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法務大臣閣議後記者会見の概要

令和5年7月4日(火)

 今朝の閣議において、法務省案件として、主意書に対する答弁書が7件ありました。
 続いて、私から5点、御報告があります。
 まず、「社会を明るくする運動」についてです。
 今月は、犯罪や非行のない安全で安心な明るい地域社会を築くことを目的とする第73回「社会を明るくする運動」の強調月間であり、また「再犯防止啓発月間」でもあります。
 明日、7月5日には、法務省内において、吉本興業所属のお笑い芸人の方々に御参加いただき、各地の「社会を明るくする運動」の様子を紹介するキックオフイベントを開催します。是非、全国各地に根差した多様な活動に注目いただき、応援してくださると有り難いと思います。
 また、本日の閣議では、私から閣僚の皆様に、本運動や再犯防止への御支援と御協力をお願いいたしました。
 閣僚の皆様には、本日から10日までの間、犯罪や非行のない社会づくりに取り組む決意のしるしである「幸福(しあわせ)の黄色い羽根」を着用していただいております。
 法務省では、引き続き「社会を明るくする運動」と再犯防止に向けた取組を積極的に進めてまいりますので、報道機関の皆様にも、周知・広報への御協力をお願いできたらと思っています。
 次に、司法外交閣僚フォーラムについてです。
 いよいよ、明後日、7月6日から、2日間にわたり司法外交閣僚フォーラムを開催します。
 このフォーラムは、2日間で三つの閣僚級会合を開催するもので、法務省にとって大きなチャレンジとなる国際会議です。
 現時点では、合計15の国・地域の閣僚級の方々と二つの国連機関の長に参加表明いただいております。
 このフォーラム全体に通じるテーマである、「法の支配の推進」につき、ASEANとG7という重要なパートナーと集中的に議論を行い、相互理解を更に深めるとともに、信頼関係をより強固なものとしていきたいと考えております。
 また、力による一方的な現状変更により国際社会の緊張が続く中、法の支配等の普遍的価値の共有を通じた連帯は極めて重要であり、これを世界に力強く発信できるよう、議論を主導していく所存です。
 開催まであと2日ということで、各国代表に日本滞在を楽しんでいただきながらも、充実した議論が行えるよう、最後の準備を進めているところです。私自身、議長としてリーダーシップを発揮し、本フォーラムを必ずや成功させる所存です。
 次に、外国人支援コーディネーターについてです。
 出入国在留管理庁においては、外国人に対する総合的な支援をコーディネートする人材の育成等について、「外国人との共生社会の実現に向けたロードマップ」等に基づき、昨年10月から、その役割等について検討を進めており、本年4月14日、検討結果報告書を公表しました。
 今般、ロードマップ及び当該報告書を踏まえて、来年度から実施する予定である外国人支援コーディネーターの育成に必要な研修の内容等について検討することを目的としまして、「外国人支援コーディネーターの養成の在り方等に関する検討会」を開催することといたしました。
 この検討会では、来年度から実施する予定である外国人支援コーディネーター養成研修の実施・運営に係る事項のほか、専門性の高い支援人材の認証制度の在り方等について検討し、本年度末頃には検討結果を取りまとめる予定です。
 なお、今後、外国人支援コーディネーターの研修のカリキュラム等について検討する会議を別途開催することとしています。
 今後も我が国に在留する外国人が増加していくと考えられる中で、外国人が安定的・継続的に在留して能力を発揮することができるよう、生活上の困りごとを抱える外国人に適切に支援の手がさしのべられることが、外国人との共生社会を実現する上で必要です。
 今後は、本検討会の検討状況も踏まえ、引き続き、コーディネーターの育成・認証制度の創設に向けて着実に検討を進め、外国人の受入れ環境整備の取組を推進してまいります。
 次に、特設サイト「Myじんけん宣言・性的マイノリティ編」についてお知らせします。
 本年3月に企業・団体が実施している性的マイノリティに関する取組事例を紹介する特設サイトをアドバンス版として開設したところですが、本日、投稿型コンテンツとして本格的な運用を開始することとしました。
 この特設サイトは、性的マイノリティの方々に配慮した様々な取組を進めている企業・団体に、その内容を公表していただくことにより、同様の取組を行う方々に参考としていただくとともに、一般の方々にも幅広く御覧いただくことで、多様性と包摂性のある社会の実現を目指すものです。
 アドバンス版開設当時から趣旨に賛同していただいた、サントリーホールディングス株式会社、積水ハウス株式会社、日本テレビホールディングス株式会社、株式会社みずほフィナンシャルグループに、今回、新たに趣旨に賛同していただいた、ANAホールディングス株式会社、トヨタ自動車株式会社、日本IBM株式会社、一般社団法人日本経済団体連合会、株式会社ファミリーマートを加えた九つの企業・団体の取組が紹介されています。
 こうした日本の企業・団体における性的マイノリティに関する取組を世界に向けて発信するため、司法外交閣僚フォーラムの展示でも紹介する予定になっています。
 更に多くの企業・団体の皆様方から具体的な取組等を紹介していただくことで、国民の皆様方にとって、このサイトが性的マイノリティの方々について理解を深めるきっかけとなることを願っています。
 報道機関の皆様におかれましては、積極的な周知・広報への御協力をお願いできればと思います。
 最後に、区分所有法制の改正についてです。
 昨日、法制審議会区分所有法制部会において先月8日に取りまとめられた「区分所有法制の改正に関する中間試案」について、パブリックコメントの手続を開始しました。
 この中間試案は、区分所有建物の管理や再生の円滑化を図る方策として、集会の決議の円滑化や建替え決議の要件緩和などを具体的に提案するものです。
 パブリックコメントでは、この中間試案について、本年9月3日まで約2か月間の期間を定めて意見を求めることとしています。
 国民各層から幅広い意見が寄せられることを期待しています。

