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法務大臣閣議後記者会見の概要

令和5年2月17日(金)

 今朝の閣議におきまして、法務省案件として、「犯罪捜査のための通信傍受に関する法律に基づく報告(令和4年)」が閣議決定されました。
 こちらは、本日国会に報告がなされることとなります。
 令和4年中の傍受実施事件数は、24事件であり、その結果として逮捕した人員は合計106人でした。
 捜査当局においては、今後も通信傍受を適切に活用していく方針と承知しております。
 続いて、私から2件報告があります。
 1件目は、第2回アジア太平洋刑事司法フォーラムの開催についてです。
 2月13日から14日の2日間にわたり、ウェスティンホテル東京で、第2回アジア太平洋刑事司法フォーラムを開催いたしました。
 このフォーラムは、第14回国連犯罪防止刑事司法会議、京都コングレスの成果文書である「京都宣言」において、国際協力を強化し、法執行機関による地域ネットワークを構築することの重要性が確認されたことを受けまして、国連薬物犯罪事務所(UNODC)との共催で開催しているものです。
 今回は、アジア太平洋地域の23の国・機関から、閣僚・次官級を含む代表団の参加があり、私もオープニングに出席して、信頼を基礎とする国際的な連携の発展への期待を込めたメッセージをお伝えしたところです。
 全体テーマである「犯罪と戦うためのアジア太平洋における国際協力の強化」の下、捜査共助と矯正・保護分野の国際協力に関する2つの分科会が開かれまして、充実した議論がなされたとの報告を受けております。
 このような議論を通じて、アジア太平洋地域の刑事分野における国際協力を促進し、刑事司法機関の能力向上を図ることは、我が国と密接な関係を有するアジア太平洋地域に、「法の支配」や「基本的人権の尊重」といった普遍的価値を浸透させるものであります。また、安全・安心に暮らせる社会、「誰一人取り残さない社会」の実現にも貢献するものであります。
 法務省としては、今後も、本フォーラムの開催と議論への積極的な参加を通じて、アジア太平洋地域における、「法の支配に基づく国際秩序」の維持・強化を主導してまいりたいと考えております。
 2件目は、先ほど開催された、「外国人材の受入れ・共生に関する関係閣僚会議」についてです。
 本日の会議では、高度外国人材の受入れに係る新たな制度について御了承いただきました。
 御了承いただいた新たな制度は二つあります。
 一つ目は、「特別高度人材制度」、通称をJ-Skip(ジェイ・スキップ)としているもので、これまでのポイント制度とは別途、学歴又は職歴と、年収が一定の水準以上の者にも「高度専門職」の在留資格を付与し、現行よりも拡充した優遇措置を認めるというものです。
 二つ目は、「未来創造人材制度」、通称をJ-Find(ジェイ・ファインド)としているものですが、優秀な海外大学の卒業生に対しまして、我が国において最長2年間の就職活動等ができるようにするものです。
 今後、本年4月中に運用開始ができるよう所要の手続を進めるとともに、関係省庁と連携して、本制度の周知を行い、更に高度外国人材の受入れが促進されるように努めてまいりたいと思います。

「犯罪捜査のための通信傍受に関する法律に基づく報告(令和4年)」に関する質疑について

【記者】
 冒頭、御紹介がありました通信傍受の関係でお尋ねします。去年の実施件数は24件と過去最多になりました。増加の背景と大臣の御所感をお伺いします。

【大臣】
 先ほど御報告したように、令和4年中の通信傍受の実施件数は24事件であり、令和3年中に比べれば4事件増加ということになっています。
 通信傍受の実施件数は、対象犯罪に係る事件の発生件数や、そのうち組織的に行われる事案の数、捜査の進展状況等、様々な事情に左右されるものでありまして、この4事件がどうだったかという理由について一概にお答えするのは難しいかなというふうに考えておりますが、いずれにしても、捜査機関においては、引き続き、通信傍受法が定める厳格な要件と手続を厳守した適正な運用というものを行っていくというふうに承知しています。

高度外国人材の受入れに関する質疑について

【記者】
 冒頭、御説明があった新しい制度についてお尋ねします。この二つの新制度の狙いですとか、あるいは大臣の所感について、改めてお聞かせください。

【大臣】
 現在の高度外国人材の受入れ制度は、ポイント制によって出入国在留管理上「高度専門職」の在留資格を付与し、外国人家事使用人の雇用を認めるなどの優遇措置を講じているところです。
 今回、関係閣僚会議で了承いただきました制度については、まず、これまでのポイント制とは別途、新たな制度として、学歴又は職歴と年収が一定以上の者にも「高度専門職」の在留資格を付与し、更には外国人家事使用人の雇用可能人数を緩和するということなど、優遇措置の拡充をする「特別高度人材制度」ということになっています。
 また、優秀な海外大学の卒業生に日本での最長2年間の就職活動等を認める「未来創造人材制度」も併せて創設したいということです。
 今回創設するこれらの新たな制度によりまして、高度人材の方々の受入れが更に進み、我が国の学術研究・経済産業にイノベーションがもたらされることで、我が国の経済成長が期待できるというふうに考えています。
 法務省としては、先ほど申し上げたように本年4月中の運用開始を目指して所要の手続を進めるとともに、関係省庁と連携して本制度の周知を行っていきたいと考えています。

【記者】
 高度外国人材に関して、与党の部会のほうで、経済安全保障上の懸念が若干示されていたと思いますが、こういった懸念の払拭のための説明は、どのように大臣としていたしますでしょうか。
 また、総理の指示の中で「世界に伍する制度に」というような話がありましたが、大臣自身、今回の制度改正で、世界に伍するような制度となり得ると今感じていらっしゃいますか。そのあたりをお聞かせください。

