検索

検索

×閉じる

法務大臣閣議後記者会見の概要

令和5年8月8日(火)

 今朝の閣議において、法務省案件はありませんでした。
 続けて、もうすぐお盆を迎えるに当たり、新たに始まる相続登記の義務化に関し、私からお願いがあります。
 これまでも繰り返しお伝えしているところですが、近年、「所有者不明土地」が全国に広がっていることが、公共事業や民間取引等の大きな妨げになっており、その解消が喫緊の課題です。
 その対策として、令和3年4月に、民事基本法制の総合的な見直しが行われ、令和6年4月1日には、相続した不動産につき相続登記の申請が義務化されます。
 この制度では、来年(令和6年)4月1日より前に生じた相続であっても、登記がされていなければ、義務化の対象となることから、多くの方が対象になると見込まれ、国民の皆様への影響が特に大きいものです。
 これからお盆の時期を迎え、御実家に帰省される方もいらっしゃると思いますが、この機会に、是非皆様の御実家の土地や建物の登記がどのような状況になっているのか、御確認いただけたらと思います。
 法務省としては、国民の皆様に相続登記の申請手続を進めていただくためには、まず登記の手続を身近に感じていただくことが重要と考えています。
 そこで、国民の皆様に向けた情報発信として、相続登記の申請手続を分かりやすくまとめた「登記手続ハンドブック」を法務局ホームページで公開するなどしていますので、是非御覧いただければと思います。
 法務省としては、国民の幅広い層に必要な情報が確実に届けられるよう、引き続き新制度の円滑なスタートに万全を期したいと考えております。

愛知県知事からの要請に関する質疑について

【記者】
 先週の木曜日、愛知県の方から齋藤大臣宛てに「どのような環境にある子どもも家族と共に平等に生活が営める社会に向けて」という要請書が提出されました。事実婚に関する法整備を求める内容です。事実婚が普及している欧州などに比べて歴史や文化、宗教の違いもあり、賛否両論が分かれる話でもあるかとは思いますが、大臣自身は要請書をどのように今回受け止めたでしょうか。

【大臣】
 事実婚のカップルにも婚姻に準じた法的保護を与える制度として、今回、御要請いただいたような事実婚であっても子の共同親権を認めるなどした上で、その届出・登録制度を設けるといった制度を含めて様々な内容が考えられるところであり、そのような制度は、全ての国民に幅広く関わるものでありますので、国民の間にも様々な御意見があると認識しています。
 私としては、まずは、国民各層の意見、国会における議論の状況等を注視していくということが必要だろうと受け止めています。

靖国神社参拝予定に関する質疑について

【記者】
 毎年この時期に各閣僚に共通してお尋ねして恐縮なのですけれども、15日に終戦の日を迎えます。この日に合わせて齋藤大臣は、靖国神社を参拝する御意向があるかどうか、もしコメントいただけるようであればお願いします。

【大臣】
 私は農林大臣も経験しておりますので、そのときも同じお答えをさせていただいているわけでありますが、本件は個人として私は判断すべき問題だというふうに考えておりますので、そういった考え方のもとで、適切に判断をしたいというふうに思っています。

刑務作業等に関する質疑について

【記者】
 今、新宿で矯正展が開かれていますが、改めて開催の意義や目的を教えていただきたいのと、法改正によって拘禁刑ができて、刑務作業は義務ではなくなりますが、今後の刑務作業の在り方や位置付けについて、どうお考えになるかお聞かせください。

【大臣】
 まずは、新宿矯正展に御関心を持っていただき、ありがとうございます。
 矯正展は、刑務作業の重要性や現状などについて、国民の皆様に広く知っていただくための催しです。
 具体的には、受刑者が社会復帰を目指して刑務作業に取り組む姿や取組についての広報を行うほか、実際に受刑者が刑務作業で製作した「刑務所作業製品」を展示・即売するものです。
 新宿矯正展は、府中刑務所が主催して、4年ぶりの開催に至ったもので、明日9日まで開催される予定です。
 新たな拘禁刑の下では、作業は、改善更生を図るために必要な場合に行わせるべきものとして位置付けられることになります。
 ただ、そうでありましても、作業は、規則正しい勤労生活の維持、就労意欲の養成、あるいは忍耐力や集中力を養うことができるといった機能を有しておりますので、拘禁刑の下でも、更なる充実を図ることが必要であろうと考えています。
 取り分け、協力雇用主の方からは、「ルールを守れず、同僚とトラブルを起こして辞職する人も多い」などといった声が多く寄せられています。そこで、受刑者には作業を単純に行わせるだけではなくて、社会人に求められる基礎的な能力であるコミュニケーション能力や課題解決能力などを、作業という実践の場を通じて向上させていくことも検討していきたいと考えています。
 いずれにしても、具体的な運用については現在検討しているところでありますので、個々の受刑者の特性に応じた改善更生に資する作業が実施できるよう、引き続き検討していきたいというふうに考えています。

