法務大臣閣議後記者会見の概要
令和6年6月4日(火)
今日の閣議ですが、法務省案件としては、「令和5年度人権教育及び人権啓発施策」いわゆる人権白書が閣議決定されました。
これは毎年、様々な人権課題について、当該年度に政府が講じた人権教育・啓発に関する施策を取りまとめた年次報告でして、共管する法務省と文部科学省において作成したものです。
今日の閣議決定を経て国会に提出するものです。
今年度は、「特集」として、「こども・若者の人権をめぐる取組」について取り上げております。
また、最近の課題としては、「ビジネスと人権」、「職場におけるハラスメント対策」など5つの「トピックス」を掲載しております。
今日、法務省のホームページに掲載いたします。
ぜひ、内容も御一読いただきまして、人権に関する理解を深める一助としていただければと思います。
続いて二つ目の項目ですが、ヘイトスピーチの解消に向けた取組について申し上げたいと思います。
この6月というのは、ヘイトスピーチといくつか関わり合いがあります。
まず、平成28年6月3日に、いわゆるヘイトスピーチ解消法が施行されて、ちょうど8年が経過いたしました。
また、毎年6月18日は、国連により「ヘイトスピーチと闘う国際デー」とされています。
こうした点を踏まえて、法務省の人権擁護機関においては、ヘイトスピーチに対する社会的な関心が高まる毎年6月に「ヘイトスピーチ、許さない」をキャッチコピーとしたポスターの掲示や啓発冊子の配布、インターネットバナー広告の実施等、ヘイトスピーチに焦点を当てた様々な啓発活動を集中的に実施しているところです。
ヘイトスピーチを許さない社会環境を醸成するため、報道機関の皆様もぜひ周知・広報に御協力いただければというふうに思います。
これは毎年、様々な人権課題について、当該年度に政府が講じた人権教育・啓発に関する施策を取りまとめた年次報告でして、共管する法務省と文部科学省において作成したものです。
今日の閣議決定を経て国会に提出するものです。
今年度は、「特集」として、「こども・若者の人権をめぐる取組」について取り上げております。
また、最近の課題としては、「ビジネスと人権」、「職場におけるハラスメント対策」など5つの「トピックス」を掲載しております。
今日、法務省のホームページに掲載いたします。
ぜひ、内容も御一読いただきまして、人権に関する理解を深める一助としていただければと思います。
続いて二つ目の項目ですが、ヘイトスピーチの解消に向けた取組について申し上げたいと思います。
この6月というのは、ヘイトスピーチといくつか関わり合いがあります。
まず、平成28年6月3日に、いわゆるヘイトスピーチ解消法が施行されて、ちょうど8年が経過いたしました。
また、毎年6月18日は、国連により「ヘイトスピーチと闘う国際デー」とされています。
こうした点を踏まえて、法務省の人権擁護機関においては、ヘイトスピーチに対する社会的な関心が高まる毎年6月に「ヘイトスピーチ、許さない」をキャッチコピーとしたポスターの掲示や啓発冊子の配布、インターネットバナー広告の実施等、ヘイトスピーチに焦点を当てた様々な啓発活動を集中的に実施しているところです。
ヘイトスピーチを許さない社会環境を醸成するため、報道機関の皆様もぜひ周知・広報に御協力いただければというふうに思います。
拘禁刑の導入に関する質疑について
【記者】
刑罰の懲役と禁錮を一本化した「拘禁刑」を新設する改正刑法の施行日2025年6月1日までちょうど1年になりました。明治40年の刑法制定以来、刑罰の種類の変更は初めてになります。
改めて、拘禁刑導入の狙いと、現在までの準備状況について教えてください。
【大臣】
拘禁刑は、来年(令和7年)の6月1日に導入されます。
これまでの懲役刑は、作業の実施が大前提でしたけれども、拘禁刑の導入後は、そうした前提を取り払って、個々の受刑者の特性に応じて、作業と指導・教育を柔軟に組み合わせた処遇を実施することが可能になります。
より効果的かつ迅速な改善更生を図ることが期待されています。
したがって、非常に大きな改正であり、それを実施する上で、この段階での様々な工夫や知恵、そして試行の重要性というものも、大変大きなウエイトを占めているというふうに思います。