外国人支援コーディネーターに関する質疑について

【記者】
 外国人(支援)コーディネーター制度について伺います。改めまして、コーディネーターに期待する役割をどのようにお考えでしょうか。2026年度までに300人程度を育成する方針を掲げていますけれども、各自治体に置く人数の配分を現時点でどのようにお考えでしょうか。配置を優先する自治体の想定など、ありますでしょうか。

【大臣】
 「外国人との共生社会の実現に向けたロードマップ」におきましては、我が国が目指すべき外国人との共生社会の三つのビジョンを示しているところですが、外国人支援人材の育成・認証等については、この三つのビジョンを実現するための大変重要な施策として位置付けられています。
 外国人が安定的・継続的に在留して能力を発揮することができるよう、生活上の困りごとを抱える外国人を適切な支援につないで解決に導くことができる専門人材として、外国人支援コーディネーターを育成・認証し、社会に輩出することにより、外国人との共生社会の実現に向けた外国人の受入れ環境の整備が着実に前進していくことを期待しています。
 なお、外国人支援コーディネーターをどの自治体から配置していくのかについては、報告書を踏まえ、今後、検討会において議論されるものと承知しています。
 まずは、国や地方公共団体の外国人向け相談窓口から配置を開始して、その運用状況等を踏まえながら、必要に応じた配置先の拡充について検討していくことになるのではないかと思っています。

司法外交閣僚フォーラムに関する質疑について

【記者】
 大臣からも先ほど御説明がありました、直近に迫りました司法外交閣僚フォーラムですけれども、会合の成果として、特に期待しているようなものが、大臣、お考えがありましたらお聞かせください。

【大臣】
 私は、大変重要な局面での国際会議になっているというふうに、まずは認識しています。
 まず、日ASEAN特別法務大臣会合では、今後の日ASEAN間の法務・司法分野における協力事項を取りまとめた成果文書を採択・承認し、これを実施してまいりたいと考えています。例えば、実務者会合の定期開催や人材交流スキームの策定について盛り込み、今後の更なる協力の土台としたいと考えております。また、法制度整備支援につきまして、多国間で共に学び、成長しながら新たな法的課題に取り組むなどといった、新たなビジョンの共有についても盛り込み、ポスト日ASEAN友好協力50周年を見据え、法制度整備支援を更に発展させたいというふうに思っております。
 ASEAN・G7法務大臣特別対話については、この史上初の会合を開催して終わりだということにしたくはなくて、これを将来にわたる重層的なネットワークの形成に何とかつなげていけないかと考えております。具体的には、ASEAN・G7の若手法務省職員が継続的に対話と人脈形成を行うプラットフォームの創設を提唱していきたいと考えています。既に各国との調整が最終段階に入っているところ、本対話では、各国の支持を得て、実現に向けて加速したいと考えています。ASEANとG7の連携というものが具体的に前進してきていますので、後につながるような仕掛けを、この国際会議の中で何とか実現していきたいと思っています。
 G7司法大臣会合では、司法インフラ整備という切り口からウクライナ支援について議論したいと思っています。法務省では、あらゆる経済活動の基盤であり、復興の前提ともなる汚職対策の取組を支援するためのタスクフォースの設置を提唱してまいります。こちらについても各国との調整が最終段階に入っているところ、本会合の成果文書に盛り込み、法務省が長年培ってきた法制度整備支援の知見をいかして、この復興の局面での汚職対策を、しっかりと協力体制を築いて国際社会に貢献できるよう取組を進めていきたいと思っています。