送還忌避者のうち本邦で出生したこどもの在留特別許可に係る対応方針に関する質疑について

【記者】
 先週末の金曜日に大臣が発表されました、こどもへの在留特別許可、特例ですね、措置ですね。これについて色々な波紋が広がっております。この措置についてですね。色々お聞きしてみますと、全難連、移住連などもコメントを発表して、それから色々な当事者の方々の声も聞こえてきたのですけれども、一定程度、この方針については評価されると。今まで入管庁の論理だけではできなかったことを大臣の御決断でやられたということは、非常に有り難いことという評価の一方で、やはりこれは限定的であると。線引きの合理性がなかなか見えてこない部分があると。例えばこどもの年齢で、生まれているかどうかで区別してしまうと、2歳で日本に連れてこられて17歳まで育っている子は対象にならない一方で、日本で生まれて、小学生のこどもは対象になると。これは日本に基盤があるかどうかということを本質的に考えた場合、全く差はないのですけれども実際には。日本で出生しているかどうかで区別してしまうと、ここに合理性がない。例えば、相当期間を日本で育っている、日本で生まれていなくても6割は日本で過ごしていると、こういう説明であれば一定程度の合理性があると思うのですけれども、日本で出生したかどうかということを区別の対象にする、これは全く合理性がない。普通に考えてわからない。その辺についての疑問が多いです。
 それから親の不法行為によってこどもが一緒に帰国させられてしまうと、これについても入管庁は今まで、最低でも親が不法で入国した場合もこどもについては在留特別許可を与えるというようなことを、これも問題があるのですけれども、分断になってしまうので。最低でもそういうことをやってきたのにそれよりむしろ後退してしまうのではないかと。結局、大臣は5月17日の国会答弁で18歳未満の295人のこどもについては真剣に考えるのだというふうにおっしゃっていたのですけれども、結局、蓋を開けてみれば140人、半分以下なんですね。なので、基準が厳しいところ、ここについて再考される余地はあるのか、運用で再考されるかどうか、もうちょっと柔軟にやられるかどうか教えてください。

【大臣】
 改めて考えを御説明する必要があるかなと思うのですけども、前提として今回の方針の検討対象となりましたのは、既に退去強制令書が発付されて我が国から退去が確定した違法状態が継続しているこどもについてです。このときバランスの問題を前回もお話しさせていただきましたけれど、仮にこどものみに在留特別許可を与えるものとすれば、こどもの生活が立ちゆかなくなってしまいかねず、一方で、帰責性のある親を含めて無条件に在留特別許可を与えた場合には、適正な出入国在留管理行政に支障が生じかねないという、このバランスの中で、今回の方針は適正な出入国在留管理行政を維持しつつ、できる限りそのようなこどもの保護を図るというバランスを実現していきたいということでした。これも前回御答弁したと思うのですけれども、どこかで線を引かなくてはいけないわけでありますけれども、おっしゃるように生まれた後に来た場合につきましても、今、新たなガイドラインの策定を行って在留特別許可の見直しを行っているところでありまして、未成年者であるかどうかにかかわらず、要するにこどもであるかどうかにかかわらず、入管法改正法施行前に、退去強制令書が発付された不法滞在者全体を対象として適用される在留特別許可の判断の在り方に関する見直しを検討中であります。その中で、家族の関係についてもガイドラインで規定をしていくということになりますので、そこで今回漏れた人たちについても個別に判断をされていくということになるということであります。
 やはり私、色々な批判を受けていますけれども、前回も申し上げたように、バランスを取るということについて非常に難しい問題であると考えながらも、決断したわけですので、あらゆる批判は甘受せざるを得ないと思っていますけれども、私の考えとしては、今回の方針というものが先ほど申し上げました、相矛盾する二つの要請をなんとかクリアする最善なのだというふうに考えております。

【記者】
 実際問題として、こういうケースは多いと思うのですけども、両親がいてお姉ちゃんは中学校3年生だと、だけど2歳のときに来ていると。だけど、弟さんは日本で生まれて今、小学校の6年生だと。こういうケースはすごく多いと思うのですよね。この場合は、弟は日本生まれ、お姉ちゃんは日本生まれじゃないけど日本で大半を過ごしている。このケースはどういうふうに判断されるか。
 それからもう一つ、そもそも発表された後、当事者の方とか弁護士の方もこの問題については関心がある、自分の人生が決まる話ですから。なので、これは速やかに分かりやすい言葉でホームページで公表すべきだと思うのですけども全く公表されていない。不安ばっかり呼んでいると。早く公表すべきではないでしょうか。

【大臣】
 いずれにしても前者の質問につきましては、先ほど申し上げたように、今回の措置の対象にはなりませんが、新しいガイドラインの中で個別のケース、例えば両親がどういうケースかなど、総合的に判断しなくてはいけないので、私がこの場で今のケースは良いですとか悪いですとかと言うことはできないというのは御容赦いただきたいなというふうに思います。
 それから公表につきましては、どういう状況になっているか、今確認しないといけませんので。私としては記者会見で一生懸命説明させていただいたつもりなのですけれども。またこの間の答弁で申し上げましたけれど、今回の措置に必要な作業については、出入国在留管理庁から地方入管局に対して、必要な作業に着手するよう、既に(先週)金曜日の午後に指示をしています。入管法の施行を待たずに、順次、在留特別許可の許否判断を行っていくように指示はしています。ただホームページでの公表については確認をさせていただきたいと思います。
(以上)