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法務大臣閣議後記者会見の概要

令和6年12月24日(火)

 今朝の閣議において、法務省請議案件として、「地方公共団体情報システム標準化基本方針の変更」及び「中小企業等協同組合法施行令及び中小企業団体の組織に関する法律施行令の一部を改正する政令」が閣議決定されました。
 続いて、私から4件御報告があります。
 まず、相続登記の義務化について申し上げます。
 本年(令和6年)4月に始まりました相続登記の義務化に関し、お願いがあります。
 相続登記の義務化は、本年(令和6年)4月1日より前に相続した不動産であっても、相続未登記であれば義務の対象になりますので、多くの方に影響を与えるものです。
 これから年末年始の時期を迎え、御実家に帰省される方も多くいらっしゃると思いますので、この機会に、是非皆様の御実家の土地や建物の登記がどのような状況になっているのか、御関心を持っていただければと存じます。
 本年度に法務省で実施した認知度調査の結果によれば、相続登記の義務化を「聞いたことがある」と答えた方が約73パーセントでした。
 一方で、義務の履行期限が不動産を相続したことを知った日から3年以内であるということについて、「聞いたことがある」と答えた方は約43パーセントにとどまっています。
 法務省としては、この結果を踏まえ、国民の幅広い層に必要な情報が確実に届けられるよう、引き続き効果的な周知広報に努めてまいりたいと思っています。どうぞ御協力のほど、よろしくお願い申し上げます。
 2件目に、明日12月25日(水)に法務大臣賞表彰式を開催する“社会を明るくする運動”作文コンテストについて申し上げます。
 このコンテストは、“社会を明るくする運動”に対する理解を深めていただくため、次世代を担う小・中学生から、犯罪や非行のない明るい地域社会作りに関する作文を募集するものであり、本年で32回目を迎えます。
 本年も、30万点以上もの作文が寄せられ、最優秀賞である法務大臣賞の受賞者は、小学生の部が、東京都の山川輝士さん。そして、中学生の部が、大分県の吉田さくら晴蘭さんに、それぞれ決定しました。
 いずれも、身近な体験を通じて、再犯防止や明るい社会にとって何が大切か、思いを巡らせた素晴らしい作品でした。
 また、惜しくも入賞には至らなかった作品についても、犯罪や非行といった難しいテーマに向き合っていただいた様子が伝わってくるものばかりであり、たくさんの思いを届けていただいた応募者の皆様方に感謝を申し上げたいと思います。
 法務省としては、これらの作文に込められた思いをできる限り多くの方々に伝え、犯罪や非行のない、安心して暮らすことができる社会づくりに一層尽力してまいりたいと思っています。
 3件目ですが、日本航空、山口県美祢市、そして法務省の、地方創生プロジェクトについて申し上げます。
 昨日、美祢市の篠田市長や日本航空株式会社越智常務、そして美祢市ふるさと交流大使で切り絵画家の久保修さんを始めとする皆様方と、「日本航空・美祢市・法務省 地方創生プロジェクト」について、意見交換を行いました。
 今回の連携事業は、美祢市の代表的な観光地である秋芳洞などが表現された切り絵作品と日本航空の航空機のデザインをチタンカード上で表現し、それを官民協働運営の刑事施設である美祢社会復帰促進センターの職業訓練で受刑者が作成したポスターにより発信していくというものです。
 本取組は、地域ぐるみの再犯防止と地方創生を実現する画期的なものであると考えています。
 受刑者にとっても、広報用ポスターの作成を通じて取組に関わることによって、地域課題の解決への貢献を体験することができ、社会参加意識や自己肯定感を向上させることができると考えています。
 また、このような取組を通じて、再犯防止に対する社会全体の関心・理解が深まることを期待しています。
 引き続き、民間の方々や自治体と連携した、再犯防止に資する取組を一層、充実・推進してまいりたいと思っています。
 最後になりますが、無差別大量殺人行為を行った団体の規制に関する法律の見直しについて申し上げます。
 同法の附則には、施行の日から5年ごとに、法律の施行状況について検討を加え、廃止を含めて見直しを行う旨の規定が設けられています。今般、所要の見直しを行い、同法を現状のまま存続させることとしました。
 同法の見直しに関しては、規制対象団体である、いわゆるオウム真理教が、麻原彰晃こと松本智津夫の絶対的な影響の下で活動を継続していること、活動拠点の地域住民の方々を始めとする国民の皆様方の不安感が今も根強い状況にあるということからすれば、「法を存続すべき」との結論については、妥当なものと認識しているところです。
 公安調査庁においても、引き続き、観察処分を適正かつ厳格に実施し、その活動実態を明らかにするとともに、「Aleph」に対する再発防止処分の実効性を確保することによって、地域住民を始め、国民の多くの皆様方の不安の解消・緩和に努めていくものと考えています。

