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法務大臣閣議後記者会見の概要

令和7年2月7日(金)

 今朝の閣議において、法務省案件として、主意書に対する答弁書が2件閣議決定されました。
 続いて、私から、刑事再審制度に関する法制審議会への諮問について申し上げます。
 再審制度は、十分な手続保障と三審制の下で確定した有罪判決について、なお事実認定の不当などがあった場合に、これを是正するものであり、重要な意義を有しています。
 再審制度については、近時、様々な御議論があり、法務省で開催している「改正刑訴法に関する刑事手続の在り方協議会」において御協議いただいてまいりましたが、先日、2月5日に開催された会議において、再審制度については別途、法制審議会において更に検討を深めるべきであるといった御意見が示され、異論は見られなかったものと承知しています。
 また、先月末、1月29日、再審法に関する議員勉強会から、再審制度の改正についての御提言を頂戴したところです。
 そこで、今般、これらを含む再審制度をめぐる議論の動向を踏まえ、再審制度に関し、法制審議会に諮問し、法整備について検討していただくこととします。
 諮問内容等の詳細については、今後検討したいと考えていますが、基本的には、再審制度をめぐる様々な論点について、再審請求事件の実情を踏まえつつ、幅広い観点から検討していただけるような形で諮問したいと考えています。
 法務省としては、法制審議会への諮問に向けて、鋭意、準備を進めてまいります。

刑事再審制度の法制審議会への諮問に関する質疑について

【記者】
 冒頭御発言があった再審制度について伺います。
 再審制度をめぐっては、超党派の国会議員がですね、立法に向けた動きを進めているかと思います。そうした中であえて法務省がですね、法制審にかける意義っていうのは、どういったところにあるんでしょうか。
 また、キーワードになっているスピード感と実効性についても、お考えを教えてください。

【大臣】
 議員立法に関わる事柄については、行政府といいますか、法務大臣として所感を述べることについては、差し控えさせていただきたいと思います。
 その上で、再審制度の在り方については、様々な御意見があるものと承知していますが、確定判決による法的安定性の重要性、そして個々の事件における是正の必要性、その双方を考慮しつつ、様々な観点から、慎重かつ丁寧に検討する必要があると考えています。
 また、再審制度の改正、こちらは基本法である刑事訴訟法の改正に関わるものであるため、刑事裁判実務に非常に大きな影響を及ぼし得るものです。
 そのために、やはり法務省としては、刑事法に関する基本的な事項に係る調査審議をつかさどる法制審議会において、様々な立場の専門家の皆様方の御参加をいただいて、再審請求事件の実情を踏まえながら、制度の「実効性」という観点も含めて、十分に御議論いただく必要があると考えています。
 法務省としては、法制審議会において充実した調査審議が行われるように、今、スピード感とおっしゃいましたけれども、スピード感を持って取り組んでまいりたいと考えています。

【記者】
 今スピード感の話も出ましたけれども、冒頭、鋭意準備を進めるということでしたけれども、具体的な諮問の時期の目途というか、大臣が目指す時期というのはあるんでしょうか。

【大臣】
 その点について、現時点で確たることを申し上げることは困難ですが、諮問内容の詳細について、検討の準備が整い次第、速やかに法制審に諮問していくこととしたいと思っています。

【記者】
 法制審での審議についてですね、改正項目が法務省の都合のいいようになってしまうんじゃないかっていう懸念の声があるんですけど、その点、大臣のお考えはどのようなものでしょうか。

【大臣】
 様々な論点があることは、当然承知しています。
 そういった中で、幅広いテーマ、課題について、充実した審議、議論をしていただけるように、そういった諮問を私の方でもしていきたいと考えています。

【記者】
 冒頭のところで、再審の諮問に至る経緯としてですね、再審制度をめぐる議論、動向を踏まえ、というお言葉がありましたけれども、先ほど具体的に述べられたのは在り方協議会と勉強会の提言だったと思いますけれども、昨年袴田さんの再審無罪が確定したりとかですね、その辺りも踏まえての今回の諮問表明ということになるんでしょうか。もう少し具体的に教えてもらえますでしょうか。

【大臣】
 個々の事件について、私の方から何かを申し上げることは差し控えたいと思います。いろいろな状況の中で、こうした協議会、あるいは、議連の動きがあることも承知していますし、また勉強会でも、いろんな熱心な御議論をいただいたというふうに考えています。
 そういったことを受け、種々の状況を我々としても踏まえながら、今回法制審議会に諮問する必要があるのではないかということに至ったところであり、在り方協議会でのそうした議論、そしてその御意見をいただいたことで、我々としては、このタイミングで諮問するに至ったということです。

【記者】
 再審の関連なんですけれども、先ほどのスピード感について、逆に答申のですね、時期について、いつごろとかどの程度の期間の議論っていうのを検討しているのか、もしくは法制審にですね、スピード感を持ってやってほしいとか、何か働きかける考えなどありましたら教えてください。

【大臣】
 今の段階でスケジュールについて何か申し上げるということは、なかなか困難だと思います。
 これから実際、審議会の方で、委員の皆様方に御議論をいただくという流れになりますので、当然その場では、スピード感というのはしっかり意識していく必要があると思いますが、やはり極めて大事な立法でもあり、そこについてはきちんとした議論をしていくことも当然大事ですので、そういった中で、円滑な調査審議が法制審議会で行われるように、我々としては尽力していきたいと考えています。

【記者】
 再審の関係で、ちょっと御認識を改めて確認なんですけれども、今回法制審の方で諮問されるということなんですが、それは法整備の必要性があるという御認識の下で諮問されるということなのか、その法整備の必要性があるかないかも含めてのものなのか、その点はどのように考えればよろしいでしょうか。

【大臣】
 もちろん、いろいろな議論があり、論点があるという状況だと思っています。それぞれの論点について、法整備をするのがふさわしいのかどうか、そこは当然様々な議論があるのだろうと思っています。
 そうした中において、先ほど申し上げましたが、法整備に係る様々な論点について幅広く検討していただき、その結論として今、法整備をするべきか否か、何か方向を決め打ちするということではなく、まさにそうした必要性も含めて、しっかりとした議論が法制審で行われていくことを、やはり我々としては期待しているところです。

【記者】
 この法制審、今後部会などが立ち上がるんだろうと思うんですけど、その委員の中に、えん罪の被害者であったり、その詳しい弁護士を入れる予定とか可能性はありますか。

【大臣】
 法制審議会ということで申し上げれば、この部会の委員については、審議会の承認を経て、会長が指名することとなっています。
 諮問した後に、法制審議会の判断において部会が設置される場合には、再審請求事件の実情も踏まえながら、再審制度について幅広い観点から検討を行っていただくに適した方々が委員として会長から指名されるものだと考えています。

ICC職員を制裁可能とする米国大統領令に関する質疑について

【記者】
 国際刑事裁判所が、イスラエルのネタニヤフ首相らに逮捕状を出していたことなどに関して、先ほどアメリカのトランプ大統領が、ICC職員、国際刑事裁判所職員の制裁を可能にする大統領令を出しました。
 国際社会に影響を与える判断かと思いますけれども、現時点で大臣としての受け止めを教えてください。

【大臣】
 アメリカの大統領令ということなので、我々としてはそのことについて、何かするということではありませんが、ICCが国際司法の法の支配の観点から果たしている役割は極めて大きいと我々としては考えていますし、日本としてもしっかりと、そういったICCの活動については、引き続き支援していきたいと考えています。
(以上)