検索

検索

×閉じる

鈴木法務大臣初登庁後記者会見の概要


初登庁後の記者会見の様子

令和6年11月12日(火)

 法務大臣を拝命いたしました、鈴木馨祐です。
 皆様どうぞよろしくお願い申し上げます。
 私は、これまで、法務委員会におきまして、委員、理事を務め、さらには令和3年11月からは、約1年にわたり、法務委員長を務めさせていただきました。
 様々な形で、これまでも法務行政に関わる機会がありましたけれども、この度、御縁をいただきまして、法務大臣としての重責を担うことになり、身の引き締まる思いです。
 法務省は、基本法制の維持及び整備、そして法秩序の維持、国民の権利擁護、出入国及び外国人の在留の公正な管理などの任務を通じて、国民の安心・安全、国民生活の基盤を守るという重要な使命を担っています。
 そのような重要な使命を担う法務行政を預かることもありまして、改めてですけれども、身の引き締まる思いです。
 石破総理からは、法務行政の課題ということで、5点の御指示をいただいたところです。
 1点目は、「国民に身近で頼りがいのある司法の実現に向けた取組を推進する。」。
 そして2点目については、「差別や虐待のない社会の実現を目指し、個別法によるきめ細かな人権救済を推進する。」。
 3点目ですけれども、「関係大臣と協力をして、『世界一安全な国、日本』をつくるため、刑務所等出所者の再犯防止や社会復帰支援、犯罪被害者の支援、組織犯罪対策など、社会を明るくするための施策を総合的に推進する。」。
 4点目ですけれども、「我が国の領土・領海・領空の警戒監視について、関係大臣と緊密に連携し、緊張感を持って、情報収集を行うとともに、事態に応じて我が国の法令に基づき適切に対処する。」。
 そして、最後ですけれども、「関係大臣と協力して、一定の専門性、技能を有する外国人材を円滑に受け入れるとともに、在留管理を徹底する。観光立国に相応しい入国管理の実現を図るとともに、長期収容・送還忌避の課題解消及び難民に準じて庇護すべき者に対する適切な支援に取り組む。共生社会の実現に必要な環境整備を着実に進める。」です。
 これらは、いずれも国民生活に密接に関わる重要な案件ですので、しっかりと取組を進めてまいりたいと思っています。
 私としても、これらを含め様々な法務行政の課題に、全身全霊で取り組んでいく所存です。
 総理から法務大臣を拝命するに当たり、「様々な懸案がある担務なのでしっかりと頑張ってほしい。」といった言葉をいただきました。
 これらの総理からの御指示、そして言葉について、しっかりとこれを踏まえながら、関係大臣とも連携して、そして、これから決まると思いますが、法務副大臣、法務大臣政務官、あるいは多くの法務省の職員の皆様方と一緒に、日本の未来のためにしっかりと法務大臣としての職責を果たしてまいりたいと考えている所存です。
 なお、閣議後ということですので、御報告申し上げますが、先ほどの定例の閣議の開催におきまして、法務省請議案件についてはありませんでしたので、その点も申し上げたいと思います。

検察に対する指揮権に関する質疑について

【記者】
 まずは鈴木大臣、改めまして御就任おめでとうございます。これからどうぞよろしくお願いいたします。
 幹事社から一点、指揮権についてお伺いいたします。
 法務大臣は、検察に対する指揮権を有しております。こうした指揮権の適切な行使の在り方についてお考えをお聞かせください。

【大臣】
 検察権は行政権に属しておりますので、そういったことによる法務大臣の責任、そして、同時に検察権の独立性の確保、これも大事です。
 この調和を図る、そういった規定であります検察庁法第14条の趣旨に鑑みまして、検察権の不当な制約とならないように、極めてこれは慎重に対応する必要があると考えています。

死刑の未執行が続いている現状への受け止めに関する質疑について

【記者】
 法務大臣の重大な職務の一つである死刑の執行について伺います。
 死刑の執行についての大臣自身の考えと、2022年7月から未執行の状態が続いている現状の受け止めについて教えてください。

【大臣】
 2022年7月からの未執行の状態、これが続いていることにつきましては、私が法務大臣に就任する前の事柄です。
 そして同時に、個別の刑の執行の判断に関わる事項ということですので、その点についてお答えを差し控えさせていただきたいと思います。
 その上で、この死刑ですけれども、これは人の生命を絶つ極めて重大な刑罰です。その執行に際しては、当然慎重な態度で臨んでいかなくてはいけないと考えています。
 また、同時に法治国家におきまして、確定した裁判の執行が厳正に行われるということも極めて大事です。法務大臣としては、そのことを勘案した上で、裁判所の判断というものを尊重しながら、この法に定めるところに従って慎重な検討を行っていく必要があると考えています。

