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法務大臣閣議後記者会見の概要

令和5年4月21日(金)

 今朝の閣議において、法務省案件として、4件の閣議決定がありました。
 続いて、私から本日閣議決定された案件について、2件報告があります。
 1件目は、「無差別大量殺人行為を行った団体の規制に関する法律の施行状況に関する報告」及び破壊活動防止法に基づく「令和4年団体規制状況の年次報告」についてです。
 特に、団体規制法に関する報告では、いわゆるオウム真理教に対する観察処分の実施状況、当該団体の組織・活動状況等について報告いたしました。
 公安調査庁において、引き続き、観察処分を適正かつ厳格に実施し、当該団体の実態を明らかにするとともに、当該団体のうち「Aleph(アレフ)」の名称を用いる団体に対する再発防止処分の実効性の確保を図ることを通じて、地域住民を始め、国民の皆様方の不安感の解消・緩和に努めてまいります。
 2件目は、「民法等の一部を改正する法律の施行期日を定める政令」についてです。
 この政令は、昨年12月に成立した民法等一部改正法のうち、嫡出推定制度の見直し等を定める部分について、その施行日を令和6年4月1日とするものです。
 この改正法は、無戸籍者の問題の解消という、喫緊の課題に対応するものであり、子の利益の保護につながるものと考えております。
 法務省としては、改正法の円滑な施行に向けて、周知・広報に努めてまいりたいと考えております。

入管法改正法案に関する質疑について

【記者】
 入管難民法の改正案についてお尋ねします。日本維新の会が昨日、改正案の修正協議を自民党に申し入れました。委員会での質疑時間が積み重なりつつある中で、一方で、採決の日程の合意には至っていないという状況かと思うんですが、このタイミングで修正協議が行われることへの期待など、大臣の所感をお聞かせください。
 もう一点ですが、維新の修正案では、難民認定の質の向上のための情報収集ですとか、職員の育成などが求められています。これらの修正要求に対して、どのように対応していかれるか、党としての御判断による部分も大きいかと思うんですけれども、大臣個人としてのお考えをお聞かせください。

【大臣】
 まず、お尋ねは、国会審議の在り方や与野党間の協議に関する事柄ですので、法務大臣として所感を述べることは差し控えたいと思います。
 引き続き、私としては、改正法案について、広く国民の皆様に御理解いただけるよう、国会審議等において丁寧に説明してまいりたいと考えています。
 一般論としては、難民認定の質向上のための情報収集や職員育成等については、更に適切な難民認定につながるものと考えています。

【記者】
 大臣はこの間、ウィシュマさんの動画について聞かれた際に、「原告側が勝手に編集をして公開したものである。」ということをおっしゃっていますけれども、そうではなくて、政治家個人として法務省の大臣としていらっしゃるわけですから、ビデオを御覧になったのか、その御覧になったときに、御自身としてはどういうふうに感じたのかを、まず聞かせていただけないでしょうか。

【大臣】
 5分間のビデオというより、私は5時間以上全部見ております。その上で、国会でも答弁しておりますけれども、どうしてこういうことが行われてしまったのかというふうに思ったのと、こういうことは二度と繰り返してはならないということを強く思いました。そして今でも、ウィシュマさんが「担当さん、担当さん。」と呼んでいる声は、私の耳から去っていません。そういう強い思いを抱きました。

【記者】
 その思いというのは、改正法案にちゃんと反映されているのか。この前からおっしゃっている、例えば常勤医師の設置基準を緩和するとか、あとは全件収容主義をやめるとか、3か月ごとにチェックするとか、あとは健康に配慮した仮放免等、その点はもういいので、でも一番言われているのは、第三者のチェックがないことではないかと。ビデオの中でも、下の人達が「私は権限がないからボスに言うけれどもできない。」ということがあって、そこにあるのは、第三者のチェックがなくて、それによって裁量権が大きすぎて、それは国連の人権委からもずっと指摘されていることであって、その最大の問題に応えていないと思うんですけれども、これは国際的な批判もあるところですけれども、その点いかがでしょうか。それ以外のところは分かっているので。

