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法務大臣閣議後記者会見の概要

令和5年3月14日(火)

 今朝の閣議におきまして、法務省案件として、「民事関係手続等における情報通信技術の活用等の推進を図るための関係法律の整備に関する法律案」等(「刑法及び刑事訴訟法の一部を改正する法律案」、「性的な姿態を撮影する行為等の処罰及び押収物に記録された性的な姿態の影像に係る電磁的記録の消去等に関する法律案」)、三つの法律案が閣議決定されました。
 続いて、私から2件報告があります。
 1件目は、本日閣議決定されました三つの法律案についてです。
 まず、「民事関係手続等における情報通信技術の活用等の推進を図るための関係法律の整備に関する法律案」は、令和4年の民事訴訟法の改正を踏まえ、民事訴訟以外の民事関係手続のデジタル化に関する規定を整備することなどを内容とするものです。
 例えば、判決等に基づいて債務者の財産を差し押さえ、債権を回収する民事執行の手続などにおきまして、これまで紙の申立書を提出することによってしていた裁判の申立てを、インターネットを利用してすることができるようにしています。これによって、国民の皆様が民事執行の手続などの民事関係手続をより利用しやすくなることにつながるものと考えております。
 次に、「刑法及び刑事訴訟法の一部を改正する法律案」及び「性的な姿態を撮影する行為等の処罰及び押収物に記録された性的な姿態の影像に係る電磁的記録の消去等に関する法律案」は、性犯罪に適切に対処するため、犯罪の成立のために必要とされている暴行・脅迫、心神喪失・抗拒不能の要件の改正、いわゆる性交同意年齢の引上げ、公訴時効の見直しなどを行うとともに、性的な姿態を撮影する行為等に係る罪の新設、押収物に記録された性的な姿態の画像等を消去・廃棄することができる仕組みの導入などを行うものです。
 性犯罪は、被害者の尊厳を著しく傷つけ、その心身に長年にわたり重大な苦痛を与え続けるものであって、決して許されるものではありません。
 こうした性犯罪への適切な対処は喫緊の課題であり、そのための法整備を行うこれらの法律案は、大変重要な意義を有するものと考えています。
 国会において十分に御審議いただいた上で、速やかに成立させていただけるよう、努力してまいりたいと考えております。
 2件目は、いわゆるオウム真理教と同一性を有する、「Aleph(アレフ)」の名称を用いる団体に対する再発防止処分の決定についてです。
 公安審査委員会は、「Aleph」の名称を用いる団体に対する再発防止処分について、公安調査庁長官による請求を受け、厳正かつ慎重な審査を遂げた結果、昨日(3月13日)、再発防止処分を行う旨の決定を行いました。
 同決定によりまして、当該団体は、6か月間、当該団体が所有し又は管理する特定の土地又は建物の全部又は一部を使用することが禁止され、また、金品その他の財産上の利益の贈与を受けることが禁止されることとなります。
 当該団体は、いわゆる地下鉄サリン事件を始めとする未曾有のテロ事件の首謀者である麻原彰晃こと松本智津夫の絶対的な影響力の下で活動するなど、今もなお、無差別大量殺人行為に及ぶ危険性を有しております。
 公安調査庁においては、引き続き、観察処分を適正かつ厳格に実施し、当該団体の活動実態の把握に努めるとともに、公共の安全を確保し、国民の皆様方の不安感の解消・緩和に寄与してまいるものと考えております。

再審請求事件に関する質疑について

【記者】
 昨日の袴田事件の再審開始決定を受けて、改めて再審請求の規定についてお尋ねします。これまで大臣は、証拠開示制度などについては、手続構造の違いなども踏まえて、通常審と同様の制度導入は難しいと述べられてきたかと思うのですが、袴田事件のように証拠開示が進んでいなかった時期の事件については、重要証拠が表に出ないまま被告側に不利益が生じ続けることになるかと思います。過去の法制審でも「放置していい問題ではない。」という指摘が上がっていたかと思いますが、法務省として応急的措置も踏まえた対処の必要性をどのようにお考えか、改めてお尋ねします。