検察の取調べの適正化に関する質疑について

【記者】
 供述誘導であったり、違法な取調べであったり、検事の取調べの在り方が問われる事態が相次いでいます。
 小泉元法務大臣は、取調べの適正化を図るための「高検視察」を行い、牧原前大臣も、そうした路線を継続する方針を示されておりました。
 鈴木大臣はこうした取組を続ける考えはお持ちでしょうか。
 また、適正化確保のため、大臣として行うべきことは何か、問題意識等あれば教えてください。

【大臣】
 検察の捜査・公判活動が適正に行われていかなくてはならない。これは当然であろうと思います。
 まさに検察の活動、これは国民の皆様方の信頼の上に成り立っているものですから、検察権の行使の適正さに疑いが生じるようなことがあっては断じてならないと思っています。検察の活動、まさにその基盤ですから、そこの点をしっかりと強調させていただきたいと思っています。
 そういった中で、個々の検察の活動が適正に行われているかどうか、これは当然、検察当局が一義的にはやっていくことですけれども、同時に私も法務大臣として、しっかりそこは注意深く見守っていく必要があると思いますし、その点しっかりと取組をしていきたいと思っています。
 高検視察につきましては、これは国会の日程等との関係ということになってきますけれども、可能な限り、しっかりと対応していきたいと思いますし、検察当局の実情を十分理解することは極めて大事なことですので、しっかりと、進めていきたいと思っています。

死刑の執行方法及び刑場視察に関する質疑について

【記者】
 死刑制度についてなんですが、刑の執行方法の適否についても議論があると思います。この点について、大臣の考えをお聞かせください。
 また、刑場視察などを御検討されているかどうかも併せて教えてください。

【大臣】
 死刑の執行方法ということですけれども、現在絞首によって執行するということが定められています。
 執行方法について、最高裁の判決において、「現在わが国の採用している絞首方法が他の方法に比して特に人道上残虐であるとする理由は認められない。」と判示をしています。その点については私も同様に考えているところです。
 刑場につきまして、視察するのかということですけれども、これについてもしっかりと視察してまいりたいと考えています。

再審制度の見直しに関する質疑について

【記者】
 再審制度についてお尋ねします。
 確定した刑事裁判のやり直しを求める再審請求について、手続に関するルールが十分に整備されていないという指摘があります。法務省では現在、刑事手続全般の制度、それから運用を検討する協議会が設置されていますが、再審の規定の整備をめぐっては、超党派の議員連盟が、喫緊の課題ということで、早期の検討を求めているという経緯があります。規定を整備する必要性について、大臣のまず御見解をお聞かせください。
 それから、見直しの要否を検討する場として、この協議会で十分とお考えなのかどうかについても併せてお聞かせください。

【大臣】
 再審制度の在り方、いろいろな動きがある状況を承知しています。
 そしてこの再審制度の在り方ということで申し上げれば、確定判決による法的安定性、こういった要請が当然にありますし、同時に、個々の事件における是正の必要性も当然考えていかなくてはならないと思います。そこのバランスということだろうと思っています。それをどこに求めていくのかということですので、そこは様々な観点から慎重かつ丁寧な検討をしていかなくてはならないと考えています。
 その上で、今、「(改正刑事訴訟法に関する刑事手続の)在り方協議会」の話もありました。そういった中で「在り方協議会」につきましては、今、まさに協議中ということを伺っていますし、その協議会の中で、充実した議論をしっかりとしていただくということがまずは大事なのではないかなと考えています。

選択的夫婦別氏制度及び同性婚に関する質疑について

【記者】
 選択的夫婦別姓制度と同性婚についてお尋ねします。
 選択的夫婦別姓制度の導入を望む意見は国民の間に一定数あり、今年は財界からも早期実現を求める提言がなされ、さらに国連の女性差別撤廃委員会からも導入するよう勧告があったばかりです。また、大臣は、以前、報道機関のアンケートに制度導入に関して賛成と回答されたと認識しております。現在の個人としての賛否と、法務大臣として制度導入に対するお考えを教えてください。
 また、同性婚についても、これを認めない現行法を違憲とする司法判断がいくつか出されております。さらに大臣は、同じように報道機関のアンケートで、この法制化に賛成と回答されていたように思います。同性婚についての個人のスタンス、そして大臣として、法改正に対するお考えを教えてください。

