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法務大臣閣議後記者会見の概要

令和7年1月21日(火)

 今朝の閣議において、法務省請議案件はありませんでした。

台湾の死刑執行報道及び日本国内の死刑長期未執行に関する質疑について

【記者】
 台湾の司法当局は16日、死刑を執行したと発表しました。台湾での死刑執行はおよそ5年ぶりとされています。日本においては、2年半近く死刑が執行されていません。国内で長期間に及び死刑が執行されていない状況について、大臣はどう受け止めていますか。

【大臣】
 御指摘の報道は承知しています。
 台湾における個別の刑の執行に関する事柄について、法務大臣として所感を述べることは差し控えたいと思います。
 その上で、お尋ねについても、個別の刑の執行の判断に関わる事柄ですので、お答えを差し控えさせていただきたいと思いますが、申し上げるまでもなく、死刑は人の生命を絶つ極めて重大な刑罰です。その執行に際しては、慎重な態度で望む必要があると考えていますし、これまでもそうした趣旨で答弁をさせていただいたところです。
 他方で、法治国家において、確定した裁判の執行が厳正に行われることも必要です。
 法務大臣としては、裁判所の判断を尊重しながら、法の定めるところに従って慎重な検討を行っていく必要があると考えています。

補完的保護対象者の認定制度に関する質疑について

【記者】
 紛争避難民らを難民に準じた形で受け入れる「補完的保護制度」について伺います。
 昨年12月で制度が始まって1年となり、多数のウクライナ避難民らを認定している状況かと思います。改めて、これまで認定した保護対象者の数、国籍別の内訳を教えていただくとともに、制度の意義と運用状況に関する大臣の御所見をお聞かせください。
 また、保護対象者の社会定着に向けて、就労の場の確保が重要となってきますけれども、就労支援の充実など、今後に向けたお考えも教えてください。

【大臣】
 補完的保護対象者の認定制度は令和5年12月に開始しています。
 昨年12月で1年の経過ということで、この間、着実な制度の運用に努めてまいったところです。
 補完的保護対象者の認定制度については、紛争避難民等の真に保護すべき方々を確実に保護していくために創設された制度です。
 この認定者数については、令和6年1月から12月までの最新の数値を、今年の3月下旬に公表予定としています。その上で、当初の令和5年12月から令和6年2月末までの制度開始の最初の3か月間、この補完的保護対象者認定者数は速報値でありますけれども、647名という人数を公表しています。
 国籍別の内訳としては、ウクライナが644名、そしてスーダンが3名です。
 そして、補完的保護対象者が我が国の社会に定着することも必要であり、就労支援を含めた自立に向けた支援が重要であると私も認識しています。
 具体的には、補完的保護対象者に対して、572時限の日本語教育、そして120時限の生活ガイダンスを受講できる定住支援プログラムの提供を行っているところです。
 就労支援については、ハローワークにおいて、外国語による職業紹介、あるいは雇用主に対する助成金の支給を行っていると承知しています。
 引き続き、保護すべき方々を一層確実、迅速かつ安定的に保護するとともに、関係省庁等と連携して、補完的保護対象者が我が国で自立して安定した生活を送ることができるように、私としても適切に取り組んでまいりたいと思っています。

国際刑事裁判所(ICC)に関する質疑について

【記者】
 国際刑事裁判所(ICC)についてお伺いします。
 ICCをめぐっては、米国の制裁法案が近く成立する可能性が高まっています。先週16日、大臣は赤根智子所長と会談されたということなんですが、ICCをめぐる現状の御認識と、支援の方法についてお考えをお伺いします。

【大臣】
 アメリカの議会での法案の話もありましたが、そうした他国の議会における動きの逐一について法務大臣としての所感を述べることについては、差し控えさせていただきたいと思います。
 ICCをめぐる現状、そして、ICCへの今後の支援方法ということですけれども、まずICCの活動については、法の支配に基づく国際秩序の維持・強化の観点から、極めて重要だと認識しています。
 我が国としても、ICCの独立性を尊重しており、特に我が国はICCの最大の分担金拠出国でもあります。2024年で分担率約15.4パーセントということです。
 法務省は、特に平成29年以降、コロナ禍の一時期を除いて、オランダのハーグにあるICCの本部に継続的に検事1名を派遣しています。そして、令和4年の夏以降は、検事2名を派遣してICCの活動を支えているところです。
 そして、法務省が運営している、国連アジア極東犯罪防止研修所、いわゆるUNAFEIですけれども、ICCとの間の協力合意書に基づいて、ICCと共同で証人保護に関する共同セミナーを実施するなどしています。
 法務省としては、外務省と連携しながら、今後とも引き続き、ICCの活動を支援してまいりたいと考えています。

【記者】
 今ICCの質問が出たので、その件についてなんですが、ICCはですね、今のイスラエル・パキスタン・ガザ情勢において、首相ですとか、国防大臣とか、あるいはハマスの幹部に対しても逮捕状をですね、昨年11月に出しました。この件については何か、赤根さんですかね、何かその意見交換って何かされたんでしょうか。その点についてもし何かあればお聞かせください。

【大臣】
 先般、赤根所長と会談しました。
 その詳細について、その会議の性質上、どういった話をしたということについては、差し控えさせていただきたいと思います。

靖国神社合祀の国賠訴訟判決に関する質疑について

【記者】
 先週金曜日なんですが、1月17日に最高裁判所で、靖国神社に遺族に無断で合祀された韓国人の御遺族4人が、国に対して慰謝料の請求をしていた国賠訴訟の判決が出ました。
 それで、民法上の20年間の「除斥期間」に基づいて上告を棄却する内容だったんですけれども、裁判官の一人から反対意見が出され、実は判決文の大半は、その反対文で占められていました。その趣旨というのは、戦死したですね、肉親のことも知らされず、合祀が遺族に対して無断で行われたと。その後、戦中戦後の日本と朝鮮の歴史的な関係において、その遺族の人格権等の人権侵害を「除斥期間」で否定した原判決というのは審理不十分で、高等裁判所に差し戻すべき、という内容でした。
 これ昨年に、最高裁で出た、旧優生保護法での不妊手術に関する違憲判決でも、この除斥期間の対象外だっていうふうな判決が出たんですが、こういったですね、国の政策による過去の深刻な人権侵害に関する反対意見に対してですね、被上告人である法務大臣としての受け止めと、それから今年、戦後80年になるわけですが、未解決の戦争植民地責任が、今も日本政府にあるという御認識が大臣にあるのかどうか、この2点についてよろしくお願いいたします。

【大臣】
 今御指摘がありました、この国賠訴訟の判決における反対意見があったということについては承知していますが、申し訳ありませんが、個別の意見について、法務大臣として所感を申し述べることについては差し控えたいと思っています。いずれにしても、御指摘の訴訟については、最高裁で上告を棄却する判決がされ、上告人らの主張する国の損害賠償責任が否定されたものと認識しています。
 そして、その他の点、戦争植民地責任問題があるといったような話についてですけれども、法務大臣としての会見ですので、そこに対してのコメントは差し控えさせていただきたいと思います。
(以上)