【大臣】
 国会の答弁の中で、私はお話しさせていただいているんですけれど、まず先ほど申し上げたように、そういう強い思いを持ちました。しかし、私は医者でもなければ、収容所の実態に精通しているわけでもありません。ですから、やはり専門家、第三者の人たちにしっかり検証していただいて、どこにどういう問題があったかということを抽出していただくということをせざるを得ないという立場にあります。調査委員でしっかり調査をしていただいて、改善点を含めて提案をされたと。それについて、私は今、一つ一つ実行に移しているということです。それで足りないのではないかという指摘に関しては、大変恐縮ですけれど、今、訴訟になっていますので、その訴訟の過程で明らかになっていくんだろうというふうに考えています。

【記者】
 裁判のことを聞いているのではなくて、法案の中に第三者のチェックが入っていないというのをお聞きしたんですけれども。

【大臣】
 何についての第三者のチェックですか。

【記者】
 入管の裁量について、第三者がその収容状況をチェックするとか、そういったものです。

【大臣】
 それは視察委員会とかがあるわけですよね。

【記者】
 それは前からあるものですよね。

【大臣】
 前からです。

【記者】
 それをもっと改善するものは入っていないわけですね。

【大臣】
 今、一つ一つの条文の詳細について聞かれても、準備しないとお答えできません。私の印象では、そこはなかったような気がしますが、視察委員会とか既にありますので。

【記者】
 現行のもので対応できると。

【大臣】
 はい。(お尋ねに)間違いがあったら申し訳ないですけれども。

【記者】
 いえ。

東日本入国管理センター被収容者に対する制圧行為についての国賠訴訟に関する質疑について

【記者】
 昨日、トルコ国籍クルド人のデニズさんが入管職員から暴行を受けたとして、国に損害賠償を訴えた裁判の判決がありました。職員の制圧行為の一部を違法と認めて国に賠償を命じましたが、入管法改正案審議中にこういった判決が出たことに対する受け止めと、国の今後の対応を教えてください。

【大臣】
 御指摘の判決は、被収容者に対し、戒具を使用した上で制圧を継続したことについて違法性が否定されたものの、その際の個別の制圧行為の一部について、国の主張が受け入れられなかったものであると承知しています。
 判決の内容については、十分に精査し、適切に対応していきたいと考えています。
 その上で、今回の改正法案においては、処遇の原則として、被収容者の処遇は、被収容者の人権を尊重しつつ適正に行わなければならない旨の規定に従って人権を尊重し、適正に職務を行うこととなります。新設条文です。
 また、被収容者に対する有形力の行使については、入国者収容所等の規律及び秩序を著しく害する行為等に対して、合理的に必要と判断される限度で、その行為を制止し、その被収容者を拘束し、その他その行為を抑止するため必要な措置をとることができるなどと要件を明確かつ厳格に定めています。
 さらに、改正法案では、入国者収容所等の職員による不適正な行為について、法務大臣や出入国在留管理庁長官に対し是正を求めることができる規定も新設しているところです。
 こうした諸規定を入管法に設けることにより、職員による被収容者への制圧行為がより一層適切に行われることになると考えていますので、引き続き、改正法案については、国会審議等において、丁寧に説明してまいりたいと考えています。

【記者】
 デニズさんの関連なんですけれども、制圧行為そのもの全体は違法とはしていませんが、20秒の痛点を押した行為、また、押さえるときに左肘や背中を押さえたり、手に手錠をかけて腕を持ち上げるなどの、この一連の行為は、全て違法と認定されています。デニズさんは20回暴行を受けたと言っています。一番の問題は、痛点です。この場所を押さえるというのは、こういう行為を、取り押さえた職員は「入管の側から習った。」と。「指導してもらって、それをやった。」と言っています。しかし上司である方は「そんな指導は施していない。」と。ここは食い違っているんです。私は、もしこのように非人道的な、違法と認定され、これから刑事告訴もすると言われている行為について、職員同士の会話の話が食い違っている、これはやはり人権上非常に問題ではないかと思うので、この部分について、徹底的にどういったことが実際痛点について教えられていたのか否かという点、大臣がこれをきちんと調査するおつもりがあるのかという点、お願いします。

