検索

検索

×閉じる

法務大臣閣議後記者会見の概要

令和7年3月7日(金)

 今朝の閣議において、法務省案件として、主意書に対する答弁書が2件、法律案が3件、閣議決定されました。
 続いて、私から3件、御報告があります。
 まず、本日閣議決定された「民事裁判情報の活用の促進に関する法律案」について申し上げます。
 本法律案は、今後電子データとして作成されるようになる民事訴訟の判決書等の内容について、これを「民事裁判情報」として、その適正かつ効果的な活用の促進を図るため、新たな制度を創設しようとするものです。
 新たな制度では、法務大臣の指定する法人が、最高裁判所から民事裁判情報を取得し、訴訟関係者のプライバシー等に配慮するため、その氏名を記号に置き換えるなどの仮名処理を行って、利用者に提供する業務を行うこととしています。
 民事裁判情報については、デジタル社会の進展に伴い、様々な活用の可能性が指摘されており、その成果を用いた高度な法的サービスの提供が期待されます。
 本制度は、こうした活用の基盤となるものであり、創造的かつ活力ある社会の発展に資するものとして、重要な意義を有すると考えています。
 続いて、2件目に、本日閣議決定された「譲渡担保契約及び所有権留保契約に関する法律案」及び「譲渡担保契約及び所有権留保契約に関する法律の施行に伴う関係法律の整備等に関する法律案」について申し上げます。
 これらの法律案は、在庫商品などの動産、売掛債権などの債権等を目的として実務上利用されている譲渡担保や所有権留保について、明文の規定を設けようとするものです。
 これにより、譲渡担保契約や所有権留保契約に関する法律関係の予見可能性や取引の安定性を高めることとなり、不動産担保や個人保証に依存しない資金調達の促進につながるものと考えています。
 これらの法律案について、今後、国会において十分に御審議いただいた上で、速やかに成立をいただけるよう、法務省として全力を尽くしてまいります。
 3件目に、大阪・関西万博に関し、法務省における取組・準備状況について申し上げます。
 こちらにポスターを出していますが、皆様御承知のとおり、2025年日本国際博覧会、いわゆる大阪・関西万博の開幕まで1か月ほどとなりました。
 法務省においては、大阪・関西万博開催に伴う入国者数の増加に対応するため、関西国際空港における出入国審査体制を整備し、円滑な審査を実施すべく、必要な調整を進めているところです。
 また、大阪・関西万博の平和と人権ウィークの期間(8月1日から12日)に合わせて、入管庁が、関西国際空港内で、外国人との共生社会実現に向けた取組の発信を行うブースを出展し、我が国の共生施策について理解を広めることとしており、所要の整備を進めてまいります。
 法務省としては、関係各所と連携しながら、外国人旅行者の円滑な出入国の実現など、その役割をしっかりと果たしてまいりたいと考えています。

「民事裁判情報の活用の促進に関する法律案」に関する質疑について

【記者】
 本日閣議決定された、民事裁判の全判決をデータベース化する新しい法律案について伺います。
 データベースの一次的な利用者は、民間の判例データベース会社やリーガルテック企業などを想定されていると思いますが、今回のこの法律の整備によって、一般の個人ですとか国民にとってはどのようなメリットをどのような形で受け取ることができるとお考えでしょうか。
 また、データベース化に際して、個人情報を仮名処理するルールについては、今後どういった観点から定めていくのか、詳細については今後省令等で定めることになると思いますが、現時点で具体的な仮名処理の対象の想定があれば教えてください。

【大臣】
 本制度においては、指定法人から民事裁判情報の提供を受けた業者などの一次的な利用者が、様々な価値を付加して製品やサービスを開発・提供します。それが一般の国民の皆様方などの二次的な利用者の方々に提供されて活用されることを想定しているところです。具体的には、例えば、業者などの一次利用者において、民事裁判情報につき、裁判例の体系化、あるいは解説や英訳の付加を行うことのほか、デジタル技術を活用して、裁判例の横断的な分析や、より精緻な統計的分析、機械学習の素材にして、いわゆるAIの研究開発を行うこと等も考えられます。
 法務省としては、こうした活用の成果を通じて二次的に民事裁判情報を利用されることとなる国民の皆様方に対して、高度な法的サービスが提供されるようになるものと考えています。
 そして、仮名処理のルールを定める観点や、その対象情報ということですが、仮名処理の基準を定めるに当たっては、訴訟関係者のプライバシー等に適切に配慮しつつ、データベースを有意なものとするために、具体的な事実関係に基づく裁判所の判断及びその過程を読み取ることができるようにすることが必要であると考えています。
 本法律案において、指定法人は、他の情報と照合しない限り特定の個人を識別することができないように仮名処理をしなければならないものとしています。対象となる情報としては、例えば、訴訟関係者の氏名の全部、生年月日の一部、これは月日等ということになります。あるいは、個人の住所のうち市郡より小さい行政区画、マイナンバー等の個人識別符号の全部等を想定しているところです。
 法務省としては、本法律案が成立した暁には、先ほど申し上げました観点を踏まえ、当省の省令において、適切な基準を定めてまいりたいと考えているところです。
(以上)