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法務大臣閣議後記者会見の概要

令和5年2月14日(火)

 今朝の閣議におきまして、法務省案件はありませんでした。

性的マイノリティに関する質疑について

【記者】
 LGBT理解促進法案が今国会の争点に浮上しています。自民党内には「差別は許されない」とする文言に慎重な意見もあります。大臣の御見解をお聞かせください。

【大臣】
 性的マイノリティの方々につきましては、社会生活の様々な場面において、課題が生じているというふうに認識しています。
 その課題は、公共施設、医療、就業、学校、社会福祉等の様々な場面で、どのような配慮が合理的か、いかなる整備をなすべきか、差別や偏見を解消するための教育や啓発はいかになすべきかなど、極めて多岐にわたるものであり、関係各府省が、しっかり横断的に連携をしながら個々の問題に取り組んでいくことが必要であるというふうに認識しています。
 こうした課題への対応策としまして、法整備を行うべきとの御意見がありまして、その内容についても、御指摘の点も含め、議員立法として様々な御議論があるものと承知しています。
 法務大臣としては、引き続き、こうした様々な御議論を注視してまいりたいと考えていますし、関係省庁と協力しつつ、人権啓発活動について引き続き取り組んでまいりたいということです。

霊感商法等対応ダイヤルに関する質疑について

【記者】
 法テラスの霊感商法等対応ダイヤルについて、先週金曜日に相談状況の最新版、1月31日までの結果が公表されていますけれど、これに関して、結構件数として集まってきていて、被害相談もかなり多くなってきていますが、現状の大臣の分析というところと、今回の集まった件数を今後どのように生かしていくか、具体的な方策などの検討があれば、お伺いできればなというふうに思います。

【大臣】
 法テラスの霊感商法等対応ダイヤルには、引き続き、金銭トラブル、心の悩み等に関する様々な相談が寄せられて、これらの相談に対しましては、弁護士・心理専門職等の知見を活用しつつ、適切な相談対応が行われていると報告を受けています。
 御案内のように、2月13日までの受付相談件数は、速報値で合計2,717件、(内訳として)電話が2,689件、メールが28件ということですので、増えてきているわけです。
 分析につきましては、確かに、1月末に比べて2月13日はかなり増加しているということはいえると思いますが、この相談件数は、霊感商法等対応ダイヤルで受け付けた相談件数ということを示したということです。2月に受け付けた相談がいかなるものであったかということについては、現在分析を行っていますので、分析を行った上で、適切に公表していきたいというふうに考えていますので、もう少しお待ちいただければと思います。

名古屋入管被収容者死亡事案に関する質疑について

【記者】
 ウィシュマさんのビデオの地裁での開示に関して、2月13日付けで、訟務検事、法務省側の代理人等々が連名で、原告の訴訟進行に関する申入れの意見書というものを提出されています。ウィシュマ弁護団なんかを取材しますと、元々は、ビデオ自体は、例えばクルド人のデニスさんとか、この間民事で国側に賠償命令が出たカメルーン人の「アイム ダイイング」と言って苦しみながら亡くなった男性の訴訟なんかでは、動画が裁判上で公開されて、それを皆さんが、傍聴人が見たという状況だったのですが、今回に関しては、非常に多くの訟務検事さん、そして判検交流で関わっていた元地裁判事さんなんかもいらっしゃるらしいんですけれど、こういった方たちが連名で、これ自体を公開することが安全保障上の支障を生じさせるという形で意見書を出されています。こういったものが出ることで、裁判所での上映とか、今後の上映のタイミングも含めて、かなり前に大臣にお伺いしましたけれど、非常に公開自体遅れていく可能性があると言われています。こういったことを、これまで同じようなことをやっていたのならばまだ理解できるんですけれど、なぜか突如として、この法案提出という話が出ている中で、こういったものが出てきていると。これは、単純に客観的に私が取材していても、法案を何としても通すために、公開されればされるほどメディアに騒がれるということが懸念されますので、こういった申入れの意見書というものを出してきたのではないかという気がしています。なぜ、このようなものをこのタイミングで出しているのか、問題がないのであれば、マスキングを一部公開する画像にするなどして、堂々とその状況を公開すべきではないですか。御存じなのは分かっていますけれども、ウィシュマさんの裁判をめぐっては、不起訴不当という判断が検察審査会によって出されました。そういうことも含めて、やはりもう少し改善を促していくためにも、開かれた状況の中で、反省することはどんどん反省していくということに関しても、こういった意見書を出すこと自体が、国民から不信の目で見られてしまうのではないかと思いますが、その点について大臣の見解をお願いします。