【大臣】
 まず、私としては、今まさに裁判になっている話ですので、事実関係の認定については、裁判においてしっかりと行うということになろうかと思います。

技能実習生の逮捕事案に関する質疑について

【記者】
 東広島市で赤ん坊の遺体が見つかって、ベトナム人技能実習生が逮捕されました。技能実習生をめぐっては、過去にも同様の事案が起きています。大臣の所感と対策などがあればお願いします。

【大臣】
 報道があったことは承知していますけれども、現在捜査中の個別事案と認識しておりますので、お答えを差し控えたいと思います。
 一般論として申し上げますと、技能実習生については、日本人労働者と同様、妊娠・出産を理由とした解雇等不利益な取扱いをすることが禁止されており、妊娠・出産に関する権利や利用できる制度について、これまでも周知を行ってきたところです。
 その上で、入管庁においては、不適正な取扱いの実態を把握するため、技能実習生からヒアリング調査を行い、その結果を昨年末に公表するとともに、改めて全国の監理団体等に対して、注意喚起文を発出し、監理団体が実習実施者を監査するときに、監理団体自ら技能実習生に対して技能実習生手帳等を用いて妊娠・出産に関する制度や支援策を説明すること等を依頼しています。
 また、本年4月から、妊娠・出産した技能実習生が適正に実習を継続することができるようにするため、やむを得ない理由により技能実習を中断した場合の再開手続の簡素化、それから、自身の妊娠・出産を理由として技能実習を中断又は中止し帰国することとなった場合、出産などをした後に日本で技能実習を再開する意思があるかどうかを確認するための申告書を新設をしたところです。こういった取組を実施し、全国の監理団体等に対して、当該取組について周知するとともに、妊娠・出産等を理由とした不利益取扱いの禁止についても改めて注意喚起を行ったところです。
 引き続き、制度を共管する厚生労働省や、外国人技能実習機構と連携しながら、この制度の適正化に努めていきたいと考えています。

公安調査庁の調査等に関する質疑について

【記者】
 中国で、スパイ容疑で懲役6年の判決を受けた元日中青年交流協会理事長の鈴木英司さんについてお尋ねします。中国の判決文や鈴木さんへの取材によると、公安調査庁との接点があったとして中国当局に拘束されたということですけれども、まず、公安調査庁が鈴木さんに情報収集を依頼したという事実があったのかどうか。そして、鈴木さんは中国の政府関係者から「公安庁の内部には中国のスパイがいる。」というふうに説明されたそうです。また、鈴木さんは国家安全部に公安調査庁の職員の顔写真のリストを見せられたということがあったそうです。こうしたことから、中国側に公安調査庁の情報が漏れているというふうな事実はありますでしょうか。

【大臣】
 まず、公安調査庁の調査の具体的内容に関わる事柄については、今後の業務に支障を来すおそれがあることですので、事実関係を含めてお答えを差し控えたいと思います。
 それから、私人の個人的見解の一つ一つについて、論評することは差し控えたいと思いますけれども、公安調査庁においては、情報保全対策の徹底に努めているところです。

【記者】
 これとは別に、弊社が入手した2015年に上海で拘束された日本人の方、その判決文によると、公安庁の職員の実名が示された上で、公安庁の職員が在日中国大使館員への情報収集を依頼し、実際にその情報を取得したと書いてありました。この事実関係の確認について、この人に対する謝罪や補償というものは、一切公安庁は行っていないということですけれども、今後何か対応する予定はありますか。

【大臣】
 御質問は、公安調査庁の調査の具体的内容に関わる事柄でありますので、今後の業務に支障を来すおそれを考えますと、事実関係を含めてお答えを差し控えさせていただきたいと思います。
(以上)