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法務大臣閣議後記者会見の概要

令和7年2月28日(金)

 今朝の閣議において、法務省案件として、「犯罪捜査のための通信傍受に関する法律に基づく報告(令和6年)」及び「情報通信技術の進展等に対応するための刑事訴訟法等の一部を改正する法律案」が閣議決定されました。
 続いて、私から4件、御報告があります。
 まず、本日閣議決定された通信傍受の実施状況等の国会報告について申し上げます。
 犯罪捜査のための通信傍受に関する法律第36条に基づき、令和6年中の通信傍受の実施状況等の国会への報告について、本日、閣議決定され、国会への報告がなされることとなります。
 令和6年中の傍受実施事件数は、19事件でした。そして、その結果として逮捕した人員は合計99名でした。
 捜査当局においては、今後も通信傍受を適切に活用していく方針と承知しています。
 2件目として、同じく本日閣議決定された「情報通信技術の進展等に対応するための刑事訴訟法等の一部を改正する法律案」について申し上げます。
 本法律案は、刑事手続等において取り扱う書類の電子データ化・発受のオンライン化、刑事手続等におけるビデオリンク方式の一層の活用、情報通信技術の進展・普及に伴う犯罪事象への適切な対処を可能とするための法整備を行うものです。
 刑事手続等においても、情報通信技術を活用して、手続の円滑化・迅速化や、手続に関与する国民の負担の軽減を図ることが喫緊の課題となっています。
 また、現下の犯罪情勢に鑑みると、情報通信技術を悪用した犯罪事象に対し、刑事法として適切に対処できるようにすることも急務です。
 今後、国会において十分に御審議いただいた上で、速やかに成立をいただけるよう法務省として力を尽くしてまいりたいと考えています。
 3件目ですが、無戸籍者問題の解消に向けた取組について申し上げます。
 昨年(令和6年)4月1日に施行された改正民法により、嫡出推定制度に関する規律が見直されました。夫のみに認められていた嫡出否認権を子及び母にも認めることとされたところです。
 また、改正民法の施行日前に生まれた子やその母についても、令和6年4月1日から1年間に限り、嫡出否認の訴えを提起して、血縁上の父ではない者が子の父と推定されている状況を解消することが可能とされています。しかし、その期限が本年の3月31日に迫っています。
 手続をお考えの方におかれては、確実に3月31日までに手続を実施いただきますよう、是非この機会に、お近くの法務局に御相談いただけますようお願い申し上げます。
 加えて、本月26日(水)に、全国の法務局に対し、先ほど申し上げた経過措置の期限内に確実に手続が執られるよう、改めて適切な働きかけを行うよう依頼したところです。
 法務省としては、無戸籍者問題の解消のため、引き続き、一人ひとりに寄り添い、戸籍の記載に必要な届出や裁判上の手続が執られるよう支援する「寄り添い型」の取組を実施してまいります。
 4件目として、ウクライナ避難民支援に御尽力いただきました支援団体への感謝状の贈呈について申し上げます。
 先日、2月26日水曜日、ウクライナ避難民に生活費支援等を実施してきた、公益財団法人日本財団様及び公益財団法人似鳥国際奨学財団様に対し、私から感謝状を贈呈させていただきました。
 贈呈に当たり、公益財団法人日本財団様からは、「ウクライナ避難民支援について、3年前のウクライナ侵攻開始から取り組んできたが、今後も引き続きNPOや自治体等と連携しながら、日本で活躍できる人材となっていただけるよう、支援に取り組んでいきたい。」とのお言葉をいただいたところです。
 また、同じく公益財団法人似鳥国際奨学財団様からは、「171人のウクライナ避難民の方々を従業員としてニトリグループで雇用しており、引き続き、日本での生活の基盤を築くことができるよう、支援に取り組んでいきたい。」とのお言葉をいただいたところです。
 ウクライナ避難民の方々に対する支援については、国のみならず、地方自治体、民間団体、個人の方々において、様々な取組が行われています。そうした取組に対して敬意を表しますとともに、心から感謝を申し上げたいと思っています。
 法務省としては、引き続き、ウクライナ避難民の方々に寄り添った支援に取り組んでいくこととしており、そうした取組への御理解・御協力のほど、皆様方にもお願い申し上げたいと思います。

無戸籍者問題に関する質疑について

【記者】
 冒頭御発言がありました、無戸籍者問題について伺います。
 嫡出否認権を母子側にも広げた改正民法が昨年4月に施行され、施行日前に生まれた子でも制度を利用できる経過措置の期限まで残り1か月となりました。これまで、この経過措置でどの程度の無戸籍者が解消したでしょうか。
 残念ながらいまだ相当数の無戸籍者がいる原因と、残り1か月でどの程度解消を見込んでいるか教えてください。