【記者】
 ティーダー・ウーさんですね。国軍が任命したミャンマーの法務大臣、以下国軍の関係者を呼んだのか。もう、誰を招待したか固まっていると思います。お答えいただきたいのと、それから、先日、G7の男女共同参画担当会議では、LGBTについての話合いが行われませんでした。原理や法規制については議題にしてほしくないと、なんと議長国の日本側が事前に要求していたと。今回はそういうことがないのか。今、お話を聞いていますと、積極的に財界もLGBTQに対する理解を進めたいということですので、(本月)6日、7日の会合で、LGBTQについての原理や法規制など、様々なG7やASEAN各国の議題を議論するのかという点もお答えいただけますか。

【大臣】
 ミャンマーの今度の会合の件につきましては、毎回申し上げているように、日本政府は一貫してミャンマー国軍によるクーデターの正当性を認めておりません。そうした立場を踏まえて対応していきたいと考えているわけですが、その上で、日ASEAN特別法務大臣会合において、ミャンマーの扱いについては、ミャンマーもASEANの一員ですので、ASEANにおける取扱いや今述べた我が方の立場を踏まえて、今、調整を行っているということでありますので、具体的なやりとりについては、お答えは差し控えさせていただきたいと思います。

【記者】
 まだ決まっていないのですね。

【大臣】
 調整中です。

【記者】
 決まっていない。

【大臣】
 先ほど申し上げたとおりです。
 それから、LGBTのお話がありました。私が知る限り、もしかしたら知らないだけかもしれませんが、LGBTについて議論をしないようにしよう、という話を我々が申し上げているということは、承知していません。

「住宅確保要配慮者に対する居住支援機能等のあり方に関する検討会」に関する質疑について

【記者】
 単身高齢者の入居支援についてお尋ねします。昨日、国交省と厚労省、法務省が合同で検討会を立ち上げたかと存じます。単身高齢者の多くが賃貸住宅に住む一方で、孤立死のリスク等を指摘されて、入居を断られるケースも多いというふうに聞きます。メインは国交省かもしれませんが、法務省としてこの問題にどう対応するか、お考えをお聞かせください。

【大臣】
 お尋ねは、昨日立ち上げられ、第1回が実施されました「住宅確保要配慮者に対する居住支援機能等のあり方に関する検討会」に関するものだと思います。
 この検討会におきましては、住宅の確保に特に配慮を要する者の住まいの確保、住宅政策と福祉政策が一体となった居住支援機能等の在り方などを検討することになっています。
 住宅の確保に特に配慮を要する者について、刑務所出所者等もその一類型と位置付けられます。その中には、高齢の方も多いのではないかと思います。
 刑務所出所者等の再犯防止において、住居の確保は生活の基盤となる大変重要なものであります。法務省としては、これまで、更生保護施設や自立準備ホームを活用した住居確保等に取り組んでまいりました。
 今後は、この検討会において有識者による議論がなされるものと承知していますが、法務省としましては、刑務所出所者等の居住支援がより充実したものになるよう必要な協力を行ってまいりたいと考えています。

難民審査参与員等に関する質疑について

【記者】
 難民審査参与員についてお尋ねします。齋藤大臣は、柳瀬氏の発言に疑義があると指摘された後も、柳瀬氏以外にも同様の発言をしている参与員がいるという主張を繰り返し、難民はほとんどいないという柳瀬氏の認識を追認する発言を繰り返してきました。ところが、現在、難民審査参与員を務めているあるいは務めていた元参与員の方々からも、柳瀬氏の審査には大きな疑問の声が上がっています。なぜこのような難民審査参与員の方々の声を無視し続けるのでしょうか。柳瀬氏の発言と比べて、大臣にとっては重く受け止める必要のない声ということだと思われますが、いかがでしょうか。なお、大臣が柳瀬氏の発言を信頼する根拠として、長年のNGOでの経験などを挙げられていましたが、柳瀬氏は、自身が名誉会長を努めるNGOから、先日、事実上の解任をされています。当該団体は、現在の日本における難民受入れ審査に関する専門性は有していないことも明言されています。大臣が柳瀬氏の発言を重く受け止める根拠も改めて御説明ください。

