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法務大臣閣議後記者会見の概要

令和7年3月18日(火)

 今朝の閣議において、法務省請議案件として主意書に対する答弁書が1件、政令が1件閣議決定されました。
 続きまして、私の方から、来る3月20日で地下鉄サリン事件の発生から30年となることについて申し上げます。
 地下鉄サリン事件はオウム真理教が平成7年、1995年3月20日に営団地下鉄霞ケ関駅に向かう3路線5方面の電車内において、化学兵器サリンを散布し、多数の一般市民を無差別に殺傷した未曾有のテロ事件であり、我が国のみならず、全世界に衝撃を与えました。
 地下鉄サリン事件を始めとした一連の事件の被害に遭われた方々、そして御遺族の方々におかれては、事件の苦しみや悲しみの中で日々を過ごしておられるものと認識しています。
 オウム真理教による卑劣な行為により犠牲になられた方々に衷心よりお悔やみを申し上げるとともに、御遺族の方々、今なお後遺症に苦しんでいらっしゃる方々に心からお見舞いを申し上げます。
 オウム真理教に対しては、これまでの間、公安調査庁におきまして「無差別大量殺人行為を行った団体の規制に関する法律」に基づく観察処分等を実施し、現在も活動を続けている「Aleph」、「山田らの集団」、「ひかりの輪」による無差別大量殺人行為の再発防止に努めてきたところです。
 これらの団体は、今なお、首謀者である麻原彰晃こと松本智津夫の絶対的な影響力の下で活動するなど、無差別大量殺人行為に及ぶ危険性を有していると認識しています。
 一方で、先日も申し上げましたが、オウム真理教による一連の事件に関する記憶が風化し、「Aleph」等の危険性が正しく理解されていないこと、特に、近年、一連の事件に関する知識の少ない、若い世代を対象として、団体名を秘匿した勧誘活動が行われていることも懸念されているところです。
 公安調査庁においては、引き続き、「Aleph」等に対する観察処分を適正かつ厳格に実施し、その活動実態を明らかにするとともに、「Aleph」に対する再発防止処分の実効性を確保することなどによって、一連の事件の被害者・御遺族の方々、地域住民の方々、国民の皆様方の不安感の解消・緩和に努めてまいる所存です。
 また、こうした取組に加えまして、オウム真理教の問題の風化防止に向けた、若い世代、幅広い世代の皆様方を対象とした啓発活動にも引き続き取り組んでまいる所存です。

改正入管法の送還停止効の例外規定に関する質疑について

【記者】
 出入国在留管理庁は14日、難民認定申請中は強制送還できない規定を見直し、3回目以降の申請者を送還できるようにした改正入管法が施行された2024年6月10日以降、24年中にこの規定を適用して17人を強制送還したと発表しました。入管庁は慎重に実施した結果と説明していますけれども、この規定を適用し得る対象者が何人いたのか、そういう分母がわからないと、なかなか評価も難しいのではないかと思われます。17人という結果の受け止めと、把握し得るこの規定の対象の全体像について教えてください。

【大臣】
 お尋ねの令和5年改正入管法の規定を適用し得る対象者の人数につきましては、大変申し訳ございませんが、公表を前提とした統計を作成していないために、正確な数をお答えすることは困難であることを御理解いただきたいと思います。
 また、公表した運用状況については、令和5年改正入管法の施行から約7か月間の数字ということであり、上下するということもありますので、分析評価をするには、期間が短いということで、更に今後の状況を確認していく必要があると認識しています。
 もっとも、退去強制が確定した外国人は、速やかに我が国から退去させることが原則であるにもかかわらず、従来の入管法においては、難民認定申請を繰り返すことで送還を忌避する者については、送還することができなかったということがありました。
 この点、令和5年の改正入管法の施行によって、3回目以降の難民認定申請を行った者は、難民として認定を行うべき相当の理由がある資料の提出があった場合を除き、我が国からの送還が可能となりました。
 引き続き、保護すべき者を迅速かつ確実に保護した上で、退去強制が確定した者については、改正入管法の規定を適切に運用して迅速に送還を実施してまいりたいと考えています。

【記者】
 今の質問に関連して、埼玉県川口市では、クルド人が難民申請を5回却下された状態で、20年以上日本に滞在している事例もありますが、この状況をどのように受け止めていらっしゃるか。また、今後の対策や対応についても御検討されていることがあれば教えてください。

【大臣】
 お尋ねについては、個別の案件を前提としたものということでお答えを差し控えさせていただきたいと思います。
 その上で、一般論として申し上げれば、退去強制が確定した外国人は、速やかに我が国から退去することが原則です。送還の実施に当たっては、被退去強制者ごとに退去のための計画を策定することとなっています。この計画の策定の際に、送還することができない事情がある場合は、その状況を把握するとともに、その事情が解消した後、速やかに、あるいはそのような事情がない者には、速やかに、旅券の有無や健康状態の把握、送還便の確保や、関係機関との調整など実務的な準備を行い、順次、送還を実施しているところです。
 なお、改正入管法が施行された後の難民等認定申請が3回目以降であれば、送還停止効の例外になり得るものの、施行前の難民等認定申請は、経過措置により、手続が終わるまで一律に送還することができないという事情は、御理解いただきたいと思います。
 引き続き、保護すべき者を迅速かつ確実に保護した上で、退去強制が確定した者については、改正入管法の規定を適切に運用して、迅速に送還を実施してまいりたいと考えています。
 先ほど、難民申請を5回却下された状況で20年以上も日本に滞在しているとおっしゃっていましたけれども、もしそういった事例があれば、これは極めて不適切ですので、遺憾であると考えています。

無戸籍の子を対象とした救済制度に関する質疑について

【記者】
 以前も質問した無戸籍の子を対象にした救済制度について伺います。
 法務省の調査で、制度の利用者は1月末時点で59人にとどまり、2月の時点で少なくとも504人が制度の対象でありながらも無戸籍を解消できていないことがわかりました。3月末に迫る期限に向けてどう利用を進めていくのか、また、期限の経過後も多くが無戸籍を解消できていない場合はどのように対応するのか、大臣の考えを教えてください。

【大臣】
 3月末の期限が迫っている状況の中でありますが、まさに無戸籍の方々が令和4年改正民法の経過措置規定の利用が可能であるにもかかわらず、この規定を利用していない理由は様々です。そのため、一人ひとりの方々の事情に寄り添った支援が必要であるというふうに考えています。
 具体的に申し上げますと、例えば経済的理由から経過措置規定を利用していない方々、あるいは元夫との関わりを持ちたくないという方々に対しては、例えば民事法律扶助制度、あるいは家事事件における秘匿制度を御案内するといったことが想定されます。
 このような無戸籍者の方々が抱える個別の事情を踏まえ、今月17日付けで、先般申し上げました、全国の法務局に対して、この機会を逃すことなく、経過措置の期限内に確実に手続が執られるよう、具体的かつ適切な働きかけを行うことを、改めて、指示したところです。
 法務局においてこれまでも、一人ひとりに寄り添い、戸籍の記載に必要な届出や、あるいは裁判上の手続が執られるよう支援する「寄り添い型」の取組を実施してきたところですが、経過措置の期限経過後も引き続き、しっかりと寄り添う形で、無戸籍者の方々の個別の事情に応じた支援、あるいは働きかけを行ってまいる所存です。
(以上)