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法務大臣閣議後記者会見の概要

令和6年5月21日(火)

 本日の閣議では、5月17日に、参議院の本会議で可決成立しました、共同親権に関する民法等の一部を改正する法律の公布のための閣議決定がございました。(※)
 施行は2年後ですが、2年というのはあっという間に過ぎると思いますので、しっかり関係府省庁等と連携して、審議の過程で指摘や要望等があった問題等への対応とともに、適切かつ十分な周知広報を図っていきたいというふうに思っております。

(※)法務大臣の発言においては、「本日の閣議では、5月17日に、参議院の本会議で可決成立しました、共同親権に関する民法等の一部を改正する法律案の公布のための閣議決定がございました。本日をもって公布ということになります。」とありましたが、本会見時において公布日は未定であり、下線部について、本文中のとおり訂正しています。

入管法等改正法案に関する質疑について

【記者】
 外国人材の「育成就労」制度を創設する出入国管理・難民認定法等の改正案が先週、衆議院法務委員会で可決され、衆議院を通過する見通しとなっています。
 法務委員会では監理支援機関の在り方、地方から都市部への人材流出の懸念などが議論されました。
 今後議論の場が参議院に移りますが、改めてどのような姿勢で法案の審議に臨みますでしょうか。

【大臣】
 入管法及び技能実習法の一部改正法案等については、やはり先週の金曜日、5月17日に、衆議院法務委員会において可決され、本日の衆議院本会議で採決される見込みです。
 衆議院の通過を願いたいところですが、本法案は、様々な議論がありました。
 議論があった問題点について、その多くは、附則という形で検討条項が加えられ、一部修正がなされた上で、委員会可決されたものです。
 この附則で取り上げられた項目はいくつもありますけれども、まず一つは、地方から大都市圏に外国人材が流出することを防止するために必要な措置を設けるということ、二つ目に、関係機関の間の連携強化を図るべきであるということ、三つ目に、監理支援機関の中立性の確保という論点もありますし、今回の措置全体の趣旨、内容について、在留外国人及び関係者に周知を徹底するという項目もあります。
 また、永住者の在留資格の取消し・変更に当たっての配慮事項として、従前の公租公課の支払状況及び現在の生活状況その他の当該外国人の置かれている状況に十分配慮する、という項目もあります。
 そして、この法律の施行後3年を目途として、再度、様々な点についての検証を行い、検討を加えて必要な措置を講ずるといった附則が付されていますので、そういった点を中心に、参議院でも議論が行われることになると思います。
 もちろん、それ以外の論点もあろうかと思いますけれども、こうした衆議院の委員会等で議論となった点も含めて、丁寧な説明を行い、趣旨の理解を求めて、しっかり対応していきたいというふうに思っております。

自民党再犯防止推進特別委員会による提言に関する質疑について

【記者】
 昨日自民党から再犯防止に関する提言がありました。
 拘禁刑に関する取組であったり、現在検討が行われている保護司制度についての言及もありましたが、大臣の受け止めと今後の取組についてお答えください。

【大臣】
 自民党の政務調査会の中に設けられております、再犯防止推進特別委員会の代表の方々が、昨日、提言をお持ちくださいました。
 党の方でも毎年しっかり議論をしていただいておりまして、また、この分野に大変経験と知見の深い議員の方々が、様々な議論をした上で提言をいただき、大変ありがたいことだと思います。
 真摯に受け止めたいと思っています。
 特に今回は、今お話があった持続可能な保護司制度の確立のほか、来年6月から導入される拘禁刑創設への対応をしっかりやってもらいたいという点にも、重きが置かれていたように感じました。
 保護司制度は、今まさに「持続可能な保護司制度の確立に向けた検討会」を設けて、中間取りまとめを行い、今年の秋、最終報告ということでいよいよ具体論に入っていく段階ですので、提言をしっかり踏まえて対応したいと思いますし、拘禁刑についても、ちょうどあと1年ですね、来年の6月1日に導入されますから、いよいよ実行段階に入っていきます。
 特性ごとの処遇を実現するために、特性ごとにモデル庁を設け、各矯正施設に割り振り、より進歩・発展していこうという準備も進めているところです。
 いずれにしても、この自民党の再犯防止推進特別委員会は歴史と重みがあり、非常に深い議論をしていただいておりますので、しっかりと受け止めて、我々もまたしっかり対応したいというふうに思っています。

永住者の在留資格の取消しに関する質疑について

【記者】
 今回の入管法改正について、永住権取消しに関する部分についてお尋ねします。
 今回の立法の根拠として、永住者全体の税金支払の状況や、故意による不払の割合についての数値を公表する予定がございました。
 その公表する時期について教えていただければと思います。
 また、故意による不払の判断基準についてですね、政府の考えもお示しください。