今、受刑者の集団編成を見直して、特性に応じた新たな処遇類型グループを設け、グループごとにモデル庁となる施設を指定して、先行的に試行の取組を開始しています。
まだ1年ありますが、1年はあっという間に過ぎますので、そうした試行の状況もしっかり検証しながら、1年後に迫った本格運用に向けて、しっかりと準備をしていかなければならないというふうに考えております。
また、こうした作業と指導に当たる職員の意識や考え方といったものも含めて改革していく必要があるのだろうというふうに思います。
これは新しい矯正処遇のスタートになりますので、しっかりとこれが定着し、効果が発揮できるように、実施面での大きな課題を様々な形で見つけて、適切に対応していかなければならないと思っています。
刑罰の懲役と禁錮を一本化した「拘禁刑」を新設する改正刑法の施行日2025年6月1日までちょうど1年になりました。明治40年の刑法制定以来、刑罰の種類の変更は初めてになります。
改めて、拘禁刑導入の狙いと、現在までの準備状況について教えてください。
【大臣】
拘禁刑は、来年(令和7年)の6月1日に導入されます。
これまでの懲役刑は、作業の実施が大前提でしたけれども、拘禁刑の導入後は、そうした前提を取り払って、個々の受刑者の特性に応じて、作業と指導・教育を柔軟に組み合わせた処遇を実施することが可能になります。
より効果的かつ迅速な改善更生を図ることが期待されています。
したがって、非常に大きな改正であり、それを実施する上で、この段階での様々な工夫や知恵、そして試行の重要性というものも、大変大きなウエイトを占めているというふうに思います。
今、受刑者の集団編成を見直して、特性に応じた新たな処遇類型グループを設け、グループごとにモデル庁となる施設を指定して、先行的に試行の取組を開始しています。
まだ1年ありますが、1年はあっという間に過ぎますので、そうした試行の状況もしっかり検証しながら、1年後に迫った本格運用に向けて、しっかりと準備をしていかなければならないというふうに考えております。
また、こうした作業と指導に当たる職員の意識や考え方といったものも含めて改革していく必要があるのだろうというふうに思います。
これは新しい矯正処遇のスタートになりますので、しっかりとこれが定着し、効果が発揮できるように、実施面での大きな課題を様々な形で見つけて、適切に対応していかなければならないと思っています。
改正入管法に関する質疑について
【記者】
6月10日から施行される改正入管法について、何点か質問させていただきます。
基本的にですね、まず難民申請は2回しかできなくなるということで、その難民審査とか、その難民参与員制度の在り方が国会審議でも大きな議論となりました。
それで、附帯決議でも、難民調査官や難民参与員の研修の在り方や、その人員体制の拡充、それから難民該当性の明確化などが取り上げられています。
その具体的な内容については、施行に合わせて公表されるのでしょうか。
それで、特に大きな問題があった難民参与員で臨時班っていうのが作られてましたけれど、こういったものっていうのは、改められるのでしょうか。それが1点。
それからですね、もう1つは、2014年に難民異議申立却下の翌日に、スリランカにチャーター便で強制送還された難民申請者2人の国賠訴訟で、2021年に東京高裁が、裁判を受ける権利を侵害し、難民認定の可否についても、司法判断が必要だったっていう違憲判決を下し、確定しました。
それで、裁判を受ける権利というのは、この改正入管法の施行にあたって、難民審査やその難民申請者の強制送還の在り方にちゃんと反映されているのでしょうか。
特に2回目の難民申請が却下された場合に、3回目の難民申請中でも、裁判を受けずに強制送還されるおそれがあるのかどうかという質問です。
それからもう1点なんですが、入管収容にあたって、入国者収容所視察委員会の体制拡充っていうのは行われるのでしょうか。
2021年に名古屋入管で死亡したウィシュマさんの体調不良を訴える投かんがですね、視察委員が確認したのはウィシュマさんが亡くなってからでした。それで、また空港で上陸拒否されて、そのまま入管収容されるようなケースの場合は、医療体制以外にも、様々な説明や法的支援の紹介など始め、しっかりした相談体制がなければ、本人は自力では対応できないと思います。