相続登記の義務化に関する質疑について

【記者】
 相続登記の義務化について伺います。
 冒頭でも御説明いただいたとおり、今回の調査では認知度の向上がうかがえるものの、半数以上の人が義務化の具体的な内容を知らないと回答しました。改めて、この結果をどう受け止めていらっしゃるかお聞かせください。
 また、登記の手続に不案内な方の参考になりそうな資料、それから相談機関について、メッセージがあればお願いします。

【大臣】
 昨年度までは、令和5年度になりますが、認知度調査、相続登記の義務化を「聞いたことがある」と答えた方が約59パーセントでしたけれども、本年度、今年の令和6年度の調査においては、約70パーセントとなっており、認知度は着実に上昇していると受け止めています。
 これは、本年(令和6年)8月に実施したテレビCMも含めて、マスメディアの皆様方の御協力もいただきながら、法務省・法務局において様々な周知広報活動を行ってきた、その結果であると認識しています。
 先ほど申し上げましたが、一方で、本年度(令和6年度)の認知度調査の結果においても、相続登記の期限が不動産を相続したことを知った日から3年以内であるということを「聞いたことがある」と答えた方が43パーセントほどにとどまっています。
 国民の皆様方に適切に相続登記をしていただくためには、制度の内容について御理解をいただくことが大事であり、そのための周知広報を更に実施していく必要があると認識しています。
 私ども法務省としても、引き続き地方自治体、そして、専門資格者団体等と連携した周知広報を実施しつつ、新聞広告も含めて、全国的かつ効果的な広報の実施を検討しているところです。
 こうした取組によって、この制度の更なる認知度向上に取組を進めてまいりたいと思っています。
 また、登記の手続は難しいと感じている国民の皆様もいらっしゃいますので、法務省としては、手続を分かりやすく説明した「登記手続ハンドブック」を法務局のホームページで公開しています。また、全国の法務局において、電話やウェブ会議、対面によって手続を御案内させていただいていますし、ほかにも、登記の専門家である司法書士会等においても相談窓口を設けていますので、是非国民の皆様には御活用いただきたいと思っています。

危険運転致死傷罪の適用要件に関する質疑について

【記者】
 危険運転致死傷罪の適用要件をめぐり、法制審議会への諮問など、現在の進捗状況についてお伺いします。また、飲酒運転や高速度の一律の数値基準の行方についても注目されていますが、どのような対処が必要とお考えか、法改正に向けた今後の対応について改めてお伺いします。

【大臣】
 今の危険運転致死傷罪に関することですけれども、危険・悪質な自動車の運転行為による死傷事犯に係る罰則の在り方については、今年2月から法務省において、「自動車運転による死傷事犯に係る罰則に関する検討会」を開催してまいりました。そして、本年11月に、議論の結果が報告書に取りまとめられたところです。
 報告書の中では、御指摘のいわゆる飲酒運転類型、さらには高速度類型等の危険運転致死傷罪の構成要件の見直しなどの論点について、今後の検討に当たっての方向性や留意点等について示していただいたと考えています。
 今後のスケジュールということですけれども、現時点で確たることを申し上げることは困難ですが、法務省としても、現在、検討会の取りまとめの結果を踏まえて、法改正の要否、あるいは当否や内容についての検討を進めているところです。法改正を行うべきと、そうした判断に至りました場合には、法制審議会に諮問することとなると考えています。
 危険・悪質な運転行為による死傷事犯への対応、これはまさに喫緊の課題ですので、引き続き、必要な法整備に向けた検討を着実に進めてまいりたいと思っています。

2025年に向けた意気込みに関する質疑について

【記者】
 大臣の2025年に向けた意気込みについて伺います。
 来年は年男となられますが、巳年に絡めた抱負についてお伺いします。

【大臣】
 来年、私も48歳、年男になりますので、今後ともよろしくお願いしたいと思います。
 今年11月に法務大臣に就任させていただいて、これまで様々な法務行政の課題に対し、全国の法務省の職員の皆様と一緒に、全身全霊でスピード感を持って取り組んできたと思っています。
 そういった中で、来年、巳年ということですけれども、脱皮する蛇を象徴するように、巳年は、新しいことが始まる年と言われているようです。
 私自身も心新たに法務大臣としての職責を果たしていきたいと思いますし、様々な直面している課題もたくさんあると思っています。
 国民の皆様方の声をしっかり聞きながら、一つ一つ丁寧な対応に努めて、法務行政を着実に進めていきたいと思っています。
 まさに内外様々ないろんなことが起こりうる、そういう年だと思っていますので、着実に進めていきたいと思います。
(以上)