【大臣】
 今ここで、具体的な数字を申し上げることは難しいのですが、我々のこの法案の趣旨は、永住許可が出た後、許可条件が遵守されない状況になってしまっているという指摘があり、これに対して是正措置を講じようということです。
 納税義務を果たしていないというのは、一つの大きな項目なのですが、故意に悪質性を持って、本人の責任に帰すべき事情によって、納税が行われていない、あるいは滞っているという悪質な一部のケースを想定しています。
 このことを、委員会でも、委員の方々には私からよく説明いたしました。
 永住者全体を対象とするものではなく、通常の社会生活の中で納税していただいてる永住者にとっては、全くこれは影響が及ばない措置です。
 なかなか収入が十分ではない、あるいは収入が下がってしまったなど、税金を払いたくても払えないような場合については、対象にはしないということを、委員会では説明いたしました。

改正入管法の全面施行に関する質疑について

【記者】
 6月10日に改正入管法が全面施行されます。前回の国会で可決されたものです。
 それで、中でも、現在仮放免中の御家族とかですね、複数回の難民申請者などが、どのように行政処置を受けるのか、固唾を飲んで見守っています。
 それで、日本で生まれ育ったお子さんがいたり、その生活基盤が日本にある非正規滞在者の在留特別許可の進捗状況っていうのはいかがなものなのか。個別は無理としても、全体でこの人数の人が、こういった理由で在留特別許可したというようなことは、公表されるのかどうか。それから、在留活動に厳しい制限がある特定活動ではなくて、その定住者やその日本人の配偶者等の安定した在留資格が出るのかどうかといったことは考慮されるかどうか、今の含めて質問です。
 それと、新たなガイドラインが公表されましたけれども、退去強制令書が発布された後の在留特別許可の可否というのは、依然として、いわゆる申請制度ではなく、再審情願によるものというふうに理解してよろしいのでしょうか。
 ちょっとまずこの1点、お願いいたします。

【大臣】
 在留特別許可の進捗状況ですね。
 令和4年12月末時点で、送還忌避者のうち、我が国で出生したこども201人について申し上げますと、昨年(令和5年)12月末の時点で、まずその全ての御家族に対して、連絡を取ることができました。
 そして、その後、審査を継続しているわけですが、この201人のこどもとその御家族の方々については、基本的には施行予定日の令和6年6月10日までに、結論が出せるように手続を進めています。
 全く例外が生じないかというと、そこは一概にお答えできない部分もありますが、基本は6月10日までに、手続を進めようという形で進んでいます。
 そして、最終的に何名の方が特別許可になったかということは、発表します。
 それから、お尋ねの退去強制令書発付後の在留特別許可に関してですが、改正入管法では、在留が認められず退去強制令書を発付された者は、迅速に送還するということを想定しており、退去強制令書が発付された後の事情変更等は原則として考慮されないということになっています。しかし、退去強制令書の発付後に在留特別許可をすべき、新たな事情が生じる例外的な場合もあり得ると考えられますので、改正入管法では、そのような事情が生じた場合には、再審情願によるものか否かを問わず、法務大臣等が職権により在留を特別に許可することができるという改正内容になっています。
 個々の事案に即して、適切に判断してまいりたいと思います。

川口市長からの要望に関する質疑について

【記者】
 それからこの間、埼玉県の川口市の奥ノ木市長から、何度か法務省に対して、仮放免者やその御家族に関する就労許可とかですね、お子さんの就学援助金の支給などに関して要望があり、中野政務官などが対応されていると思います。
 改正入管法の施行とも関係すると思うんですけれども、関係省庁や関係閣僚とですね、今言ったような問題、今中野政務官と協議されているような、川口市と協議されているような内容について、何か具体的な対応策を今現場の方で講じていらっしゃるでしょうか。
 そういう報告を大臣は受けてらっしゃるのかどうか、この点について伺います。よろしくお願いいたします。

【大臣】
 今の段階は、外国人との共生社会を実現するために、外国人の人権に配慮しながら、ルールにのっとって外国人を受け入れ、適切な支援を行うとともに、ルール違反がある場合には厳正に対応していこうという基本的な考え方に基づいて、我が省は、関係省庁等と地方公共団体との連携も強化しながら、そうした問題について今、協議を進めているところです。
 その中で、一般論として申し上げれば、法令に違反し、あるいは法令に基づく手続の結果、退去強制が確定した外国人は、速やかに日本から退去することが原則であり、仮放免中の外国人については、退去強制手続中という立場に鑑み、就労を認めるということは困難です。
 また、御家族については、在留資格は様々で、ケースバイケースですので、一概に、御家族の就労についての結論をここで申し上げるというのは難しいです。
 そういった状況ではありますけれど、入管庁では、仮放免中の外国人に対して、定期的に出頭していただくことを求めており、適時の相談の機会をとらえて、相談内容の具体的事情に応じて、例えば自治体の窓口を案内するなど、人道上の配慮にも重きを置きつつ、個別に適切に対応を進めているところです。
(以上)