こうした課題に対処し、共生社会を実現するためには、企業の果たすべき役割が極めて重要です。
 今回のシンポジウムは、この分野の専門家のほか、障害者・外国人雇用に積極的に取り組む企業の方々からお話を伺いながら、共生社会の実現という観点から、「今、企業に求められること」を考えていただく内容としています。
 具体的には、横浜市立大学都市社会文化研究科教授・CSR・アンド・サスティナビリティーセンター長の影山摩子弥氏の基調講演、そして、障害者や外国人雇用に関する取組を積極的に導入している株式会社資生堂、イオン株式会社の御担当者に加え、障害を持つ外国人旅行者に向けて我が国のバリアフリーに関する情報を発信されているグリズデイル・バリージョシュア氏をお迎えしてのパネルディスカッションなどを予定しています。
 このオンラインシンポジウムはどなたでも参加でき、参加無料、事前申込み不要です。
 詳細につきましては、是非、法務省ホームページの人権擁護局のトップページを御覧いただければと思います。
 多くの方々に御参加いただけますよう、報道機関の皆様におかれましては、積極的な周知・広報への御協力を是非お願い申し上げます。

法制審議会刑事法(性犯罪関係)部会に関する質疑について

【記者】
 性交同意年齢を16歳に引き上げ、性犯罪の構成要件を具体化することなどを盛り込んだ法制審刑事法部会の要綱案が先日取りまとめられました。大臣の御所感と、法制化に向けた意気込みをお伺いします。

【大臣】
 性犯罪に対処するための刑事法の整備につきましては、今月3日、法制審議会刑事法(性犯罪関係)部会において、暴行・脅迫、心神喪失・抗拒不能の要件の改正、いわゆる性交同意年齢の引上げ、公訴時効の見直しなどを内容とする要綱案が、部会として採択されたところです。
 これまで、部会において大変熱心に御議論いただき、結論を出していただけたことに感謝を申し上げたいと思います。
 今後、法制審議会の総会において調査審議が行われる予定でありますが、性犯罪への適切な対処は喫緊の課題であり、答申がなされたときは速やかに国会に法案を提出できるよう、準備を進めたいと考えています。

法制審議会家族法制部会に関する質疑について

【記者】
 来週に期限が迫った法制審議会家族法制部会のパブリックコメントについてお伺いします。
 全体的なことですけれど、改めて、親権の在り方などの家族法制を議論する意義について、大臣がどのように考えているかというところと、期限がもう少し迫っていますが、国民がより多く意見を寄せるために何か大臣からのメッセージがあればお伺いします。

【大臣】
 前もお話ししたことがあるかもしれませんが、父母の離婚後の子の養育の在り方などは、私はこどもの生活の安定とか、心身の成長に直結する問題だと考えておりまして、こどもの利益の観点から重要な課題だというふうに認識をしています。
 ただ、父母の離婚後の親権につきましては、国民の間に様々な御意見がありますので、幅広く様々な意見に耳を傾けながらしっかりと議論を重ねていくということが大事だと思っています。
 法制審議会においては、今、パブリックコメントの最中ですけれども、これを参考にしながら子の最善の利益を確保するという観点から、充実した調査審議が行われることを、まず今の段階では期待をしているということです。

入管法改正法案に関する質疑について

【記者】
 1月25日の衆議院本会議での、立憲民主党の大築紅葉議員の代表質問で、岸田首相は名古屋入管で亡くなったウィシュマさんの監視動画の全面開示を保安上の理由で拒否されたり、独立した難民認定機関、難民保護制度の創設なども、入管行政と難民問題に密接な関係があるという理由で否定されました。一昨年の入管法の改正案についても、国内外から色々な批判があって廃案になったわけですが、国際人権法に違反していないというふうに、はっきりおっしゃいました。
 この法案が、同じ骨子で今国会に提出される予定ということになっていると思うのですが、こういった国際人権機関からも無期限長期収容の問題ですとか、難民の独立機関がないとか、独立した保護機関・保護制度がないということ、そういったことを含め、難民送還停止効に一部例外規定を設けるとか、色々な問題点が国内外から指摘されてきたわけですが、こういった問題に対して、国際法に違反していないと岸田首相がはっきりおっしゃる理由は一体何でしょうか。今、LGBTQの差別発言が非常に注目されたり、問題視されていますけれども、外国人政策についても同様の人権感覚が問われていると思いますが、大臣のお考えをお願いします。

【大臣】
 入管法改正案につきましては、今、具体的中身をまだ検討している状況ですので、この中身に関わることについてお答えするのは差し控えなければならないと思います。
 ただ、現行入管法下で生じている送還忌避・長期収容問題は、私どもとしては早期に解決すべき喫緊の課題だと考えていますし、他方で、人道上の危機に直面している真に庇護すべき者を確実に保護する制度の整備もまた、重要な課題の一つだと考えていますので、入管制度全体を適正に機能させ、保護すべき者を確実に保護しつつ、ルールに違反した者には厳正に対処できる制度とするためには、入管法下の課題を一体的に解決する法整備を行うことが必要不可欠であると考えています。今、そういう方向で、法改正の実現に向けて努力しているところですので、個々の内容についてはまだ今はお話しできないと思っています。
 また、国際機関等から様々な御指摘をいただいていることは承知しております。法務省においては、我が国が締結している人権諸条約が定める義務を誠実に履行してきており、我が国の入管制度がそれらに違反するものではないと考えています。また、一方で国際社会との対話が重要であると考えておりますので、我が国の入管行政について、国際機関等からの理解が得られるよう、これまでも丁寧に説明を行ってきておりますが、今後もそうしていきたいと考えております。

【記者】
 先ほど、「国際法に違反しないと考える。」とおっしゃっていましたが、一例で構いませんので、国連から指摘されている問題で「これは国際法違反ではない。」とおっしゃるものがあれば、その理由について、もしお答えできるものがあればお願いします。

【大臣】
 今、この場で、これだというものは申し上げられませんが、入管制度については、国内外から、収容に関する事前の司法審査の導入ですとか、収容期間の上限の導入ですとか、難民認定を専門的に行う独立機関の創設など、様々な御指摘があるというふうに考えていますが、我々としてはそういう御指摘を踏まえながら検討のスコープの中に入れていきたいというふうに考えております。
(以上)