【大臣】
 今回のビデオ映像に関しては、まず当初、昨年、裁判所からの勧告を受けて、証拠調べの必要を認め、証拠提出されたものです。
 そこから先の、裁判所がどう御判断するかについては、私どもはコメントする立場にはありませんし、今後の訴訟における証拠調べの実施方法につきましては、裁判所が判断するものと承知しておりまして、引き続き法令に従い適切に対応してまいりたいということに尽きるのだろうと思います。
 それから、入管法の改正案については、前回も答弁しましたけれど、やはり今このまま、この状態を放置はできないということで、前回答弁させていただいたとおりですので繰り返しませんが、そういう思いで出すものであるということは理解していただきたいなというふうに思っております。

【記者】
 「裁判所が判断するものだ。」ということですけれど、もちろんどうするかは裁判所が判断するものですが、そうではなくて、これまで他の似たような同様の、つまり入管施設内でのビデオ映像の上映に関して、こういったやり方を、これまでデニスさんやカメルーン人男性の「アイム ダイイング」のときは、やっていなかった。しかし、なぜ今回はこのような抵抗を示されているのか、それを大臣としてお答えいただけますか。

【大臣】
 まず、先ほど申し上げたように、御遺族が提起した国家賠償請求訴訟におきましては、証拠調べの必要性を認めたビデオ映像については、証拠提出をしているということです。
 当該ビデオ映像については、訴訟記録の閲覧を請求した者は、裁判所の判断により、個別に閲覧することが可能にもなっていると承知しております。
 他方で、ビデオの映像につきましては、情報公開法上も不開示情報として取り扱っているものであり、これらを広く一般に公開することは保安上の問題もあるし、ウィシュマさんの名誉、尊厳の観点からも問題があるということですので、ああいう意見になったということです。
 あとは、一般論としていえば、訴訟係属中の事案ということになりますので、その事柄の話を私が訴訟外で色々コメントすることは差し控えたいと思っていますということを申し上げたいと思います。

【記者】
 ウィシュマさんの名誉と尊厳ということに関しては、遺族側は再三にわたって、「早くビデオを公開してほしい。」、「入管での人権に対する状況がこうだという現実を知ってもらうためにも、広くメディアに報じてもらい、国民に知ってもらいたい。」と、事件直後から言い続けていることです。それに対してウィシュマさんの名誉、尊厳があるという今の大臣の御答弁は、遺族側の思いとは全く真逆のお話をされています。おそらくは、過程を含め、秘書官の方たちの様子を見ていると、どういうことかという整理がついていないというか、今お話を聞いている限り、もし遺族のウィシュマさんの尊厳がもう少し改善された入管の状況ということを考えるのであれば、早くビデオというのを遺族の思いに合わせて公開ということにもっと踏み切るべきだと思うのですが、この点いかがですか。

【大臣】
 繰り返しになって申し訳ないんですけれども、証拠調べの必要性を認めた映像については提出をしていると。それから、このビデオ映像については、訴訟記録の閲覧を請求した方が裁判所の判断で個別に閲覧することが可能だと。ただ、一般に大きく公開をするということについては、先ほど申し上げたことの繰り返しになりますが、情報公開法上も不開示情報として扱っていると。ウィシュマさんの名誉、尊厳の観点だけではなくて保安上の問題もあるということから、慎重に対応しているということです。

入管法改正法案に関する質疑について

【記者】
 入管法の関連で、まだ法案の具体的な内容に関しては調整中ということだと思いますが、入管法全体を改正することに関しての意義や大臣がどのような問題意識を持っているかというのを、改めて一言お伺いしたかったので、よろしくお願いします。

【大臣】
 御案内のように、法案については検討中ですので、具体的にはお話しできないですけれども、考え方としては、現在入管法下で生じている送還忌避、長期収容、こういった問題は、やはり早期に解決をしていかなければならない喫緊の課題だろうというふうに思っておりますし、他方で、人道上の危機に直面している真に庇護すべき方を確実に保護する制度の整備もまた、喫緊な重要な課題だろうと考えていますので、入管制度全体を適正に機能させ、保護すべき者を確実に保護しつつ、ルールに違反した者には厳正に対処できるといった制度とするということが大事で、そのためには、こうした現行入管法下の課題を一体的に解決する法整備を行うことが必要不可欠ですので、こういう考え方の下で今準備を進めているということです。
(以上)