【大臣】
 今、選択的夫婦別氏の話、そして同性婚についてということで御質問いただきました。
 私個人としてどう考えるか、これは法務大臣としてという会見ですので、個人としてということは、この場にてお答えするのは差し控えさせていただきたいと思います。その点は御理解いただきたいと思います。
 その上で、法務大臣としてということですけれども、夫婦の氏をどうしていくのか、この問題については、まさに御指摘のように国民の間でも様々な意見、議論というものがあります。そういった中で、様々な動きも最近出てきています。国民各層の意見、あるいは国会の議論もあろうかと思いますので、こういった国会における議論等を踏まえてその対応を検討していくことが必要ではないかと思っています。そういったことで言えば、国民の間に加えて、やはり国民の代表ということですので、国会議員の間でしっかりと議論をいただいて、より広く、この理解が進んでいくことがまずは大事だと思いますし、その上で、法務省としても積極的に色々な情報提供を引き続き行っていきたいと考えています。
 同性婚の導入につきまして、やはりこれも我が国の家族の在り方の根幹に関わる問題でもあります。国民的なコンセンサスの意味では、進めるのであれば、得ていかなくてはいけないと思います。そういった中で同じような答えで恐縮ですけれど、やはり国民各層の意見や、国会における議論の状況、それに加えて同性婚に関する訴訟の動向や、あるいは地方自治体でのパートナーシップ制度の導入や運用の状況というものについても、注視していきたいと考えています。

育成就労制度に関する質疑について

【記者】
 外国人労働者の受入れ新制度「育成就労」について質問します。
 来日時の手数料負担の在り方など、制度の詳細はこれから定めることとなっておりますが、制度設計に当たっての意気込みと、課題と考える点について教えてください。
 また、転籍についてなんですが、必要な期間に関して今後分野ごとに決めていくことになっていますが、転籍期間の決定に当たり、大臣はどのような点を重視すべきとお考えでしょうか。

【大臣】
 最近では我が国における労働力不足も深刻化していますし、あるいはもちろん為替の話などもあると思いますけれども、国際的な人材競争がかなり激化している状況です。そういった中で非常に大事なことは、やはり我が国が選ばれる国になるということ。このことが非常に大事だと思いますし、そのためにも、魅力ある働き先として、我が国がそうなっていくということが必要不可欠だと思います。
 そういった中において、今おっしゃったように、これは送出し機関を中心に、手数料の問題、いろいろと指摘されているところでもあります。やはりこうした手数料が不当に高額にならない仕組みを導入していくことで、我が国に来ていただく外国人の方の負担の軽減を図っていくということ、育成就労制度においては、こうした様々な人権に関する問題を解決して、外国人の方々にとって魅力のある制度というものをこれから構築していきたい、そのように考えています。
 そして、転籍の期間ということですけれども、外国人の方の権利保護や、これによる制度の魅力の向上、その観点が一つ、当然あると思いますし、同時に人材の育成であったり、あるいは受入れ機関の人材確保に対する不安、そうしたものへの対応という観点もあると思います。こうしたバランスをどう取っていくのか、こういったことが、これから大きく問われていかなくてはいけないと思いますので、その適切なバランスを踏まえて、政府方針が決定されたというふうに認識しています。
 そういった意味で、今回、育成就労制度になりますので、長期にわたって、産業を支える人材が確保されるような制度にしていきたいと考えています。

台湾有事の対応及びウクライナ支援等の司法外交に関する質疑について

【記者】
 大臣は、これまで自民党の外交政策部会の台湾政策検討PTの座長として議員外交に取り組まれていたと思います。
 台湾有事の対応などを所管する法務行政や入管行政で、これまでの経験をいかしたいことや取り組まれたいことなどありましたら、教えてください。
 また、法務省は、ウクライナへの法整備支援など司法外交に取り組んでいますが、今後どのように、大臣は取り組みたいか、お考えをお聞かせください。

【大臣】
 台湾をめぐる問題が対話によって平和的に解決されていくことが、我が国の安全保障と国際社会全体の安定にとって極めて大事、これが政府としてのポジションです。
 同時に、万が一何かが起きたときに、きちんとした国民の保護をしっかりやっていく。これも政府の大きな責任だというふうに考えています。
 その上で法務省としても、有事の場合には、避難民の上陸手続等、様々な形で関わる局面があります。そういった中で関係機関と連携して、適切に、まさに先ほど申し上げたような国民保護をしっかりとしていく、この観点から、適切な対応を進めていきたいと思っています。
 そしてウクライナということですけれども、ウクライナについては、本年8月に、当省とウクライナ司法省との間で署名・交換をした協力覚書がありますので、それに基づき、ウクライナにおける汚職対策や司法改革、人材育成を含む法務及び行政分野における法制度整備支援や研修について、具体的な検討を進めているところです。
 司法外交というのは、「法の支配」ということ、そして「基本的人権の尊重」といった価値を日本から世界に発信して、世界各国に浸透させていくための取組ですので、全ての方がルールの下で、安心・安全に暮らせる社会を実現をするためにも極めて大事だと思っています。
 そういった中でのウクライナへの法制度整備支援に加えて、これまでアジアの各国に対して、法制度整備支援等を行ってきていますけれども、アジアに加えてウクライナを始めとした他の国にもこれを広げていきたいというふうに思っています。
 同時に、国際的な法の支配の促進に向けて、UNCITRAL、国連国際商取引法委員会等の国際機関におけるルール形成についても、引き続き主導していきたいというふうに考えています。
 いずれにしても、法の支配の促進の観点から、司法外交が極めて大事であると考えていますので、これからも積極的に進めていきたいと考えています。

