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法務大臣閣議後記者会見の概要

令和5年2月24日(金)

 今朝の閣議におきまして、法務省案件はありませんでした。

ウクライナ避難民への支援策に関する質疑について

【記者】
 出入国在留管理庁が、ウクライナ避難民に対する生活費の支給の期間を1年延長すると発表しました。大臣の受け止めをお聞かせください。

【大臣】
 政府は、身元引受先のないウクライナ避難民の方々に対しまして、一時滞在施設に受け入れ、年齢や生活状況等に応じて、一定額の生活費を支給するほか、医療費の実費を支給するなどの支援を行ってきております。
 この生活費等の支給期間につきましては、当初は、一時滞在施設入所日から6か月程度は支援が必要となることを想定していましたが、引き続きウクライナ情勢が不透明であることなどを踏まえまして、昨年9月に追加的に6か月支給を継続することとしておりました。
 現在も、ロシアの攻撃によりまして、ウクライナ各地において多くの市民が犠牲になっているなど、ウクライナ情勢は依然として不透明であることなどから、当該情勢が改善するなどウクライナ避難民の方々を取り巻く状況が変化しない限り、更に1年間生活費等の支給を継続しようということとしたものです。
 避難民の方々のニーズ等をきめ細かくくみ取りながら、政府全体で避難民の方々に寄り添った支援を引き続き行っていきたいと考えています。

【記者】
 今日でロシアがウクライナに侵攻してから1年になりました。数々の人権侵害の事案など色々報じられていると思いますけれど、1年経ったという節目で、今後大臣として、法務省としてどのように取り組んでいくか、今年はG7も開かれますが、司法外交なども含めて、お考えなどがありましたらコメントをよろしくお願いします。

【大臣】
 まず、政府として官房長官を議長として、ウクライナ避難民対策連絡調整会議を司令塔としまして、政府一体となってウクライナ避難民の円滑な受入れと生活支援等を行ってきています。
 先ほども少し申し上げましたが、ロシアによるウクライナ侵攻が始まってから1年を経過しても、現在ロシアの攻撃によりまして、ウクライナ各地におきまして、多くの市民の方が犠牲になっているなど、依然として情勢は不透明であると。そういった中で、ロシアによるウクライナ侵攻により、国際秩序というものが大きく揺らぐ中で、法の支配ですとか、基本的人権の尊重といった普遍的価値を守っていく必要性というものは、ますます高まってきたなというふうに認識しています。
 引き続き困難に直面するウクライナ避難民の皆さんの置かれた状況に十分配慮しながら、避難民の方々が安心して生活できるよう、必要な法整備も含めてしっかり寄り添って対応していきたいと思いますし、一方でその司法外交というものにも、一層積極的に推進していく必要があるなというふうに痛感しています。

刑法の罪名変更に関する質疑について

【記者】
 今日開かれました自民党の部会で、性犯罪規定に関しまして、強制性交等罪を不同意性交等罪とするように、罪名変更をするという説明が、法務省側から検討中であると説明されたと聞いております。罪名変更の理由についてお尋ねします。

【大臣】
 罪名も含めまして、まだ検討が済んでいない状況ですので、この場で私のほうから、こうですああですと言うことは差し控えたいと思っています。

難民認定に関する質疑について

【記者】
 令和4年の難民認定の速報値に関してお伺いをしたかったのですが、この前入管庁が示した資料だと、令和4年の速報値で約200人となり、前年が74人ですので、2倍以上には増えているという状況ではあります。G7各国と比べてはまだ少ない状況とはいえると思いますけれど、今回増えた要因について、大臣としてどのように分析しているかをお伺いします。

【大臣】
 まず、我が国では、申請者ごとにその申請内容を審査した上で、難民条約の定義に基づいて、難民と認定すべき者を適切に認定しているということです。この難民認定者数というのは、こうした個別に判断された結果の積み重ねとなっているということが前提としてあります。
 増加の要因は、一概にお答えすることは困難ですが、例えば、アフガニスタン人の方につきましては、昨今のアフガニスタン情勢を踏まえ、令和3年において9人、令和4年は速報値で恐縮ですが約140人を超える方々につきまして、難民と認定しているということもありますので、このような判断結果の積み重ねも、認定者数の増加に影響したのではないかというふうに考えられます。

入管法改正法案に関する質疑について

【記者】
 入管法改正でお聞きします。昨日、全国各地で入管法廃案や反対を求めるデモが行われました。上野では400人、名古屋では学生ら80人が参加したということで、罰則を設けても母国に帰れない理由はなくならない、第二・第三のウィシュマさんを生むのではないかと、強く皆さん訴えて、繁華街を練り歩いたということです。このような全国各地で法案に対する反対運動が大きくなっていることに対する、まず受け止めをお願いします。

