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法務大臣閣議後記者会見の概要

令和7年9月5日(金)

 今朝の閣議において、法務省請議案件として政令案が2件閣議決定されました。
 続いて、私から2件報告があります。
 まず、「Aleph」に対する再発防止処分の決定について申し上げます。
 公安審査委員会は、いわゆるオウム真理教と同一性を有する「Aleph」に対する再発防止処分について、公安調査庁長官から請求を受け、厳正かつ慎重な審査を遂げた結果、9月3日、6度目となる再発防止処分を行う旨の決定をしました。
 決定により、当該団体は9月21日から6か月間、当該団体が所有し又は管理する特定の土地又は建物の全部又は一部を使用すること、金品その他の財産上の利益の贈与を受けることが禁止されます。一方、同決定では、その請求の一部、これは特定地域における土地又は建物の新たな取得・借受けの禁止ですが、これが認められなかったと承知しています。
 公安審査委員会の決定は、法と証拠に基づき、厳正かつ慎重に検討された結果であると理解しており、その結果については厳粛に受け止めています。
 当該団体は、いわゆる地下鉄サリン事件を始めとする未曾有のテロ事件の首謀者である、麻原彰晃こと松本智津夫の絶対的な影響力の下で活動するなど、今もなお、無差別大量殺人行為に及ぶ危険性を有しています。
 また、麻原の二男が、「Aleph」の内外に自らの地位や役割を秘匿しつつ、「Aleph」の組織運営に関わる重要事項について、幹部構成員に意向を伝達し、「Aleph」がその意向に沿って活動してきたことが認定されたと承知しています。
 さらに、麻原の妻が、団体から送金された資金及び団体の施設の管理を行うとともに、団体の運営に関する会合に参加するなどしてきたことが認定されたと承知しています。
 公安調査庁においては、引き続き、再発防止処分の実効性の確保を図りつつ、観察処分を適正かつ厳格に実施し、当該団体の活動実態の把握に努めるとともに、公共の安全を確保し、国民の皆様方の不安感の解消・緩和に寄与してまいります。
 2件目に、犯罪被害者等支援弁護士制度に関する政令2件について申し上げます。
 今朝の閣議において、昨年(令和6年)4月に成立した「総合法律支援法の一部を改正する法律」により創設された犯罪被害者等支援弁護士制度に関する政令2件が閣議決定されました。
 1つ目は、政令委任に係る本制度の対象犯罪等を定めるものであり、2つ目が改正法の施行期日を令和8年1月13日と定めるものになります。
 犯罪被害者等支援弁護士制度は、犯罪被害者等が精神的・身体的被害により、刑事手続への適切な関与や被害の回復・軽減のための法的対応等を自ら行えず、経済的困窮から弁護士による援助を受けられない場合があることを踏まえ、原則として法テラスが費用を負担して、被害を受けた早期の段階から弁護士による包括的かつ継続的な援助を行うものです。
 対象犯罪について、法律上、「故意の犯罪行為により人を死亡させた罪」あるいは「刑法における一定の性犯罪等」のほか、「人の生命又は心身に被害を及ぼす罪として政令で定めるものの犯罪行為により、被害者が政令で定める程度の被害を受けた場合」と定められています。
 そこで、今般、この政令委任に係る対象犯罪について、被害の程度や経済的困窮から援助する必要が類型的に高いものとして、対象犯罪として、傷害罪や危険運転致傷罪等の故意の犯罪行為により人を負傷させた罪、そして、被害の程度として、治療期間3か月以上の負傷・疾病のほか、犯罪被害給付制度の障害給付金の支給対象となる第1級から第14級の後遺障害が残存する負傷・疾病と定めることとしたものです。
 法務省としては、引き続き、制度の運用開始に向け、法テラスや日弁連等の関係機関とも連携し、必要な準備を着実に進めるとともに、犯罪被害者やその御家族に真に寄り添った援助を提供できるよう不断の検討を行ってまいります。

「Aleph」に対する再発防止処分の決定に関する質疑について

【記者】
 「Aleph」に対する再発防止処分に関連して伺います。公安審査委員会は、松本元死刑囚の二男と妻を「役職員」と認定する一方で、公安調査庁が新たに求めていた土地・建物の新規取得の禁止などは認めませんでした。また、公安庁は二男が「グル」として教団を「主導」しているというふうにしていましたが、公安審は決定の中で言及しませんでした。公安庁の主張が一部認められなかった点について大臣の御所見を伺います。

【大臣】
 公安調査庁においては、所要の調査を行った上で証拠に基づいて再発防止処分を請求したところですが、今般、公安審査委員会の決定ではその請求の一部、言及もありました特定地域における土地又は建物の新たな取得・借受けの禁止が認められなかったものと承知しています。
 他方、「Aleph」の一部不報告が長期かつ広範囲に及んでいることにより、無差別大量殺人行為に及ぶ危険性の程度を把握することが困難であると認められたことから、この土地又は建物の新たな取得・借受けの禁止以外の再発防止処分を行う決定がなされたものと承知しています。
 また、麻原の二男及び妻については、その活動実態から、「Aleph」の役職員及び構成員であることが認定されたと承知しています。
 一方で、今般の公安審査委員会の決定においては、あくまで被請求団体を特定するための要素ということから、「Aleph」の内部規定などに基づいて、代表者の認定をしたものと承知しています。
 公安審査委員会の決定は、法と証拠に基づき厳正かつ慎重に検討された結果であると理解していますので、私どもとしては、その結果を厳粛に受け止めているところです。公安審査委員会の個別の判断について、法務大臣として、これ以上のコメントをすることは、差し控えさせていただきたいと思います。

【記者】
 「Aleph」に関して、1点伺いたいんですが、今回、麻原氏の二男らが新たに役職員などと認定されました。公安審の決定によると、平成26年頃からオンラインの会合などで意向を伝達してきたことなどが根拠になっているわけなんですが、平成26年ってもう11年も前になりますので、この間、公安調査庁には立入検査などの権限が付与され、実態把握が期待されてきたことと思いますが、このような重要事実の認定に一定の時間を要したことについて、大臣はどのようにお考えでしょうか。

【大臣】
 これまでの経緯ということで今御質問があったところですが、公安調査庁においては、調査を行ってきて、そして証拠に基づいて、様々な再発防止処分をその都度請求してきていると考えています。そういった中で、今般、調査あるいは証拠に基づく判断の中で、今回請求をさせていただいたことに尽きるかと思います。

自由民主党総裁選前倒しに関する大臣の見解に関する質疑について

【記者】
 自民党総裁選の前倒しの是非に関する意思確認が週明けの8日に行われます。大臣が所属する麻生派の会長、麻生党最高顧問は総裁選の前倒しを求める書面に、署名する考えを表明しています。大臣は、前倒しを求める書面に署名されますか。また、自らの行動についてどこかで御説明されるお考えはありますか。閣内の一員としてお答えください。

【大臣】
 閣内の一員という話がありましたが、まさに法務大臣という行政府の機関の長としてこちらの会見を行っているところです。そういったことから、党の総裁選についてのコメントをこの場で申し述べることは、差し控えさせていただきたいと思います。いずれにいたしましても、一議員として適切な判断をしていくことになろうかと思います。
(以上)