【大臣】
 令和6年4月10日から令和7年2月9日までの間において、法務省が把握している無戸籍状態が解消された方の数は、265名です。ただ、同じ時期でこれとは逆に新規に把握した無戸籍状態の方の数は220名です。
 令和7年2月10日現在において法務省が把握している無戸籍者数については707名ということです。経過措置規定の対象となっている場合であっても、無戸籍状態を解消できない原因ということですけれども、例えば、手続において元夫の関与を避けたいということを理由とするものなどがあると考えられますが、他にも様々な事情があると承知しており、3月13日を期限として、法務局に対して、フォローアップ調査のお願いをしているところです。
 そこで、そのような事情を踏まえて、全国の法務局において、今も一人ひとりに寄り添って、戸籍の記載に必要な届出や裁判上の手続が執られるよう支援する「寄り添い型」の取組を実施しているところですが、冒頭申し上げたように、経過措置の期限内に確実に手続が執られるよう、改めて適切な働きかけを行うことを依頼したところです。
 そして、無戸籍者の方々やその母親の方々には、是非この機会に、お近くの法務局に御相談いただきたいと考えています。

【記者】
 今の関連で何点かあるんですが、今大臣がお答えになった、昨年4月から2月10日までの無戸籍者状態が解消された数は265人。これ、幹事社の質問では、経過措置でどの程度解消したのかという質問でしたが、この265人は経過措置の数ではないですよね。これ全体の数だと思うんですけど。質問に答えられてないと思うんですよ。

【大臣】
 無戸籍者についての状態は、各法務局において、その把握をしているところと承知しています。
 先ほど申し上げましたフォローアップ調査、これは3月13日が期限ですけれども、このフォローアップ調査で、経過措置期間内の無戸籍者の解消の状況について調査を行っているところですので、当該調査の結果ということで言えば、3月13日以降に報告できるということになろうかと思います。

【記者】
 3月13日までにフォローアップするよう法務局に指示をしていて、現時点では、この経過措置の利用状況というのは、法務省として把握してないということでよろしいんですよね。

【大臣】
 今現在では把握していないというか、今、そうしたフォローアップ調査をしているというところです。

【記者】
 これ1か月を切っている中で、先ほど265人が無戸籍を解消できたという数字は把握していて、一人ひとりに寄り添った支援をされていると言っておきながら、経過措置を利用した人の数が分からない、法務省として把握してないっていうのは、個人的にかなり疑問なんですけれども、そのことについて大臣はいかがお考えですか。

【大臣】
 今回、しっかりとした支援を行ってほしいということ、同時に、当然それは状況を把握する必要がありますので、そうした意味でのフォローアップということで、通知を出したと承知しています。私も、当局が一刻も早くしっかりとした解消をしていくことが必要だと考えています。ただその中で、いろんな事情があるというのも事実だと思います。これはおそらく、元夫の関与ということを先ほど申し上げましたが、同時に例えば、今のパートナーなど様々なケースが当然あると承知しています。そういった中で、おそらくその対応も、それぞれのケース・ケースで変わってきます。
 そういった意味では、正確な状況の把握はしっかりやっていかなくてはいけない、まさにそれはおっしゃるとおりで、そこは3月13日ということで、残すところ期限も僅かになってしまいますが、状況を把握した上で、最善を尽くしていくということに尽きると思います。

【記者】
 もう1点、結局どれくらいその経過措置が利用できたかというのは、3月13日にならないと分からないということなんですが、この経過措置でも救済できない方がいると、それがどういう事情なのかっていうのは、抱えている事情は様々かと思うんですけれども、なんでせっかく設けたこの経過措置が利用できないのか、そこに関して全対象者の状況をきちんと検証する必要があるんじゃないかっていう声もありますけれども、その辺の検証をされるお考えが大臣にありますでしょうか。

【大臣】
 そこについては今、事務方とも議論しています。やはりそういった検証を、我々としては実際にそういった対象になっていただけるように最善を尽くしていくわけですが、その上でもまだ、無戸籍状態が残ってしまう、特にこどもということで言えば、こどもには何も責任がないわけですから、そこはしっかり無戸籍状態を解消していくことが、必要だと思っていますので、まず状況の把握をした上で最善を尽くしていくということに尽きると思います。

【記者】
 状況を把握した上で、期限としては3月末で終わってしまうんですけれども、その後の対応に関しては、今のところお考えはありますでしょうか。

【大臣】
 繰り返しになって申し訳ありませんが、3月13日までに、なるべくそれ以前にでも、フォローアップの結果を早めに出してほしいと思いますけれども、その上でないと、なかなか個別のケースについて状況を把握することは困難だと考えています。ここに至るまで無戸籍状態が残ってしまった状況は本当にそれぞれだと思いますので、それぞれの状況に対して適切な対応をした上で、さらにそれでも無戸籍状態が残ってしまうのかどうか、状況を見ながら、判断していきたいというふうに思います。
(以上)