入管収容にあたってですね、相談体制の改善があるのかどうか、お答えください。
【大臣】
まず最初の御質問ですが、改正入管法の審議の過程で様々な議論があり、それを踏まえて、附帯決議がなされました。
この附帯決議のうち、速やかに実施可能な施策は既に実施しております。
例えば、御指摘の難民調査官や難民審査参与員への研修に関しては、附帯決議を踏まえて、少し細かくなりますが、新任の難民調査官に対して難民認定に係る調査に必要な特別の知識を習得させることを目的とした研修について、新たに研修日数を増やし、講義の内容を充実させるという措置を既に執っております。
また、新任の参与員に対しても、経験の豊富な参与員による実際の審理の様子を傍聴してもらう取組を実施していることに加えて、令和5年12月には、専門家による本国情勢に関する講演会、また、令和6年1月には、補完的保護対象者の認定制度についての説明会を開催するなど、取組を行っています。
そして、これらの取組は、随時国会での御質問に対して、答弁として御説明申し上げているところでもあります。
今後も、条文修正あるいは附帯決議の趣旨を真摯に受け止めた上で、その趣旨も踏まえ、真に保護すべき者の一層確実、迅速な保護、これの実現に努めていかねばならないと考えております。
2番目の、スリランカにチャーター便で送還された難民申請者の件ですが、これは2021年の事柄であったと思いますけれども、御質問の趣旨は、難民認定手続において裁判を受ける機会を与えるべきではないかという趣旨と受け止めさせていただいて、御説明申し上げたいと思います。
まず前提として、入管法上、入国警備官は退去強制令書が発付された者を速やかに送還する法律上の義務を負っています。
かつ、行政事件訴訟法上、行政訴訟を提起したとしても、裁判所が執行停止決定をしない限りは、行政処分の効力は停止しないわけです。
そこで申し上げたいのが、改正入管法施行後、送還停止効の例外となる3回目以降の難民認定申請者についてですけれども、既に二度にわたり難民該当性について審査を受けており、その過程において、一度目の難民不認定処分及び退去強制令書発付処分について、いずれも取消しを求めて訴訟を提起することもできますし、執行停止の申立てをする機会も十分に存在しています。
このような仕組みですので、改正入管法においては、裁判を受ける権利の保障の観点からも、保護に欠けることはないと考えております。
3番目の御質問ですけれども、入国者収容所等視察委員会は、独立した立場で運営されておりまして、その在り方について、法務大臣としてお答えをすることは差し控えますが、今般の改正入管法施行に当たり、入国者収容所等視察委員会の制度の内容に変更はありません。
お尋ねの被収容者の主張への対応に関しては、改正入管法に基づいて、被収容者は、不服とする措置等に応じて、審査の申請、事実の申告及び苦情の申出を行うことができる仕組みが、整備されることになります。
これらの手続を適正かつ迅速に処理することによって、被収容者の権利利益の救済を図るとともに、人権に配慮した処遇がなされるように努めていきたいと思います。
また、お尋ねの臨時班への事案配分についてですが、現時点で見直す予定はありませんが、引き続き適切に取り組んでいくよう図っていきたいと思います。
6月10日から施行される改正入管法について、何点か質問させていただきます。
基本的にですね、まず難民申請は2回しかできなくなるということで、その難民審査とか、その難民参与員制度の在り方が国会審議でも大きな議論となりました。
それで、附帯決議でも、難民調査官や難民参与員の研修の在り方や、その人員体制の拡充、それから難民該当性の明確化などが取り上げられています。
その具体的な内容については、施行に合わせて公表されるのでしょうか。
それで、特に大きな問題があった難民参与員で臨時班っていうのが作られてましたけれど、こういったものっていうのは、改められるのでしょうか。それが1点。
それからですね、もう1つは、2014年に難民異議申立却下の翌日に、スリランカにチャーター便で強制送還された難民申請者2人の国賠訴訟で、2021年に東京高裁が、裁判を受ける権利を侵害し、難民認定の可否についても、司法判断が必要だったっていう違憲判決を下し、確定しました。