【大臣】
 まず、一番大事なことは、現行入管法下で生じている送還忌避・長期収容、こういった問題は、とにかく早期に解決すべき喫緊の課題であると。そして他方で、人道上の危機に直面している真に庇護すべき者を確実に保護する制度の整備も、この両方をしっかりやっていくということが重要な課題だろうと思っていますし、こういった入管制度全体を適正に機能させて、保護すべき者を確実に保護しつつ、ルールに違反した者には厳正に対処できる制度にするために、御案内のように、今回現行入管法下の課題を一体的に解決するということで、法整備を行いたいということで考えているわけです。
 今回の提出予定の入管法改正案につきましては、現在検討中なので個々のことは言えないですけれど、修正すべき点は、様々な経緯がありますので、修正するとの方針のもとで検討しているということです。

【記者】
 (本月)21日にUNHCR駐日事務所代表の着任の記者会見がありました。その中で、入管法改正に関する質問が相次ぎましたが、伊藤礼樹代表は「まだ法案の詳細が分からない。」というふうに前置きした上で、「2021年4月にUNHCRが発表した入管法改正に関する見解は変わらない。」というふうに、はっきりお答えになりました。この見解を踏まえての入管法改正案であれば、どのような点を反映させたのか、もしお分かりであれば具体的にお答えください。
 そして、(本月)22日の自民党の法務部会で、入管法改正案が了解されたということですけれども、入管庁は自民党の法務部会に対して、UNHCRの見解について何か説明されたのかどうか、お答えください。

【大臣】
 繰り返し申し上げている話でありますが、今国会に提出予定の入管法改正案につきましては、現在まだ検討が行われておりますので、具体的な内容についてお答えすることは差し控えたいと思っています。
 そして、自民党の法務部会における議論ですけれども、これは御案内だと思いますが、私も部会をたくさん経験してきていますが、部会での議論は非公開で行われているということですので、政府が非公開のものについて、内容をコメントするということは差し控えるべきだろうというふうに思っています。

【記者】
 重ねて入管ですけれども、UNHCRの見解を踏まえてどうだったかとか個々のやりとりは答えられないという言い方ですが、そもそもUNHCRや国連人権理事会の人権委員会等々から、再三にわたって上限設定のない今の入管法とか第三者機関の判断がないようなものは問題視されたままです。おそらく法務部会で了承された、自民党で了承された案を見ますと、これは一体的に解決と言いながら、国連人権理事会等々が言っているような長期収容、上限設定のないまま、そして第三者機関の判断もないまま、新たな法案を通そうとしているというのが現状だと思います。個々のやりとりが説明できないではなくて、国際的にこういったところから批判を受けている部分の指摘が反映されないまま、なぜこの法案を通そうとするのかお答えいただきたいのと、先日、一部報道のメディアの方が、1,400人の方が今、所在が不明になっているというようなお話が出ていました。この中で、仮放免をいっぱい出したことと影響もあるのではないかという答弁がありましたけれど、なぜこういった方たちが収容に戻らないのか。おそらくは施設の中での様々な非人道的な扱い、医療体制、ネットが全く使えないなど、海外の収容施設ではあり得ないような非人道的な扱いがあるのではないか。ここの理由についても、個々について説明できないということですが、収容の人権的な状況が問題視されている中で、なぜこういった1,400人の方たちが逃げているかという点も含めて、もうちょっとその理由をきちんとつまびらかにするべきではないでしょうか。いかがですか。

【大臣】
 まず、個々のケースに関わるような話につきましては、やはり差し控えるべきだろうと思っておりますし、このケースについても、その積み重ねの結果としてそのようになっているということでありまして、何か制度上に大きな問題があってそうなっているということでは必ずしもないのではないかと思っております。
 いずれにしても、これまで何度も御答弁させていただいておりますように、現在の入管法下で生じている送還忌避ですとか、長期収容問題、これを早期に解決したいというそういう思い、それから人道上の危機に直面して、真に庇護すべき者を確実に保護するという制度の整備も喫緊の課題ですので、こういう考えで法改正を実現していきたいということです。

【記者】
 法の秩序ですとか基本的人権の尊重ということで言いますと、そういうことを踏まえた上で国際人権法もこの間発展していき、UNHCRの見解、この間の入管法改正案についての見解というのも存在すると思います。そういう意味で言うと、今回の入管法改正が、前回と同じという骨格ということではなく、国際人権法上どのような点に配慮して変えていくのか、あるいは変えられないのかといったことを、明確にすべきところから始めるべきですし、ウィシュマさんの事件の真相究明とか、そういうことを踏まえた上でないと、本来審議すべきではない、閣議決定すべきではない法案の内容になっていると思うんですけれど、それの説明も全くないまま、法案が決まっていないから説明できないというのは、非常に説明不足だと思うんですけれども、それについて大臣はどのようにお考えでしょうか。

【大臣】
 検討中の法案を前提としてコメントすることは控えるべきだろうと思います。
(以上)