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法務大臣閣議後記者会見の概要

令和6年5月31日(金)

 今朝の閣議ですが、法務省案件はありませんでした。
 続いて、私から3件御報告申し上げたいと思います。
 1件目は、スタートアップ支援のための「定款認証の見直し」についてです。
 法務省では、起業家の負担軽減のため、定款認証の見直しについて、昨年10月、岸田総理から御指示をいただき、検討を進めてまいりました。
 昨年の12月末に、二つの原則を発表しました。
 一つは、希望があれば48時間以内に迅速に定款認証を完了させる「48時間原則」であり、また、「ウェブ会議原則」も発表しました。これは、公証役場に赴かずとも、ウェブ会議で対応するようにしようというものですが、今回この二つの原則に加えて、さらに二つの見直しを進めることにいたしました。
 一つは「72時間原則」、これは会社の設立登記手続全体の所要時間を72時間以内に完了させようという原則です。
 もう少し具体的に言いますと、定款作成支援ツールを用いたデジタル申請の場合に、御希望があれば、定款認証48時間以内、そして、定款認証と法務局の設立登記手続の両方を合わせて合計72時間以内に行うという運用を、今年度前半に試行的に開始したいというふうに思っています。
 また、定款認証の手数料について、令和4年1月に引き下げを行っておりますけれども、今回それに続いての引き下げを検討するということで、財政基盤の弱いスタートアップの更なる支援のため、現行で3万円の最低区分の金額を、一定の要件で、半額の1万5千円程度まで引き下げることを目指して、本年度中に実施するということを目途に、検討を進めてまいりたいと思っております。
 これらはやはり、我が国の経済における創業環境の改善に資するものであり、着実にこれが実施できるよう、法務省がリーダーシップをしっかり発揮しつつ進めていきたいというふうに思っております。
 2件目は、「人権擁護委員の日」について御説明申し上げたいと思います。
 明日6月1日が、「人権擁護委員の日」と定められております。
 75年前、昭和24年6月1日に、人権擁護委員法が施行されました。それを記念する形でこの日が定められています。
 そもそも人権擁護委員制度というのは、戦後、様々なバックグラウンドを持つ方々が、新しい憲法の下での自由人権思想を広めていただく、また、地域の中で人権擁護活動を行っていただく、そういう社会運動を起こすことに意義があるだろうという考え方から創設されました、民間のボランティアの方々の取組です。
 全国の市町村で約1万4千人の方々が、人権擁護委員として、人権相談や啓発活動に取り組んでいただいております。
 これを記念する6月1日は、その前後に、特設相談所を開設するといった形で、この日をもう一度新しいスタートにしようという気持ちで立ち上げている日です。
 詳細については、法務省のホームページに記載しておりますので、御覧いただきたいと思いますが、その中に広報キャラクターで、「たばみん」というのが出てきます。これは、かたばみの花が広く根を張っていく花ということで、人権思想がしっかり我が国という大地に根づくように、かたばみをシンボルにして人権擁護委員のき章を作っているのですが、今回はこのかたばみをベースに「たばみん」という、明日で75歳を迎える妖精のようなキャラクターを、法務省の職員の娘さんがデザインしてくれました。
 すごく明るくて、温かいエネルギーを持ったキャラクターだと私は思いますので、これをまずホームページでデビューさせていただいて、このたばみんをシンボルにして、場合によっては人権擁護委員の方にこれのバッジをつけてもらうなど、ちょっと新しい時代に向けての取組の勢い付けになるかもしれません。一度ホームページで見てみてください。
 最後に、人権擁護委員連合会でも、こどもたちに向けた連合会会長のメッセージを、連合会のホームページで発信しておりますので、これもぜひ目に留めていただければありがたいと思います。
 ただ残念なことに、人権や人権擁護といった言葉が難しいので、直接関わった方以外は、なかなか認知度が上がらないという制約もかかっておりますので、ぜひ記者の皆様方にまず理解していただいて、周知広報に御協力いただければありがたいと思います。
 3件目は、「共生社会の実現に向けた適正な雇用推進月間」について御説明させていただきたいと思います。
 政府の取組としては、毎年6月を「外国人労働者問題啓発月間」として、関係省庁が緊密な連携の下で、外国人労働者問題に関する啓発活動を、この6月を中心に集中的に行っています。
 それに合わせて、入管庁でも、この6月を「共生社会の実現に向けた適正な外国人雇用推進月間」と定めて、主に外国人を雇用する事業主の方々に向けた啓発活動を実施しております。
 具体的には、地方の出入国在留管理官署において、リーフレットの配布、街頭でのキャンペーン活動を行い、そして事業者の方々に、不法就労防止のための在留カードの読み解き方、どういう中身になっていて、どういうことが書いてあるのかということの周知を図り、あるいは人権侵害等の不適正な行為を行わないことといった留意点についても、周知していこうという取組を進めています。
 すべからく共生社会の実現に向けて、地道にこうした取組を重ねていきたいというふうに思っております。