それで、裁判を受ける権利というのは、この改正入管法の施行にあたって、難民審査やその難民申請者の強制送還の在り方にちゃんと反映されているのでしょうか。
特に2回目の難民申請が却下された場合に、3回目の難民申請中でも、裁判を受けずに強制送還されるおそれがあるのかどうかという質問です。
それからもう1点なんですが、入管収容にあたって、入国者収容所視察委員会の体制拡充っていうのは行われるのでしょうか。
2021年に名古屋入管で死亡したウィシュマさんの体調不良を訴える投かんがですね、視察委員が確認したのはウィシュマさんが亡くなってからでした。それで、また空港で上陸拒否されて、そのまま入管収容されるようなケースの場合は、医療体制以外にも、様々な説明や法的支援の紹介など始め、しっかりした相談体制がなければ、本人は自力では対応できないと思います。
入管収容にあたってですね、相談体制の改善があるのかどうか、お答えください。
【大臣】
まず最初の御質問ですが、改正入管法の審議の過程で様々な議論があり、それを踏まえて、附帯決議がなされました。
この附帯決議のうち、速やかに実施可能な施策は既に実施しております。
例えば、御指摘の難民調査官や難民審査参与員への研修に関しては、附帯決議を踏まえて、少し細かくなりますが、新任の難民調査官に対して難民認定に係る調査に必要な特別の知識を習得させることを目的とした研修について、新たに研修日数を増やし、講義の内容を充実させるという措置を既に執っております。
また、新任の参与員に対しても、経験の豊富な参与員による実際の審理の様子を傍聴してもらう取組を実施していることに加えて、令和5年12月には、専門家による本国情勢に関する講演会、また、令和6年1月には、補完的保護対象者の認定制度についての説明会を開催するなど、取組を行っています。
そして、これらの取組は、随時国会での御質問に対して、答弁として御説明申し上げているところでもあります。
今後も、条文修正あるいは附帯決議の趣旨を真摯に受け止めた上で、その趣旨も踏まえ、真に保護すべき者の一層確実、迅速な保護、これの実現に努めていかねばならないと考えております。
2番目の、スリランカにチャーター便で送還された難民申請者の件ですが、これは2021年の事柄であったと思いますけれども、御質問の趣旨は、難民認定手続において裁判を受ける機会を与えるべきではないかという趣旨と受け止めさせていただいて、御説明申し上げたいと思います。
まず前提として、入管法上、入国警備官は退去強制令書が発付された者を速やかに送還する法律上の義務を負っています。
かつ、行政事件訴訟法上、行政訴訟を提起したとしても、裁判所が執行停止決定をしない限りは、行政処分の効力は停止しないわけです。
そこで申し上げたいのが、改正入管法施行後、送還停止効の例外となる3回目以降の難民認定申請者についてですけれども、既に二度にわたり難民該当性について審査を受けており、その過程において、一度目の難民不認定処分及び退去強制令書発付処分について、いずれも取消しを求めて訴訟を提起することもできますし、執行停止の申立てをする機会も十分に存在しています。
このような仕組みですので、改正入管法においては、裁判を受ける権利の保障の観点からも、保護に欠けることはないと考えております。
3番目の御質問ですけれども、入国者収容所等視察委員会は、独立した立場で運営されておりまして、その在り方について、法務大臣としてお答えをすることは差し控えますが、今般の改正入管法施行に当たり、入国者収容所等視察委員会の制度の内容に変更はありません。
お尋ねの被収容者の主張への対応に関しては、改正入管法に基づいて、被収容者は、不服とする措置等に応じて、審査の申請、事実の申告及び苦情の申出を行うことができる仕組みが、整備されることになります。
これらの手続を適正かつ迅速に処理することによって、被収容者の権利利益の救済を図るとともに、人権に配慮した処遇がなされるように努めていきたいと思います。
また、お尋ねの臨時班への事案配分についてですが、現時点で見直す予定はありませんが、引き続き適切に取り組んでいくよう図っていきたいと思います。
(以上)