【大臣】
 これも、恐縮ですけれども何度もお話ししている話ですが、御質問ですのでお答えします。
 柳瀬氏は、難民認定に対する知識及び経験が豊富かつ長年にわたって難民の支援に真摯に取り組んでいる方であり、その知識及び経験等に基づく御発言は、重く受け止めるべきと私は考えています。
 その上で、これも何度もお答えしていますが、柳瀬氏だけではなくて、本年の参議院法務委員会において、参考人となった3名の参与員及び元参与員の方も、ごく一部の事案でしか難民認定すべきとの意見を出さなかった旨を述べられております。
 さらに、難民不認定処分の適否が争われた訴訟において、平成30年から令和4年の過去5年間で109件中104件で国が勝訴しているわけであります。誤解してほしくないですが、5件と少なかったから良いとか悪いとか言っていません。この5件についても、なぜそうなったかというのをしっかり検証して次にいかしていかなければならないと思っていることは、付け加えさせていただきたいと思っています。
 つまり、柳瀬氏以外の方の御発言や訴訟の状況も、柳瀬氏の御発言を裏付けるものになっていると、私は思います。私は、なかなか見つからないという傾向について述べているわけでありまして、強いて言えば、申請者の中に難民がいるとかいないとかを述べているものではありませんので、そこは御理解いただきたいというふうに思っています。
 それから、NPO法人の名誉会長退任の件です。これはもちろん法人内部の事情であるため、私が所感を述べることは差し控えたいというふうに思います。

【記者】
 割振りが年間1,000件以上、柳瀬さんに振っている一方で、認定率が上がった途端に年に1件か2件、若しくはもっと減ってしまったという、そういう方の参与員の話も出てきました。割振りに関しては、はっきり言って入管庁が差配しているゆえに、不当な、一部の参与員に異常に偏った割当てがあると思います。これ、見直すかと言う点と、それから、昨日、中日新聞が報じていますが、名古屋で、改正入管法成立後に、ウガンダ国籍の少年17歳と母子4人に、これまでお父様と弟たちには認められていましたが、認められていなかった母子4人に在留特別資格が与えられたと。これは、入管法改正をめぐる議論でこどもの利益ということが、法案審議で度々指摘されていました。これを受けてではないかということですが、この4人に資格を認めたということですけれども、これが、大臣がこれから検討したいと言った、強制退去令書が出ていて強制送還の対象となっている18歳未満の201人、この中にいた4人、こどもさんだと3人なのかと。お姉さんが20歳なので、もしかしたら含まないかもしれませんが、少なくともこの少年と中学生の弟、17歳14歳は、201人の中に含まれていたかというのをお聞かせいただきたいのと、やはりそこでも、在特は認めたけれども、お母さんとお姉さんには就労が認められていないと、理由も言わないと。やはり理由が不明確であり、ひたすら大臣の裁量に任せられているというところにも、まだ疑問が出ています。これをどう受け止めるか。

【大臣】
 一つ目は、柳瀬さんの審査件数の話がありました。これも今まで何度もお答えしていますけれど、難民審査参与員があらかじめ定めた3人の参与員によって構成された、まず常設班に所属しています。他の常設班への応援や、迅速な審理が可能かつ相当な事件を重点的に配分している臨時班に掛け持ちで入ることに御協力いただける場合には、他の参与員よりも担当する処理件数が多くなると。これは通常である反面、参与員としての職務以外の仕事をお持ちの方もたくさんおられますので、そういった参与員としての職務以外の職務の状況ですとか、御本人の御家族の状況ですとか、異なる専門分野の難民審査参与員によって班が構成されるよう配慮するなどの事情から、処理件数が少なくなる方ももちろんあるわけであります。その上で、申し上げたような結果になっているということでありますので、柳瀬さんだからとか、そういうことは運用でしていないということを強く申し上げておきたいと思っております。
 それから、二つ目のウガンダの件ですけれども、まず、これは私がかねがね申し上げている、在留資格のないこどもやその親の問題につきましては、できるだけ早く結論が出せるよう、今、精査しているところという状況は変わりありません。
 御指摘の件につきましては、個別事案に関するものでありますので、詳細についてお答えを差し控えますが、個々の事案ごとに諸般の事情を総合的に考慮して適切に在留特別許可の許否を判断した結果、そのような報道に結び付くようなことになったということでありますので、もっと有り体に言えば、私が検討しているものと直接の関係はないということです。

【記者】
 201人には入らないということですね。

【大臣】
 入らないと言うか、私の言うものは精査をしていますので、前も申し上げたように一刀両断でなかなかできない話でありますので、それ(その検討)と本件は直接関係ないということです。
(以上)