関連会社等報告書に関する質疑について

【記者】
 昨日、関連会社報告書を衆議院に新たに提出されていました。
 このことについてなんですけれども、内容は2022年から2024年分で、ある1団体の顧問を務められていたということですが、報告が昨日になった経緯と、報酬があったかどうか、それを教えてください。

【大臣】
 これについては、法務大臣としてというよりは一議員としての事柄であろうと思いますので、詳細についてのコメントは、差し控えさせていただきたいと思いますけれども、今回、経緯ということで申し上げれば、正直に言えば、その報告についての事務的なミスがありまして、そこについて適切に修正をさせたということです。

留学の在留資格取消及び退去強制手続に関する質疑について

【記者】
 前の牧原大臣からのですね、重要な懸案事項だと思うんですけれど、東京入管の入管収容の問題ですね。
 8日にですね、あるブラジル人の女性がですね、強制退去になった、この方についての質問です。この方についてはですね、ブラジルで孤児だったんだけども、日系人夫婦の養子になって12歳の時にこどものときに日本に来たと。だけど専門学校に在学中にですね、うつ病になっちゃってですね、留学の在留資格だったんですねこの人ずっとね、これを失っちゃったと。オーバーステイになったことから、8月の初めから東京入管に収容されたんです。この方が先週の8日にですね、強制退去になったと、退去強制令書でですね。実はですね、この人は、向こうで孤児だったもんだから、身寄りがないんですね、向こうにね、お金も持ってないと。それで、IOM国際移住機関というのがありましてですね、これは、そういう人たちのために、支援をするっていう、向こうでの就職あっせんとかですね、一時期の住居とかね、支援するものなんです。これを使いたいと実は言ったんだけども、東京入管の人は、これを使うともう再入国できないよというふうに言ったんですね。この人はこどもの頃から育ってるもんだから再入国したいと、本当は日本でね、勉強したいと思ってるんですよね。なので、断ったと、支援者の情報によるとですね言われてましてですね、結局IOMの援助なしでですね、無一文で向こうに送還されたと。8日に出国したんですね、支援者の人が、一時的な受け皿になるですね教会施設があるんですけども、そこに連絡したところですね、まだですね、何にもその人からコンタクトがないと。もう先週の金曜日ですから、既にもう着いてなきゃおかしいんですよね。結局この人は空港で降ろされてですね、もうそのまま、入管庁の今の仕組みだとですね、空港で降ろされてもうそれで終わりということになると思うんですよね。金銭的な援助がないということでこれちょっと非常にですね、どこに行っちゃってるのかわからないようなね、状態になっちゃってると。このことについてですね、非常に問題だと思うんですよね。本来はIOMのね、援助を受けられたのに二度と出国できないんです。これは本当は虚偽なんでこういうことはないんですね事実はないんですよね。そういう経緯からいっても、非常にこの経緯、それから今の状況ですね。問題であると思うんですけども、これについてどういうふうに御見解お持ちですか。調査なさる。
 これについては牧原大臣も先週ですね、東京入管で事情を聞いてですね、わざわざ行ってですね、それで職員から問題がないと、適正だということを先週の前半の強制退去になる前の段階でそういうことを聴取しているんですけれども、大臣は問題ない対応だと会見でも適正だというふうにおっしゃったんだけども、結局こういう形で行方がわからなくなっちゃってるということを招いてるわけなんですけども、これについて大臣、調査されますでしょうか。

【大臣】
 個別の事案ということで、その点については、お答えを差し控えさせていただきたいと思います。
 入管庁におきましては、個々の事案につきまして、個人のそれぞれの方の置かれた状況に十分配慮しながら、入管法等の法令に基づいて適切に対応しているものと承知しています。
 私としましては引き続き、入管行政の適切な運用に努めてまいりたいということで、お答えさせていただければと思います。

(以上)