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法務大臣閣議後記者会見の概要

令和5年3月22日(水)

 今朝の閣議におきましては、法務省案件として、「証人等の被害についての給付に関する法律施行令の一部を改正する政令」が閣議決定されました。
 続いて、私から、新たに始まる相続登記の申請義務化に関して、御報告がございます。
 公共事業や民間取引等の大きな妨げになっている「所有者不明土地」の発生を予防するため、令和3年に不動産登記法が改正されましたが、令和6年4月1日から、いよいよ相続登記の申請が義務化されます。
 相続登記の申請義務化は、令和6年4月1日より前に相続した未登記の不動産についても対象となるなど、多くの国民に大きな影響を及ぼすものですので、国民の皆様に新制度を十分に御理解いただき、義務化に向けた準備を早期に行っていただくことが重要です。
 そこで、義務化の開始まで約1年となったこの段階で、法務省として、負担軽減策を含めた新制度の内容と予定している運用上の取扱い等を国民の皆様に向けて明らかにするべく、「相続登記の申請義務化の施行に向けたマスタープラン」を策定し、本日、発表させていただくこととしました。この内容は、後ほど法務省ホームページで公開させていただきます。
 法務省では、このマスタープランの内容を踏まえ、新制度の円滑な施行に向けた環境整備やきめ細やかな情報発信に万全を期してまいりますので、皆様方にも御協力を賜れればと思います。

再審請求事件に関する質疑について

【記者】
 過日、東京高検の特別抗告断念により、袴田巌さんの再審公判開始が決まりました。大臣の受け止めをお聞かせください。

【大臣】
 御指摘の事案につきましては、検察当局が、最高裁判所に対する特別抗告をしないという判断をしたということは、私も当然承知しているわけでありますが、個別の再審請求事件における検察官の活動内容に関わる事柄につきまして、法務大臣として所感を述べるのは、やはり差し控えるべきだろうと思っておりますので、御容赦いただけたらと思います。

【記者】
 刑事裁判の再審についてお伺いします。先ほどお話のあった袴田事件に関しては、法曹界から再審の制度化について色々な意見もあったかと思います。改めてお伺いしますが、今回の袴田事件を受けて、再審の制度化、証拠開示の手続の成文化であったり、検察官抗告の在り方について、議論を加速させる考えが大臣にあるのでしょうか。

【大臣】
 まず一つは、検察官が再審開始決定に関して抗告をし得るということについては、公益の代表者として当然のことであろうと思っておりますので、これによって再審請求審における審理・決定が適正かつ公正に行われることが担保される、そういう制度だろうというふうに認識しています。
 そして、様々な御指摘を頂いているところでありますけれども、今、再審請求審における証拠開示の問題ですとか、そもそも抗告権を排除すべきだとか、色々な御意見がありますが、抗告権を排除するということにつきましては、今申し上げましたように、違法・不当な再審開始決定があった場合に、法的安定性の見地からこれを是正する余地を全くなくしてしまうという問題もあり、また、司法制度全体の在り方とも関連するものでありますので、これは慎重に検討すべきだろうと思っています。
 また、証拠開示についても様々御議論いただいておりますが、御案内のように、かつて法制審議会の部会においても議論がなされておりまして、再審請求審における証拠開示について一般的なルールを設けること自体が困難であるとか、それから、再審請求審は通常審と手続構造が異なるので、通常審の証拠開示制度を転用することは整合しないといった問題点も指摘されておりまして、証拠開示制度については、これらの指摘を踏まえ、慎重に検討する必要があると思っていますが、この点については、平成28年に成立した刑事訴訟法等の一部を改正する法律附則第9条第3項において、検討を行うということが求められております。
 そこで、平成29年3月から、この検討に資するよう、最高裁判所、法務省、日本弁護士連合会、警察庁の担当者で構成する「刑事手続に関する協議会」を開催し、協議が行われてきたところです。
 そして、昨年7月からは、同法附則第9条により求められている検討に資するために、刑事法研究者等の有識者、法曹三者、警察庁及び法務省の担当者によって構成される「改正刑訴法に関する刑事手続の在り方協議会」を開催しておりまして、この協議会においては様々、例えば、取調べの録音・録画制度や合意制度など改正法により導入された各制度に加えて、再審請求審における証拠開示についても、協議が行われる予定になっておりますので、法務省としては、充実した協議が行われるよう、適切に対応していきたいと考えています。
(以上)