【大臣】
 再審請求審において証拠開示制度を設けることにつきましては、かつて法制審議会の部会において議論がなされておりまして、その際、再審請求審における証拠開示について一般的なルールを設けること自体が困難である、再審請求審は通常審と手続構造が異なるので、通常審の証拠開示制度を転用することは整合しないといった問題点が指摘されているわけです。
 再審請求審における証拠開示制度を設けることにつきましては、これらの指摘を踏まえて、慎重に検討する必要があると考えていますが、この点につきましては、平成28年に成立した刑事訴訟法等の一部を改正する法律附則第9条第3項において、検討を行うということが求められているわけです。
 したがいまして、平成29年3月から、この検討に資するよう、最高裁判所、法務省、日本弁護士連合会、警察庁の担当者で構成する「刑事手続に関する協議会」を開催し、協議が行われてきたところです。
 そして、令和4年7月からは、同法附則第9条により求められている検討に資するために、刑事法研究者等の有識者、法曹三者、警察庁及び法務省の担当者によって構成される「改正刑訴法に関する刑事手続の在り方協議会」を開催しておりまして、同協議会においては、取調べの録音・録画制度や合意制度など改正法により導入された各制度に加えて、再審請求審における証拠開示についても、協議が行われる予定となっておりますので、法務省としては、附則の趣旨を踏まえ、こうした協議が充実した形で行われるように、適切に対応していきたいということです。

【記者】
 今のに関連してですけれども、大臣が言及された法曹四者協議というのは、結局全く議論が進んでいなくて、昨年立ち上がった改正刑訴法の検討会に関しても、やはり検察官と弁護士と、入っているメンバーからすると、基本的には多分激しい意見の対立が見込まれると思います。こうした点を踏まえると、再審制度の証拠開示の制度化であるとか、再審制度の見直しについては、やはり法務検察の姿勢次第というところも大きいと思うのですが、そのあたりを踏まえて、今後具体的に、独自に法務検察として何かしら検討するPTを作るとか、そういったお考えはあるのかということをお聞かせください。

【大臣】
 先ほど申し上げましたように、再審請求審における証拠開示については、今後、「改正刑訴法に関する刑事手続の在り方協議会」において、協議が行われるというふうに私は承知しておりますので、法務省としては、先ほど申し上げましたように、そこで充実した協議が行われるように適切に対応していきたいというのが、我々の今の考えです。

【記者】
 関連で、検察官抗告の再審請求実施における在り方についてお伺いします。法曹関係者からは、その正当性について疑問を呈する声が上がっていますが、そのあたりについてのお考えをお願いします。

【大臣】
 個別の再審請求事件における検察官の活動内容に関わる、直結する問題でありますので、法務大臣としてコメントすることは控えたいというふうに思っています。

【記者】
 関連ですが、昨日の高裁の判断では、証拠を捜査側がねつ造した可能性が極めて高いと、非常に厳しい判断が出されました。これの受け止めと、御存じのように、袴田さんの取調べをめぐっては、客観的証拠が乏しい中で、マックス1日17時間に及ぶような取調べというのが続きました。時には便器も持ち出して、取調官の前で用を足させるということもあったそうです。こういった取調べの問題、そして昨日のねつ造の可能性が極めて高いという、非常に捜査側にとって彼らこそが刑事罰を問われかねないようなことがあった可能性が指摘されたことを含めて、大臣の現在の見解をお願いします。

【大臣】
 東京高裁が再審を開始する旨を決定したと。そして、その内容も私は承知していますが、繰り返しになりますけれども、やはり個別の事件における裁判所の判断につきまして、法務大臣としてこの場で所感を述べるというのは、あるいはコメントするというのは、避けるべきだろうなというふうに考えております。

外国人同性パートナーの在留資格に関する質疑について

【記者】
 少し話題が変わりまして、同性婚カップルへの在留資格の件でお尋ねします。これまでですと、同性婚カップルの一方の方が日本人の場合は、そのお相手の方に「特定活動」の資格が認められてこなかったと思うのですけれども、先日、米国籍の方に認められたとの報道がありました。昨今、同性婚が非常に話題になっていることもあるかと思うのですが、今回こういう御判断をされた理由と、今後通知や通達などが出されたりとか、この取扱いを一般化されていくお考えがあるかどうか、お聞かせください。

【大臣】
 お尋ねの件につきましては、入管庁から私も報告を受けております。ただ、それ以上の詳細について、個別具体的な事案でありますので、お答えは差し控えたいと思いますが、一般論として申し上げますと、同性婚の当事者がいずれも外国人であって、その双方の本国で有効に同性による婚姻が成立している場合には、在留資格を認めているわけであります。
 その上で、それ以外の場合でありましても、外国人から在留諸申請があった場合には、申請人の行おうとする活動、在留の状況、在留の必要性等の具体的申請内容を踏まえて、いかなる在留資格を認めるかを個別に判断しているということですので、その点申し上げておきたいと思います。
(以上)