定款認証の見直しに関する質疑について

【記者】
 スタートアップ支援に向けて、今後二つの見直しを進めると、冒頭発表されました。
 これに先立って、昨年に「48時間原則」を発表するなど、定款認証については、既に見直しを進めてきていると思いますが、現状どのような成果が上がっているのでしょうか。
 また、今回発表された見直しについては、どのような効果を期待しているのかお聞かせください。

【大臣】
 「48時間原則」と「ウェブ会議原則」は、今年の3月から一連の運用改善が全て利用可能となりました。
 そして、実際上4月から動いていくという形になっていますが、まず「48時間原則」は、東京都内で、この実質スタート月である今年の4月の1か月間で、20件以上の利用がありました。
 この5月の今日までの状況も、また至急集計したいと思いますが、着実に利用が広がっていく兆候は、はっきり見えているというふうに思います。
 それから、新しく発表しました「定款認証手数料の引き下げ」及び「会社設立手続全体の72時間原則」、これもやはり、諸外国との横並びを強く意識して、諸外国よりも、少なくとも負担が大きくならないようにといった点も勘案しておりますので、実施されることになれば、相応の利用実績というものが生まれてくると思います。
 少し戻りますが、「ウェブ会議原則」については、今年3月の1か月のウェブ会議件数は1,528件で、前年同月比1.7倍の利用数になったわけです。
 やはり、ニーズがあるところに措置を打てば、活用していただけるということでして、その点をよくしっかり踏まえて対応したいと思います。

広島連続保険金殺人事件に関する質疑について

【記者】
 1998年と2000年に発生しました広島連続保険金殺人事件で、死刑が確定しまして、現在広島拘置所に収容されている大山清隆死刑囚についてお聞きします。
 大山死刑囚は死刑の確定から13年が立ちます。彼の息子の大山寛人さんによると、大山死刑囚は、死刑執行を待つ恐怖から精神に変調をきたして、精神的に不安定になっているということです。
 大山寛人さんは、そういった苦しみから父親を開放したいという思いから、大山死刑囚の早期の死刑執行を望んでおられて、先日、その旨を要望する手紙を小泉法務大臣に出されています。
 これについて、まずその手紙をお読みになったかという件と、この要望について、大臣の御見解をお聞かせいただけますでしょうか。

【大臣】
 法務省には、日々様々な形で御要望が届けられております。
 そして、その中には、事件の御遺族や、また関係者の方々からの御要望も多く含まれておりまして、死刑の執行に関する御要望というのも、もちろんございます。
 ただ、その内容、あるいは個別の要望書の取扱い、提出者、そういった具体的なことに法務大臣の私が触れて明らかにしていくということについては、やはり慎重でなければならないというふうに考えております。
 一般論として申し上げて、死刑の執行を待つ立場にいる死刑確定者の方の心情の安定、これを害することがあってはならないというふうに考えておりまして、個別の要望等について、私からお答えすることは差し控えなければならないというふうに思っていることを、ぜひ御理解いただきたいと思います。
 その上で、一般論として申し上げますと、死刑確定者の処遇にあたっては、その方の心情の安定が得られるようにすることに留意しているところです。

死刑制度に関する質疑について

【記者】
 死刑制度についてですけれども、刑事訴訟法で、死刑判決の確定から執行までは半年以内と定められています。
 ただ、現状守られておらず、判決確定から執行までの期間が、2020年の発表時点で平均7年9か月となっておりまして、この期間が死刑囚によってまちまちとなっている状況です。
 いつ誰に対して刑を執行するかという決定の過程が不透明で、運用が恣意的ではないかという批判もありますけれども、この点について、大臣の見解をお聞かせください。

【大臣】
 個別の死刑執行の判断に関わる事柄を明らかにすることについては、今しがた申し上げましたように、やはり将来の執行の可能性についての推測を招くなど、死刑の執行を待つ立場にある死刑確定者の心情の安定を害するおそれがあるというふうに考えております。
 したがって、いつ、誰に対して死刑を執行するかという、個別の死刑執行の判断に関わる事柄については、やはりお答えを差し控えねばならないというふうに考えておりまして、そこはぜひ、御理解を賜りたいと思います。
 ただ、御指摘がありましたように、刑事訴訟法475条2項本文では、死刑の執行の命令は判決確定の日から6か月以内になさねばならない旨が規定されております。しかし、これは一般的には、訓示規定であるというふうに解されているところです。
 その上で、重ねてですが、死刑執行に関しては個々の事案について、関係記録を十分に精査し、刑の執行停止事由がないかどうか、それから再審事由があるかないか、そういった点を慎重に検討して、これらの事由等がないと認めた場合に、初めて死刑執行命令を発することとしているところです。
(以上)