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法務大臣閣議後記者会見の概要

令和7年6月6日(金)

 今朝の閣議において、法務省案件として2件の閣議決定がありました。
 続いて、私から2件御報告があります。まず、外国人材の受入れ・共生に関する関係閣僚会議について申し上げます。
 今朝、石破総理出席の下で、外国人材の受入れ・共生に関する関係閣僚会議が開催され、「外国人との共生社会の実現に向けたロードマップ」の一部変更及び「外国人材の受入れ・共生のための総合的対応策」の改訂が了承されました。
 「ロードマップ」は、我が国の目指すべき外国人との共生社会の三つのビジョン、取り組むべき四つの重点事項及び具体的政策を示すものです。今回、日本語教育に係る新規施策を追加したほか、有識者の意見等を踏まえた工程表の見直しなどを行ったところです。
 また、「総合的対応策」については、在留外国人の方々に日本のルールや制度を理解し、責任ある行動をとることを求める声が高まっていることを踏まえ、必要な改訂を行ったところです。
 これらの議題が了承された後、私から、今後の外国人の受入れの在り方について、長期的・多角的視点をもって、検討すべき課題等について発言をしましたので、併せてその内容をこちらで御報告します。
 今後、本格的な少子高齢化・人口減少時代となる中、外国人材は、我が国の経済の発展、さらに成長のためにも不可欠な存在として期待されるところです。
 一方で、在留外国人の数は極めて速いスピードで増加している状況もあり、今後、総人口の10パーセントを超える、そうした予測もされているところです。
 同時に、急激な増加、あるいは集住・偏在も、当然ありますので、地域に与える不安や負担などの、受入れの様々な課題に関して、長期的・多角的視点で向き合う必要があると考えています。
 具体的には、我が国の人口動態や経済成長に鑑みた必要性を念頭に置きつつ、国内の労働市場に与える影響、あるいは社会保障、教育、治安等にどの程度の影響を及ぼすかなどの観点からも検討が必要です。
 その上で、長期的展望をもってどのような人材、どのような方々をどの程度受け入れていくのか、あるいはどういったスピードで受け入れていくのか、それが適当なのか、共生社会の実現を図る上での最適解を、責任を持って追求していく必要があると考えています。
 また同時に、課題を解決するための調整機能を有する組織の在り方の検討も必要であると考えています。
 私はこれまでも、外国人の受入れについて中心的な役割を持つ、出入国在留管理行政を担う法務大臣の立場として、まずは、経済学、社会学、あるいは様々な諸外国の受入れ政策や受入れの状況に精通した有識者の方々をお招きし、大臣の下での私的な勉強会ということでこれまでも様々な御意見、御議論をお聞きしてきました。
 今後速やかに、受入れの在り方を検討する上での論点について、法務省内で整理を進めてまいります。
 そして、本年7月ごろを目途にそうしたものを示すことを考えています。
 その後の検討については、政府一体で総合的に行うことが必要である旨を今朝の会議でも申し上げ、関係閣僚に御理解、御協力をお願いしたところです。
 今朝の関係閣僚会議において、その席上で最後に石破総理から「ロードマップ」の一部変更等の決定を受け、外国人材の受入れや共生社会の実現のための各種施策を着実に実施するようにと御指示がありました。
 これに加え、特に、昨日、自由民主党から提出された外国人との秩序ある共生社会の実現に向けた提言も踏まえ、外国人との秩序ある共生社会の実現に向け、関係閣僚が相互に連携しながら、制度・政策の点検、見直しを進め、必要な対策を着実に推進するようにとの御指示がありました。
 今回、私ども法務省としても、総理の御指示に基づき、関係府省庁と連携し、必要な取組を着実に進めてまいる所存です。また、外国人受入れの在り方について、長期的・多角的視点に立った議論を進めてまいる所存です。
 次に、「人権教育・啓発に関する基本計画」及び人権白書について申し上げます。
 本日、第二次「人権教育・啓発に関する基本計画」が閣議決定されました。従前の基本計画は、政府の人権教育及び人権啓発に関する施策の総合的かつ計画的な推進を図るために、平成14年に策定されたものです。
 今般、その後の社会経済情勢の変化や国際的な潮流の動向を踏まえ、全体的な見直しを行い、第二次基本計画を策定しました。
 具体的には、総論部分において、「ビジネスと人権」に関する国際的な要請が高まっている旨を新たに記載したほか、いわゆるヘイトスピーチやハンセン病問題を個別の人権課題として盛り込むこととしています。
 法務省としては、全ての人々が、お互いの人権や尊厳を大切にし、生き生きとした人生を享受できる共生社会の実現に向けて、関係府省庁と連携しながら、第二次基本計画に基づき、取組を推進してまいります。
 また、本日、「令和6年度人権教育及び人権啓発施策」の国会報告、いわゆる人権白書も閣議決定されました。
 本報告は、様々な人権課題について、令和6年度に政府が講じた人権教育・啓発に関する施策を取りまとめた年次報告であり、共管する法務省と文部科学省において作成したものです。
 本年度、「特集」として、「障害のある人に対する偏見や差別のない共生社会の実現に向けた取組」を取り上げました。
 これらの基本計画及び国会報告については、この会見後になりますが、本日法務省ウェブサイトに掲載します。
 是非、内容を御一読いただき、人権についての御理解を深めるきっかけとしていただければ幸いです。

外国人との共生社会実現に向けた取組に関する質疑について

【記者】
 外国人との共生社会実現に向けてなのですが、課題は多岐にわたると思うのですが、大臣御自身は具体的にどのような点が特に重点課題だと認識されて、それの克服に向けてどのように取り組むお考えなのかお聞かせください。

【大臣】
 政府としては、「外国人との共生社会の実現に向けたロードマップ」において、取り組むべき中長期的な課題として、円滑なコミュニケーションと社会参加のための日本語教育等の取組、外国人に対する情報発信・外国人向けの相談体制の強化、ライフステージ・ライフサイクルに応じた支援、共生社会の基盤整備に向けた取組の四つを重点事項に掲げており、関係省庁が連携して施策の実施を進めているところです。
 具体的には、課題克服のために、日本語教育等の取組について、「日本語教育及び社会にスムーズに定着するための生活オリエンテーション動画の活用促進等」、相談体制の強化について、「地方公共団体が運営する外国人相談窓口への財政的支援」、ライフステージ・ライフサイクルに応じた支援について、「外国人支援コーディネーターの育成・認証を通じた相談対応支援及び予防的支援」、共生社会の基盤整備に向けた取組について、「外国人との共生に係る啓発月間の創設、各種啓発イベント等の実施」等々の様々な施策に取り組んでいます。
 また、こうした支援策に加え、秩序ある共生社会の実現のためには、受け入れられる外国人の方々においても、ルールをしっかり守ってもらうことが極めて重要であることは当然のことであり、そのために必要な対策を講じていくことも必要だと考えています。
 本日の関係閣僚会議において、石破総理からは、「ロードマップの一部変更等の決定を受け、外国人材の受入れや共生社会の実現のための各種施策を着実に実施するように」との御指示がありました。
 法務省としては、この総理の御指示を受け、引き続き、外国人の受入れ環境整備に関する総合調整機能を発揮しながら、関係省庁及び地方公共団体との連携を一層強化し、このロードマップ等に基づいて、外国人との共生社会の実現に向けた取組をしっかりと進めてまいりたいと考えています。

(以上)