【大臣】
 まず前者につきましては、確かに自民党の中でそういう御指摘があったところですけれども、きちんとした御説明をさせていただいた上で、原案どおり御了承いただいたというふうに理解をしているところです。
 留学生、外国人研究者の受入れの審査に当たっては、機微技術の流出防止の観点から、これまでも必要に応じて、実績ですとか具体的な研究内容などについて、関係する資料を求めるなどしてチェックをしているところですので、引き続き関係省庁と連携を取りながら、厳格かつ的確な審査というものは実施していきたいと思います。
 後者につきまして、私は各国の比較を手元に持っていませんが、各国との比較を見させてもらって、まさに遜色ない制度になったなというふうに認識をしているところです。

入管法改正法案に関する質疑について

【記者】
 一昨日、再び法務部会で、法務省側から入管法に関する説明が行われたと思いますが、3か月ごとの見直しということなどが示されていますけれども、いずれも3か月ごとに見直す主体が問題視されてきた入管庁ということであると、何ら従来と変わらないのではないかという指摘と、それからやはり長期収容化から何とか法令を見直すということでしたが、相変わらずその上限設定はないという状況です。前回、骨格は維持されているものの、一部は修正しているところもあるというのは分かるのですが、今言った入管庁側が3か月ごとに結局見直すのであれば、実体が同じだと、やはりその客観性が乏しいのではないかということとと、上限設定を付けていないということについて、法務省側、大臣の見解をお答えください。

【大臣】
 せっかくの御質問ではありますけれど、今、検討中のお話ですので、私がここでその内容について、こうだああだと言うことは控えるべきなんだろうと思っておりますので、御容赦いただければありがたいなと思います。

名古屋入管被収容者死亡事案に関する質疑について

【記者】
 ウィシュマ・サンダマリさんの件でお尋ねします。先日、名古屋で行われた民事の裁判の進行協議で、法廷でビデオの映像を流す方針が裁判官から示されたということで報道があったかと思います。裁判所の判断に尽きるということにはなるかなと思いますが、大臣の御所感をお聞かせください。

【大臣】
 まず、御指摘の話は、先日の進行協議期日における内容だと承知しております。御案内のように、進行協議期日は非公開で実施されるということですので、その内容について、公開の場で私がコメントするというのは適切ではないと思いますので、控えたいと思います。

ウクライナ避難民への支援策に関する質疑について

【記者】
 間もなくロシアのウクライナへの侵攻から1年になります。入管庁としては、ウクライナの避難者の方の受入れを進めていますが、最初に来た方は、間もなく生活費などの支援の期限が切れると思います。現状の認識と今後の対応について教えてください。

【大臣】
 まず、現状の認識については、どうも早期に事態が好転するということはなかなか考えにくい状況になっているという認識は、持っていなければならないのではないかと思っています。
 現時点のことをいえば、まだ検討中ではありますけれども、今後のウクライナ情勢ですとか、避難民のニーズをきめ細かく把握させていただいた上で、関係省庁と連携しながら、この受入れ支援についてしっかりやっていきたいというのが、現時点での見解です。

外国人の受入れ政策の在り方に関する質疑について

【記者】
 大臣は冒頭の発言で、高度外国人材の受入れについての御発言がありましたが、この間要するに、90年代ですと労働力不足から製造業で不足している日系人の受入れを始め、その後オーバーステイの外国人でもずっと働けていた、人手不足で働かせてあげていた時期もありました。それから非常に入管法が厳しくなった。それから今現在は、技能実習生ですとか、それから今度は特定技能といった形での新しい外国人材を受け入れようという話があります。でも結局、外国人材ということで、労働不足の箇所を埋めて、人数で補うという形で、その人たちが抱えている家族の問題ですとか、それから制度そのものがはらんでいる問題、技能実習生でしたら膨大なお金を払わないと日本に来られないという状況ですとか、色々な産業構造全体の問題もありますし、それからその人材といいますか、要するに海外であれば、おそらく先進国であれば移民という存在で認められるようなことでも、日本政府は基本的には外国人の基本的な人権法ですとか、権利を保障する制度がありません。日本で一回親がオーバーステイになってしまったら、こどもはずっと生まれたときからオーバーステイの状態で、大学生まで行くけれども就職できないといったような状況も続いています。ですから、もう少し外国人のきちんとした基本的人権を認めるような制度をやはりきちんと作るべきでしょうし、入管法もそれに合わせて変わっていく、あるいは新しい省庁を作ることを検討するといった、そういう基本的な取組が今必要な時期だと思いますが、それについて大臣がもし今回の高度人材の受入れの話と併せて、いわゆる技能実習生の話と併せて、今現在の外国人の受入れ政策の在り方について、何かお考えがあれば、基本的なところをお聞かせください。

【大臣】
 御質問が多岐にわたっていますけれども、私も就任以来ずっと申し上げているように、我が国において、日本人と外国人がお互いを尊重して、安全・安心に暮らせる共生社会というものを実現していくためには、外国人の方の人権に配慮しながら、ルールにのっとって、外国人の受入れ・適切な支援等を行っていくことが重要であると、これは従来から申し上げているところです。
 個々の制度について色々御指摘がありましたけれども、その一つ一つの制度において、この考え方をしっかりと実現させていくということに尽きると思っていますので、そういうお答えにさせていただけたらと思います。
(以上)